その日、ペリーヌと母親のマリは長い旅への準備をしていた。亡くなった父・エドモンの遺言を受け、祖父のいるフランスへ向かうためだ。ペリーヌたちは写真師だった父の仕事を継ぎ、旅の間の生活費を得ようと考えていた。
インドの衣裳・サリーをまとい、写真師の仕事を始めたマリ。衣裳の珍しさが人々の関心を引き、仕事は順調に動き始める。ある日、馬車の車輪を泥に取られて動けなくなってしまう。しかしたまたま通りがかった農家の男に助けてもらうのだった。
一軒の家に宿を求めるペリーヌたち。その家の奥さんは出産を間近に控えていた。初めての出産に不安を覚える奥さんをお母さんが手伝うことに。お母さんのテキパキした行動にペリーヌはとまどいながらも心の中では嬉しく思うのだった。
クロアチアまでやってきたペリーヌ親子。道中で、物々しいオーストリア兵士に取り囲まれた。誰かを探しているらしい。ペリーヌは森の中で男と出会う。男はクロアチア独立の抵抗運動をしている貴族で、兵士たちが探していたその人だったのだ。
旅を急ぐ途中に、大切な水樽が壊れてしまった。道中の一軒家に助けを求めると、親切な老人は快く水を分けてくれただけでなく、壊れた水樽まで修理してくれた。ペリーヌは、いつしかその老人に、まだ見ぬ祖父の姿を重ねていくのだった。
ペリーヌ親子はイタリアの町・トリエステに到着する。宿屋で長旅の疲れを癒す二人の元に、警官が現れた。警察署まで連行されたペリーヌは、一人の貴婦人と会う。婦人はペリーヌを、行方不明になっている一人娘のジーナではないかと思ったのだ。
ペリーヌたちの前に一人の少年が現れた。様子がおかしいので、泥棒かと疑うペリーヌ。次の日、少年はペリーヌたちの馬車の前に現れ、隣の村まで乗せて欲しいという。彼の名はマルセル。両親のサーカス団に追いつくため、旅をしているというのだ。
ある日、馬車の車軸が壊れていることに気づき、ペリーヌたちはあわてて鍛冶屋にかけ込む。ところが、結婚式の撮影の間にロバのパリカールが式場にあったブドウ酒を飲み干してしまい、酔ってどこかへ走り去ってしまったのだ!
旅の途中、ペリーヌたちは同じ旅の写真師に出会った。ペリーヌたちはその村での商売をあきらめて次の村に向ったが、彼等は再びペリーヌたちに追いついて来てしまった。結局同じ村で商売をする事になった二組の写真師たちだが…。
一方の写真師は、どちらの腕が上か、客の前で証明しようとする。しかし、その結果はマリに軍配があがる形になってしまった。腹を立てた写真師たちは、ペリーヌ親子の大事な写真機を盗み出そうと考えるのだが…。
マルセルはバロンに芸を仕込もうと頑張っていた。最初はまるでダメだったバロンだが、少しずつ芸を覚えつつあった。翌日、バロンが鳥をくわえて戻って来た。そこへ、プラーガ男爵という人物が現れる。男爵はペリーヌたちを泥棒ではないかと疑う。
ついにミラノへ到着した。しかしマルセルは、その晩、姿を消してしまう。やがて旅立ちの時が来る。挨拶も出来ずに別れたのが気がかりだった。だがそんな彼女たちの前にマルセルが現れ、無事両親に会えたお礼にサーカスをみせてくれるのだった。
ミラノから進路を北に取り、ペリーヌたちはスイス経由でフランスへ入る道を辿っていく。目の前には、壮大なアルプスの高峰がそびえたつ。何とかスイス領に入るのだが、道は一層険しさを増し、とうとうペリーヌたちは霧の中で動けなくなってしまう。
ようやく宿のある村に着いたペリーヌたちは、久しぶりにゆっくりと朝を迎えていた。小川のそばで水を汲んでいたペリーヌは、花を母に摘んでいこうとして足を踏み外し、捻挫をしてしまう。ペリーヌを早く医者に診せるためマリは馬車を急がせるが…。
ジュネーブを過ぎれば、ついに憧れの地・フランスに着く!途中で写真の仕事をしようとする二人だが、ここで仕事をするには警察の許可を得なくてはならないと聞き、驚かされる。そこで二人はジュネーブを越え、一気にフランスを目指す事にする。
やっとの思いでフランスの地にたどり着いたペリーヌたち。しかし、マリが病のために寝込んでしまった。ペリーヌは、何とか宿代だけでも払えるようにと、一人で写真の仕事を得に出かけて行くが、子どもの彼女では誰も相手にしてくれない。
大事な宝石を売って生活費を得たペリーヌ親子は、パリへと入った。税関で待たされている間、ペリーヌは偶然マルセルと再会する。マルセルは、マリが病に伏しつつも旅を続けていると知って驚き、二人にシモンじいさんの家に行く事を勧める。
マリの病気は、入院しなければならないほど悪くなっていた。しかし、医者の往診料、薬代と、お金はどんどんなくなっていく。ペリーヌは大切な写真機や馬車をシモンじいさんに売り、入院するお金がなかった為シモンじいさんに宿をかりるのだった。
往診料や薬代を作るため、ペリーヌはついにパリカールを売る事を決心する。「パリの下町っ子は互いに助け合うもんさ」靴屋のガストンさんの言葉、見舞いに訪れたマルセルの友情…ペリーヌは人々の優しさに心の底から感謝する。
とうとうパリカールを馬市に売る日が来た。シモンじいさんと市へ向かうペリーヌだが、パリカールは市場の前でピタリと動かなくなってしまう。どんなになだめても動かないパリカールに、ペリーヌは困り果てる。そこに現れたのは…。
マリの容態は悪化するばかりで、もはや医者も手の下しようがない。マリは枕元にペリーヌを呼ぶと、一人で旅を続けておじい様の所へいくようにと告げる。「あなたはみんなに愛される子になってほしいの。ペリーヌ、幸せになりますように」
とうとう、優しい母もペリーヌを残して神の国へと召されてしまった。いくら泣いてもペリーヌの涙は尽きる事がない。ペリーヌは、遺言通り、祖父のいるマロクールへと旅立つ事にする。ペリーヌは汽車に乗るためにマルセルと駅へ向かう。
パリの外れ、ラ・シャペルまでの切符しか買えなかったペリーヌは汽車を降り、マロクールまで徒歩で行く事にする。道のりとしては一日30キロ歩いて、5日で150キロの距離。空腹に堪えつつ、ペリーヌはひたすら歩く。
夏の強い日差しの下、ペリーヌの徒歩の旅が続いていた。暑さ、そして空腹と戦うペリーヌ。とうとう持っていた水も飲み尽くしてしまう。そんなときに、夕立で大粒の雨が降ってきた。ペリーヌは大きく開いた口を空に向け雨をたくさん飲むのだった。
最後に残った銅貨でパンを買ったペリーヌ。とうとう一文無しだ。日中の暑さと朝晩の冷え込みは厳しく、また、ろくに食べていないペリーヌは体調を崩してしまった。それでも歩くペリーヌだったが、とうとう高い熱のため倒れ込んでしまう。
風邪をこじらせて倒れていたペリーヌは、バロンに導かれたパリカール、そしてルクリおばさんの助けで一命を取り留める。そんなペリーヌにルクリおばさんは、マロクールの近くまで一緒に自分の商売を手伝いながら旅を続けようと誘ってくれた。
マロクール、その名の村に着く事をどんなに望んできたか! ペリーヌはやっとの思いで祖父の暮らすマロクールまでたどり着いた。ペリーヌは、村の入り口で会った少女・ロザリーに祖父のビルフランがどんな人物かと尋ねる。
一見厳しそうだが、寂し気でもある。そんな印象を抱いた祖父・ビルフラン。しかも目が見えないという。すぐに孫だと名乗る勇気がないペリーヌは、オーレリィと名前を変えて工場で働こうと考える。その場を通りかかったビルフランに、ペリーヌは…。
慣れないトロッコ押しの仕事に疲れ、池のほとりの草むらで眠ってしまったペリーヌ。朝、目を覚まし、美しい池を眺めていたペリーヌは、使われていない小屋を見つけた。一目で気に入ったペリーヌは、そこでバロンと共に暮らす事にする。
仕事中に、一足しかない靴が破れてしまった。かわりの靴を買うほどの余裕はない。考えたペリーヌは、買ってきた安い布と糸、それに池のほとりに生えていた葦を使って靴を作る事にした。ついに素敵な靴が完成、満足感を覚えるペリーヌだった。
鍋やフォーク、下着など、ペリーヌは自分の生活に必要な道具は、もらい物や、安い素材を買って自作したものなどで揃えていた。ロザリーはペリーヌの器用ぶりに驚く。そんなある日、ペリーヌは小屋にロザリーを招いて昼食会を催す。
ファブリが病人を運ぶ馬車の乗り手を探しにやってきた。急を要すると聞いて、ペリーヌはその役を進んで引き受ける。ビキニの町まで馬車を飛ばしたペリーヌは、そこで偶然にもパリカールやルクリおばさんと再会する。
テオドールは、ビルフランの甥に当たり、工場の重要な地位にいる人物でもあった。ある日彼は、財布を落とした事に気がつく。テオドールは、ペリーヌに工員たち一人一人を調べるようにと命じる。仲間を泥棒扱いになど出来ないペリーヌは…。
今日もペリーヌはトロッコ押しに精を出していた。そんな時、ペリーヌに工場長からのお呼びがかかる。英語を話せるペリーヌを見込んで、サンピポアの工場に出かけているビルフランのために通訳をせよというのだ。
ペリーヌの英語は評判となり、ビルフランから通訳を続けるようにと命じられる。祖父の力になれた事で、ペリーヌも感激していた。サンピポアの工場に着いて、ペリーヌはビルフランから英語の手紙や新聞を読むようにと頼まれた。
技師のファブリが出張から帰って来た。英語が話せるファブリが戻ったことで、ペリーヌの仕事も終わりかと思った矢先、ビルフランはペリーヌに自分のそばで、英語の手紙などを訳す仕事をするよう命じる。その言葉に喜びを覚えるペリーヌだが…。
ペリーヌに、思いもかけない話が飛び込んできた。何とビルフランがペリーヌを自分の秘書に任命したのだ。マロクールに来て約2ヶ月目にペリーヌは孫である事も名乗らずに大工場主ビルフラン・パンダボアヌの秘書になったのだ。
ロザリーはペリーヌが秘書となった事を大喜びし、新しい下宿を探してくれた。その後、ペリーヌはビルフランの言いつけ通りに、秘書らしい服装を用意するために、ロザリーと共に洋服屋に行く。ペリーヌは、大人しい色合いのワンピースを選んだ。
ビルフランのもとにインドから手紙が届いた。手紙にはエドモンと結婚したマリについて書かれており、大変美しくその上、頭も良く大変優しい性質で、また2人の夫婦仲も大変良かったとペリーヌは訳すが、ビルフランはマリを憎んでいるという。
母を憎んでいることを聞いたペリーヌは悲しかった。ファブリの優しい慰めに全てを話したい衝動に駆られるが、言い出す事ができなかった。翌日、気分転換に池のほとりに出掛けたペリーヌは、偶然にもテオドールとタルエルの密談を聞いてしまう。
息子のエドモンの消息を何としても知りたいビルフランは、インドへ電報を打つ。そのお使いを頼まれたペリーヌに、電報を見せなければ首にすると、タルエルは脅した。心配したビルフランはペリーヌに自分と一緒に住むように言う。
祖父と暮らせる事になったペリーヌ。その知らせを受けて、ペリーヌと距離が出来ていくのを寂しく思うロザリー。翌日、ペリーヌは祖父と共に仕事に出る。それを見かけて手を振るロザリーだが、ペリーヌはそれに気付かず行ってしまう。
日曜日、約束通りロザリーの家に遊びに訪れた。ペリーヌはロザリーやファブリと共に、ピクニックに出かける事にする。楽しいピクニックの合間、ファブリは前から気にしていたペリーヌの素性を尋ね、ペリーヌも素直に全てを打ち明けた。
テオドールの母親で、ビルフランの姉に当たるブルトヌー夫人が屋敷に来ると連絡があった。夫人は、ビルフランの信頼も厚いというペリーヌの様子をうかがいに来たのだった。晩餐会での席上、夫人はペリーヌの服装が会に合わないと注意する。
エドモンはボスニアにいる。知らせを受けたビルフランの喜びはひとしおだった。息子の帰りを待ちわびるビルフランだが、ペリーヌにはそれが辛かった。そして、ビルフランのもとに、ついに息子の行方を知らせる報告が来た。
エドモンの死。それを知ったビルフランの悲しみは、ペリーヌの想像以上だった。翌日、工場は全て休みとなり、エドモンの葬儀が執り行われた。ペリーヌにとっては、2度目の悲しい葬儀だった。参列者が思いのほか少ない事がペリーヌは気になるが…。
悲しみと疲労が重なり、ビルフランは病の床に就いてしまった。そんな折、ロザリーの祖母・フランソワーズがビルフランの見舞いに訪れた。彼女はエドモンの乳母だったのだ。フランソワーズはペリーヌの顔がエドモンの子供の頃に似ていると言う。
オーレリィこそ自分の孫ではないのか? そう思い始めた時から、ビルフランは元気を取り戻しはじめ、仕事に復帰するまでになった。そんな時、工場近くの託児所で火事が起こった。火に巻かれ子供が死んだと聞き、ペリーヌは衝撃を受ける。
ビルフランは工場で働く人々の暮らしを見直そうと考え始めた。保育所の設立、工員の下宿の視察。「誰かに愛されるには、まず自分がその人を愛さなくては」というペリーヌの言葉を受けて、ビルフランはパンダボアヌ工場の未来を真剣に見つめ始める。
やっとやっと、真実が明かされた! ビルフランがペリーヌのことを孫だとわかる日が、ペリーヌが大きな声で祖父の名前を呼べる日が来たのだ! 神に感謝を捧げるビルフラン、そして、ペリーヌも喜びの涙を流し続けた。
ペリーヌの新生活が始まった。工場の未来のために懸命な祖父を見ているのは、ペリーヌの喜びだった。一方、ビルフランはペリーヌの顔を見たいという思いを募らせていた。持病のあるビルフランにとって目の手術は危険の高いものだったが…。
ビルフランの目の手術は無事に成功した。1週間後のクリスマスの頃には包帯も取れる事になり、ビルフランはその日を指折り数えて待った。そして迎えたクリスマス、包帯が外され、ビルフランは念願の孫との真の対面を果たす!
ビルフランの目は順調に回復し、春になれば自由にものを見て回れるという。保育所が完成し、他の施設も着々と準備が進んでいる。幸せいっぱいのペリーヌとビルフランは、この村をもっと幸せにしようと誓い合うのだった。