大怪我をして倒れていた青年。彼は、エルルゥと名乗る少女に助けられる。自分の名前も過去の記憶も一切なくした彼の顔には奇妙な仮面が被せられており、外すことができない。エルルゥの祖母で村長でもあるトゥスクルは、青年に息子の古著を與えた。エルルゥと妹のアルルゥは、そこに亡き父の姿を重ねてしまい…
ムティカパによって、次々と村人たちの命が奪われていく。そして翌晩もムティカパは現れた。ムティカパの拡大していく被害を前になす術のない住人たち。だが、青年があることに気付く。勝機が見えた青年はムティカパの退治を村人たちに提案する。罠へと誘導し、弱點をつくのだ。だが、それには囮となる者が必要だった…。
夜、ハクオロは妹ユズハの病のためにトゥスクルに度々往診を依頼していたオボロと出會った。隠れるように住むオボロたちに違和感を覚えつつも、ユズハから懇願され、再びの逢瀬を約束することになるハクオロ。そんな中、宿敵である侍大將ベナウィと遭遇したオボロは、馬上からの一瞥に渾身の一撃で斬りかかるが…。
倉に忍び込んだ賊を追い、藩主ササンテたちがヤマユラの集落にやってきた。だがトゥスクルはまったく相手にしない。その態度に怒ったヌワンギは、彼女を捕らえる指示を出す。反抗しようとしたアルルゥは逆に兵士から切り付けられる。あわやというとき、トゥスクルが身を挺してアルルゥを守り、大きな傷を負ってしまい…。
蜂起したハクオロたちの最初の戦いが終わった。そして彼らは藩主の屋敷跡を整備して、陣を構える。やがて迎える皇軍との戦いに備えて訓練を行う一方、近隣の集落に助力をもとめようと試みるハクオロたち。しかし、叛亂軍の討伐に執念を燃やすインカラ皇は、殘虐な方法で、容赦なく彼らを追い詰めようとしていた…。
インカラ皇の信頼を得たヌワンギは、兵を率い村々への襲撃を続けていた。一方、ハクオロのもとには、殘った集落の村長たちが傘下に加わるべく集まりつつあった。ある日、塀を上って屋敷に入り込もうとした男が捕らえられる。商人と名乗る胡散臭い男に、ハクオロは水と食料を分け與え、すみやかに立ち去るよう伝えるが…。
ハクオロ軍は勢力を広げ、インカラ城のある皇都を取り囲みつつあった。決戦のときがきた。敵兵を一太刀で叩き切るオボロを先頭に、インカラ城へ攻め込む叛亂軍。一方、インカラ皇の不興をかって投獄の身だったベナウィは、牢を抜け出し、國と運命を共にする覚悟のもと最後の戦いに赴くべくハクオロの前に立ちはだかる…!
第二の戦いを経て、ハクオロは皇となった。だが國家を統治する身の彼を待ち受けていたのは、膨大な執務の山である。執政の毎日を過ごす彼のもとに、ある日、美しく気高い客人が現れる。彼女の名はウルトリィ。大神「ウィツァルネミテア」を奉る神官とも言うべき一族の、皇女にして巫女、そして「調停者」だった…。
突如、大國の使者が訪れる。「天子ニウェに絶対の忠誠を誓え!」迫る彼らの無禮きわまる態度にも、終始冷靜に従うハクオロ。彼の「トゥスクル國」に対し、ニウェの大國「シケリペチム」、その國力差は、兵力にして約十倍。そして大國「シケリペチム」の進撃が開始された。そんな圧倒的戦力に対して、ハクオロは…。
人を売り買いする貿易船が暴風のため難破した。その船底の檻から逃れ、ただ一人生き殘った女、カルラ。そして牢の中で目覚めたカルラは、しかしやすやすと牢を破ってハクオロの前に現れる。「私をナ・トゥンクに引き渡すのかしら? それとも斬り捨てるおつもり?」彼女の問いかけに、ハクオロは意外な答えを返す…。
ハクオロはウルトリィを使節とし、ニウェに対抗すべく近隣諸國と同盟を結ぶ。容易に攻め込まれぬよう兵力を拮抗させるためだ。だが、その「調印の儀」が行われているさなか、テオロが敵襲を知らせるべく、駆け込んできた。集落の皆の身を案じるハクオロに、テオロは「心配すんな、負けんなよ」と拳を上げてみせるが…。
「裡切り者よ! その罪、死をもって償うがいい!」とハクオロを罵り、彼に突き進む敵將オリカカンと騎馬兵。その中、敵將に助太刀する誇り高き、女剣士トウカの刃が閃光を放ち、あわや、カルラの首輪をかすめる。自分自身が行なったという殘虐行為を聞かされ、過去の記憶を持たないハクオロは、疑惑と苦悩に苛まれる…。
正義を重んじる「エヴェンクルガ」のトウカが敵方についていることで、トゥスクルの兵や民たちに動揺が走る。自分が何者かわからぬ不安から逃れるように、ハクオロは、毎夜、酒を飲んでいた。エルルゥはそんな彼を優しく叱り、勵ます。少數の騎馬兵を率い、決戦に赴くハクオロたち。対峙した彼らの前にトウカが現れて…。
シケリペチムの軍勢が國境を越え、トゥスクル國への進撃を開始した。敵の襲撃は日を追って増えていき、犠牲者も相當數にのぼって行く。なぜか一気に攻め込んではこない敵の企てをベナウィは見抜く。そのころニウェは精鋭の兵を集め、さらに彼らに対し何らかの施術を行っていた。そしてニウェの傍らには、謎の男の影が…。
シケリペチムを迎え討つべく、兵を率いて國境へと向かったベナウィたち。その一方、ハクオロは、エルルゥとカルラ、トウカを伴い、シケリペチム本國にあるニウェの城を目指す。それを察したニウェは皇の間でハクオロを待ち構える。そして城の門を突破したハクオロたちの前に、三人の猛者が立ちはだかるのだった…。
戦は終わった。だがハクオロの脳裡からは、あの戦いのおぞましい記憶と、ニウェが自分に向かって放った「言葉」がいつまでも去らない。苦悩するハクオロに、エルルゥは優しく聲をかけ、かいがいしく世話を焼く。そんな折、カミュの身にちょっとした異変が起きる。そして、彼らを、ひそかに見つめる人影があった…。
エヴェンクルガの武人、ゲンジマルがハクオロに引き合わせたのは、クンネカムンの皇クーヤだった。民の大神と聞かされてきたウィツァルネミテアが、彼らシャクコポル族にとっては忌むべきヌグィソムカミであることを知ったハクオロは、心に拭えぬものを覚える。そしてゲンジマルがハクオロのもとに再び遣わされてきて…。
かつてカルラが囚われていた國ナ・トゥンクで叛亂の火の手が上がった。叛亂への支援を乞うカルラ。その彼女の強引な手管に観念したハクオロは、カルラやエルルゥ、ウルトリィ、トウカたち共々、ナ・トゥンクへと旅立つ。そして目的地に著いた早々、一行は叛亂の頭目デリホウライとまみえる。そこに敵の襲撃が…。
ハクオロの一行は傭兵としてデリホウライの隊に加勢した。そんな中、カルラの示唆で少數なら地下水路より城內へ忍び込めることが判明、デリホウライは決戦を決意する。そして、ついに皇の間へとたどり著くデリホウライとハクオロたち。そこで相対したのは、死者を苗床に咲かせた白き花園にまみれる酷き皇の姿であった…。
トゥスクル城に侵入した賊はゲンジマルの孫、サクヤだった。彼女がクーヤの使いであることを見抜いたハクオロはクーヤと密會する。だが、用件とはサクヤをハクオロの側室に差し出すことであり、その場をエルルゥに見られてしまう。そんな若き皇が別れ際に殘した言葉の通り、クンネカムンには戦雲が近づきつつあった…。
後顧の憂いをなくすために天下を統一すべきと雲う部下ヒエンの言葉に揺れるクーヤ。一旦は自國の守りに専念することを銘ずるものの、他國の侵攻に虐げられるクンネカムンの民の聲に天下統一に打って出ることを決意する。オンカミヤムカイは、迫るアヴ・カムゥの脅威に対し、超絶の力「大封印」を以って迎え撃つ…。
クーヤからハクオロ確保の命を受けたアヴ・カムゥ隊がトゥスクル城に侵入した。策を講じたとするハクオロは部下たちに撤退を命じ、自らは敵を引き付ける囮となるが、それこそ無策のハクオロに出來る唯一の戦略であった。ハウエンクアのアヴ・カムゥに蹂躙されるハクオロ。その脳裡に突如、失われた記憶の斷片が浮かび…。
アヴ・カムゥが破壊され、ハクオロ捕獲に失敗したと聞き動揺するクーヤ。ゲンジマルは、クンネカムンの破滅を避けるため全土統一の意を翻すよう諫言するが、幼き皇の苦渋の決斷に撤退はなかった。一方、大きく戦力を失ったトゥスクル軍は戦略に窮し、またハクオロとエルルゥは甦りつつある記憶にそれぞれ苦しんでいた…。
新たな賢大僧正ウルトリィの號令の下、同調した各勢力を伴い攻めるトゥスクルの前に、クンネカムンも陥落しつつあった。そんな中、敗戦を前に決死の覚悟で挑んでくるクーヤに対し、ハクオロはゲンジマルの手を借りてそのアヴ・カムゥを討つ。そして自らをクーヤの刃に曬し、頑なだった彼女の心を諭すことに成功するが…。
ゲンジマルは散り、全てを失ったクーヤは我を失い、クンネカムンの城下は炎に焼かれた。現世をさまよう旅に決著をつける覚悟を決めたハクオロは、覚醒した「ムツミ」に身を奪われたカミュを取り戻すため、そして分かたれた自身の本性が仇なす宿業を収めるために、ディーの居所オンカミヤムカイの宗廟へ発とうとするが…。
魔獣となり、持てる力を解き放って戦うハクオロとディー。壯絶な爭いの中、因縁の始まりの全てを思い出したハクオロは、自らの子であるヒトたちへの干渉を繰り返してきた自分らの業を押し留めるため、分身ディーを取り込み一つの存在へと戻る。そして皆の前で、ハクオロは自身をウルトリィに封印させようとするが…。
OVAシリーズ1
OVAシリーズ2
OVAシリーズ3
OVA 巻ノ一 特典
OVA 巻ノニ 特典
OVA 巻ノ三 特典
DVD-BOX 章之一 特典DVD「うたわれるもの余禄 其の一」収録
DVD-BOX 章之ニ 特典DVD「うたわれるもの余禄 其のニ」収録
DVD-BOX 章之三 特典DVD「うたわれるもの余禄 其の三」収録
DVD-BOX 章之四 特典DVD「うたわれるもの余禄 其の四」収録
青年は記憶を失い、山をさまよっていた。 彼を救ったのは一人の少女――クオンだった。クオンは青年に生きるために必要な術と名を与える。青年の新たな名は『ハク』。それは、かつてうたわれし者の名だった。
ハクとクオンの前に現れた偉丈夫――ウコン。2人はウコンと共に、村を襲う害蟲ギギリを退治することになった。ウコンとその部下たちの活躍でギギリ退治はつつがなく終わる筈であった。ただのギギリであったならば……
ウコンはクジュウリの姫ルルティエを護衛し帝都ヤマトへ向かおうとしていた。ハクが出来る仕事を探していたクオンも、その旅に加わることにする。かくして、一同は帝都を目指す。 だが、そんな彼らの前に立ちはだかる者がいた。
帝都に到着したハクたち一行はさっそく仕事を探す……前に宴を開いた。そんな一同の前にネコネと名乗る少女が現れる。彼女はウコンの妹だった。新たな土地、新たな出会い……はたしてハクは仕事を見つけることが出来るのか?
昼は額に汗水流して働き、夜は勉学に励む――充実した毎日にハクの神経はすり減っていた。しかし、そんな日々の努力が認められ、ハクは念願の休日を得るのだった。自由と少々の金を手にハクは帝都へ繰り出した!
白楼閣――ハクたちが陣として使っている帝都でも指折りの旅籠。美貌の女主が取り仕切ことで知られていた。そんな女主からハクに文が届く。それはハクとその友を宴に誘うものだった。 ハクは喜んで女主の誘いを受けるのだが……
ヤマトを統治するミカドは民から絶対の支持を受けていた。そのミカドの娘である皇女アンジュの生誕を祝う祭りが近づいていた。そんな日、白楼閣に珍客が訪れる。思うがまま我がままに振舞う幼い少女にクオンの目が冷たく輝いた。
夜霧に紛れて出港する一隻の客船。それは八柱将デコポンポが秘密裏に開く賭博船だった。ハクはウコン、アトゥイと共に潜入しデコポンポの不正を暴こうとする。いつになく冷静さを欠くウコン……彼に何があったのか?
その日、ヤマトの国に使者が訪れた。使者は遥か東の地、海を越えた先にあるトゥスクルから来たという。一方、白楼閣では何かに怯えるように旅支度を整えるクオンの姿があった。彼女の身に最大の危機が近づいていたのだ。
オシュトルに恋をしている――アンジュの言葉はクオンたちに衝撃を与えた。だが、ヤマトの皇女に市井の民の様な恋など許されない。あってはならない想いだ。しかし、幼い少女の無垢な願いをクオンたちは見捨てられなかった。
皇女アンジュの恋心を、忠義の士ノスリが救い上げ、たまたま来たハクを巻き込んで、偽りの誘拐という悲劇が引き起こされた……そうとしつつもオシュトルは皇女を救うべく出陣する。かくして、盛大なる茶番劇の幕が今、上がる。
皇女救出の褒美として、ハクは宮殿に上がり、ミカドとの謁見を許された。八柱将が居並ぶ中、ハクに与えられたのは鎖の巫と呼ばれる双子の少女だった。それがどれほどの意味を持つのかハクはわからないでいた……
ウズールッシャ侵攻――蛮族の脅威にさらされているはずのヤマトだが、街は驚くほど普段と変わらなかった。そのことがハクを戸惑わせる。しかし、一人の八柱将がとった行動がハクとその周囲の者たちを戦に巻き込んでいった……
名代として戦に参加することになったルルティエとアトゥイ。ハクはそんな彼女たちを見過ごすことはできなかった。刃が交じり合い、矢が飛び交う、ハクにとって初めての戦場……そこには新たな出会いがあった。
両近衛大将の到着、そして八柱将の参戦を機に戦の趨勢は一変した。圧倒的な力を見せつけるヤマト軍だが、その真の力はまだ別にあった。アクルトゥルカを眠りから覚ましてはならない……その言葉の意味が明らかになる。
ウズールッシャとの戦に勝利し、凱旋するヤマト軍。帝都の人達はみな彼らを歓喜の声で迎えた……ただ一人、ハクだけはその輪の中に入れなかった。割り切れない想いを抱えるハクに仲間たちが出来ることとは……?
ミトからの呼び出しを受けたハクはその場でウズールッシャとの戦の意義を問う。数百年の時を生き続けると言われているミカド。その口から告げられたのはこの世界の成り立ち……真実の歴史であった。
トゥスクルへの侵攻――それはミカドが下した勅命だった。クオンの故郷であるトゥスクルとの戦はハクたちに暗い影を落とす。そんな中、ハクはオシュトルからの依頼を受ける。それはトゥスクルへ向かうというものだった。
アトゥイの父親である八柱将ソヤンケクルの協力を受け、ハクたちは海路で戦地へと向かう。その途上、ハクはクオンにこの戦の是非を問いかける……様々な想いを乗せて船はついに神眠りし国トゥスクルへ辿り着く。
一刻も早く戦を終わらせるために……ハクはクオンらと共にトゥスクルの要所にある砦を攻め落とす策を実行する。だが、その砦にはトゥスクルの最強の将と武人が待ち構えていた。そして、その2人はクオンの家族でもあった。
ミカド崩御――その訃報にヤマト軍は撤退を余儀なくされる。ハクたちが帰路を急ぐ頃、宮中では新たな騒乱が起こる。ミカドの後継であるアンジュが毒を盛られたのだ。そして、その大逆を犯した者こそオシュトルだと言うのだ。
皇女暗殺を企てた大罪人オシュトル――果たしてそれは真実なのか? 事の真偽を明らかにするため、なによりも友を救うためにハクたちは動き出す。そんなハクたちに意外な人物が協力を申し出るのだった。
帝都からの脱出――その途上で散り散りになってしまったハクたちをヤマトの兵たちが容赦なく襲い掛かる。ハクはオシュトルとネコネと共に、クオンは毒に侵されたアンジュを救うために、それぞれの道を信じて突き進む!
ハクたちの前に立ちはだかったのは八柱将最強の男ヴライだった。オシュトルを討ち、ミカドの意志を継ごうとするヴライ。自らの志を貫かんとするオシュトル。仮面の男たちの最大最後の決戦の幕が切って落とされた。
ハクは死んだ――オシュトルの口から語られた真実がクオンを打ちのめす。それは同時にクオンにとって、この旅の終わりを意味していた。別れも告げず去っていくクオンをネコネはただ黙って見送ることしかできなかった……
決死の救出劇の末、故國エンナカムイまで逃げおおせたオシュトル(ハク)達。 しかし、敵の動向は未だ掴めず、予断を許さぬ状況が続いていた。 もはや戦火は避けられない――オシュトル(ハク)は近く来たる戦に備え、動き出す。 本物の皇女を守る為、そして……己に全てを託した友との誓いを果たす為に。
オシュトル(ハク)との合流を急ぐべく、キウルは帝都からオシュトルの近衛衆を率いてエンナカムイを目指していた。 しかし、國境を目前に控え、その動きを読んでいたヤマト軍が急襲をかける。 果敢に応戦するキウル達だが、長旅による消耗も重なり窮地に立たされてしまう。 絶体絶命の危機――そこへ馳せ参じたのは、援軍を率いたオシュトル(ハク)であった。 一方で混乱の渦中にある帝都では、八柱将の一人・ライコウが不穏な動きを見せていた。
オシュトル(ハク)の首を狙い、八柱将デコポンポは自ら兵を率いてエンナカムイへと侵攻する。 圧倒的な戦力を以て蹂躙せんとするデコポンポの軍勢を前に、エンナカムイはすぐに陥落するかのように思われた。 しかし、オシュトル(ハク)による地の利を生かした策が功を奏し、戦局は一変。 次第に追い詰められていく自らの軍勢をよそに、デコポンポは不敵な笑みを浮かべていた。
ヤマトから海を隔てた遥か西方、神の眠りし國トゥスクル。 そこで長いまどろみから目覚めたクオンは小さな違和感を覚える。 何か大切なことを忘れている――失われた記憶の糸を辿ろうとするクオン。 それは、ヤマト遠征から帰還したクロウの話を聞くうちに鮮明になっていく。
数に勝るデコポンポ軍に圧勝し、勝利に沸くエンナカムイ軍。 その最中、チキナロと名乗る行商人が訪れる。 彼はクオンから依頼され、アンジュの為に妙薬を届けに来たと言う。 妙薬のおかげで順調に快方へ向かっていくアンジュ。 ようやく元気を取り戻した彼女は、自らが置かれた厳しい現実を知ることになる。
説得の為、帝都より来訪した左近衛大将ミカヅチ。しかし、アンジュはこれを受け入れず交渉は決裂した。決着をつけるべく始まったオシュトル(ハク)とミカヅチの一騎打ち。怒りと使命に燃えるミカヅチの猛攻を前に、オシュトル(ハク)は次第に追い詰められてゆく。諦めかけたその時、脳裏に浮かんだのは亡き友の姿。決死の覚悟と共に、オシュトル(ハク)は仮面に秘められし力を解き放つ。
突如、エンナカムイへと来訪したトゥスクルの皇女。 彼女はトゥスクル全軍によるヤマト全土の制圧を掲げ、オシュトル(ハク)達へ隠遁するよう告げた。 トゥスクル皇女の身勝手な言い分に憤激し、果敢にも挑みかかるアンジュであったが、一方的に打ちのめされてしまう。 己の無力さに涙するアンジュを奮い立たせたのは、ある男の言葉だった。
トゥスクルを離れ、エンナカムイの仲間達の元へ帰ってきたクオン。 再会を祝し、アンジュは盛大に宴を催すことに。 宴が始まり、仲間達が笑顔を見せる一方で、主賓のクオンはどこか落ち着かない様子を見せる。 心当たりのあるアトゥイは、半ば無理矢理に彼女を連れ出し……。
来る戦に備え、オシュトル(ハク)達はクジュウリと同盟を結ぶべく出立する。 一行を出迎えたクジュウリ皇オーゼンは、愛娘ルルティエの帰郷とアンジュの来訪を大いに歓迎。 同盟の提案に好意的な意向を示すクジュウリ側であったが、これに異を唱えたのは長女シスであった。 困惑するオシュトル(ハク)達をよそに、同盟締結の条件としてシスはある提案を申し入れる。
束の間の休息を取るオシュトル(ハク)の元に届いた一通の文――それは、イズルハを治める八柱将トキフサより同盟の申し入れであった。 その真意を探るべくイズルハへと赴いたオシュトル(ハク)達は、國の情勢に詳しいノスリの父ゲンホウの元を訪ねることになる。 久しぶりに帰郷することになったノスリは複雑な表情を浮かべていて……。
トキフサから長の証である金印を奪取したオシュトル(ハク)達。そこへヤマト軍がエンナカムイへ向けて進軍を開始したとの報せが届く。急ぎエンナカムイへの帰路を往く一行の前に立ちはだかったのは、金印を奪われ怒りに燃えるトキフサだった。慣れぬ地で不利な戦いを強いられるが、オシュトル(ハク)達は互角に渡り合う。しかし、トキフサが周到に巡らせていた策に嵌り、窮地に立たされてしまうのだった。
同盟國を増やし、着実に戦力を増していくエンナカムイ。次なる手を模索する中、シャッホロ皇ソヤンケクルとナコクの皇子イタクが来訪する。ヤマト軍の急襲により陥落した首都ナァラ奪還の為、力を借りたい――イタクの嘆願を重く受け止めたオシュトル(ハク)はナコクへ向けて出立する。その頃、遠くナァラ城ではオシュトルの首を狙い、因縁の相手が今か今かと待ち構えていた。
ナコク侵攻を先導したのは、かつての仲間マロロであった。変わり果てた友の姿に心を痛めつつも、オシュトル(ハク)は懸命に真実を伝えようとする。だが、その声も虚しく、不利を悟ったマロロは戦場を後にするのだった。戦に勝利するも、國の象徴である大橋を失い嘆くイタク。しかし、勝利に沸く兵達の姿に勇気づけられ、國の再建を胸に立ち上がる。それを助ける為、アトゥイはナコクに留まることを決意するのだった。
いくつも同盟國を得て、エンナカムイの戦力はようやくヤマト軍と拮抗するに至った。決戦を目前に控え、オシュトル(ハク)は一人、実家を訪れる。オシュトルの母であるトリコリと穏やかな時を過ごす二人。まるで本物の家族のように語らう中、ふと、トリコリは問いかける。それはオシュトル(ハク)にとって思いもよらぬ一言であった。
ヤマトの行く末をかけた大戦は、戦力で勝るエンナカムイ連合軍が優位に立つかのように思われた。しかし、ヤマト軍の統率された動きに進軍を阻まれ苦戦を強いられてしまう。膠着した状況を打開すべく、一転攻勢に出ようとするオシュトル(ハク)だったが、突如兵糧置き場から火の手が上がる。それは復讐に燃えるマロロの策略であった。
ヤマト軍の伝令を担う通信衆を討つべく、オシュトル(ハク)達は二手に分かれて動き出した。これを阻止すべく、ライコウの命を受けたミカヅチが現れる。決死の覚悟で戦うオシュトル(ハク)が作りだした隙を突き、ノスリとキウルは通信衆を射抜くことに成功。ヤマト軍の統制は瓦解し始めるも、オシュトル(ハク)との決着を望むミカヅチの戦意は消えていなかった。雌雄を決すべく、男達は仮面の力を解き放つ。
ヤマト軍と一進一退の攻防を続ける連合軍。この拮抗を破るべく、ライコウの命により大正門の中からミカヅチ率いる軍勢が現れる。長引けば不利となる――この戦いが勝負所と見たオシュトル(ハク)は、全戦力を以て攻勢へ転じることに。その様子を眺め、不敵な笑みを浮かべるライコウ。全てはオシュトル(ハク)達を一網打尽にする為の策略であった。
友の死を越え、聖廟へと辿り着いたオシュトル(ハク)と仲間達。一行を待ち構えていたのは、此度の元凶であるライコウだった。彼が語る帝からの自立と言う悲願、それが帝の意志を継ぐアンジュ自身によってここに体現された今、自らの望みが果たされたことを悟る。しかし、主の敗北を認めたくないシチーリヤがライコウに差し出したもの。それは強大すぎるが故に封じられた、かつて帝が作りし仮面であった。
國の未来をかけた大戦は終結し、ヤマトには久方ぶりの平和が訪れていた。帝都で職務に勤しむ傍ら、今後について思いを巡らせるオシュトル(ハク)の元に現れたウルゥルとサラァナ。彼女達に導かれた先は、聖廟の地下に広がる帝の庭園であった。死した帝に代わり、オシュトル(ハク)をここに招いた者の目的とは……。
各地に残る旧時代の遺産を自在に動かす秘宝・マスターキー。オシュトル(ハク)は帝の願いを受け、それが眠ると言うトゥスクルを訪れていた。実家へ戻ると言うクオンと別れ、彼は一人、トゥスクル皇オボロとの謁見へ臨む。しかし、漂う緊張感をよそに謁見は挨拶のみで終わり、歓迎の宴が催されることに。宴が大いに盛り上がる中、突如トゥスクル皇女はオシュトル(ハク)に迫る。 ――我に仕えよ、と。
大神ウィツァルネミテアを祀る神域、オンカミヤムカイ。その管理を任される賢大僧正ウルトリィに導かれ、オシュトル(ハク)達はマスターキーへと近づいていく。地下に広がる古の遺跡を抜けた先、一行を出迎えたのは荘厳な社だった。異彩を放つそれを訝しむオシュトル(ハク)だが、その時、仮面が小さく共鳴を起こす。社の中で一行を待つ、ただならぬ気配を纏う存在とは……。
突如現れたウォシスはマスターキーを手にし、自らこそが帝の正統な後継者だと告げた。その強引なやり方を受け入れられず、オシュトル(ハク)は救援に訪れたミカヅチ達と共に戦いに臨む。しかし、ウォシスが呼び出した異形の化け物に苦戦を強いられ、奮闘虚しくマスターキーは持ち去られてしまう。急ぎ後を追おうとするオシュトル(ハク)を引き止めるエルルゥ。彼女が差し出した社の主からの餞別、それは原初の仮面であった。
帝の悲願を成す為、マスターキーを用いて古の遺産を起動したウォシス。タタリの殲滅を声高に命じるが何も起こらず、システムは無情なエラーを告げるのみであった。封印より解き放たれたタタリは聖廟地下から溢れ出し、瞬く間に帝都を蹂躙していく。その被害を食い止めるべく、必死に解決方法を模索するオシュトル(ハク)。しかし、残された唯一の手段は彼らにとってあまりに残酷なものであった。
聖廟を脱出し、クジュウリ近郊の遺跡へ転送されたオシュトル(ハク)達。帝都のタタリを殲滅させたことで気象衛星アマテラスが機能を停止し、ヤマトの気候は大きく変化しつつあった。降りしきる雪は以前よりも厳しく、いずれ人々の生活にも大きな影響を与えるだろう――手遅れとなる前に、オシュトル(ハク)はアマテラスを再起動するべく動き出す。一行は手がかりを知るウルゥル・サラァナに導かれ、クジュウリ城の地下遺跡へと向かうのだった。
正体不明の化け物・ノロイの出現を聞き、急ぎ駆けつけたオシュトル(ハク)達。そこで待ち構えていたのは、死んだはずの冠童達であった。何度倒しても蘇るノロイとウォシスから授かった力を振るう冠童に苦戦を強いられ、一行は次第に追い詰められていく。この窮地を脱すべく、オシュトル(ハク)は仲間の静止を振り切り仮面の力を解放。しかし、その力の代償を払う時はすぐそばまで迫っていた。
タタリ殲滅の影響が色濃く残る帝都に鎮座する巨大な繭。それは、ライコウが残した仮面の力を解放したウォシスであった。人々がノロイへと姿を変える中、その元凶である繭を破壊すべく立ち向かうオシュトル(ハク)達。しかしウォシスの力は凄まじく、近づくことすら敵わずにいた。後は頼んだ――仲間達に意志を託し、オシュトル(ハク)は残り僅かな命の全てを代価に根源への扉を開く。
全身全霊を賭したオシュトル(ハク)の一撃がついにウォシスを打ち砕く。しかし、その代償はハクの死と言う余りにも大きすぎるものであった。 かけがえのないものを二度も失い、強い自責の念に苛まれるクオン。彼女は失意の中を内なる声に付け入られ、大神ウィツァルネミテアへと変貌してしまう。自らの意に反して暴走するその強大な力を前に、クオンに出来るのはただ祈り続けることだけ。それは歪な形となって顕現し、大切な仲間達へ牙を剥く。
長きに渡る戦乱は終わりを告げ、世は安寧を喜ぶ民の声で溢れていた。ヤマトとトゥスクル――両國は同じ過ちを繰り返さぬよう、決意を新たにそれぞれの道を歩み出す。未来を見据える二人の皇女が胸に浮かべるのは、ずっと側にいたかけがえのない人の笑顔。 これは、己の運命を悟り、大切な仲間の為に身を賭して戦い続けたある男の物語。古よりうたわれしもの、その名は――