慶長5(1600)年、関ケ原の合戦で西軍に参戦し、敗残兵となった新免武蔵(市川新之助)と本位田又八(堤真一)は、お甲(かたせ梨乃)・朱実(内山理名)母娘に雇われ、野盗の辻風一味と戦う。そのころ、越前の国では、天才剣士・佐々木小次郎(松岡昌宏)が師の命令で許嫁・八重(仲間由紀恵)の父をやむなく斬る。国を逃れた小次郎は道中、謎めいた女性・お篠(宮沢りえ)と出会う。
京へ向かう又八(堤真一)と別れ、一人故郷へ戻った武蔵(市川新之助)は、お杉(中村玉緒)に「息子を殺した」と疑われ、役人に取り囲まれる。お通(米倉涼子)に救われた武蔵だったが、千年杉に吊られてしまう。武蔵の行く末を案じた沢庵(渡瀬恒彦)は、武蔵の身柄を引き受けたいと申し出る。だが、乱闘の折、武蔵が深手を負わせた村人の一人が死んだと判明する。武蔵の命が危ないと悟ったお通は、皆の目を盗んで武蔵を逃がす。
沢庵(渡瀬恒彦)に命を救われた武蔵(市川新之助)は、身柄を姫路城主・池田輝政(中村勘九郎)に預けられる。そのころ、大和柳生庄の長・石舟斎(藤田まこと)とその息子・宗矩(中井貴一)、孫の兵庫助(高嶋政伸)らが一堂に会していた。一方、武蔵の気骨にほれ込んだ輝政は、「宮本武蔵」の名を与えようとするが、武蔵は厳しい修行に耐えきれず、城から逃げ出してしまう。
京に出た武蔵(市川新之助)は、鮮やかに敵を倒す、吉岡清十郎(榎木孝明)の姿を目撃。京一番の兵法所の当主と知った武蔵は、戦いを挑みに行くが、清十郎との申し合いは果たせなかった。そのころ、お通(米倉涼子)は武蔵を追って、姫路を後にする。お篠(宮沢りえ)との再会の日が近づく小次郎(松岡昌宏)のもとには、八重(仲間由紀恵)が現れる。
清十郎(榎本孝明)に敗れた武蔵は(市川新之助)山にこもって修行に明け暮れる。伏見城の普請場で働き始めた又八(堤真一)は、小次郎宛ての目録と大金を手に入れるが、大坂の町で牢人に金をだまし取られてしまう。武蔵を追うお通(米倉涼子)は関ヶ原の残党に襲われ、偶然通りかかった兵庫助(高嶋政伸)に救われる。お通に心惹かれた兵庫助は、お通を柳生の里に誘う。
槍術で知られる宝蔵院の門を叩いた武蔵(市川新之助)は、巨漢の僧・阿厳(武藤敬司)を一撃で倒す。武蔵に賭け試合を断られた牢人たちは、武蔵の名で宝蔵院を挑発する立て札を立てる。立て札を見た武蔵は翌朝、般若坂に赴き、報奨金をもらおうとする牢人たちに取り囲まれる。やがて、実戦の中で大小の刀を使う二刀流に開眼した武蔵は無敗を誇る宝蔵院の当主・胤舜(浜田学)立ち合いを申し出る。
胤舜(浜田学)との戦いには勝ったが、武蔵(市川新之助)はなぜか虚しさを感じる。日観(長門勇)にさらなる修行が必要だと諭された武蔵は、城太郎(三浦春馬)を連れ、柳生新陰流・石舟斎(藤田まこと)の元を目指す。大坂の豪商・茨木屋の屋敷に滞在中の小次郎(松岡昌宏)は、茨木屋の妻・琴(仲間由紀恵)が八重と瓜二つであることを知る。やがて、飛んでいるツバメを斬る技を会得した小次郎は、琴と深い仲になる。
武蔵(市川新之助)が柳生に向かっていることを知らされた石舟斎(藤田まこと)は、お通(米倉涼子)にひかれる兵庫助(高嶋政伸)のことを考え、お通と兵庫助をひと足先に使いに出す。すれ違いに柳生に着いた武蔵は、石舟斎と立ち合うが無刀取りに歯が立たず、あえなく敗れる。一方、小次郎(松岡昌宏)は遊女歌舞伎にお篠(宮沢りえ)がいることを突き止めるが会うことを拒否され、琴(仲間由紀恵)に誘われるまま京へ向かう。
京に戻った武蔵(市川新之助)は、沢庵(渡瀬恒彦)から、姉・お吟(菊池麻衣子)が宇治にいると知らされ耳を疑う。柳生の里では、徳川家に近づこうとする宗矩(中井貴一)が里を平和に守れば十分とする石舟斎(藤田まこと)や兵庫助(高嶋政伸)と対立。宗矩の妻・りん(和久井映見)は、その姿に胸を痛める。沢庵から武蔵が柳生を訪ねた経緯を聞かされたお通(米倉涼子)は、武蔵の後を追う。
京に戻った武蔵(市川新之助)は「宮本武蔵」と名乗り、再び清十郎(榎木孝明)に立ち合いを挑む。師範格の藤次(阿部寛)に立ち合いを阻まれるが、武蔵は五条橋のたもとに挑戦状を張り出し、清十郎を挑発する。それを見た又八(堤真一)は、浮浪者同然の自分と武蔵の違いに苦悩する。武蔵を捜す旅を続けるお通(米倉涼子)は、あかね屋絃三(江守徹)にかどわかされそうになる。
武蔵(市川新之助)との立ち合いに敗れた清十郎(榎本孝明)は右腕を失い、二度と刀を持てない体になる。そんな中、武蔵は芸術に生きる本阿弥光悦(津川雅彦)とその母・妙秀(淡路恵子)と知り合う。修羅の道に進んでいく武蔵に人生の楽しさを教えるため、光悦は武蔵を花街へ連れ出し、扇屋の遊女・吉野太夫(小泉今日子)に引き合わせる。酒席を楽しむ余裕のない武蔵に太夫は、修羅の道に生きることの愚かさを語る。
兄・清十郎(榎木孝明)の仇を取ろうとする伝七郎(光石研)を、武蔵(市川新之助)は三十三間堂で討ち果たす。危機感を募らせる藤次(阿部寛)は一門を集めていきり立ち、小次郎(松岡昌宏)にも協力を依頼。再ぴ戦いに身を投じようとする武蔵を太夫(小泉今日子)らは悲しい思いで見守る。一乗寺の下見に行った武蔵の前に、小次郎が現れる。小次郎は、藤次が総大将として清十郎の甥である10歳の少年を立てると告げて去る。
幼い甥の源次郎を巻き込んでまで武蔵(市川新之助)を討とうとする藤次(阿部寛)を、清十郎(榎本孝明)は非難する。又八(堤真一)は、子どもを斬るくらいなら一緒に江戸へ行こうと誘い、妙秀(淡路恵子)も逃げるように諭す。悩む武蔵の前にお通(米倉涼子)が現れる。決閥の日、一乗寺下り松には早朝から町衆が詰めかけ、お杉(中村玉緒)やお通もその中にいた。藤次は門弟たちを街道に配置し、武蔵を鉄砲で撃ち殺そうとする。
源次郎を斬り、吉岡道場に勝利した武蔵(市川新之助)を、お通(米倉涼子)は拒絶する。武蔵と別れたお通は、城太郎(三浦春馬)の案内で光悦(津川雅彦)宅に身を落ち着ける。お通の言葉に動揺した武蔵は、比叡山にこもって平常心を取り戻そうとするが、僧たちに拒まれる。藤次(阿部寛)は酒に溺れるが、お甲(かたせ梨乃)に叱咤され、武蔵への報復を決意する。
光悦(津川雅彦)宅で明るさを取り戻したお通(米倉涼子)は、妙秀(淡路恵子)に自分の身の上を打ち明ける。そんな中、沢庵(渡瀬恒彦)が光悦宅を訪れる。徳川家康に仕える宗矩(中井貴一)の江戸行きに際し、石舟斎(藤田まこと)から同行を頼まれた沢庵は、権力に近づくべきかで悩んでいた。そして、お通もこのまま平穏な生活を送るべきか、武蔵を追い続けるかで葛藤していた。
雨宿りを求めた農家で武蔵(市川新之助)は、お篠(宮沢りえ)と休雪(遠藤憲一)に出会う。そこに、二人の命を狙う伊達の刺客・黒脛巾衆(くろはばきしゅう)が製い掛かる。乱闘の末、武蔵は敵を倒すが休雪は毒矢に倒れる。ひん死となった休雪を、お篠は毒を吸い出して助ける。命を狙い狙われる立場だった二人の不思議な信頼関係を見た武蔵は、お通(米倉涼子)のことを思い出す。
武蔵(市川新之助)は、妻子を養うため仕官の口を探す玄竜(本田博太郎)に出会う。武蔵と玄竜は代官屋敷に出向き、仕官を求める。天下に名を轟かせる武蔵の仕官は快諾されたが、玄竜の仕官は条件付きだった。武蔵は仕官を辞退するが、玄竜は武蔵が去れば、仕官の道は閉ざされると焦り、斬りかかる。生活のために武士の誇りを捨てた玄竜を武蔵は哀れに思う。
又八(堤真一)は絃三(江守徹)から徳川家康の暗殺を命じられ、江戸へ旅立つ。その直後、お通(米倉涼子)が絃三の店を訪ねる。絃三はお通をかどわかそうと術をかけるが、琴(仲間由紀恵)の顔の傷を治す薬草を探す小次郎(松岡昌宏)が現れ、失敗に終わる。絃三に顔の傷は治らないと宣告された琴は、小次郎に捨てられると悩む。旅の途中、武蔵は母を思い出し、姉のお吟(菊池麻衣子)を訪ねるが、母は死んだと知らされる。
家康の命を狙う又八(堤真一)は江戸に入る。又八を追うお杉(中村玉緒)も江戸へ到着するが、スリに遭ったところを大工の棟梁で仁侠の徒でもある弥次兵衛(哀川翔)に助けられる。小次郎(松岡昌宏)と琴(仲間由紀恵)も江戸に到着。お篠(宮沢りえ)は黒脛巾衆との戦いで傷を負った休雪(遠藤憲一)を労わり旅を続けていた。そして武蔵も「一人では強くなれない」との思いに突き動かされ、江戸を目指す。
江戸への道中、木地師夫婦の息の合った仕事ぶりに魅せられた武蔵(市川新之助)は、剣のみに生きる人生を省み「人は一人で生きているのではない」との思いを強める。城太郎(三浦春馬)は、母・たみ(洞口依子)を捜し出す。城太郎は一人旅になるお通(米倉涼子)を案じるが、お通は江戸へ旅立つ。そのころ又八(堤真一)は絃三(江守徹)から江戸城の絵図を渡され、家康暗殺を命じられる。
かつ(水野美紀)と出会った武蔵(市川新之助)は、鎖鎌に奥味を持ち、その技を見せてもらう。だが武蔵は、夫・梅軒(吉田栄作)の兄の仇だった。小次郎(松岡昌宏)は宗矩(中井貴一)の屋敷に呼ばれる。宗矩は剣のみに生きる小次郎を否定し、小次郎の登用を思いとどまる。夫の態度に、りん(和久井映見)は思い悩む。宗矩は、義父の力で徳川家の指南役になったことに苛立っているのではないかと、沢庵(渡瀬恒彦)に打ち明ける。
梅軒(吉田栄作)は武蔵(市川新之助)を酔わせ、寝入ったところを襲うが、危険を察した武蔵は逃れる。かつ(水野美紀)は、なぜ正々堂々と戦わないのかと責める。梅軒は、妻子を持ったことで死ぬのが怖くなったと打ち明け、改めて立ち合うと約束する。夜が明け、武蔵と梅軒は勝負する。激闘の末、武蔵に敗れた梅軒は、かつと息子を故郷まで送り届けてほしいと武蔵に言い残し、息絶える。
武蔵(市川新之助)はかつ(水野美紀)の故郷・御嶽へと向かう。だが道中、かつは梅軒(吉田栄作)の仇を取ろうと武蔵を狙う。そんな武蔵を山賊となった藤次一味が襲う。藤次(阿部寛)は武蔵と一対一の決着をつけようとするが、一乗寺で右手を負傷した藤次は、武蔵の敵ではなかった。御嶽に着き、梅軒を斬ったことを詫びる武蔵を、かつは許す。一方、お通(米倉涼子)は江戸へたどり着き、偶然にも又八(堤真一)と再会する。
武蔵(市川新之助)は、旅を続ける。今はただ、江戸にいるであろうお通(米倉涼子)や又八(堤真一)に会いたかった。だが江戸へ続く街道に出たころ、武蔵は突然の病に倒れる。高熱でうずく古傷が過去を蘇らせる。故郷を出た後、強敵を求め、戦いに明け暮れた日々。強烈な印象を残した小次郎(松岡昌宏)との出会いなどが、夢となって現れる。そして、行き倒れ同然で江戸にたどり着いたお通も病床にあった。
父を埋葬するため遺体を切るという少年・三之助(小池城太朗)と出会った武蔵(市川新之助)は不憫に思い、埋葬を手伝う。江戸ではイワシの商いが軌道に乗り自信をつけた又八(堤真一)が、お通(米倉涼子)を懸命に介抱するがお通は正気に戻らない。そして、朱実(内山理名)と再会した又八は、風呂屋の下働きをしている朱実が夜は男の相手をする湯女もしているのでは、と心配する。
江戸に着いた武蔵(市川新之助)を伊逹政宗(西村和彦)は屋敷に招く。お篠(宮沢りえ)の逃亡に関わり、黒脛巾衆を殺した武蔵の命を政宗は狙っていた。だが政宗は武蔵を気に入り、伊逹家への仕官を勧める。そして「返答次第では命はない」と迫り、二人の間に緊張が走る。伊逹家での一件を知った宗矩(中井貴一)は武蔵に興味を持ち、柳生家への仕官を勧める。一方、小次郎(松岡昌宏)は遊女となったお篠に身請けを申し出る。
武蔵(市川新之助)は江戸で又八(堤真一)に再会し、お通(米倉涼子)を看病していることを知る。しかし、お通は武蔵に脅えるばかり。又八は「お通を治せるのはお前しかいない」と武蔵を励ます。そのころ、小次郎(松岡昌宏)のお篠(宮沢りえ)への強い思いを知った琴(仲間由紀恵)は自害する。琴の死を無駄にしないと誓った小次郎は、お篠を身請けする。武蔵の必死の看病が実を結び、お通はようやく正気を取り戻す。
寺子屋を開き、お通(米倉涼子)とともに平穏に暮らし始めた武蔵(市川新之助)は、徳川秀忠(中村獅童)の御前で胤舜(浜田学)と立ち合い、勝利する。秀忠は武蔵に柳生家への仕官を命じるが、武蔵は辞退する。秀忠の前で恥をかかされたと思った宗矩(中井貴一)は、武蔵を逆恨みする。
お篠(宮沢りえ)と暮らし始めた小次郎(松岡昌宏)は、細川家に仕官を求める。江戸屋敷を預かる三男・忠利(阪本浩之)の前で家臣と立ち合い、勝利した小次郎だったが、忠利の反感を買い仕官を拒否される。だが、細川家では当主・忠興(夏八木勲)と忠利の間で相続問題が起きており、忠利派の重臣・角兵衛(寺田農)は、忠興派を押さえるために、忠利に小次郎の仕官を認めさせる。
小次郎(松岡昌宏)は一行とともに豊前に旅立つ。その中には、小次郎を慕う角兵衛(寺田農)の娘・お光(すほうれいこ)もいた。お篠(宮沢りえ)は小次郎を信じ、密かに一行の後についていく。三之助(小池城太朗)は、忠興派の重臣・児島備前(宇津井健)の孫だった。武蔵(市川新之助)は三之助を連れて、細川邸を訪ねる。
相続問題が続く細川家では、小次郎(松岡昌宏)が忠利(阪本浩之)に仕えたことで、忠興(夏八木勲)との対立が激化。備前(宇津井健)は、小次郎の対抗馬として武蔵(市川新之助)に目をつけ仕官を勧めるが、お通(米倉涼子)を待つため武蔵は辞退する。柳生の里では、石舟斎(藤田まこと)が死去する。そんな時、お通は自分と同じような笛を吹く尼がいることを知る。
中津に入った小次郎(松岡昌宏)は、城内の並みいる兵法者を倒し、無敵剣士の異名を取る。忠興(夏八木勲)から小次郎に対抗できる剣豪を探せと命じられた備前(宇津井健)は、仕官を拒む武蔵(市川新之助)を呼ぶため、無二斎(ビートたけし)を使者にすることを思いつく。武蔵のもとに、三之助(小池城太朗)が「京に来て欲しい」との備前の書状を持ってやってくる。
京へ向かう道中、武蔵(市川新之助)は父の仇を討ったために役人に追われる娘・お菊(広末涼子)を助ける。江戸へ戻ったお通(米倉涼子)は武蔵がすでに旅立ったことを知り、柳生の里へ行くべきではなかったと後悔する。お菊と別れ、京へ入った武蔵は無二斎(ビートたけし)と再会。年老いて、門弟にも去られた無二斎は、見返りに細川家から与えられる二百石に目がくらみ、土下座して細川家への仕官を懇願する。
無二斎(ビートたけし)の懇顧に負け、武蔵(市川新之助)は細川家の居城がある小倉へ向かう。お通(米倉涼子)は、自分とすれ違いに武蔵が小倉へ発ったのも運命と考え、お杉(中村王緒)や権六(谷啓)と故郷・美作へ。武蔵は旅の途中、夢想権之助(大柴邦彦)、たか(左時枝)母子に立ち合いを挑まれる。武蔵に勝てば仕官がかなうと権之助を叱咤するたか。母の気迫が武蔵に隙を作らせ、武蔵は敗北する。
小倉へ向かう武蔵(市川新之助)の前に、藤次(阿部寛)が立ちはだかり斬りつけるが、逆に武蔵に倒される。藤次は、武芸者として死んでいくことに満足しながら、息絶える。お通(米倉涼子)は、お杉(中村玉緒)、権六(谷啓)とともに美作へ向かうが、道中、権六が死ぬ。武蔵は、美作の手前の峠を越えて、宮本村へ向かう。そこには諸国行脚中の沢庵(渡瀬恒彦)がいた。
小倉に着いた武蔵(市川新之助)は、忠興(夏八木勲)に仕える。忠興は、家康(北村和夫)が細川家を忠利(阪本浩之)に継がせて操ろうとしていることに危機感を募らせていた。忠興は武蔵に、家臣を一つにするため、忠利に仕える小次郎(松岡昌宏)に勝て、と命じる。一方、角兵衛(寺田農)のもとには、家康から剣豪たちの立ち合いを禁じるとの知らせが届く。
宗矩(中井貴一)の策略で立ち合いは真剣で行うと決定。武蔵(市川新之助)と小次郎(松岡昌宏)は船島(巌流島)で戦うことに。お光(すほうれいこ)から「勝った方も殺される」と聞いた小次郎は、お篠(宮沢りえ)を通じて、「勝っても油断するな」と武蔵に忠告する。小次郎をかつてない強敵と感じた武蔵は船島に渡り、勝利の手立てを思案する。
決闘を前に武蔵は、武器となる船の櫂を一心に削り続ける。そのころ、お通(米倉涼子)は美作で、又八(堤真一)と朱実(内山理名)は京都で武蔵の勝利を祈っていた。運命の日が来た。約束の刻限を過ぎても武蔵は現れない。だが、小次郎(松岡昌宏)は「武蔵は必ず来る」と動じない。ついに武蔵が現れた。二人の腕は互角。ところが陽光が海面に反射して、武蔵の目を射た瞬間、有利に立った小次郎に逆に隙が生まれた。
小次郎(松岡昌宏)に勝った武蔵(市川新之助)は美作へ戻り、お通(米倉涼子)に剣を捨てることを誓う。そして、お杉(中村玉緒)、お通とともに、武蔵は近くの荒地で新田の開墾を始める。大坂城では淀殿(若尾文子)と秀頼(新普一郎)が徳川方の忠告を無視し、抗戦姿勢を崩さない。江戸では徳川家重臣・本多正信(西郷輝彦)や宗矩(中井貴一)が、豊臣家恩顧の大名たちが戦を目諭んでいるのではないかと警戒を強めていた。
池田輝政(中村勘九郎)が病と知った武蔵(市川新之助)は、姫路城に駆けつける。だが、武蔵が城を去った直後、輝政は宗矩(中井貴一)が命じた兵庫助(高嶋政伸)によって、暗殺される。淀殿(若尾文子)は家康(北村和夫)に敵対心を強め、真田幸村(中村雅俊)や明石掃部(京本政樹)ら豊臣家恩顧の武将たちに決起を要請。しかし、宗矩はその動きを亜矢(寺島しのぶ)に探らせて察知していた。
兵庫助(高嶋政伸)は、又八(堤真一)の喉元に刀を突きつけ、反徳川方の大名に大砲を売っただろうと詰問する。そのころ、新田を耕す武蔵(市川新之助)とお通(米倉涼子)の元には、噂を聞きつけ村を追われた女たちが平和を求めてやってくる。兵庫助の迫っ手から辛うじて逃れた又八だが、今度は九度山に蟄居中の幸村(中村雅俊)に捕らえられてしまう。幸村を説得して又八を助けようと武蔵は九度山へやってくるが、幸村は断じる。
命を賭けて又八(堤真一)を助けに来たという武蔵(市川新之助)を幸村(中村雅俊)は信じず、「この崖を飛び降りてみろ」と迫る。そこには幸村を幽閉するために徳川方が竹槍を埋めていた。それを承知で飛ぴ降りた武蔵は重傷を負う。命を賭けた武蔵の思いに心打たれた幸村は、又八を放免。武蔵は傷が癒えるまで九度山に逗留する。武蔵の傷が癒え酒宴を開いた幸村は、九度山を出て徳川と戦うために大阪城に入ると武蔵に打ち明ける。
武蔵(市川新之助)が九度山から戻ると、武蔵村では村人が殺される事件が発生。手を下したのは、徳川と豊臣の戦いに馳せ参じようとする浪人たちだった。天下分け目の戦いが近いと知らされた武蔵は、柵を築いて村を守ろうとする。キリシタンが大坂方に味方するとの噂が広まり、村のキリシタンの女性たちが徳川方の役人に捕らえられる。
兵庫助(高嶋政伸)の知らせで村が襲われることを知った武蔵は、村を捨てる決意をする。村人たちは反対するが、又八(堤真一)の言葉で全員が村を出ることに合意。武蔵は、ひと足先に村人たちを逃がす。だが、それは兵庫助もあずかり知らない、柳生の罠だった。そこには柳生の手の者が待ち構えており、三之助(小池城太朗)ら村人たちの多くが命を落とす。
大坂に着いた武蔵(市川新之助)とお通(米倉涼子)は、又八(堤真一)の家にたどり消き、武蔵村が柳生に襲われて全滅したと話す。そして、武蔵は備前(宇津井健)を訪ね、三之助(小池城太朗)を救えなかったことを詫ぴ、宗矩(中井貴一)に真意を問いただしたいと言葉を荒げる。武蔵は宗矩が戦のため、必ず大坂にやってくるだろうと考え、又八とともに、徳川の陣形を探り始める。
武蔵(市川新之助)は、又八(堤真一)を斬りに来た兵庫助(高嶋政伸)と刃を交わす。だが、お通(米倉涼子)の制止で刀を納め、大坂方に武器を売らないことを条件に、兵庫助は又八を斬るのを止める。お甲(かたせ梨乃)がやって来て、朱実(内山理名)が美濃で又八の子を産んだと告げる。又八は徳川軍に囲まれた大坂を脱出し、朱実のもとへ。
朱実(内山理名)が産んだ我が子と対面し、大坂へ戻ってきた又八(堤真一)は、武蔵(市川新之助)とお通(米倉涼子)に、もう危険な商いはやめると告げる。さらに又八は、朱実がキリシタンの女性からもらったマリア像をお通に見せる。その女性がお通の母・ルシア(高橋惠子)かもしれないと思ったお通と武蔵は、キリシタンのいる堺へ。
豊臣と徳川の再決戦が近いことを知った武蔵(市川新之助)は、又八(堤真一)の命を奪った宗矩(中井貴一)を倒すため大坂城に入る。そのころ、武蔵の使いから又八の遺髪を受け取った朱実(内山理名)は号泣するが、お甲(かたせ梨乃)に励まされ、子どもとともに強く生きていこうと決意する。大坂城に入った武蔵は、幸村(中村雅俊)と再会する。
慶長20(1615)年、「夏の陣」が勃発するが、豊臣方は敗戦の色を深めていた。そんな中武蔵(市川新之助)は、宗矩(中井貴一)が大坂城内に攻め入ったと知る。火が放たれた城内で、武蔵は宗矩を捜し出す。鎧を着けず、捨て身で対峙する武蔵に、宗矩も鎧を脱ぎ、真剣勝負に応じる。一方、大坂の町は、略奪と暴行の場と化していた。武蔵はお通の元に戻り、二人で大坂を脱出する。