高校生活が始まった。達也、和也、南、原田、孝太郎、坂田、細川は揃って1年A組。クラブ活動では野球部に入るかどうか? 達也の心は揺れに揺れるが、原田と共にボクシング部に入部してしまう。
ボクシング部でのスパーリングで殴られまくる達也。「お前は少し殴られる必要があるのさ。でなきゃ、お前からは殴らねえだろが…」 意味ありげな原田の励まし!? 和也は初試合でノーヒットノーランを達成。
和也の女房役孝太郎。練習中に打ったボールが見学中の女の子・夏子に命中。孝太郎はその日から夏子への恋の病に。片思いに悩む孝太郎。彼は夏子が広げた 「がんばれ孝太郎君! 大好き」と書いた旗で復活。
周囲も認める、お似合いカップルの和也と南。雨の日、ボクシング部の練習で遅くなった達也と南は相合い傘で帰る。「わざわざボクシング部終わるの待っててやったんだぞ」という南の言葉はホント?
ベストカップルに選ばれた南と和也は記念品としてノートをもらった。そのノートを南は達也に渡すが、達也は拒絶。「そうか、妬いてるんだ、タッちゃん」とちゃかした南を達也は平手で打ってしまう。
南を抱きしめ「好きだよ…南…」 「南が好きなんだ。誰にも渡したくない」と和也が告白。翌日、体調を崩した南を見舞う達也。南は「好きだよ、タッちゃん」と告白。遅れてやってきた和也は…。
和也の野球の試合と達也のボクシングの試合は同日だった。和也の活躍で明青学園は1回戦を突破。一方、達也は惨敗。和也初勝利の宴の夜、南は達也にファースト・キスをする。
初キス体験は衝撃的で、達也は食事ものどを通らなくなって倒れてしまう。「おまえは平気で食えたのか? どうして平気でいられるんだよ?」と聞く達也に「タッちゃんだから…」と南は答えた。
甲子園予選2回戦目はコールド勝ち。学校中の期待が野球部と和也に集まった。キスしたことは忘れろと語る達也に「南は忘れないからね、ずっと…。南の生まれてはじめてのキスなんだもん」と言い返される。
明青学園高等部野球部は4回戦を突破。南風のバイト料で、達也は和也に新しいグローブを買ってやった。明青高対河田高戦、登板した和也の手には達也がくれたグローブが。
予選大会準決勝第1試合、河田高戦。和也はバックの仲間を信じての試合運びに自信がなく迷う。辛勝しての帰り道、立ち寄った西条高で寺島の猛練習を目の当たりにして和也は自信喪失する。そこで南は…。
予選大会準決勝第2試合。明青高対西条高。試合は和也と寺島の投手戦に突入。和也が三者三振にとると、寺島も明青高の一番と二番を三球三振に取った。そして打席の和也との対決が始まった。
明青高対西条高、4回表に西条高が先取点を上げて1対0。9回土壇場で、明青高はホームランで同点に。最後は和也が寺島から奇跡の逆転サヨナラヒットを打ち、勝利した。
予選決勝前夜、優勝できたら婚約したいと和也は南にキスを迫ったが拒まれた。和也に替わって現れた達也の「はたしてこのオレが、南を幸福にできる男かどうか、乞うご期待!」という言葉に南は微笑んだ。
甲子園行きが決まる決勝戦の朝、和也は両親の万歳を背に家を出て行った。お守りを忘れて行った和也の後を達也は追った。なぜか到着しない和也抜きで明青高対須見工の試合は始まった。
病院に着いた南は看護婦から和也の事故死を知らされた。霊安室に立ちすくむ南。「キレイな顔してるだろう。ウソみたいだろう…。死んでるんだぜ、それで…」と達也はつぶやいた。
達也は二階の子供部屋で、和也が好きだったレコードを大きな音でかけて泣いた。南は鉄橋の下で大声を上げて泣き続けた。翌朝、パンチを伴ってトレーニングに出て行く達也。南と達也の二人の時間が始まった。
今日から二学期。和也の死は級友に野球部員たちに、そして達也と南に大きな衝撃を残していた。「オレ、野球部辞めるよ」と泣きながら言い出す孝太郎。彼を励まそうと達也が投げた球は金網に突き刺さった。
本城高校とのボクシング試合に出る事になった達也。試合にはなんとか勝ったが、「野球をやれ上杉、どこまでやれるか自分の力を試してみろ」とキャプテンから野球部への転部を勧められた。
和也のグローブを持って登校し野球部に入部した達也。野球部員たち、特にキャッチャーの孝太郎は複雑な気持ちで達也を迎えた。しかし、達也の投球がミットに吸い込まれた瞬間…。
達也の投球コントロールはなかなか上達しなかった。デッドボールが怖くて逃げ腰の部員たち。彼らに替わって南が打席に立った。達也の剛球はギリギリ、ストライクゾーンに入った。
突然、南が新体操部に!? 孝太郎は達也のせいだと思って達也を責めた。しかし、その理由は新体操部のキャプテンが怪我をしたので南が翌月の競技会まで借り出されただけだった。
転校生がやってきた。名は吉田剛。転校早々なぜか達也につきまとい始める。南は昼休みも放課後も新体操の練習に励み、地区高校新体操競技大会では3位入賞を果たす。
三上工業との練習試合が達也にとっての初登板。投球コントロールに集中しながらの試合はからくも1勝。マスコミの達也に対する記事は辛口で、新体操選手として注目を集める南へのそれとは対照的だった。
どんどんスターになっていく南に達也はちょっぴり不安。いらついて投げた缶に当たった猛犬に追いかけられるハメに。飼い主は達也ファンの吉田、犬の名はタツヤだった。
吉田は野球部に入部して達也の真似ばかりしている。達也と南が帰宅すると両親が外出していた。隣家の二人は、夕食を共にする。南の膝枕で耳かきをしてもらいリラックスする達也。そこに地震が!
予選を前にして合宿開始。予選試合日の朝、達也に南が和也の写真を手渡す。達也は「スタンドで南に抱かれている方が嬉しいに決まってるよ」と受け取らなかった。捨て犬のチッチとポッポが登場。
立山と明青の試合。「今日の試合はコントロール重視だ」という監督の言葉に従い、地味だが確実な投球を達也は続けた。打席でも送りバントなどの努力が続く。試合ラストの投球は意外にも…。
勢南高校のピッチャー西村は憧れてる南に認められたい。南にサインをせがむなどアピールに努める。2回戦第2試合は明青学園対勢南だ。達也の打順になり、二人の勝負が始まった。
達也と西村の試合は膠着状態のまま続き、7回までノーヒットノーランで抑えた達也はフラフラに。その後9回まで0点、雨も降ってきた。試合は延長戦に突入していった。
雨中延長戦。ミスが続き、フォアボール押し出しの1点で勢南に敗れた。試合後、南風で南に励まされたが敗北がつらくてたまらない。その夜、達也は夢で飛び起き「和也…くやしいよ」とつぶやいた。
南は達也に和也の練習メニューを教えた。一方、南は達也が自分のことをどう思っているかが気になってたまらない。それをたずねてから南は達也の頬にキスをした。
秋の放課後、野球部内を赤組と白組に分けて練習試合をする事になった。同日、南との対談取材で来校していた須見工の新田と吉田が対決し、吉田は3アウトを取り勝利する。
兄である新田に憧れている由加は南のことも気になって仕方がない。体育館で新体操をする南を観察する由加。彼女は南と達也の映画館デートの後をつけ、その詳細を兄に報告した。
新田との勝負に自信をつけた吉田は突然達也の事を「上杉」と呼び捨て始めた。挑発的な態度をとる吉田にイラつく達也。だが南は「叩きのめせ」と過激な発言。
新田の部屋。甲子園出場記念プレートを前に新田は「もう一度上杉和也と対決させてくれ」 「上杉和也を越えてくれ」と真剣な顔で達也に頼んだ。翌日、須見工が試合を申し込んできた。
新田の打順、ピッチャー吉田は直球を連投。新田は見送り三振。由加は達也に詰め寄り、「お兄ちゃんをやる気にさせるのは上杉達也あなただけなのよ」と言う。6回、突然西尾監督が吉田と達也のポジションチェンジを指示。
7回、新田にホームランを打たれてしょげる達也に南は「南のことを想っていてくれたら新田くんにも打たれない」「甲子園、連れてって」と励ました。
9回、南の言葉を胸に連続8三振取るなど奮戦し、試合はドローで終了。「また野球が面白くなりそうだ」といってグラウンドを去る新田。エース決定戦を望む吉田は父の仕事の関係で南米に行く事に…。
新田は南を南風までオートバイで送った帰りに転倒し入院する。責任を感じた南は、新田のお見舞いに通う。由加は兄と南をもっと近づけようと画策し、その様子に達也は動揺する。
南の事を気にしまいと野球の練習に力が入る達也。それとなく新田と達也を比べる南を前にして達也は面白くない。二人きりの勉強部屋で「その気になりゃ、いつだって…」との妄想がわき起こる。
選抜高校野球大会出場校が発表された。須見工の連続出場を羨ましがる明青野球部員たち。西村は南に、由加は達也にそれぞれアタックを続ける。新田も南への未練をほのめかすが、南は気づかない。
南をライバル視している由加。いかにもお似合いの新田と南に焦る達也。南は達也に積極的な態度の由加にイライラする。しかし、南は「タッちゃん…南は 南はタッちゃんを信じてるからね」と達也を見つめて言う。
2年生の終業式、達也は南と映画に行く約束をした。南を待っていて、映画館向かいの建物で行われていた須見工の壮行会場に入ってしまう達也。遅れて現れた達也に南は…。
『タッチ』テレビ放送#1~#24までの総集編。甲子園出場をかけた予選決勝戦当日の朝(和也が交通事故に遭った日)まで。達也、和也、南の幼なじみ仲良しトリオの思い出がいっぱいです。
『タッチ』テレビ放送#25~#49までの総集編。「思い出って楽しい事ばかりじゃないんだよね。さみしい事も泣きたい事もくやしい事も全部混ざって思い出なんだよね。タッちゃん頼りにしてるよ!」
3年生になった南と達也はいつものように二人で登校。達也に南は「ここで南を甲子園に連れて行かないと一生ボヤくからね」と励ます。由加は明青学園に入学し、野球部のマネジャーに。
部室でエロ本を読みふける達也は見知らぬサングラス男に殴られまくった。男は新監督の柏葉英二郎。「オレはお前らと仲良くやる気はない」 竹刀を振りながら練習メニューを指示する柏葉監督。ビビる野球部員たち。
連日続く柏葉監督代行のしごきに次々と辞めていく野球部員たち。由加の事をいつも見つめている佐々木が入部してくる。野球部の練習に出られなくなった南は「カッちゃん…これからどうしたらいいの?」とつぶやく。
野球部マネジャー業の多忙さに由加はキレ気味。しかも南と比べられてイライラ。柏葉監督代行は相変わらずの鬼コーチぶり。南を目当てに明青に通う西村と監督が衝突し、殴打事件となった。
西村に対し「そんなヘナチョコカーブ、甲子園で投げられたら地元の恥だ」と柏葉監督代行が放言したために対決になった。監督も達也も揃って三振をとられてしまう。
野球部に戻れないことに悩む南は新体操部の練習を休み、街をあてどなくさまよう。そんな南を新田は海岸へのバイクデートに誘った。しかし南の心は達也でいっぱいだった。
基本練習ばかりで不満タラタラの野球部員たち。キャプテンの孝太郎がかけずり回って勢南との練習試合を柏葉監督代行に認めさせた。しかし、その日は南の新体操都大会の日だった。
久々の練習試合。柏葉監督代行が決めた先発メンバーは達也以外、全員補欠だった。達也は怖がる1年生のキャッチャーに投球が思い切り出来ないでいた。試合は14対4で明青が5回コールド負けする。
新体操都大会で南は「タッちゃん私に力を貸して」と心の中でつぶやいた。最終結果5位。南は慰める達也に「行くよ、インターハイ」と宣言し、「タッちゃんも、甲子園」と付け足した。
南は頑張り屋の人気者。多少のケガなどものともせずに新体操の練習に励み、深夜まで勉強にも打ち込む。そんな南に生徒会長候補の話が舞い込んだ。南のことを心配する達也は生徒会長辞退を勧める。
由加のカワイサは周囲の女学生たちから妬まれるほどだが、本人は平気。達也の打球が由加の足に当たってしまい、達也に背負われて下校する由加の姿には南でさえカチンときてしまう。
由加の達也へのアタックは続く。強引なデートに付き合わされた達也は、彼女の魅力に少しドギマギする。西村から達也が由加と仲むつまじくデートしていたことを聞いた南は…。
朝、登校中の南と達也。昨日の由加との映画館デートのことを知っている南は少し意地悪だ。野球部では中島の退部騒ぎが持ち上がり、部員たちの間に動揺が走った。
須見工が優勝候補No.1という新聞記事が出た。「簡単に優勝させてたまるかよ!」と意気込む達也。中島が退部を言い出していたのはストレス性の目のかすみだったことが判明し、元の鞘に戻る。
夏合宿初日、万歳三唱で達也を送り出す両親。寂しい南。柏葉監督代行は、達也へバーベル背負ってのうさぎ跳びグラウンド10周を命じた。他の部員たちも猛烈なしごきでボロボロに…。
合宿の寝床、南がビキニ姿で走りよってくる夢に驚いて飛び起きる達也。柏葉監督代行の猛練習は続く。夕食時、由加手製カレーのまずさに部員たちは過労を言い訳にして席を離れ、南風に向かった。
南風には先客として柏葉監督代行がいた。南は店を父に任せ、勉強部屋で空腹の達也たちにスパゲティを振る舞う。部屋の壁に貼ってある和也の写真を見つめて決意を新たにする部員たち。
朝練、達也は投球練習でカーブに挑戦しようとするが失敗。柏葉は「お前に変化球はいらん」と言いきった。由加の夕食の失敗は続き、部員たちの体調管理を心配した南と対立する。
由加の料理はまず過ぎて食べられないまま。南は部員のために夕食を調理し続けていた。南の負担を考えた達也は、由加に「野球部伝統のスタミナ料理」をリクエストする。南のレシピを手に由加が作った料理に部員たちは歓声を上げた。
周囲の期待を集めて、高校新体操関東大会に臨む南。一方、合宿中の達也は抜け出して会場に向かうが車両故障で遅れてしまう。南は達也の心配をよそに優勝する。
予選校の組み合わせが決定。雨中で猛練習の部員たちを見守る南は「タッちゃん、ガ・ン・バ・レ」とエールを贈る。達也は和也のスパイクを履き甲子園への決意を新たにした。
南にスポットを当てた総集編。後半は子供時代の回想映像。「せっかくタッちゃんと一緒に甲子園行けると思ってたのになあ。みんなあの柏葉監督代行がいけないんだ。こうなりゃ、新体操やるっきゃないもんね。まずはインターハイ、そして次は…」
柏葉監督代行の登場時期を中心に、甲子園へ向けての総集編。「スゲー奴が監督にやって来やがって、この数ヵ月、俺たちの青春は真っ暗闇に。そのかわり、これだけしごかれりゃ、どうしても甲子園行かなくちゃ気が済まねーぜ」
予選大会初日、早朝からロードワークをする達也。試合当日でも朝練。ハードな練習メニューなのに「体が軽くなった」という部員たち。いよいよ試合開始。ピッチャーは佐々木!
試合会場に行けず、南は野球部の試合が気になってたまらない。世多高相手に途中リードされつつも1点差でサヨナラ勝ち。達也のポケットには、和也でも由加でもなく南の写真が入っていた。
達也はまたも由加の猛烈なアタックにあっていた。机からもポケットからも由加の写真が出てきて、それを見た南は「フン」といって行ってしまう。柏葉監督代行の兄・英一郎が来校。
明日は2回戦、「相手は立山高だったか?」という原田に「うちの監督だよ」と達也。一方、ノック練習でキャプテンの孝太郎が左肩をケガをしてしまう。達也は全力投球できるか?
合宿の中休み。達也が久しぶりに帰宅すると、両親は温泉旅行で不在。由加が押しかけてきて夜まで長居し、達也にキスを迫る。そこへ南がやってきた!?
勢南、須見工とも順調に勝ち進む中、明日は3回戦、佐田商との対戦だ。練習に励む明青野球部を見つめるのは、南米に行ったハズの吉田。彼は佐田商ピッチャーとして帰ってきたのだ。
1回、明青2アウト、佐田商の攻撃。吉田と達也の対決が始まった。次第に冷静さを失っていく吉田。明青がコールド勝ちし、泣きながら去る吉田の耳に由加の「ファイト!」という声が届く。
一学期末試験の順位が廊下に貼り出された。1位はもちろん南だが、達也は49位。南は柏葉英二郎監督代行に野球と恋愛で競争相手の兄・英一郎がいたことを知る。
「悪い人なんかじゃないんだ。何てったって女の勘はするどいんだぞ」 柏葉監督代行の事を考え直した南。「令子さんが言ってたんです。本当は野球が好きで…」 南の言葉に柏葉は動揺する。
5回戦当日の朝、「今日勝てば準決勝だと思うとな(寝てられない)」と部員たちは早起きした。達也は自分の力に不安を感じ、和也並みに通用するかどうかの重圧と戦っていた。
投球練習で「球は走ってるか?」と孝太郎にたずねる達也。「文句なし、絶好調だよ」と孝太郎。5回戦が始まった。相手はピッチャー3人体制の赤宮高校。ピッチャー交代の連続に明青は疲れていく。
8回、赤宮高校がスクイズに成功し、1点リードされた明青高校。「大丈夫か?! 達也」と声をかける孝太郎。彼を指さし「松平孝太郎、175センチ、80キロ。獅子座のA型。好きなタイプ、河合その子」 「おれは冷静だ」と達也は答えた。
まだ2つも勝たなくてはならないのに南風では「祝賀会」のどんちゃん騒ぎ。準決勝当日、校門で校長と生徒達の激励を受け、出発する明青野球部。今度の相手は三光学院だ。
勢南の西村を打ち崩して自信がついた三光学院。だが達也の投球練習を見てビビる三光学院監督。試合では長尾がホームラン! 長尾は柏葉監督代行のお陰だと言って泣いて喜んだ。
「皮肉なもんだな。兄貴の夢を果そうとして逆に野球部から追い出された男。そしてその復讐の為に戻ってきた男の前に、亡き弟の夢を果そうとする男がいる。鬼にとっちゃ複雑だろうな。昔の自分を見るようで」と原田は語った。
退院してきた西尾監督は柏葉監督代行を「頼んだぞ! 柏葉。ワシに代わってこいつらを甲子園へ連れてってやってくれ!」と激励した。「任せたぞ、柏葉英二郎!」 その瞬間、雷鳴が轟いた。
雨のため、1日延期になった決勝戦。7月29日。2年前の決勝の日。今日は和也の命日だった。雨の中、達也は和也の墓参りに来ていた。「和也、とうとう決勝戦まできたぜ。あと1つだ」 和也の墓の前で達也は報告した。
決勝の朝、部員全員やる気満々。出発前、南は令子から頼まれた「果せなかった甲子園の夢を、今こそ果してほしい」という英一郎からの伝言を柏葉監督に伝えた。「監督、監督は本当に野球が嫌いなんですか?」と尋ねた南に…。
1回表、明青は0点。須見工の攻撃、1回裏、明青は無死満塁。新田の打順と危機が続く。しかし、自分を取り戻した達也の投球は輝きを増していった。7回裏、「よーし! もう一息だ!」と達也はマウンドに向かった。
新田と勝負するなという監督を無視して投げた達也のストレートを新田はホームラン! しかし10回、達也はホームスチールに成功し、1点リード。「選手と監督は一心同体」と達也は涼しい顔。
10回裏。この回さえ抑えれば明青は甲子園だ。1塁も空いているし新田を敬遠するという達也に、孝太郎が立ち上がって守備の選手に指示を出した。達也と新田に勝負の土俵が用意された。
南の家で電話が鳴った。「南か? 来てほしいんだ。甲子園に。今すぐに」 「でも…」 「オレ、このままじゃ試合にならねえんだよ、ハッキリ、わかったんだよ。自分の本当の気持ちが」 「タッちゃんの本当の気持ち?」 「ああ、上杉達也は、世界中の誰よりも、浅倉南を愛しています。だから…」
あだち充の出世作にして代表作『タッチ』の劇場アニメ第一弾。 上杉家の双子の兄弟・達也と和也。二人は幼なじみの少女・浅倉南とともに明青学園高等部に進学した。恋する南のため、野球部で必死に奮闘する努力型の天才・和也。だが南の秘めた気持ちは、周囲には凡才と評される達也の方にこそ実はあった。そんな二人の心情を知ってか、微妙に南との距離を置く達也。一方、和也は懸命に甲子園目指して勝ち進み、ついに地区予選の決勝を迎えるが。 30%を超える大人気を呼んだTVシリーズの成功を背景に企画され、TV版とほぼ同様のスタッフ勢で製作された完全新作の劇場版。公開当時には、誰も見たことのないラストが待つの趣旨のキャッチコピーが掲げられ、実際に原作にもTV版にもない本映画独自のサプライズ・エンディングが登場した。そのせいあって『タッチ』ファンの大反響を招いた作品である。
世代を超えて読み継がれるあだち充の大人気青春野球マンガ『タッチ』。その劇場アニメ化の第三弾。 高校3年に進級した達也と南。甲子園に行けるラストチャンスの中、二人は野球部でそれぞれ自分の立場をこなす。だがそこに現れた臨時・新任の野球部監督=柏葉英二郎。彼は狂気のようなシゴキで、達也ほか明青野球部を潰すかのようだった。その真意は、兄で優秀な野球選手・英一郎の陰で、理不尽な辛酸を嘗めさせられた自らの野球人生に対する復讐だった。その標的にされた達也たちの運命は? TVシリーズとは別個に、すでに終焉した原作コミック終盤の展開を再構成した内容。物語の実質的な主役は達也ではなく、柏葉英二郎に傾斜している。そこが中盤までの『タッチ』らしくない半面、和也の悲劇を乗り越えた達也と柏葉兄弟を対比。「もう一組の兄と弟」のドラマが異様な迫力を見せた作品になっている。