機械化されたサムライ達のなれの果てである「野伏せり」が、村々から米や女達を奪っていた。そんな野伏せりに対して、カンナ村の長であるギサクは徹底抗戦を唱える。それは、サムライを雇って野伏せりを撃退させるという妙案が彼にあったからだった。かくして、キララたちがサムライを求めて虹雅渓へと旅立ち…。
野伏せりから村を救って欲しいと嘆願するキララをカンベエは村へ帰れと突き放した。見かねたカツシロウがサムライ探しに協力するも、知行や恩賞に縁のない戦に興味を持つサムライなど簡単に見つかる訳はなかった。落胆の日々が続く中、キララを見初めた虹雅渓の豪商アヤマロのドラ息子ウキョウが彼女を拉致してしまい…。
キララを助け出したカンベエがリキチ達の元に帰って来た。程なく満身創痍のカツシロウとキクチヨも合流し、カンベエは村を救う誓いを立てる。村を襲う野伏せりは四十機ばかり。村を守るサムライは最低でも七人は必要だと言うカンベエ。再開されたサムライ探しの中で、彼らは一風変わったサムライのゴロベエと出会い…。
第二のサムライとしてゴロベエが迎えられるが、カツシロウとキクチヨは相変わらずカンベエに未熟者扱いのまま。ウキョウの指示でキララを執拗に狙う用心棒サイボーグ達も、カンベエとゴロベエの前では敵でなく、悉く斬り伏せられてしまう。一方、カンベエ達の噂を聞いたアヤマロ直下の剣客キュウゾウがカンベエを襲い…。
キュウゾウは圧倒的な剣技でカンベエを追い詰めるが、思わぬ邪魔に水を差され、再度の果し合いを言い残し立ち去った。続くサムライ探しは、薪割で生計を立てているサムライ崩れのヘイハチとの出会い。第三のサムライは、このヘイハチだ。戻って来たキュウゾウを嘲笑う剣客ヒョーゴは、カンベエに興味を持ち…。
都からの勅使を暗殺され、虹雅渓の差配として責任を糾弾されたアヤマロ。殺害現場に凶器の刀剣があった事から、彼は犯人をサムライであると断定して自身の警邏隊を動員して街をあげてのサムライ狩りを始める。サムライ探しを一旦中断し、虹雅渓最下層部に落ち延びようとするカンベエ一行にも警邏隊の追撃が迫る…。
遊興娯楽の宿場街「癒しの里」にはサムライのシチロージがいた。カンベエの副官として戦場を渡り歩いたこの男も、今はサムライを辞めて料亭「蛍屋」の女将ユキノと情を交わしながら、お座敷で太鼓持ちの生活に甘んじていた。そこに現れるカンベエ。シチロージとユキノは、何気ない日々の幸せに終わりが来た事を察して…。
シチロージを加え、アヤマロの手の届かない禁足地へ侵入した一行。そこには戦艦の残骸が未だその炉心を輝かせ、その周りに全身を仮面で覆った式杜人と、彼らの労働力として連れて来られた農民達の集落があった。そこで出会ったホノカという農民の娘。村を焼かれ家族を野伏せりに殺されたと言う。彼女の瞳は翳りに満ち…。
式杜人の洞穴を辿り地上へ出たカンベエ達。カンナ村へ行くには砂漠越えをしなくてはならない。そこに突如、野伏せりが襲撃して来た。機械化したサムライとカンベエ達生身のサムライの初の激突。対戦艦用に巨大化した野伏せりに対して、突撃兵であったカンベエ達は小回りの良さを生かして、野伏せりを残骸と変えていき…。
砂漠での戦闘は敵の威力偵察だった。その為、カンナ村までは敵の偵察に見つからないよう三組に分かれての隠密行を行うカンベエ達。キララはシチロージと共に、先の戦闘で仲間に加わったキュウゾウと荒野のルートを進む。カンベエとの果し合いの為に仲間に加わったキュウゾウに対して、キララは猜疑心が解けず…。
カンナ村に着いたサムライ達を迎えたのは、農民達の怯えきった目だった。不安感が疑惑となり、しまいには野伏せりに内通してサムライを売ろうとする者まで現れる始末。農民とサムライ、緊張が解けないまま村の要塞化と戦闘訓練が開始される。夜警途中に、カツシロウは村の内通者と野伏せりの斥候の密談現場に出くわし…。
初めての人斬り。呆然と立ち尽くすカツシロウ。カンベエはカツシロウを殴りつけ、人を殺めてこそのサムライであると叱咤激励する。お飾りでない職業としてのサムライの道、カンベエのその厳しい考えに触れ、キララは純粋な少年を追い込んでしまった己の罪を恥じ、血にまみれたカツシロウの心と共に堕ちようと決意する…。
村の水源である鎮守の森に墜落していた大戦期の機械の残骸。ヘイハチの設計を元に、巨大ボウガンが農民達の手で造られていく。カンナ村は空からの攻撃に無防備な地理を持ち、野伏せりも先ずそこを突いて来るだろう。不利な条件を逆手に取る策を練るカンベエ。鎮守の森に隠された巨大ボウガンが、野伏せりの慢心を貫く…。
巨大ボウガンによって戦力の半数を失った野伏せり達。カンナ村襲撃部隊の指揮をとる頭目シュウサイは作戦を変更し、深い霧に紛れて村に侵攻する。不意を突かれ降伏する農民達。米や女達が収穫要塞に持ち去られる。しかし、これもカンベエの作戦の内であった。米俵に隠れていたサムライ達が内部から切り込んでいき…。
収穫要塞を二基とも失ったシュウサイは、陣を後方へと引いた。一方のカンベエ達も村に戻り、決戦前のつかの間の休息を取る。サムライと農民が一致団結して野伏せりを撃退したと言う事実は、何時しか身分を越えた連帯感を生んでいた。…雨音。はためく軍旗。カンベエの檄が飛ぶ。勝負はこの一撃で決まる、と…。
激しく降りしきる雨。残る戦力を率いて、三方から侵攻して来たシュウサイ。サムライ達の戦力を分散させて、銃火器中心の攻撃を繰り出して来る。食糧収奪の任務を放棄、村の壊滅に戦術をかえた野伏せりの蹂躙は凄まじく、一瞬にして村は炎につつまれる。そして鉄砲の前に、サムライ達が一人、また一人と倒れていき…。
カンナ村を襲撃して来た野伏せりを撃退したものの、リキチの妻サナエを始め捕らわれた女達は「都」に連れて行かれた後だった。カンベエは焼け落ちた村の再建をシチロージに託し、一人都を求め旅立って行く。一方、カンナ村での野伏せり壊滅の情報は、虹雅渓の新たな差配となったウキョウの下にも届いていた…。
野伏せりを使い各地から女や食糧を収奪する都の長、天主。虹雅渓の勅使暗殺事件の犯人と偽って天主の元へと侵入を果たしたカンベエは、近衛兵の隙をぬって天主に刃を突きつけ、捕らわれた女達の解放を要求する。そこに現れるリキチの妻サナエ。艶やかな衣装を羽織った彼女の口から予想だにしない一言が告げられて…。
都に登城したウキョウを待っていたのは、己の出生の秘密であった。女達を苗床として天主の複製を諸国に蒔き、その中から自力で這い上がった者に次代天主として教育を施す。驚きを隠せないアヤマロに対し、ウキョウは至って状況を楽しんでいるかの様子。天主の子を宿すサナエは、彼の笑みに不安感をかき立たされる…。
ウキョウは新天主の就任披露の為、都の進路を虹雅渓にとった。その頃、情報を集めるべく虹雅渓に戻って来ていたカツシロウ達は、街に突如現れた都とカンベエ処刑の布告に驚く。罪状は勅使暗殺と天主への刃傷。これもカンベエの策の内であると諭すキララ。だが、血気にはやるカツシロウが、都に乗り込んで行ってしまい…。
首切り役人を斬り倒し、ウキョウに迫ったカンベエ。それに対して、とっさに彼の恩赦とサナエ達の解放を宣言したウキョウはカンベエの動きを牽制した。その人心を操るウキョウの機転の良さに恐ろしさを感じるカンベエ。そこに駆けつけたカツシロウは、カンベエ処刑の思い掛けぬ幕切れを前に苛立ちが噴出する…。
激昂しカンベエの元から飛び出して行ったカツシロウ。心配して追い掛けたキララの気持ちを無視し、自分の想いを一方的に押し当てる。ぎこちないラブシーン。翌朝、傷の癒えたリキチを伴ってカンナ村からヘイハチとシチロージがカンベエの元に参じる。そこで夫のリキチと再会するが、亡き天主を想うサナエは拒絶を示す…。
野伏せりにさらなる年貢の徴収を命令しながら、各地の村に浪人を送り込み農民と協力させて野伏せりを撃退させる…。野伏せりを生贄とし、己の復讐と人心をつかみ天下人としてひた進むウキョウ。彼は自らの意思が介在しないカンナ村を滅する事で覇業を完遂しようとする。だが、村にはカツシロウが待ち構えていた…。
ウキョウの先鋒隊の死骸を燃やす農民達。カンベエ達との戦いを経た彼らは、自らの手で村を守るまでに成長していた。先鋒隊を斬られたウキョウは無数の野伏せり部隊をカンナ村に降下させ、村に設営された対空砲火を悉く潰させる。とどめの主砲がカンナ村に向けられた時、カツシロウが刀を手に立ちはだかり…。
カンベエ達と野伏せりとの交戦が始まった。空中でも異常な剣戯を見せるキュウゾウ。ヤカンに乗り込み都の主機関を切断に向かうヘイハチ。ウキョウの首級を狙い天守閣を駆け上るカンベエ、シチロージ、キクチヨ。そして、カツシロウに再会したカンベエはいたわりの言葉を掛ける。ここにサムライ達の最後の戦いが始まる…。
主機関を失い墜落したままカンナ村に突っ込んで行った都。脱出を図るウキョウを追い詰めたカンベエは、言説に惑わされずにウキョウを斬り伏せる。半壊した体を叩き起こし、都を受け止めるキクチヨ。多くの血を流して戦いが終結する。翌春。傷も癒え旅立つカツシロウに一振りの刀を授けたカンベエは、姿を消して…。