浮世絵町にゆらの兄、花開院竜二が魔魅流(まみる)を従えてやってきた。 妖怪を「絶対悪」と称する竜二は、水系の式神を操り次々と妖怪を倒していく。そして雷系の式神を操る魔魅流との連携は強大な力を示すのだった。空き地でゆらを発見した竜二は、ゆらのそばにいたリクオをひと目で妖怪と見抜くと、攻撃を仕掛けてくる。 「リクオくんは大切な仲間や」とリクオをかばうゆらは、あろうことか兄にたてつくことに…。 「陰陽師が妖怪をかばうなどありえない」と妹でさえも容赦なく攻撃する竜二。 その攻撃ぶりに、我慢ができなくなったリクオはゆらの目の前で、自身の妖怪の姿をさらすことに。 ついにリクオの正体がゆらにバレてしまった!
時は豊臣天下の時代。若き日のぬらりひょんと奴良組の一行の姿は古来より妖たちの中心であった京の地にあった。 彼らの目的は北から南から多くの妖怪たちが集結する中、妖怪の頂点を目指すこと。 奴良組あげての腕試しにやってきたのだ。 その京には珱姫という貴族の娘がいた。彼女は神通力に精通し、怪我や不治の病を治してしまう力を持っていた。しかしその力は欲深い父親に利用され、 自由に人助けのできないさながら籠の中の鳥といった状況だった。京で彼女の噂を聞きつけたぬらりひょんは、 その珱姫にひと目ぼれする。 たったひとりで屋敷に入ると、珱姫を屋敷の外に連れ出し「ワシの妻になれ」と迫る。 しかしそんな珱姫にもう一人、興味を抱く妖がいた。
連れ去られた珱姫(ようひめ)を追い大坂城に入ったぬらりひょんは、この城に巣食う妖で、古より"魑魅魍魎(ちみもうりょう)の主"と謳われし羽衣狐と対峙した。 転生を繰り返し人に憑く羽衣狐は、転生した数だけ尻尾を持ち力を得る妖。その圧倒的な力にぬらりひょんは深手を負ってしまう。しかし、わずか100年で百鬼夜行を率いるまでに勢力を拡大させてきたぬらりひょんは次第に本領を発揮していく。 気配を感じさせずに懐に入ると、花開院秀元が作った、妖だけを斬りつけるという弥々切丸で一閃、羽衣狐の眉間を斬りつける。子を産むために、これまで集めてきた妖気を一気に失う羽衣狐。 大坂城天守閣の屋根にあがりに逃げ延びようとしたところに秀元も駆けつけて…。
ぬらりひょんの技を見よう見まねで覚えたリクオは、遠野での修業で実践しようとしていた。自分の存在を相手に認識させず、懐に入り込もうと「畏」を発動するも、イタクに断ち斬られてしまう。鍛え抜かれた遠野の妖怪たちに、リクオは妖の次の段階を叩き込まれるのだった。自らの畏を具象化し、技として昇華させる「鬼憑」(ひょうい)は、妖怪の戦いの歴史の中で生み出された対妖用の戦闘術だ。リクオがさらなる修業を続ける中、京都から遠野に妖怪の派遣要請がくる。羽衣狐の復活にあたり戦闘用の妖怪を欲していたのだ。それを断る奥州遠野一家総大将の赤河童。一旦は身を引く鬼童丸(きどうまる)だが、遠野の里でリクオの姿を目にした時、400年前の忌まわしき記憶が甦ってきて…。
相剋寺の封印が解かれた。中から封印されていた土蜘蛛が姿を現わす。京妖怪でありながら、羽衣狐の目的を意に介さず、ただただ強い者と戦うことのみを望む般若の面を持つ大男が・・・。 そのころリクオたちの乗る宝船では、イタクと首無が衝突していた。「常州の弦殺師」の異名を持つ首無とイタチに姿を変えたイタクの本気の戦いを止めたのは、リクオの義兄弟、鴆(ぜん)であった。 そして首無とイタクの戦いがようやく収まった時、宝船が鞍馬山上空に差し掛かったところで京妖怪の門番、白蔵主(はくぞうず)が立ちはだかる。白蔵主は奇襲を掛けることを潔しとせず、大将同士が名のり合ってから戦うことを望んできた。その愚直なまでに武士道に徹する白蔵主にほれ込んだリクオは、白蔵主に奴良組百鬼夜行に加わることを望むのだが・・・。
宝船を傷つけられながらも何とか鞍馬山を越え、京都に入ったリクオたち。白蔵主(はくぞうず)はリクオに「仲間を助けたければ、まず伏目稲荷へ向かえ」と告げて飛び去っていった。 そのころ京都では、羽衣狐の侵攻について対応策が議論されていた。その席に加わった十三代目秀元は弐條城を無理に守ろうとせず、敵に明け渡たすことを花開院家の者たちに提言する。400年前もそうだったように羽衣狐が子を産むため、守勢に回った時が討ち取ることができる唯一のチャンスだと言うのだ。そしてそれを成し遂げるためには、式神「破軍」と妖刀「祢々切丸(ねねきりまる)」とそれを使える者が必要だという。「破軍」を使う陰陽師のゆら、そして「祢々切丸」の現在の持ち主、リクオが今まさに京の町に降り立つ!
二十七面千手百足(にじゅうななめんせんじゅむかで)を封印したリクオたちの前に突如現れた土蜘蛛。ひたすら強いものを求め戦いを挑んでくるこの妖の目的は百鬼夜行の破壊である。400年ぶりに対面した秀元は、この場から立ち去ることを進言するも土蜘蛛は圧倒的な力で攻めかかってきた。 リクオは鏡花水月で立ち向かうが、土蜘蛛はいとも簡単にリクオの畏れを断ち切ってしまう。大将であるリクオの畏が敗られた影響は、その場に居合わせた百鬼たちの戦意を奪っていく。それこそが彼の畏の源"百鬼夜行破壊"なのだ。しかし攻められても攻められても決して壊れないリクオの心。リクオに関心をもった土蜘蛛は氷麗を連れ去り、相剋寺での決着を申し出るのだった。果たしてリクオに勝機はあるのか?そこにぬらりひょんが最も信頼を寄せる男が姿を現した。
牛鬼によって鞍馬山に運ばれたリクオは、ぬらりひょんと父・鯉伴(りはん)よりも強くなるのだと迫られる。「3/4も人間なのに、祖父よりも強くなれるのか?」リクオの疑問に牛鬼は、人であることを認めることで強くなる必要性を説くのだった。奴良組が最強だったのは、妖であることも人であることも認めていた鯉伴の時代。牛鬼はリクオにそれを求め、刃を向ける。その頃、リクオを失った奴良組の百鬼夜行は戦意を失いバラバラとなっていた。そしてリクオを守ることに、全てを注いでいた首無もまた自分を見失おうとしていた。首無は、かつて"常州の弦殺師"と呼ばれ殺戮の限りを尽くしていた頃を思い出し、当時の力を持って第7の封印で京妖怪を一網打尽にする。そんな折、花開院本家をしょうけらが、首無が次に攻め込んだ第6の封印には、茨木童子が襲い掛かってきて・・・。
龍炎寺にて首無と茨木童子との戦いが開始された。自分を見失いかけていた首無は、このまま堕ちてしまうのか? しかし、毛倡妓(けじょうろう)の献身的な支えが首無に過去の記憶を甦らせる。 鯉伴(りはん)と出会ったあの頃の記憶・・・。大事な者のために命をはれるのが本当の強さだという鯉伴の言葉を思い出した首無は、茨木童子に卒塔婆(そとば)の封印をも解かせてしまうほど追い詰めていく。しかし、そこへ様子を見に来た鬼童丸(きどうまる)が割って入り、毛倡妓に刃を入れる。 その頃、花開院本家では暴れまくるしょうけらに陰陽師たちは劣勢に立たされていた。もはやこの場所にしょうけらを倒せるだけの者はいないと思われたが、清十字団に同行していた倉田が、青田坊として立ち上がる。しょうけらとの戦いで、青田坊もまた己の過去と向かい合う。「守るべき者のために戦う」。守るために鬼神となる道を選んだ青田坊は、骸(むくろ)の数珠(じゅず)を解き放つ。
窮地に立たされていた首無と毛倡妓にゆらが助けに入り、龍炎寺は再び封印された。しかしゆらも鬼童丸に捕らえられ、術者としてその生き胆を羽衣狐への捧げられそうになる。そこへ竜二と魔魅流、そして黒田坊が助けに入る。奴良組妖怪が強力な京妖怪と対峙し、陰陽師がこれを封印する。人と妖が力をあわせてこそ、京妖怪に対抗しうる戦いとなるのだった。 一方、鞍馬山で修業を積んでいたリクオには時間が残されていなかった。相手の認識をずらし、その攻撃をかわすぬらりひょんの畏。しかしそれだけでは土蜘蛛のような強大な妖は倒せない。相手に届く刃がリクオには必要とされていた。牛鬼に協力していた大天狗だったが、リクオから祢々切丸(ねねきりまる)を回収しようと襲いかかる。大天狗が本気で刃を向けてくる中、リクオは新たな技を生み出そうとしていた。
天狗たちが命を狙う中、リクオはついに鬼纏(まとい)を完成させた! 仲間との強い信頼によってもたらせれる畏の奥技、鴆(ぜん)との鬼纏は鞍馬の天狗たちを一瞬でなぎ払ってしまった。それを見届けた牛鬼は、最後にその御業(みわざ)をもって、彼の畏を断ち切るようリクオに最後の試練を課す。その頃、第二の封印"相剋寺(そうこくじ)"では土蜘蛛がリクオの到着を待っていた。かたわらには、人質として氷麗(つらら)を置き、リクオが彼女を取り戻しに来るのを楽しみにしていたのだ。氷麗は先の戦いでリクオを守りきれなかった自身を悔やみ、土蜘蛛の思い通りにはさせないと自らの命を絶とうとする。と、その時、リクオが土蜘蛛の前に姿を現した!
氷麗との鬼纏(まとい)によって右腕の1本を失った土蜘蛛が本気になって戦いを挑んできた。そこに加わってきたのがイタクら遠野妖怪たち。リクオは戦いの中でイタクにも畏を纏わせるよう背中を預けると、イタクとの鬼纏(まとい)"、襲色紫苑の鎌(かさねいろしおんのかま)"が、土蜘蛛の身体を真っ二つに両断する。その頃、弐條の城では羽衣狐の出産の時が間近に迫っていた。そこに姿を現わしたのは、400年前、羽衣狐に一太刀浴びせた男、ぬらりひょんである。老いたとはいえ、いともたやすく羽衣狐の懐に飛び込むぬらりひょんは、そこで得体の知れない邪悪な畏を感じとる。その後、カラス天狗の助けにより産所を抜け出したぬらりひょんは、この一連の騒動の裏で糸を引く者がいることを悟るのだった。
ついに弐條の城に姿を見せたリクオと百鬼夜行たち。その勢いは城の東大手門を守るガイタロウ、ガイジロウをあっけなく退け、相手の心を読み、繰り出す攻撃をかわすサトリと鬼一口をも、ゆらの怒りの式神総攻撃をきっかけに突き破っていく。 城内では京妖怪の幹部、鬼童丸が立ちはだかる。1000年の大儀、闇が光の上に立つ秩序ある世界を理想に掲げる鬼童丸は自身の畏で羅城門(らじょうもん)を生み出し、幾千もの剣戟(けんげき)をリクオに向ける。それに対してリクオは、黒田坊の畏を纏い、立ち向かう。 敵に合わせてやり方を変える鬼纏(まとい)。黒田坊との鬼纏は鬼童丸の剣戟を破っていく。そして追い詰められた鬼童丸は最後の奥義を見せる!
鬼童丸は奥義"剣戟(けんげき)無量"を繰り出し最後の抵抗を試みる。「千年の長さには遠く及ばないが、このひとときは全てを懸けても守る価値がある」。まさにこの時、羽衣狐、京妖怪たちの宿願である鵺(ぬえ)の出生が成し遂げられたのだ。全てを闇によって支配する"鵺"。その正体は平安の世に人の世界を表舞台より支配し、魑魅魍魎(ちみもうりょう)をも従えた伝説の陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)である。 絶望の空気が支配する弐條の城、だがリクオたちにはまだ時間が残されていた。いかに鵺と言えども、元は人の子。赤児であるうちはまだ討つ手がある。封印へと動き出す残された花開院の陰陽師たち。激闘を繰り広げる奴良組と京妖怪たちのなかで、リクオはついに羽衣狐と激突する。
弐條の城では奴良組と京妖怪との壮絶な戦いが続いていた。茨木童子には首無と毛倡妓(けじょうろう)が、狂骨とがしゃどくろには青田坊と邪魅(じゃみ)が対峙し、これを退けることに成功する。しかし晴明の誕生にはそう多くの時間を必要とはしなかった。 一方リクオは、転生により九尾となりさらに力を増した羽衣狐に苦戦を強いられていた。動きを封じられ、とどめを刺されんとするところをゆらに救われ、羽衣狐の刃がゆらに向けられると魔魅流(まみる)がこれを守った。果たして羽衣狐にリクオは太刀打ちできるのか? リクオは依代の記憶に迫るべく羽衣狐に語りかける。それはリクオにとってもおぼろげに残っている過去の記憶に決着をつけるためのもの…。 やがて晴明の誕生により取り戻される依代の記憶。鯉伴(りはん)の最期の姿に動揺する羽衣狐をゆらの破軍、そしてリクオの弥々切丸が貫いていく。
1000年の時を経てついに晴明が現世に蘇った。史上最強の陰陽師の復活に狂喜する土蜘蛛は1000年ぶりの戦いを挑むが、いとも簡単に地獄へと送られてしまう。晴明は現代の京都を醜いと言い放ち、暗黒の街に変えるべく建物を壊し始める。その晴明をゆらが滅しようとすると、鏖地蔵(みなごろしじぞう)がこれを阻んだ。晴明の転生こそが宿願であり、一連の騒動を裏で糸引いていた者こそ、この妖の仕業であったのだ。そしてその鏖地蔵の正体も晴明によって明らかにされる。 リクオの弥々切丸によって鏖地蔵は葬るられることになるが、その名刀をもってしても晴明には傷ひとつどころか、指一本で止められ、刃は砕け散ってしまう。晴明が渡された魔王の小槌でリクオを滅しようとした時、リクオを救ったのは羽衣狐が依代とした1人の娘であった。明かされる娘の正体。彼女こそ地獄の奥底で晴明の反魂の術(はんごんのじゅつ)によって偽りの記憶とともに現世に蘇った鯉伴(りはん)の前妻、山吹乙女であったのだ。