All Seasons

Season 2020

  • S2020E01 「オトコとオンナ “性”のゆらぎのミステリー」

    • October 1, 2020
    • NHK

    第1回のテーマは「性のゆらぎ」。「オトコ」と「オンナ」の2つと思われてきた性が、実はグラデーションのようになっていて、2つに分けられないことがわかってきた。またオトコのY染色体が小さくなり、将来、消滅してしまうことも予見されている。実は自然界では、オスがメスに性転換したり、メスだけで子どもを産んだりする生物も多い。「性スペクトラム」などの最新研究をもとに、「性のゆらぎ」から人間の根源を妄想する。

  • S2020E02 「“聴覚” 世界をつかむ精緻な進化」

    今回のテーマは「聴覚」。母親の胎内にいる頃から活動を始め、世界と私たちをつなげてくれる能力だ。真っ暗闇の世界で私たちの祖先が獲物を捕らえ、危険を察知するため発達。人間は、人の声の領域を中心に聞き分けられるように進化し、わずかな音程や音色、響きをとらえ、心の豊かさを生み出すまでになった。脳と耳の驚きの連係プレーで、独特な能力へと成長してゆく「聴覚」。その不思議な進化の物語から、人間の根源を妄想する。

  • S2020E03 「“腸” 脳さえも支配する?」

    今回のテーマは「腸」。腸は自らが“考え”行動する臓器だ。1億もの神経細胞と、栄養を判別するセンサーを持つ腸は、脳とは独立した生命体のように活動する。脳の神経細胞は、もともと腸から生まれたことから、いわば脳の親ともいえる存在である。さらに「人格」や「感情」、「好み」といった脳の本能的な部分に、腸が深く関わっていることもわかってきた。腸と脳という二つの“考える臓器”が交錯する、人間の根源を妄想する。

  • S2020E04 「“体毛” 毛を捨てたサル」

    巨大な脳、二足歩行と同様、動物と一線を画す人間の特徴は「毛がないこと」。実は、巨大な脳も、毛を捨てたことがきっかけだという。その選択こそ、我々の祖先が弱肉強食のアフリカの草原で、強さを手にいれ、脳の急激な発達をもたらした。しかし、すべての毛を捨てた訳ではない。頭髪やわき毛、陰毛にも、人間らしさを守るための必然的な進化の理由があったのだ。「毛を捨てた」進化の痕跡から、人間らしさの根源を妄想する。

  • S2020E05 「“嗅覚” 生命のバロメーター」

    今回のテーマは「嗅覚」。数十万種という「匂い物質」を見分ける探知能力。2004年ノーベル賞受賞にもなっている嗅覚受容体と、脳の連携によって得られた複雑なシステムだ。しかも嗅覚は進化で柔軟に変化する。火を使う人間は約400もの嗅覚受容体を駆使し、食物の豊かな風味を嗅ぎ分けるという。そしてその匂いは脳の情動や記憶の中枢を通じ、感情をコントロールするのだ。生命に直結する力、嗅覚がもたらす喜びを妄想する。

  • S2020E06 「“自由な意志” それは幻想なのか?」

    私たちは「意志を持って自由に決断をしている」と信じて疑わない。その「自由な意志」が今回のテーマ。最新の脳科学は、「自由な意志」は脳がつくっている錯覚、幻想かもしれないという。無数の電気信号が飛び交う脳の神経細胞の活動は、意志が関与する前に勝手に動き出し、それによって後付けのように生まれるのが意志だというのだ。では、いったい脳は誰のものなのか。驚きの実験で明らかになる、私という存在の根源を妄想する。

  • S2020E07 「“指” ヒトとサルの分岐点」

    今回のテーマは「指」。食べ物を得て道具を作る。その人間らしさの始まりは「親指」の進化にある。特別な関節のおかげで2方向の自由度で動かせるようになり、石器や道具を自在に使えるようになった。また5本の指を駆使した、つまむ、触れるといった繊細なタッチはスーパーコンピューターにも困難な計算が必要で、脳の発達を促し音楽や科学などの文化を生み出したというのだ。感覚と制御が一体となった「指」の価値を妄想する。

  • S2020E08 「“思春期” リスクテイクの人類戦略」

    コドモからオトナへ「思春期」がテーマ。最新の脳科学では思春期は30歳まで続くという。脳神経線維のミエリン化がその頃まで完成しないと、性ホルモンが脳に引き起こす「衝動」を抑えられないためだ。だが、それは人類進化で大きな意味を持つことも明らかに。思春期の感情的なリスクテイク行動が「好奇心」につながり、地球全体への生息域の拡大につながったというのだ。人類誕生から現代まで時空を超えて「思春期」を妄想する。

  • S2020E09 「“目” 物も心も見抜くセンサー」

    実は人によって、同じ景色でも違う“色”で見えている。多型色覚という人間に秘められた「目」の多様性がテーマ。色やの見え方の違いは“個性”であり、協力しあうことで人類は生存競争を生き抜くことができた。そして白目を持つことで生まれた「視線」は、ヒトが一瞬で心を通わせて、他の生物にはない集団コミュニケーションを可能にする進化の賜物だった。目で心を伝え、読み取る。絆の出発点「目」の驚くべき能力を妄想する。

  • S2020E10 「“心臓” 心が宿る もう一人の私」

    • January 14, 2021
    • NHK

    全身に血液を送るポンプ「心臓」。ハートと呼ばれるように、人の心を象徴するのはなぜか?最新研究によって、心臓は自ら判断する独立性の高い臓器だとわかってきた。脳ができる前から脈打つ心筋細胞。集団で連動して鼓動を打ち、血液量を察知し変形する自由な存在だ。さらに心臓は、脳をコントロールしてストレスを管理。そして電磁波で他人の心臓と連動する可能性も浮かび上がる。心臓の一生に秘められたミステリーを妄想する。

  • S2020E11 「“スリル” 限界を超える翼」

    恐怖と快感の不思議な感覚「スリル」。なぜヒトは危険や恐怖に惹かれるのか?脳科学などからその正体は、恐怖と連動するアドレナリン、ドーパミンのせめぎあいであることが明らかに。進化の過程では、このスリルの“至福の感覚”が、人類の背中を押し、地上という新天地へ踏み出させたと推察される。さらにスリルが苦手な人の存在も人類の繁栄に欠かせなかったという見解も。スリルがもたらした、限界突破の人類史を妄想する。

  • S2020E12 「“ウイルス” それは悪魔か天使か」

    世界で猛威をふるう「ウイルス」。多くの人に死をもたらす悪魔的存在だ。しかしこのウイルス、人類進化の根本に深く関わる天使の側面も持つことがわかってきた。例えば、哺乳類の胎盤に欠かせない遺伝子PEG10は、恐竜時代に私たちの祖先に感染したウイルスがもたらしたものだという。さらに人間の象徴、脳の進化にもウイルスが関与していることが明らかになってきた。ウイルスは天使か悪魔か?数億年の時空を超えて妄想する。

  • S2020E13 「“血液” 魔法の体液」

    生命や若さの源として神秘的な存在である「血液」。現代科学はその真実に迫りつつある。性格を連想しがちなABOなどの血液型で、今、注目されているのは感染症との因果関係。さらにドラキュラ伝説のように若い体の血液が、別の老いた体を若返らせることが動物実験で確認された。現在、その鍵を握る血液成分も特定されつつある。さらに両生類の血液から体のパーツを再生させる仕組みも明らかに。血液が秘めた驚きの力を妄想する。

  • S2020E14 「“皮膚” 0番目の脳」

    「皮膚」には、目でなくても“光”を捉え、耳でなくても“音”を聞き、舌でなくても“味”を知るという感覚が備わっていることがわかってきた。その皮膚の能力は生命進化において、脳が生まれる前から存在していたため「0番目の脳」とも呼ばれる。皮膚の存在は自分の内と外を区別するために不可欠。そのため、もし皮膚感覚を失うと「私」を認知できなくなり、自己を喪失してしまうという。皮膚に秘められた驚きの力を妄想する。

  • S2020E15 「“ダンス” ヒトはなぜ踊るのか」

    どんな時代も、どんな民族も、人類はみな「踊る」。音楽に合わせ踊るのは、人間らしさの原点。言語獲得にも深く関わり、あらゆる文化の出発点でもあるという。そのカギを握となるのは、音にあわせ、他人に合わせることを可能にする脳内のミラーミューロンの存在だ。それは人類の仲間同士の共鳴・同調を生み、地球上のあらゆる場所への進出を可能にしたという。「ヒトはなぜ踊るのか」人類のコミュニケーションの原点から妄想する。

  • S2020E16 「“死” 生命最大の発明」

    「死は生命最大の発明」と語ったのがスティーブ・ジョブズ。そして科学者たちは「死」は、生命が進化のために獲得したシステムだという見解を見出ている。実は私たちは、いつか朽ち果てるカラダという乗り物を使って、生殖細胞という不死の細胞を次世代に受け継ぎ、多様性を手にしてきたというのだ。さらに生と死の境界におこる脳の不思議な世界や、寿命延長の可能性を秘める人工冬眠などの最新研究から、「死」の意味を妄想する。

Season 2021

  • S2021E01 「“がん” それは宿命との戦い」

    • April 8, 2021
    • NHK

    生涯に2人に1人がなる「がん」。実は私たちは、生まれながらに「がん遺伝子」を持ち、命を紡いでいる。例えば精子と卵子の受精の瞬間でも、体を成長させるために細胞が増えるときも、若さを保つ新陳代謝のときも「がん遺伝子」は欠かせない。時に命をはぐくみ、時に命を奪う「がん遺伝子」。それは37兆の細胞がコミュニケーションする多細胞生物の宿命でもあるのだ。細胞社会の秘密をひも解き、がんと戦うヒントを妄想する。

  • S2021E01 「“出産” ヒトは難産を選んだ」

    繁栄の根幹「出産」。なぜか哺乳類でヒトだけが、命がけで何時間も叫び声を上げるほど“難産”だ。ヒトは二足歩行で骨盤の穴が狭くなる一方で、脳の巨大化でより難産となった。しかし難産の苦しみこそ、仲間で育児をする仕組みを生み、発展の原動力になったという。さらに難産を乗り越えるためのホルモン、狭い産道を通り抜ける赤ちゃんの驚きの進化、母から子に受け継がれる細胞の最新研究も紹介!難産の苦闘の意味を妄想する。

  • S2021E02 「“涙” 秘められた魔法のチカラ」

    悲しいとき、つらいとき、嬉しいとき、悔しいとき、様々な感情でポロリと落ちる「涙」。なぜ私たちは“泣く”のか。実はヒトの涙だけが持つ不思議な能力が明らかに。“感情の涙”は、脳のある特定の場所が鋭く反応、興奮と沈静化という急激なスイッチの切り替えによって、私たちの心を守る“安全弁”として機能していたのだ。さらに他人をコントロールする涙の“メッセージ物質”の存在にも迫る。ヒトが流す涙の意味を妄想する。

  • S2021E03 SP 「“性とウイルス” 人間を生んだ力とは?」

    最新科学で明らかになったオトコとオンナ。それは実はグラデーションで、2つにわけることができない。しかも今、オトコのY染色体は消滅の危機にあり、いつ無くなってもおかしくないという。オトコは消えてしまうのか?そして私たち人間への劇的な進化を支えたのが「ウイルス」。実は哺乳類が子孫を残すために欠かせない胎盤は、ウイルスが体内に持ち込んだ遺伝子のおかげだ。人間を生み出す力とは何か、その根源を妄想する。

  • S2021E04 「“衣服” 服を着るという進化」

    服を着るのはあたりまえ。しかし「服」は人類の進化を加速させ、社会や文明を生み出す原動力となった。7万年前、気候変動の危機に直面した人類は、毛皮で覆うだけでなく、針や糸による縫製を発明。服は氷河期のシベリアなどへの世界進出の武器となる。服がさらに進化すると、様々な民族の絆を守り、そこに文化が生まれる。さらに服によって統率された強靭な組織は、国家や文明を生んだ。「服」が生み出した進化の意味を妄想する。

  • S2021E05 90分SP 「人間を生んだ力とは?」

    今回は「人間を生んだ力」をひも解く90分スペシャル。前半は遺伝子やホルモンが生み出す男と女の「性」の多様性や、哺乳類の胎盤や、脳の進化に「ウイルス」感染が関わっていたという驚きの事実などから生命の神秘に迫る。そして、後半は私たちの体内に秘められた多様性を「血液」「腸」「細胞」から見つめ、予測不可能な未来の危険を回避するために生み出した生命の工夫を紹介。進化の先にある未知なる世界を妄想する。

  • S2021E06 「“天才” ひらめきのミステリー」

    独創的な発想で世界を変える「天才」たち。その「ひらめき」に最新科学は迫る。天才棋士の直感は、大脳基底核が瞬時に生み出す。独創的なアイデアは脳の回路、デフォルト・モード・ネットワークで、記憶の海を散歩しながら着想されるという。さらにアインシュタインの脳を解剖した結果、1.7倍の「グリア細胞」が発見され、知性をもたらす新たな仕組みが明らかに。天才とIQの意外な関係など、天才の頭脳の深淵を妄想する。

  • S2021E07 「“舌” 変幻自在の開拓者」

    「舌」はもともと“手”だったという。生命が海から陸に上がったとき獲得した舌は「獲物を捕らえる」役目。ビューンと延ばし虫を捕らえるカメレオン、30センチもの舌で枝葉をもぎ取るキリンなど、その生態に合わせて舌は変容してきた。そしてヒトの舌はさらに特別な進化を遂げた。外で獲物を捕らえるかわりに、口内で躍動することで多様な発音“言葉”を生み出したのだ。生命進化を加速させた舌という変幻自在の存在を妄想する。

  • S2021E08 「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」

    特別な「睡眠」がヒトに知性をもたらすという。睡眠中、神経細胞のシナプスが新たに生み出され、さらにスクラップ&ビルドされていることがわかってきた。それは毎晩繰り返される“深い眠り”と“活発な脳活動の眠り”の相互作用のおかげ。2つの眠りは“進化の大イベント”とも言えるのだ。さらに夢をのぞき見することも可能にするという、脳スキャン人工知能の最前線も!眠りは人類に何をもたらしたのか、その神秘を妄想する。

  • S2021E09 「“肝臓” 毒と戦う勇者」

    “食べるというキケン行為”に挑む臓器、それが「肝臓」だ。例えばジャガイモなど、野菜の多くはアルカノイドなどの自己防衛物質、いわば“毒”を作る。さらにお酒のアルコールは分解過程で猛毒をまき散らし、たんぱく質からは分解される度に大量の毒が発生。それらを24時間休みなく500以上の化学反応で処理しながら、栄養素を生成し続けるのが肝臓なのだ。あらゆる食の環境に絶えず適応・進化してきた肝臓の戦いを妄想する。

  • S2021E10 「“腸内細菌” 見えない支配者たち」

    私たちの体内で暮らす100兆もの「腸内細菌」。いったい何者でどこから来たのか?その原点は、地球の黎明期を支配した細菌たちだ。無酸素をこよなく愛する彼らが、紆余曲折の末たどり着いた「腸」。安住の地で様々な物質を生産することで、母体をコントロールする術を学んだ。やがて、ヒトの免疫を飼い慣らし、食の好みを決め、脳さえもあやつる力を持つまでになる。生態系をあやつる“旅する生命”腸内細菌を根源から妄想する。

  • S2021E11 「“腸内細菌” ヒトを飛躍させる生命体」

    • July 22, 2021
    • NHK

    人類の問題を解決してくれるのは「腸内細菌」!?そんな妄想が最新科学から見えてきた。例えばオリンピック選手から発見された腸内細菌。アスリートの成績を上げる研究が注目だ。そして難病治療への腸内細菌。他人の便を移植することで、潰瘍性大腸炎をはじめ、うつ病やパーキンソン病など脳疾患を改善する新戦略に期待が集まる。さらに地球規模の食料問題を解決する手段にも!腸内細菌を利用し健康パワーを高める未来を妄想する。

Season 2022

  • S2022E01 “筋肉” 感応する奇跡のシステム

    • NHK

    「筋肉」は単にチカラを出すための道具ではない。様々なコミュニケーションを交わし合う奇跡のシステムだ。筋肉からのメッセージ物質である30種以上ものホルモンは、全身に届き、ココロとカラダの様々な病気を予防。さらに筋肉に秘められたセンサーが発する“声”は、筋肉同士のコミュニケーション、そしてヒトの複雑かつ華麗なパフォーマンスを生み出す。肉体の進化とは?筋肉が放つメッセージに耳を傾け、その思いを妄想する。

  • S2022E02 “脂肪” 人類を導くパートナー

    • August 19, 2021
    • NHK

    ヒトの大きな特徴、それは「脂肪」の多さだ。チンパンジーの体脂肪率は8%、ブタは16%。それに比べ、ヒトは黒毛和牛の30%に近い存在だ。このヒトの脂肪をため込む力は、進化の才能だという。例えば、ヒトの内臓脂肪の遺伝子は巨大な脳の発達に関わったと注目される。多様な脂肪遺伝子は人類が全地球へ拡大する挑戦を可能にし、脂肪は男女の求愛に利用されるまでに。私たちを繁栄へと導いてくれた「脂肪」の正体を妄想する。

  • S2022E03 “快楽” ドーパミンという天使と悪魔

    • September 9, 2021
    • NHK

    「やめられない。止まらない」。どんな民族も人類は「快楽」を求めてきた。その源がドーパミン神経だ。脳に生まれた原始の神経細胞であり、ヒトの高等な脳もその支配下。衝動的行為や依存症を引き起こす“悪魔”の側面も持つ。しかし、そこから生まれた「快楽」は、私たちの「学習」のシグナルであり、「未来」を予測させ「人類愛」へと導いてくれる力そのものだという。ドーパミンは何を教えてくれるのか、快楽の根源を妄想する。

  • S2022E04 “怒り” ヒトを突き動かす炎

    • September 30, 2021
    • NHK

    動物に比べ、ヒトの怒りは複雑だ。爆発させたり、ため込んだり、ぶり返したり…それは怒りの多様な火種を生む、人間の脳の“前頭前野”が原因だ。前頭前野が未来を予測し、過去を記憶、さらに他者との公平性を重んじることで生まれる怒りの火種が、農耕牧畜文化以降の法や裁きによる社会秩序、革命、国家間の戦争、そして現代のネットでの炎上をも生み出してきた。ヒトの歴史の光と影から垣間見える、複雑な怒りの意味を妄想する。

  • S2022E05 山中伸弥スペシャル iPS細胞と私たち

    • October 7, 2021
    • NHK

    山中伸弥さんとiPS細胞から見えてきた「人間とはなにか」を探る90分。2006年の発見から、がんや肝臓病など治療の研究が進む一方、iPS細胞はネアンデルタール人の遺伝子を持つ脳をよみがえらせることまで可能にした。いわば「生命の時間を巻き戻す」ことを実現し、どんな細胞にもなれるiPS細胞は、ヒトがなぜ生まれてくるのかという神秘にも迫りつつある。山中さんが見つめる生命の深えんを最新研究から妄想する。

  • S2022E06 “イヌ” ヒトの心を照らす存在

    • October 21, 2021
    • NHK

    ヒトにとって「イヌ」は長年のパートナーだ。オオカミから分化したイヌは、ヒトと共に暮らした数万年の中で、お互いに「共進化」する関係だったという。イヌの脳は、ヒトの“言葉”を理解できるようになり、イヌの表情筋は、ヒトに“感情”を感じさせるようになった。そしてイヌとヒトが共に持つホルモンは、家族の様な“絆”を作り出すまでになってきた。イヌとヒトという異なる種の共存関係から生まれた進化の意味を妄想する。

  • S2022E07 “潜在能力” やわらかさという“脳力”

    • November 4, 2021
    • NHK

    誰もが秘められたチカラ「潜在能力」を持っている。それを覚醒するにはどうしたらいいのか。義足なのに健常者の世界記録に迫るパラリンピック選手や、目が見えなくても音の反射の仕方で空間を捉える視覚障がい者など、素晴らしいチカラを生み出すことができるのは「脳の柔軟性」のおかげだという。脳の力を活用すれば、私たちは人工のしっぽでさえ操作できるようになるのだ。秘められた潜在能力の意味と、その可能性を妄想する。

  • S2022E08 “走る” そして、ヒトとなる

    • November 25, 2021
    • NHK

    2本の足で「走る」ことは特別だ。タッタッと軽快な走りで鍛えられたのは、心肺、筋肉、そして巨大な脳だ。私たちは現在も走るたびに全身でさまざまな物質を生み出し、脳の神経細胞を新生させ、高次の処理能力を高めている。さらにダ・ヴィンチも驚嘆した複雑な足の構造は、瞬発力と衝撃吸収力を生み、走りに省エネをもたらした。そして長寿の鍵・ミトコンドリアとの深淵な関係も注目だ。「走る」ことによるヒトへの飛躍を妄想する

  • S2022E09 “顔” ヒトをつなぐ心の窓

    • December 2, 2021
    • NHK

    なぜヒトは「顔」にこだわるのか?顔には喜怒哀楽を超えた心の揺れさえも映し出される。微表情という0.2秒の微かな変化から、ウソさえも浮かび上がるのだ。他の霊長類より細かく分岐した表情筋と高次の脳が「空気を読む」、ヒトの高度なコミュニケーションを可能にした。その副作用で、身の回りのモノを顔と勘違い、心霊現象と思いこむ脳の誤動作も!つい本能的に目で追いかけてしまうヒトの「顔」。その特別な意味を妄想する。

  • S2022E10 “時間” 命を刻む神秘のリズム

    • December 16, 2021
    • NHK

    「時間」には多くのナゾがある。私たちが認識する「時間」は概念なのか、実体なのか。鍵を握るのは、カラダの内側で「細胞が生み出す時間」の存在。地球の自転に適応しながら、ズレたり、狂うことを是としてきた全身の細胞の時計が、ヒトの心も体も操り、進化を生み出しているという。そして究極のナゾが“今”の正体。現在、過去、未来とは、“今”を生み出す脳のメカニズムのおかげなのだ。「時間」という神秘の存在を妄想する。

  • S2022E11 “精子と卵子” 過酷な出会いという戦略

    • January 6, 2022
    • NHK

    「精子と卵子」。この2つの細胞の出会いには、苛酷なレースが待っている。チケットが必要な泥んこレース、大逆流の遠泳、運頼みの2択くじ引き。そして受精後も、7日間の絶食、免疫からのかくれんぼ…。そうした困難の末、受精卵が、カラダよりも先に生み出すのは、次の精子と卵子の元「始原生殖細胞」だ。私たちは、次世代を生み出すための遺伝子の乗り物でしかないのだ。「精子と卵子」その出会いに秘められた戦略を妄想する。

  • S2022E12 “塩” 進化を導いた魔術師

    • January 13, 2022
    • NHK

    「塩」は生命にとって魔性の存在だ。栄養を摂取できたり、脳が思考できるのは、細胞で栄養の取り込み口を開き、電気信号を生み出す、塩の“魔力”のおかげだ。陸へ上陸した生命は、体液の塩分濃度を0.9%に保ち続けるために、味覚センサーや腎臓を変化させ、塩をとことん求めて捨てないカラダに作り替えていく。そして巨大な脳を手に入れたヒトは、塩を求めて地球全域へ拡散していった…。塩の魔力から生まれた進化を妄想する。

  • S2022E13 “サイボーグ” 遺伝子進化との決別か?

    • January 27, 2022
    • NHK

    「サイボーグ」。SFのなかの存在が、いま現実になっている。すべての筋肉が弱る難病ALSの研究者は、呼吸から食事、排泄まで、すべてをマシンに置き換える挑戦を続けている。聴覚、視覚を電子デバイスと脳をつないで補うことも、病気で失った能力以上の能力を持つことも可能になってきた。これを「テクノロジーを使った第二の進化」と考える研究者も現れた。自らを作り変える力を手に入れた人類はどこに向かうのか、妄想する。

  • S2022E14 “パンデミックと人類” 科学者からのメッセージ

    • February 10, 2022
    • NHK

    新型コロナによる「パンデミック」。感染の拡大だけでなく、行動制限や、他者との非接触の推進などは、700万年前に類人猿から分岐して以降、仲間とのつながりによって社会を築いてきた人類が初めて体験する大事件だという。番組では、過去出演した各分野の科学者たちにアンケートを実施。コロナ禍から浮かび上がった「人間の本質」など、人類に与えた意味を探る。そこから見えるコロナ後の未来とは?自由闊達な議論で妄想する。

  • S2022E15 “呼吸” 不完全が生んだ神秘

    • March 3, 2022
    • NHK

    「呼吸」それは非効率で不完全な進化をしてきた。魚の「エラ」に比べ、「肺」は酸素を取り入れる効率が悪く、しかもヒトは二足歩行のために口と肺の間に「死腔」と呼ばれる“無駄”まで増やしてしまった。しかし、そのおかげでヒトは言葉を発することができたという。また脳の巨大化は、呼吸が理性と感情との狭間で、アンバランスになりやすいという運命ももたらした。不完全だからこそヒトらしさを生む神秘のシステムを妄想する。

  • S2022E16 「“嘘” ウソでわかる人間のホント」

    • March 10, 2022
    • NHK

    「ウソ」それは人間社会を円滑にする潤滑油。「ウソをついてはいけない」と言われて育つが、社会のいたるところでウソは必要とされている。その代表が人を思いやる「ホワイト・ライ」。人間は正直さと、優しさを天秤にかけたとき、優しいウソを選ぶ。さらに創造力というウソで生まれる小説やドラマ、ウソにだまされないための方法などからわかる”人間らしさ”とは。ウソを利用して社会と文明を築いてきたヒトの戦略を妄想する。

  • S2022E17 「“天体のチカラ” 絶滅と進化のインパクト」

    • March 17, 2022
    • NHK

    私たちは、宇宙に生きる。普段それを意識することはないが、生命40億年の歴史をふりかえると「天体」は、生命進化に根源的なインパクトをもたらしている。酸素が地球に大量にあるのは、原始の月の強力な引力が深く関わった。さらに多様な進化をもたらした遺伝子変容は、超新星爆発などの宇宙線が、時に絶滅をもたらした結果ともいわれている。そして現在、ヒトは宇宙へ。天体がもたらす、ヒトの過去から未来への進化を妄想する。

  • S2022E18 「“老化” その宿命にあらがうか 従うか」

    • March 31, 2022
    • NHK

    「老化」を治療する夢に研究者たちが挑んでいる。寿命を迎えるまで老化せず、元気な状態でいるための研究キーワード、それが「サバイバル・システム」、「老化細胞」、「百寿者の健康長寿遺伝子」、「iPSでの細胞若返り治療」だ。だが、それらの最新研究が進む中で明らかになったのは、なんと生命が老化を積極的に利用してきたということだった。老化は本当に悪いことなのか?「老化とは何か」を90分にわたって探究していく。

  • S2022E19 「“絶滅人類” ホモ・サピエンスを映す鏡」

    • March 31, 2022
    • NHK

    私たちホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人などの他の人類を絶滅に追いやったのではないか?そんな一大ミステリーに迫る。彼ら“先輩人類”は数十万年も生息していた。だが、ホモ・サピエンスが世界に拡散し、数を増やすと同時に消えていった…そこにはどんなドラマがあったのか。環境さえも変えてしまう欲望や浪費、異なる人類の遺伝子交配など、最新研究を読み解き、絶滅人類が突きつける私たちの本質をじっくり妄想する。

  • S2022E20 「“膜” それは生命の真理」

    • April 7, 2022
    • NHK

    生命誕生から40億年、様々な「膜」の出現が、大進化を引き起こした。他の生命体を取り込み、複雑な内部構造を生んだのは、自由自在で柔らかな“細胞膜”のチカラだ。さらにバラバラな細胞を正しく結びつけ、多細胞生物を可能にした“基底膜”や、陸での出産を実現した“羊膜”、高度な呼吸と声の獲得につながった“横隔膜”など、ヒトへの進化には膜のチカラが不可欠だったという。知られざる膜を通してヒトへの道筋を妄想する。

  • S2022E21 「“三つ子の魂” 小さな体のビックバン」

    • April 26, 2022
    • NHK

    天才的な能力あふれる赤ちゃんの脳。大人にはできないサルの顔を見分けたり、何か国語も習得してしまう柔軟性を持つ。この脳の状態「臨界期」のカギとなるのは、実は脳の神経細胞を抑制。驚きの学習能力は「可能性を捨てる」ことで強化されるのだ。さらに1歳を過ぎてからの「指さし」行動は、他者のために教えたい社会性の原点があるという。その脳を適切に成長させる方法とは?子供の脳で何が起きているのか、驚異の世界に迫る。

  • S2022E22 「“家畜” それは遺伝子の共進化」

    • May 10, 2022
    • NHK

    ブタやヤギ、ウシやウマ。「家畜」は、狩猟採集で暮らしていた人類に大転換をもたらした。肉やミルクだけでなく、衣服や道具も生み出せる。人間の都合で自然に手を加え、遺伝子を変えた結果だ。しかし家畜化が起きたのは、動物だけではない。なんと人類は自分自身をも家畜化し、ヒトの進化に大きく関わった可能性があるというのだ。家畜となった動物とヒトに共通して起きた変化、遺伝子や細胞レベルで起きた驚きの進化を妄想する。

  • S2022E23 「“痛み” それは心の起源」

    • May 24, 2022
    • NHK

    「痛み」は、もっとも原始的な感覚だ。このシステムこそ、実は「心の起源」なのではないかと研究者は言う。例えば、痛みは意外といい加減。脳の受け止め方次第でその感じ方が変化する。痛みは傷ついた患部ではなく、脳が生み出した、自身の危険を伝える警報信号だからだ。脳が生み出す感覚のため、失恋などで心が傷ついたときも、体が傷ついたときも脳は同じ反応をしていることもわかってきた。痛みと心の不思議な関係を妄想する。

  • S2022E24 「“骨” 硬くてしなやかな仕事人」

    • June 7, 2022
    • NHK

    “破壊”と“創造”。矛盾するような営みを日々続ける「骨」。毎日破壊し、生みだす目的は、全身の細胞のシグナル伝達に欠かせないカルシウムイオンの供給だ。心筋の鼓動も、筋肉の収縮も、脳神経の伝達も、カルシウムなしにありえない。また私たちの祖先は骨の進化によって陸への上陸を果たしただけでなく、赤血球などの血球を作る生産工場にした。進化史のなかで、革命を起こし続けてきた仕事師、骨の不思議な変遷を妄想する。

  • S2022E25 「“真菌” 地球を創造する分解者」

    • June 21, 2022
    • NHK

    地球を代表する高度な生命体、それはヒトではなく、カビやキノコなどの「真菌」かもしれない。真菌は、細胞構造がヒトや動物にそっくり。オスとメスで交配する仕組みを持ち、多様な遺伝子を持つように進化。他の生物に入り込み、宿主を操るものも現れている。そして真菌はヒトの体内にも入り込み、免疫強化に力を貸していることがわかってきた。新たな命の礎を生み出し、地球を創造する分解者「真菌」の知られざる戦略を妄想する。

  • S2022E26 「“ホルモン” 生命をあやつる超絶パワー」

    • July 5, 2022
    • NHK

    「ホルモン」はカラダを激変させる生命の原動力。思春期に男女の体に作り変えるのも身長が急に伸びるのもホルモンのおかげ。水中でしか生きられないウーパールーパーに、あるホルモンを与えると、わずか数週間で、陸上生活できる姿に激変するほどだ。このカラダを変える力が、海から淡水、陸、空へと、あらゆる環境に適応していった生命進化のカギを握っている。ときに遺伝子の働きも変え、生命をあやつるホルモンの底力に迫る。

  • S2022E27 「“言葉” それがヒトの思考を生んだ」

    • July 19, 2022
    • NHK

    鳥のさえずり、クジラの歌など、動物も鳴き声でコミュニケーションをするが、ヒトの「言葉」は特別で、それが豊かな思考を生んだという。例えば7万年前の遺跡から発掘された弓矢の矢尻。多くの部材を組み合わせる構造は、言葉の“階層構造”と酷似し、これが言葉を持ち、複雑な思考を可能にした証拠だという。ヒトの言語獲得に必要な擬音語や音階の句切れを見つける脳の仕組みも紹介。豊かな文化の礎「言葉」の不思議を妄想する。

  • S2022E28 「“バーチャル” 無いものをあると思える力」

    • August 2, 2022
    • NHK

    メタバースなどで注目される「バーチャルリアリティー」。その起源ははるか太古にあるという。ヒトは“神話”や“貨幣”“国家”など、実体のない虚構の存在を信じることで、集団を維持、発展させてきた。そして今、VRによって生み出される実体のない世界を体験することで、更なる進化を遂げようとしている人類。その背景には五感を補うクロスモーダルというヒトの脳の特性があった。「バーチャル」が授けた進化の力を妄想する。

  • S2022E29 「“遺伝子” その多様性はガラクタから」

    • August 16, 2022
    • NHK

    20年前、ヒトゲノム解読が発表された時、研究者たちは落胆した。遺伝子と考えられる部分はわずか2%で、残り98%はガラクタだったからだ。だが実はこれこそ2%の遺伝子から10万種の異なるたんぱく質を生み出すマジック。サルからヒトへの違いを生み出す進化の原動力でもあったのだ。重要な遺伝子を“変えない”強固な仕組みと、柔軟に“変わる”ことを模索するガラクタ配列。多様性を生み出すしたたかな戦略を妄想する。

  • S2022E30 「“ゲノム編集” 新人類を生む技術か」

    • August 23, 2022
    • NHK

    40億年の進化が、ある技術によって覆ろうとしている。それが、狙った遺伝子を改変できる「ゲノム編集」だ。医療では、遺伝子の“手術”で難病を克服するという新戦略をもたらし、品種改良では、生産性が高い食物を圧倒的スピードで生み出せるようになった。私たちは、いわば「神の技術」を手にした一方で、どこまで自らの肉体を望むように作り変えていくのかという、倫理的な問題に直面している。私たち人類はどこへ向かうのか。

  • S2022E31 「“胃” 生きる喜びを創る臓器」

    • September 13, 2022
    • NHK

    「胃」は“年をとらない”と専門家はいう。健康な胃は新陳代謝が盛ん。老人のものか子供のものか見分けがつかないそうだ。驚くほど生命力にあふれ、柔軟な臓器である胃は、脳や全身にホルモンを分泌。食べる幸福感だけでなく、生きる喜びまで創り出すことが明らかに。さらにヒトの胃に病気をもたらすピロリ菌は、実は太古から共存し秘められた人類史を解き明かす道しるべにもなるという。「胃」がもたらしたヒトの幸せを妄想する。

  • S2022E32 「“疲労”捉えにくい生体アラーム」

    • October 4, 2022
    • NHK

    “過労死”はなぜ起きるのか。実際の「疲労」と「疲労感」にズレが生じ、正しく把握できないからと専門家は考えている。わかってきた「疲労」の正体は、オーバーワークによる細胞の炎症で、放置すると細胞死に至る。だが進化したヒトの脳は、気持ちが高揚すると「疲労感」をマスキングし、感じにくくなってしまう。栄養剤もこの脳の“誤解”を加速させる可能性が…。「疲労」が捉えにくいことで得た、ヒトの進化と盲点を妄想する。

  • S2022E33 「“糖” ヒトが手にした禁断の果実」

    • October 11, 2022
    • NHK

    人類ほど、甘いものが好きな動物はいない。それは自然界で異質な食性だという。糖は“毒”になる危険がある。甘いものや主食の炭水化物は、体内でブドウ糖になり、血中に多すぎると“糖化反応”が起き、血管をボロボロにしてしまうのだ。他の動物は食事からではなく、体内でブドウ糖を必要な量だけ生成し、その危険を避けている。なぜ人類は糖と出会い、糖を求めるようになったのか。禁断の果実で進化した、ヒトの運命を妄想する。

  • S2022E34 「“文字” ヒトを虜にした諸刃の剣」

    • October 25, 2022
    • NHK

    「文字」は「言葉」と一緒に扱われることが多いが、実はまったく違う。例えば、言葉は誰もが生まれながらに習得できるが、「文字」は教育の社会インフラが不可欠だ。脳での処理が違い、話すためには言語野があるが、読み書きのためには専門領域が無く、他の領域を流用している。いわば無理をしているのだ。絵画などで優れた才能がある人の中には、文字を苦手とする人も珍しくない。文字と人類、その出会いと功罪の歴史を妄想する。

  • S2022E35 「“ミクロの毛” 細胞を指揮する司令塔」

    • November 1, 2022
    • NHK

    私たちの細胞には「ミクロの毛」が生えている。それは私たちの祖先が1本のミクロの毛を持つ真核生物だった名残だ。その細胞に生えたミクロの毛は精子が動いたり、体液が流れたりするためのエンジンやセンサーとして働く。さらに司令塔のように遺伝子発現や、細胞分裂を操り、人体の臓器や組織の構造まで決めたりしているのだ。脳、神経、骨など、ほぼすべての細胞に存在する「ミクロの毛」。そのミステリアスな存在を妄想する。

Season 2023

  • S2023E01 “超・変異” 次の進化をたくらむDNA

    • April 10, 2023
    • NHK

    “突然変異”は生命を脅かすかもしれないDNAの書き換え。生命はその書き換えをさせない仕組みによりDNAを守ってきた。だが最新研究は、大規模なゲノム書き換えがあったことを教えてくれる。ゲノムの45%を占める“跳躍するDNA”、遺伝情報を倍増させる“全ゲノム重複”、他の生命体から遺伝情報を奪う“獲得遺伝子”などだ。DNAの自由奔放なふるまいの本質とは何か。「超・変異」とも言うべき大胆な戦略を妄想する。

  • S2023E02 “神経” 謎だらけのネットワーク

    • April 24, 2023
    • NHK

    人体を操る高速ネットワーク「神経」。実はヒトの神経は、ずば抜けて“遅い”。神経細胞数が多いヒトは、他の霊長類に比べて視覚や聴覚などの反応が遅いのだが、そのおかげで“間”を理解でき、言語や音楽などを生み出すことが可能になったという。神経は、大きくわけて中枢と末しょうがあるが、末しょうを生み出した神経堤細胞には、驚異の再生力をはじめ、未解明の“チカラ”が秘められている。謎に満ちた神経世界を妄想する。

  • S2023E03 “友情” 集団で生きるための発明

    • May 8, 2023
    • NHK

    「友情」は人間が“発明”した独自のもの。他の霊長類は血縁中心の集団で生きているが、ヒトは友情を基礎として多様な集団を作り社会を形成する。その根底には、友情を失ったときの“孤独”を、体の痛みと同じように認識する脳のメカニズムがあり、ヒトの進化を後押ししたかもしれないという。最新研究から友情を育むためには、幼少期の訓練が必要で、さらに身体の同調もカギとなることが明らかに。友情のつきない悩みを探究する。

  • S2023E04 “CO2” 見えざる生命の創造者

    • May 22, 2023
    • NHK

    二酸化炭素「CO2」。実は太古、地球の大気はほぼCO2だったという。いったいどこへいったのか?いまその多くは地中深く岩石、石炭、石油として蓄えられている。さらにCO2は生命の源、有機物に深くかかわっている。地球上の生命は炭素でできており、根源をたどれば大気のCO2に行き着くのだ。いま人類が短期間で大気に解き放っているCO2。ダイナミックな46億年の炭素循環からCO2と地球温暖化の本質を捉えなおす。

  • S2023E05 “鉄” 天地創造のテツ学

    • June 5, 2023
    • NHK

    強固な素材として活用される「鉄」は、私たちのカラダの内にも存在する。血液中で酸素を運び、細胞では鉄を介してエネルギーを作る。DNAも鉄が無ければ作れない。鉄は生命にとって必需品なのだ。一方、鉄は体内に多すぎると毒性を発揮。扱いが難しいため生物は鉄を保管する特別な仕組みをあみ出した。そもそもこの地球が生命の星に変わったのも実は鉄の力だという。世界の根源は「鉄」なのか?鉄をめぐる創造の物語を妄想する。

  • S2023E06 “虫” 地球のもうひとつの主人公

    • June 19, 2023
    • NHK

    地球上で最大勢力の動物、100万種以上といわれる「虫」。その生き方には、驚くべき進化の戦略が秘められている。例えば、短命で多産だからこそ、大胆な遺伝子変容を素早く起こせる。また血管を持たない内臓システムは、恐竜の遺伝子を奪い取るという荒業も可能にしたという。さらに、小さな脳でも高度な知性を生み出すことができる集合知。「個」より「集団」で繁栄を遂げた「虫」たちの戦略から、ヒトがとるべき道を妄想する。

  • S2023E07 “生体電気” 電気仕掛けのココロとカラダ

    • July 3, 2023
    • NHK

    私たちのカラダを行き交う微弱な「生体電気」。それは凄く“遅い”。電線を流れる電気は1秒地球7周半という猛スピードだが、神経を伝わる電気は最速で120メートル。だがそれらの特性のおかげで、私たちの心や思考が生まれているというのだ。生体電気は、細胞で“発電”され、脳、筋肉、心臓だけでなく、ヒト誕生の瞬間、受精にも深くかかわっている。生命の根幹「生体電気」。その仕掛けから生まれたヒトの不思議を妄想する。

  • S2023E08 “宇宙体験” 私たちの“次なる章”がはじまる

    • July 10, 2023
    • NHK

    人類初の「宇宙体験」からおよそ60年。「宇宙に行けばいいという時代は終わった」と宇宙飛行士の野口聡一さんは断言する。そこは、海から陸へ40億年の進化をしてきた私たちが、次に目指す新天地。ヒトの肉体、精神、思考、そして文明のあり方も、重力から解き放たれ、地球上とは異なる価値観に上書きされるという。さらに地球外生命の研究は生命科学に根源的なインパクトを与える可能性も!ヒトの新たなチャプターを妄想する。

  • S2023E09 “乳” 進化する神秘の液体

    • July 24, 2023
    • NHK

    「乳」を与えて育てる生き物、哺乳類。私たちヒトもその仲間だ。未熟な胎児を守り成長を促すため、「乳」はその成分を生息環境ごとに変え、工夫した。極寒に棲むアザラシの乳は脂肪分が多く、極暑に生きるシマウマは水分が多い。ヒトの乳の特徴は「ミルクオリゴ糖」が極めて多いこと。生後1年で脳を大きくするヒトの進化の原動力なのだ。そして感染を防ぐ免疫や社会性獲得との関連も明らかに!「乳」の知られざる役割を妄想する。

  • S2023E10 “整理整頓” それはヒトの本能なのか

    • August 7, 2023
    • NHK

    モノにあふれた現代人にとって重要なテーマ「整理整頓」。その理由の1つは、複雑な思考の舞台、脳のワーキングメモリの制約にあるという。わずかな情報しか扱えないため、そもそも整理整頓が不可欠なのだとか…。考古学者は、ヒトが集団で暮らし文明を築いたのは整理整頓のおかげと考え、生命科学者は、DNAや神経細胞に自らを整理整頓し機能させる生命の巧みな姿を見いだす。私たちの想像を凌駕する「整理整頓」。神髄に迫る。

  • S2023E11 “免疫” 曖昧な“わたし”をめぐるドラマ

    • August 28, 2023
    • NHK

    わたしたちを24時間守り続ける「免疫」。その心強い味方を邪魔する“Tレグ”という細胞が今回の主役だ。なぜ免疫なのに免疫の攻撃を邪魔するのか。実は“わたし”という存在をあえて曖昧にとらえるため、5億年前わざわざ発明されたことがわかってきた。さらに免疫システムに自ら攻撃を停止する“疲弊”スイッチも明らかに。ヒト誕生から老化まで、免疫システムの働きを今回は学園ドラマ化して再現。その奥深い世界を妄想する。

  • S2023E12 “歯” 進化を続ける人体の先兵

    • September 11, 2023
    • NHK

    牙を持つ肉食動物、奥歯で草をすりつぶす草食動物。私たちの進化は「歯」と共にある。実は、歯は脳を育てるセンサー。記憶ネットワークに影響し認知症とも関係することがわかってきた。さらに最近、わずか50年で歯の生えかわり方が変化しているという小児歯科の報告が…。思いがけぬ人類進化が進んでいるかもしれないという。そして最新研究からは、もう1本永久歯が生える“歯生え薬”の夢も!ヒトと歯、驚きの進化を妄想する。

  • S2023E13 “遊び” それは人類の可能性の宝庫

    • September 25, 2023
    • NHK

    「遊び」が専門という研究者がいる。人間とは「遊ぶヒト」=ホモ・ルーデンスなのか。「遊び」から人間らしさの根源を探っているのだ。遊びはヒトが多様な道具を生み出した原動力。またヒトの集団を大きく育てるツールとなってきた。遊びは脳を鍛え、創造性や文化を生み出す。さらには困難な状況を乗り越える力を育くみ、人類の助けになってきたという。オトナこそ学ばねばならない遊びの神髄、その計り知れない可能性を妄想する。

  • S2023E14 “背骨” 複雑精妙な進化の神髄

    • October 9, 2023
    • NHK

    「背骨」は多くの役割を担う。頑丈な支柱として体を支えつつ、無数の筋肉を束ね神経を守る。形や大きさの違う椎骨、椎間板、筋肉の複雑なシステムでしなやかさも生み出すのだ。なかでもヒトの「背骨」は特別だ。地面に対し“横”に進化していたものを“縦”に大転換。ひねりという回転軸まで作り二足歩行を可能にした。しかしその大きな進化は私たちに無視できないマイナス面ももたらしたという。「背骨」からヒトの根源を妄想する

  • S2023E15 “親と子” “ギリギリ”の子育て戦略

    • October 23, 2023
    • NHK

    「親と子」とは何か。多くの動物で千差万別にみえるが、子育て欲求の共通基盤が脳内で発見された。だがこれは育児放棄など生き残りのギリギリの戦略と裏表の関係にあることも判明。子育ての謎はさらに深まっている。そしてヒトは「共同養育」を行う珍しい存在。母親だけではない他者参加型の育児体験によって私たちは、性別によらない「親性脳」を獲得できることもわかってきた。人間らしさの原点でもある子育て。その未来を探る。

  • S2023E16 “体温” 熱して冷ます生存戦略

    • November 6, 2023
    • NHK

    「体温」は生存戦略だという。私たち動物は体を熱して、運動能力を高め神経伝達を活発にし、生存競争を勝ち抜いてきた。その一方、体温を極限まで下げて命を繋ぐ裏技「冬眠」。最新研究では人類も冬眠でピンチを切り抜けた可能性が高いという。さらに体温は老化や寿命と関係することも明らかに。そもそもヒトの深部体温はなぜ37℃なのか?その答えも体温に導かれた体内の化学反応から見えてくる。生命の謎を体温から妄想する。

  • S2023E17 “死の迎え方” ヒトの穏やかな死とは

    • November 20, 2023
    • NHK

    私たちはどのように「死」を迎えてゆくのか。それは本人ばかりか家族も悩む大きな問題だ。多くの人が長寿となり、死の風景も変わってきたという。近年増えてきたのが“老衰”。自宅や施設で見守られて亡くなる人も増えている。穏やかな最期を迎えるとき、肉体で何が起きているのか、その解析も進む。死を見つめる心のケア、家族と過ごす終末期など、対応する医療も変わりつつある。さまざまな現場から「死の迎え方」を考えてゆく。

  • S2023E18 “植物” 支配者は周りを動かす

    • December 10, 2023
    • NHK

    「植物」は、コミュニケーションの達人だ。虫が食んだりヒトが傷つけたり、身に危険が及ぶと、カルシウムイオンの電気信号でリアルタイムに伝え、防衛体制を発動させる。花や実は、他の生き物をあやつる魅力的な器官。土を這う根も多くの化合物を分泌し自らの仲間となる微生物を呼び集める。まんまとその魅力にハマったのが私たちヒト。8000種というポリフェノールなどの化合物も魅惑の物質だ。植物との奥深い関係を妄想する。

  • S2023E19 “土” 生命の星の小宇宙

    • December 25, 2023
    • NHK

    生命あふれる地球の秘密が「土」。火星や金星のような岩と砂の太古の大地に、5億年をかけ生命圏を築き、植物の進化、動物やヒトの生き方も「土」が決めてきた。その豊かさの結実が1000万種以上の微生物が“共に生きる”仕組み。生命のミクロコスモスともいえる土の「団粒構造」。「共生」を達成しようとする微生物の遺伝子戦略。岩石などの無機物と生命の相互作用で、地上に万物を生み出してきた。その未知なるチカラに迫る。

  • S2023E20 “左と右” 生命を左右するミステリー

    • January 8, 2024
    • NHK

    世の中の決まり事や言葉の中にごく自然に溶け込む「左右」。しかしそれは生命が進化を追いかけた、その副産物に過ぎないという。では「左右」は私たちに何をもたらしたのか?弱肉強食を生き抜く自然界には「左右」を駆使する、まさに「生死を左右する」世界が広がっている。さらに人間の左利きと右利きを調べてみると、全世界の傾向はほぼ1対9の比率で右利きが多い。実はここに、人間独自の進化をめぐる一大ミステリーがあった。

  • S2023E21 “記憶” 未来を切り拓く源泉

    • January 22, 2024
    • NHK

    「記憶」の実体が次々と明らかになってきた。いまや記憶は、物理的な痕跡として観察できる神経細胞のネットワーク。さらに記憶をつくるたんぱく質を操作することで記憶の書き換えや消去に成功させた研究者から驚きの言葉が…「記憶の本質は書き換え能力」。同じ体験でも人それぞれ記憶が違っていたり、思い出が美化されていくのも、実はその書き換え能力のおかげ。なぜ私たちは「記憶」を持つのか。記憶のメカニズムの意味に迫る。

  • S2023E22 “口腔細菌” 知られざる運命共同体

    • February 5, 2024
    • NHK

    お口の中に棲みつくのは200種あまりの「口腔細菌」。遺伝子による解析が進み、彼らの生態が明らかになってきた。強固な城を築くモノ、穴を掘って栄養を得るモノ、合コンもあれば、勢力争いも日常茶飯事。さまざまな駆け引きが繰り広げられている。その結果が、虫歯や歯周病、さらには全身疾患に現れる。そんな悪魔とヒトは約5万年前を境に、手を結び、新戦略をとってきた疑惑も浮上してきた。私たちの運命共同体の実像に迫る。

  • S2023E23 “ミトコンドリア” 最も古く 最も大切な友人

    • February 19, 2024
    • NHK

    教科書のイラストでおなじみの細胞小器官「ミトコンドリア」。実は、最新医療の突破口になるかもしれないと注目されている。驚くべきはその多機能性。生と死をつかさどり、病気も老化もミトコンドリアがその根幹に関わることがわかってきたのだ。いまから20億年前に細胞内共生という形で、ほぼすべての生命にすみ着いた数奇な運命、私たちにもたらした恩恵を、主人公ミトコンドリアのドラマとして映像化。その真の姿に迫る。

  • S2023E24 “ネコ” 奔放で気まぐれな謎の友人

    • March 11, 2024
    • NHK

    ヒトの心を捉える不思議な存在「ネコ」。自由奔放で人見知りなため、研究対象とすることは困難だった。しかし近年、科学者が知恵をしぼり、ネコの心の内が明かされようとしている。1万年の間、ネコはヒトと共に進化してきた。飛び抜けた身体能力をひも解けば、ヒトと共通するしぐさの秘密も見えてくる。ネコはヒトにどう近づき、ヒトはネコに何を求めているのか。ネコ研究の最前線から、ネコと人類の共存、そして未来を妄想する。

  • S2023E25 “グレートジャーニー” ヒトらしさの進化の足跡

    • March 18, 2024
    • NHK

    ホモ・サピエンスの原点は「グレートジャーニー」にある。アフリカで誕生した人類が約5万年前に壮大な旅を開始、全世界拡散を成し遂げた。その原動力はヒト特有の“発明”。極北の地へ大海原へと繰り出し、過酷な環境に安住することを可能にした。これは“進化”に匹敵する偉業であり、精神、知性、集団に関して、かつての人類とは違う根本的な何かが、この旅路の中で生じた結果かもしれないという。人類を知るためのその旅とは?

Season 2024 - 2024年度

  • S2024E01 「おいしさ」 ヒト進化のスイッチ

    • May 11, 2024
    • NHK

    私たちは「おいしいから食べる」という食習慣を持つ。これはヒトの大きな特徴だ。自然界の動物は肉食や草食など、基本的に偏食だ。ヒトのように何でも口にしているわけではない。そもそもヒトが感じる「おいしさ」は他の動物とは異なる次元にあり、食は人類の進化と社会発展の起爆剤になってきたという。その一方で「おいしさ」は病という苦悩ももたらした。私たちが手にした「おいしさ」という、「進化のスイッチ」を味わう。

  • S2024E02 “不安” ヒトが“自らつくった”進化のカギ

    • June 1, 2024
    • NHK

    ヒトは将来を予測する認知能力を獲得して「不安」を自らつくり出してしまう。こうした「不安」が実は進化の背中を押していた。アフリカから世界中に移り住んだグレートジャーニーや狩猟採集生活から農耕生活への変化にも「不安」を巧みに使った戦略があった。遺伝子の研究や「不安」に関わる神経物質・セロトニンの二面性、さらに「不安」が社会をつくっているといった研究まで、その起源と正体を「不安」と向き合う専門家と探る。

  • S2024E03 「たんぱく質」あなたの知らない生命の“本性”

    • July 6, 2024
    • NHK

    人体を構成する物質は水を除けばおよそ半分が「たんぱく質」。皮膚、髪の毛、心臓から脳にいたるまで、すべて「たんぱく質」で出来ている。さらに「たんぱく質」は細胞内をまるで意志があるかのように歩き回っているという。だからこそ私たちは体を動かすことができ脳を使って考えることができるのだ。地球生命に欠かせない物質「たんぱく質」。誰もがその名を知りながら何も知らないに等しい「たんぱく質」の本性を解き明かす。

  • S2024E04 「健康寿命」見えてきた謎のトライアングル

    • August 3, 2024
    • NHK

    健康上の問題で制限されることなく生活できる期間「健康寿命」。この健康寿命に関連して最先端研究を行うのがアメリカ、ワシントン大学の今井眞一郎さんのチームだ。今井さんは2000年、サーチュインと呼ばれる遺伝子が老化を抑える上で重要な役割を果たす可能性を報告し注目を集めた。そんな今井さんが今挑んでいるのが、健康寿命を支える「トライアングル」の謎。脳と筋肉、脂肪が密接に働くというものだ。その正体に迫る。

  • S2024E05 「すい臓」 寡黙なるヒト進化の同伴者

    • September 7, 2024
    • NHK

    “すい臓”は内臓の中でも最も見えにくい。胃の後ろに隠れるようにあるからだ。250年前『解体新書』が発行されるまで、日本ではすい臓の存在は知られていなかった。にもかかわらずいくつもの仕事を人知れずこなしている。中でも重要な働きをしているのが、すい臓が作るホルモン、インスリン。実は、ヒトの進化に欠かせない脳を維持するための機能があるという。その驚くべき正体とは?さあ、すい臓の声に耳を澄ませてみよう。

  • S2024E06 “水”唯一無二の生命の創(つく)り手

    • October 5, 2024
    • NHK

    専門家は言う。「水が大切だということは感覚的にはわかっていても、なぜ大切かと聞かれると答えるのは難しい」。最新科学によって水は生命をコントロールしていることがわかってきた。水をがんや認知症治療の切り札にしようという研究も進められている。その水が今、私たちに牙をむきはじめた。生命を脅かすような、激変する水環境に対しどう向き合えばいいのだろうか。今こそ、水という存在を見つめ直してみよう。