生涯に2人に1人がなる「がん」。実は私たちは、生まれながらに「がん遺伝子」を持ち、命を紡いでいる。例えば精子と卵子の受精の瞬間でも、体を成長させるために細胞が増えるときも、若さを保つ新陳代謝のときも「がん遺伝子」は欠かせない。時に命をはぐくみ、時に命を奪う「がん遺伝子」。それは37兆の細胞がコミュニケーションする多細胞生物の宿命でもあるのだ。細胞社会の秘密をひも解き、がんと戦うヒントを妄想する。