明治十一年、東京・下町。“神谷活心流”師範代の神谷薫は、その流儀の名を騙る辻斬り“人斬り抜刀斎”を追っていた。ある日の夜、薫は刀を持ち歩く一人の男と出会う。すかさず男を問い詰めるも、まるで戦う様子がない。「これがあの人斬り抜刀斎?」怪訝な様子の薫に、男は自らを“流浪人”緋村剣心と名乗る。
神谷活心流の名を騙った辻斬り騒動の解決から一週間。神谷道場の汚名は晴れたものの、薫の門下生は増える気配がない。そんな折、通りすがりの少年・明神弥彦が剣心の財布を盗む。盗まれた自分が悪いと財布を渡す剣心。子ども扱いの施しに反発する弥彦だったが、彼には金を集める理由があった。
剣心に心動かされ、スリから足を洗う決意をした弥彦。関東集英組への上納を断り抵抗するも袋叩きにされ、絶対絶命に。そこへ剣心が助太刀に入り、事を収める。自力で解決できなかった事を悔しがり、強くなりたいと願う弥彦。それを見た剣心は、弥彦を神谷道場へと連れて行く。
剣心・薫・弥彦が訪ねた牛鍋屋『赤べこ』で、酔っ払った自由民権運動の壮士らが議論を白熱させ、投げた銚子が剣心に当たって騒ぎになる。店に居合わせた男・相楽左之助が、見かねて立ち上がり、デコピン一発で民権壮士を吹っ飛ばす。左之助は、剣心の実力を見抜いて興味を示す。「俺の喧嘩買わねぇか?」
巨大刀剣・斬馬刀を軽々と振り回す左之助と対決する剣心。一撃ではものともしない異常な打たれ強さを誇る左之助に、剣心は連撃を打ち込む。地面に倒れる左之助。勝敗は決したかに見えた。だが左之助は意識朦朧とする中、勝利への執着の元となった十年前・赤報隊での過去を思い出す。
剣心の元に警察署長が依頼を持ち込む。元・維新志士を狙って斬殺を繰り返す殺人鬼『黒笠』を倒して欲しいと言うのだ。剣心と左之助は、斬奸状で殺害予告を受けた谷十三郎を護衛する。午前一時、予告されていた時刻に現れた黒笠。その正体は、幕末の頃より暗殺稼業で名を轟かせた浮浪人斬り・鵜堂刃衛であった。
人斬り抜刀斎だった頃の剣心の強さを知る刃衛は、薫を人質にして剣心の怒りを煽る。壮絶な戦いを繰り広げる二人。だがまだ剣心がかつての力を取り戻していないと踏んだ刃衛は、薫に対して二階堂平法『心の一方』をかけ、呼吸を封じてしまう。薫が窒息死するまであと二分―― 剣心の怒りは頂点に達する。
左之助の友人が阿片の過剰摂取で命を落とした。しかし阿片は禁止された麻薬である上、買うにも高価で一般人には手が出ない代物。なぜ、と訝しがる剣心と左之助の前に、謎の女・高荷恵が現れる。恵を捕まえんとする武田観柳の私兵を撃退する剣心たち。しかし恵は阿片を持っていて……。
恵を匿っていた神谷道場を、御庭番衆の一人・火男が急襲。口から火を吐く必殺『火炎吐息』で剣心と左之助を攻撃する。強力な中位隠密の登場に剣心らの負けを予期した恵は、その場から逃げようとする。そんな恵を引き留める薫。「あなたの為に闘ってるのよ」そう言って、剣心の強さを信じるよう話す。
御庭番衆の追手は一週間以上現れず、恵も神谷道場の一行と馴染み始めた。だが左之助だけは、友を死なせた阿片の作り手が恵であった事実に納得がいかず、苛立っていた。そんなある日、恵が突然いなくなる。自らの意思で去った旨が置き手紙に書かれていたものの、不自然と踏んだ剣心らは恵を狙っていた武田観柳邸へと向かう。
観柳邸で恵を奪回すべく奔走する剣心・左之助・弥彦。彼らの前に立ち塞がったのは、御庭番衆の密偵方・般若。拳法家としての実力と『伸腕の術』で剣心を翻弄するも、戦いの中で術の秘密を暴いた剣心は見事攻略してみせる。勝負ありかと思われた時、般若は自らの面を外し、驚愕の素顔を見せる。
剣心は遂に御庭番衆の頭・四乃森蒼紫と対峙する。幕末、無血開城によって戦えぬまま役目を終え、存在意義を失った異形の戦闘狂たち=御庭番衆。その無念を持て余し、ひたすらに最強の称号を追い求める蒼紫。かつての維新志士として、大義なき争いを許せない剣心。幕末に殺しを生業とした二人が、プライドをかけて激突する。
観柳は剣心を殺すべく、配下だった御庭番衆もろとも狙ってガトリングガンで銃弾の雨を降らせる。その凶行を前に、御庭番衆は各々の能力を駆使してガトリングガンに対抗。この一時において、彼らと剣心の目的は一つになった。剣心と御庭番衆は手を組み、圧倒的な力を持つ近代兵器に挑む。
神谷道場唯一の門下生である弥彦が、時々稽古を抜け出すようになった。本人は「ただの散歩だ」と言うが、剣術の修練には真面目に打ち込んでおり、サボりとは思えない。気になる剣心・薫・左之助は尾行して理由を突き止めることにする。弥彦の本当の目的とは一体?
出稽古で前川道場にやってきた薫と剣心、弥彦。薫の稽古は他流の門下生にも好評で、道場は活気付いていた。そこへ石動雷十太という剣豪が乱入してくる。剣術の行く末を憂いていると言い、真剣しか持たぬその男は、竹刀での試合では話にならないと見下す。道場破りをさせまいと、師範の前川が雷十太の相手をするが……。
殺人剣としての剣術を再興したい雷十太は、それを否定する剣心を敵とみなす。真剣での勝負を仕掛けるが、剣心の一撃が雷十太の刀を折ったことでその場は収まる。日が変わり、雷十太の弟子を名乗る少年・由太郎が神谷道場へとやってくる。犬猿の仲である弥彦に勝負を挑むためだと言うが、由太郎の竹刀の持ち方はデタラメで……。
雷十太の剣を受けた由太郎は、右腕に重傷を負い、二度と剣が振れなくなってしまう。由太郎と喧嘩ばかりしていた弥彦だが、彼の剣術にかける想いは誰よりも知っている。弥彦は由太郎の手を取り、剣心と雷十太の決闘を見届けに診療室を出る。夜の林道で、怒りの剣心と雷十太の対決が始まった。
左之助はいつもツケにして食べている牛鍋屋・『赤べこ』の妙から錦絵の買い出しを頼まれ、絵草紙屋に出向く。絵草紙自体には興味がなかったが、店で彼は一枚の絵を見つける。それは赤報隊時代に師と仰いだ、相楽隊長が描かれた絵だった。左之助は目の色を変え、その絵を描いた絵師に会いに行く。
十年越しに赤報隊の無念を晴らそうとする津南。左之助はその想いに同調し、内務省に攻撃を仕掛ける津南と行動を共にする。だが、建物の中にはそれを食い止めるべく待ち構える剣心がいた。赤報隊の頃と同様に立ちはだかる元・維新志士に対し、闘志を燃やす津南。炸裂弾の攻撃が剣心を襲う。
茶を飲んで団らんのひと時を過ごす剣心たち。剣心は面白い旅の話でもないかとせっつかれる。皆の希望をまとめると、「珍しくて、楽しくて、悪人を成敗した話」。そう言われた剣心が語ることにしたのは、外国人の慰留地として賑やかな横浜での出会い。エルダーという名の、常に仮面を被った外国人医師との物語。
人斬りの過去を断ち平和な世を願う剣心は、奇異な目で見られようとも健やかな世を望む医師エルダーの想いに共感していた。その頃、無報酬で治療するエルダーを商売の邪魔と感じていた医者・石津泥庵が、西洋剣術の使い手・エスピラールを雇う。泥庵は彼にエルダーの始末を依頼するが、エスピラールには依頼とは別の目的があった――。
剣心はかつて維新志士として敵対した新撰組を夢に見る。人斬り抜刀斎だった彼が決着をつけられぬほどの手練だった者達である新撰組。なぜ今こんな事を思い出したのか、と剣心は訝しむ。そんな折、剣心・薫・弥彦が留守の間にある男が神谷道場にやってくる。特徴的な目をしたその男は、たまたま居合わせた左之助に、薬売り・藤田五郎と名乗るが……。
赤末有人との戦いを制した剣心は、神谷道場で斎藤一と再会する。警官・藤田五郎として訪ねてきた一のことを、薫たちは警戒することなく招き入れたのだ。剣心たちのその甘さを糾弾する一。剣心が人斬りから退いた十年間、殺し屋として殺意と腕前を研ぎ澄ましてきた一の刀が、牙を剥く。
剣心に一を仕向けたのは、元薩摩藩の志士にして内務省の長・大久保利通であった。人斬り抜刀斎の実質の後継者であったある男が京都で暗躍しており、止めてほしいというのだ。その男は十年前、彼を危険視した政府から――つまり、同志の手により抹殺されたはずだった。その暗殺を依頼された剣心の答えとは……?
志々雄との戦いを決意し、神谷道場を去った剣心。誰一人戦いに巻き込まぬよう、独り、東海道を歩いて京都へ向かう。東京に残された神谷道場の面々。剣心に別れを告げられた薫は哀しみに暮れ塞ぎ込む。一方、剣心を追い京都へ向かおうとする左之助と弥彦の前に、「お前等の出る幕じゃない」と一が立ちはだかる。
一人東京に残った恵は神谷道場で、剣心との再戦を求めてやってきた蒼紫と遭遇する。恵に剣心の居場所を問う蒼紫。しらを切ろうとする恵に対し、蒼紫は「答えないなら、殺す」と迫るが、その時、ある男が現れる。一方、京都へ向かう剣心は箱根山の森の中で、ある少女に出会う。
森の中で出会った少女・巻町操は蒼紫たち隠密御庭番衆を探して京都から来たという。蒼紫たちの名を耳にして驚く剣心。その反応を見た操は、蒼紫の居場所を問いただすが、剣心はかたくなに口を閉ざす。しかし次第に操の蒼紫に対する想いに心を打たれ、ついに京都までの道を共にすることにしたが……。
三島兄弟が逃げ出してきた、『新月村』に足を踏み入れる剣心たち。そこは志々雄の配下・尖角により統括され、暴力に怯え従うことしかできない村人たちによって、荒廃し異様な雰囲気に包まれていた。村の現状を聞きつけ訪れていた一とともに、志々雄が逗留するという館へ向かう剣心。その裏で、栄次は尖角への敵討ちに心を燃やしていた。
尖角を倒し、ついに志々雄と対峙する剣心。しかし、志々雄は不殺の戦い方にがっかりしたと言い、側近の瀬田宗次郎に剣心の相手を任せ、同じく側近の駒形由美とその場をあとにする。志々雄を追うため、剣心は宗次郎と向かい合う。勝負は抜刀術の打ち合い、神速同士の対決になるが……。
迷いながら森の中を進み、京都へ向かう左之助。道中で、修行中の破戒僧・悠久山安慈と出会う。すさまじい衝撃を放つ安慈の技を目の当たりにした左之助は、安慈が10年の歳月を経て習得した、破壊の極意『二重の極み』を教えてもらうことに。安慈が提示した条件は、ひと月で習得すること。できなければ、死んでもらうという。過酷な条件に対し、左之助は一週間で習得すると宣言。左之助の命をかけた修行が始まる——。
京都に到着した剣心と操は、料亭『葵屋』の前で、操の育ての親の『翁』こと柏崎念至に出迎えられる。すぐに剣心を抜刀斎だと見抜く翁に剣心は驚くが、その正体は、元隠密御庭番衆の一員だった。力を貸すという翁に、剣心は人探しを頼む。一方、同じく京都に到着した薫と弥彦は、京都の街中で蒼紫の姿を目にする。
折れた逆刃刀の代わりを求め、刀匠・新井赤空の息子、青空を訪ねた剣心だったが、青空はすでに刀造りをやめていた。平和を好む青空の考えを尊重し、刀造りの依頼を諦める剣心。一方、志々雄の拠点では、十本刀の佐渡島方治が志々雄に剣心の動向を報告していた。二人の会話から赤空最後の一振りが剣心の手に渡っていないことを知った十本刀の沢下条張は、青空一家のもとに赴く。
十本刀の中でも“刀狩”と称され、数々の奇剣を操る張。対して折れた逆刃刀で戦う剣心は苦戦を強いられるが、青空の息子・伊織のため、そして新時代の平和のために命がけで戦い続ける。「時代を創るのは『刀』でなく、それを扱う『人』でござる」という剣心の言葉に心を動かされ、ついに青空は赤空最後の一振りを剣心に託すことを決意する――。
時は遡り、慶応四年。寂れた神社の社殿で高熱に苦しむ剣心。新政府軍の敗残兵狩りたちによる不穏な会話を耳にして、刀を握る手に力が入る。敗残兵狩りが立ち去り、眠りに落ちた剣心は、夢の中で赤空の言葉に葛藤する。目が覚めると、元・岡っ引きの義壱と、その妻の皐月の家で介抱されていた。これは人斬りの過去を背負う剣心が、初めて逆刃刀を振るう物語。
新しい逆刃刀を手に入れた剣心。青空一家を戦いに巻き込んでしまったこともあり、再び危険を招き入れる前に葵屋を去ることに。一方、薫と弥彦が働く牛鍋屋『白べこ』を訪れた操は、剣心をさがす薫と出会う。その頃、翁は剣心に頼まれていたもう一人の探し人の居場所を突き止め、知らせの狼煙を上げる。
飛天御剣流の師である比古清十郎の小屋で、剣心と再会した薫たち。薫たちから剣心が流浪人として人助けをしながら各地を回っていたことを聞いた清十郎は、剣心に飛天御剣流最後の奥義を伝授することを決意する。その裏で、翁はとある人物からの手紙を受け取る。差出人は、かつての同志・蒼紫だった。