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All Seasons

Season 1

  • S01E01 暗剣白梅香

    • July 12, 1989
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    天明八年、ときの老中筆頭・松平定信が“鬼平”こと長谷川平蔵(中村吉右衛門)の火付盗賊改方の長官を解任したのは、より重要な役職に登用するためであった。しかし、江戸の町は鬼平が解任されてから急激に凶悪化。中でも一連の辻斬りは、その非情さと斬り口のすさまじさで、江戸市民を震えあがらせていた。京極備前守(仲谷 昇)の命により長官に復帰した平蔵は、ある夜、刺客に襲われる。獣のような殺気と鋭い太刀さばきから、江戸に出没する謎の辻斬りと同一犯であることを見抜く平蔵。だが、なぜ自分が狙われたのか。暗闇に消え去った刺客は、女を思わせる甘美な香りをまとっていた。平蔵はそのにおいを手がかりに身元を探り始める。やがて白梅香という、におい油を買う浪人・金子半四郎(近藤正臣)の存在をつきとめる。金子は十六歳のときに父を殺されており、その仇を探すために刺客となっていた。平蔵は、自らおとりとなって見回りに出かけ、金子をおびき出す作戦に出る。

  • S01E02 本所・櫻屋敷

    • July 19, 1989
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    本所界隈へと市中見回りに出た平蔵(中村吉右衛門)は、旧友の岸井左馬之助(江守 徹)、相模の彦十(江戸家猫八)と再会する。平蔵は彦十からの情報で、先日取り逃がした盗人・小川や梅吉(遠藤征慈)が、御家人・服部角之助(水澤心吾)の屋敷にいることを知った。梅吉の犯行は、金を強奪したうえに家人のすべてを惨殺し、ときには火をつけるという凶悪無残なものであった。その梅吉と悪事でつながっていたのは、今は服部の妻で、平蔵と左馬之助にとっては、かつて競い合うほどに憧れていた、おふさ(萬田久子)だった。左馬之助は、そんなおふさのことを今もあきらめきれず、妻も子も持たずにいた。平蔵は、梅吉の一味が服部と悪事を企てているとにらみ、一網打尽にするため見張りをつけさせ、さらに、おふさのことを調べ始める。おふさは、呉服問屋の「近江屋」に嫁いですぐに身ごもった子供を死産、ひと月もしないうちに今度は主人まで亡くしていたのだった。平蔵らは服部の屋敷に踏み込み、企みを暴く。

  • S01E03 蛇の目

    • July 26, 1989
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    五十海の権平(山本 弘)をはじめ、名うての盗っ人たちが平蔵(中村吉右衛門)の手にかかっていた。捕縛をまぬがれた盗賊たちは恐れおののき、江戸を去る者があとを絶たなかった。ある日、平蔵と木村忠吾(尾美としのり)は、そば屋でひとりの男に出会う。物腰は柔らかいが、平蔵をうかがうその目には鋭い憎悪が見てとれた。男の名は蛇(くちなわ)の平十郎(石橋蓮司)。名前の通りの執念深い男で、その手口は水際立っており、大口の盗みばたらきを続けていた。一年、二年とかけて盗みを企てている間、組む相手や手下にさえ顔を見せようとしない抜け目のない大盗っ人であった。平十郎が次に狙うのは、将軍家に取り入り御典医にまで成り上がった千賀道有(福中勢至郎)の屋敷。その金蔵から一万両を盗み、江戸で大仕事をやってのけることで、平蔵たちの顔に泥を塗る魂胆だった。平十郎の企みが自分への挑戦だと悟った平蔵は、慎重に調べを進めていく。

  • S01E04 血頭の丹兵衛

    • August 2, 1989
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    江戸の町に、殺りくと略奪を重ねる神出鬼没の盗賊が出没していた。それは、血頭の丹兵衛(日下武史)の一味と目された。だが、平蔵(中村吉右衛門)らは、なかなか丹兵衛の手がかりをつかめずにいた。そんなある日、伝馬町の牢屋につながれていた小房の粂八(蟹江敬三)という男が、丹兵衛のことで平蔵に面会を求めてくる。かつて粂八は、丹兵衛の手下だったのだ。粂八は、一連の凶行は偽の丹兵衛の仕業だと主張。丹兵衛の仕事には『人を殺さず、貧乏人は襲わず、女は犯さず』の掟があるといい、偽物を捕まえる手伝いをしたいと申し出てきた。平蔵は粂八を解き放ち、密偵として真犯人を探らせる。やがて、盗賊の一味が東海道の島田宿に集まるとの情報を得て、酒井祐助(篠田三郎)、沢田小平次(真田健一郎)、竹内孫四郎(中村吉三郎)、粂八らが向かった。そんな中、江戸の町に血頭の丹兵衛を名乗る者が現れ、誰も殺めず、いつ押し入ったかもわからない見事な盗みをやってのける。

  • S01E05 血闘

    • August 9, 1989
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    平蔵(中村吉右衛門)の屋敷に、おまさ(梶芽衣子)という女が訪ねてきた。おまさは、若かりしころの平蔵が、まだ『本所の銕(てつ)』の名で通っていたころに馴染みだった居酒屋の娘で、酔いつぶれた平蔵に卵酒を作って出したりと、何かと面倒をみてくれたのであった。聞けば、今は札差「大月」で住み込みとして働いているという。だが、その実態は吉間の仁三郎(磯部 勉)という盗賊の引き込み役であった。恩あってさからえずにここまで言うことを聞いてきたが、それは人ひとり傷つけない盗みだったからこそ。今回の仕事は、用心棒を迎えたため皆殺しにするという。その凶悪さに足を洗う決意をしたおまさは、すべてを平蔵に話した。その日から、おまさは平蔵の密偵として働くことになった。早速、大月に戻ったおまさは、仁三郎から盗みの決行日を聞き出そうとするのだが、その行動がかえって怪しまれ、火付盗賊改方の密偵であることがばれてしまうのだった。

  • S01E06 むっつり十蔵

    • August 16, 1989
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    紙問屋の「大和屋」が襲われ、主人の勘兵衛夫妻をはじめ奉公人が皆殺しにされた。当時、その手口の残虐さで江戸の市民を震えあがらせていた怪盗に、掛川の太平(浜田 晃)と呼ばれる男を首魁とする一団がいた。平蔵(中村吉右衛門)は、大和屋の現場を一目見て太平一味の仕業に違いないと判断。現場の手がかりから、賊のひとりと思われる助次郎(河野 実)という男が浮かぶ。平蔵は助次郎のことを、部下の小野十蔵(柄本 明)に探らせた。十蔵は、正直者ではあるのだが、仲間内で『むっつり十蔵』とあだ名されるほど、目立たず風采のあがらない男。出世街道とは縁がなく、いつも緊張で震えていた。助次郎の家に向かった十蔵は、そこで身重の妻・おふじ(竹井みどり)が、別れを切り出した助次郎を絞殺するところを目撃する。おふじの身の上に同情した十蔵は、おふじをかくまってしまうのだった。不器用な十蔵に手柄を立てさせてやろうと考えていた平蔵は、情けが仇にならなければよいのだが、と心配する。

  • S01E07 明神の次郎吉

    • August 23, 1989
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    明神の次郎吉(ガッツ石松)は、関東から奥州にかけて名の通った大盗賊、櫛山の武兵衛(土屋嘉男)の右腕であった。盗っ人でありながら、人が良くつい善行にも手を貸してしまう風変わりで、妙に愛嬌のある男だった。次郎吉は、武兵衛から呼び出しを受け、骨休みをしていた故郷の下の諏訪から江戸へ向かっていた。道中、病に倒れた旅僧の遺言を受け、形見の短刀を江戸のある武士に届けてやることに。その武士とは、平蔵(中村吉右衛門)の剣友、岸井左馬之助(江守 徹)だった。左馬之助は次郎吉をもてなそうと、本所の軍鶏鍋屋「五鉄」に招待する。五鉄は、親子二代にわたって平蔵と浅からぬ縁があり、主人の三次郎(藤巻 潤)も何度となく平蔵のために働いていた。そこで、密偵のおまさ(梶芽衣子)は次郎吉の姿を見かけた。実はその昔、おまさも武兵衛の配下だったのだ。次郎吉のあとをつけたおまさは、武兵衛一味が動き出そうとしていることをつかむ。

  • S01E08 さむらい松五郎

    • August 30, 1989
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    平蔵(中村吉右衛門)の部下、山口平吉(板東八十助)がその男に出会ったのは、父母の墓参りの帰り、目黒不動門前の飴屋「桐屋」に立ち寄ったときである。桐屋の黒飴は平蔵夫人・久栄(多岐川裕美)の大好物、手土産に求めるためだった。山口に声をかけたのは、須坂の峰蔵(赤塚真人)。知らない顔だったが、山口が話を合わせていると、自分のことを七年前に湯屋谷の富右衛門のところで一緒に盗みをした網掛の松五郎(坂東八十助/二役)と間違えているようだった。どうやら山口は松五郎と瓜ふたつのようだ。松五郎は役者あがりでいつも侍の風体をしており、浪人や大名家の家臣になりすまして盗みを働くところから『さむらい松五郎』の異名がついていた。峰蔵は、ろくろ首の藤七(深江章喜)の手下だが、残忍なやり口に嫌気がさし、松五郎の下で働きたいと言い出した。平蔵にそのことを伝えた山口は、松五郎として芝居をし、ろくろ首一味を探るよう命じられる。

  • S01E09 兇賊

    • September 13, 1989
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    ひとりばたらきの老盗賊・鷺原の九平(米倉斉加年)は、四十年ぶりに故郷である加賀の国、金沢近くの田近谷村に帰ってきた。死ぬ前に一度だけ故郷を見たいという望郷の念にかられてのことだった。今は赤の他人が暮らしているかつての家で、水を一杯だけ馳走になり、かわらぬ村の景色を一目見て満足し、その日のうちに故郷をあとにした。江戸に戻る途中、加賀越中の国境、倶利伽羅峠で、九平は、ふたりの男が長谷川平蔵(中村吉右衛門)暗殺の密談をしているのを聞いてしまう。その男たちは、大盗賊・網切の甚五郎(青木義朗)と、その片腕・文挾の友吉(江幡高志)だった。江戸に戻った九平は、表の商売である居酒屋「加賀や」の店主として店に出る。そこへ、店の芋酒の評判を聞きつけ、着流し姿の平蔵が訪れた。九平は、平蔵の温かな人柄にすっかり惚れ込んでしまった。その後、平蔵の素性を知った九平は、偶然、友吉の姿を見かける。九平は甚五郎一味の隠れ家を探り、見張ることに。平蔵暗殺の企ては目前に迫っていた。

  • S01E10 一本眉

    • September 20, 1989
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    茶問屋の亀屋久右衛門方が押込みに襲われた。主人の久右衛門以下が虐殺され、金蔵からは七百八十両が強奪された。金蔵の錠前は鉄製であったが、すぱっと見事に切断されていた。この手口に覚えのあった平蔵(中村吉右衛門)は、『一本眉』の異名を持つ清州の甚五郎(芦田伸介)に行き当たる。この鮮やかな錠前の扱いは、一本眉のやり方そのものだった。そのころ、密偵のおまさ(梶芽衣子)は偶然、甚五郎と再会していた。おまさは昔、甚五郎に仕えていたのだ。甚五郎は、おまさに次の盗みを手伝ってほしいと持ちかけた。話を持ち帰ったおまさは、平蔵に報告。そこで、亀屋の一件は、一本眉がやったものではないと進言した。一本眉は、急ぎばたらきを何よりも嫌う男であった。ことの真相は、甚五郎を裏切った元配下の佐喜蔵(藤岡重慶)の仕業だったのだ。浪人に変装した平蔵は、佐喜蔵に命を狙われた甚五郎を助ける。その正体が鬼平とは知らない甚五郎は、すっかり平蔵のことを気に入ってしまう。

  • S01E11 狐火

    • September 27, 1989
    • Fuji TV

    市ヶ谷・田町の薬種屋、山田屋孫兵衛方が襲われた。一家十七人が皆殺しにあった。叫び声をたてられぬように、まず、こん棒のようなもので頭を殴りつけ、気絶したところを刃物で刺すという卑劣なやり口だった。家の中に色刷りされた狐火札が貼りつけてあったことから、狐火の勇五郎(速水 亮)の仕業と思われた。狐火の一味は、平蔵(中村吉右衛門)と密偵のおまさ(梶芽衣子)に縁があった。平蔵は、暴れ放題の若かりしころ、泥棒と正体を知りつつ先代と付き合いがあり、おまさは勇五郎と恋仲になりながら掟によって別れた過去があったのだ。ふたりが知る狐火の一味は、決して残虐なことはしない。内偵を続けるおまさは、ある日、元狐火一味、瀬戸川の源七(垂水悟郎)と出会う。そして、勇五郎と十年ぶりの再会を果たした。勇五郎が言うには、弟の文吉(伊藤 高)が二代目狐火を語り、押し込みと殺しを続けているという。平蔵は、文吉に二度と狐火を名乗らぬよう説得しようとする勇五郎を泳がせる。

  • S01E12 兇剣

    • October 11, 1989
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    長谷川平蔵(中村吉右衛門)は、久しぶりに父の墓参りをかねて京都を訪れていた。ゆっくり骨休めの京見物のつもりが、ひょんなことから盗賊の虫栗の権十郎(山口博義)とその一味の手がかりをつかみ、急報を受けた京都西町奉行所与力、浦辺彦太郎(井川比佐志)の出動でお縄にした。彦太郎は昔、平蔵が世話になった浦辺源六郎の長男であった。そんなある日、平蔵は京の町で男に追われていた娘・およね(長谷川真弓)を助けた。およねは、奈良の大和、大泉村の出身で、大坂にある大店「出雲屋」に奉公に出ていた。出雲屋の主人、丹兵衛(藤岡琢也)の裏稼業は、凶悪な盗賊・高津の玄丹であった。およねは、丹兵衛の正体を知ってしまったために、命からがら逃げていたのだ。およねを襲ったのは、一味のひとり、伝五郎(粟津 號)であった。丹兵衛は、およねがかくまわれたことを知り、平蔵もろとも始末するため、刺客として大河内一平(大前 均)らを雇い、伝五郎ほか手下とともにあとを追わせた。そのころ平蔵は、およねを伴い、浦辺、木村忠吾(尾美としのり)と奈良に向かっていた。平蔵は、追っ手の動きを知るにつけ、丹兵衛には、何か別の魂胆があると踏む。そして、およねの話から、少しずつ謀略の全貌に近づいていくのであった。

  • S01E13 笹やのお熊

    • October 18, 1989
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)の役宅に、お熊(北林谷栄)という老女が訪ねてきた。お熊は、若き平蔵が無頼時代に世話になった女であった。話によれば、弥勒寺の下男、茂平(北原将光)から遺言を託されたという。茂平は昨晩、命を落としていた。その遺言というのは、ひとつは千住の畳屋、庄八(早川純一)に自分が死んだと伝えること、もうひとつが神奈川宿の塩売り牛松の家にいる、孫のおみつに金の入った胴巻きを届けることだった。胴巻きには五十八両もの金が入っていた。お熊は、わけありの大金とみて平蔵を訪ねたのであった。寺には、火災に備えて土地の人間や檀家が預けていた財産があった。平蔵は、その財産を狙い盗賊一味が暗躍しているのではないか、茂平はその引き込み役で、畳屋の庄八も一味なのではとの疑いを持つ。そこで、平蔵、沢田小平次(真田健一郎)、密偵・小房の粂八(蟹江敬三)が見張りにつく形で、まずは遺言通りに、お熊を庄八のもとに向かわせる。

  • S01E14 あきれた奴

    • October 25, 1989
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    岡村啓次郎(中村橋之助)は非番であったが、この日ばかりは同心全員が招集された。凶悪な日影の長右衛門一味を捕えるため、平蔵(中村吉右衛門)が万全を期してのことだった。大捕物は、いつになく苦戦を強いられるが、見事、捕縛。平蔵は岡村の無事を確認し、すぐに家に帰した。愛妻のみつが出産を控えていたのだ。だが、病弱のみつは出産に耐えることができず、岡村は母子ともに失ってしまう。以来、岡村は好きな酒を断ち、捕物ではいかなる危険をもかえりみず、率先して盗賊に向かっていくようになる。そんなある夜、岡村は身投げ寸前のおたか(長谷直美)とその娘を助けた。ふたりは、十日ほど前に捕えた二人組の盗賊のひとり、鹿留の又八(平泉 成)の妻子だった。岡村は、妻子と会わせるかわりに逃げた相棒の居所を教えるよう持ち掛け、無断で又八を牢から連れ出すが、まんまと逃げられてしまう。だが、平蔵は、そこにひとつの賭けがあることを感じ取っていた。

  • S01E15 泥鰌の和助始末

    • November 1, 1989
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    日本橋の木綿問屋「角屋」の金蔵に『盗み細工』が見つかった。盗み細工とは、大工になりすました盗賊が、後日忍び込むために、普請の最中に抜け穴などの細工を施す仕掛けのことである。仕掛けは、盗人仲間に売りつけられることもあった。平蔵(中村吉右衛門)は、金蔵の普請に関わった者をすべて調べさせた。すると、ひとりだけ行方知れずの渡り大工がいた。盗み細工の名人、泥鰌の和助(財津一郎)である。平蔵は、角屋から目を離さぬよう酒井祐助(篠田三郎)に命じた。そんなある日、紙問屋「小津屋」の手代・磯太郎(山崎有右)が、主人である源兵衛(南条好輝)の罠にかけられ自殺する。磯太郎は、昔の仲間に預けた、和助の実の子だった。息子の死の真相を知った和助は、怒りに火がつき、かつて盗み細工を施した小津屋への盗みを計画する。平蔵は、妻・久栄(多岐川裕美)のふとした気づきから、和助と小津屋の関係をつかみ、その狙いを知るのだった。

  • S01E16 盗法秘伝

    • November 29, 1989
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    平蔵(中村吉右衛門)は、叔母の法要のため遠州・浜松へ赴いた。帰りは、木村忠吾(尾美としのり)と別れ、気ままな一人旅をすることに。すると、行商風の男・善八(フランキー堺)が、平蔵に声をかけてきた。自らを木村平蔵と名乗り適当にあしらうのだが、善八はなかなか離れようとせず、行く先々についてくる。その日は、なんとか善八をまいて見附の宿に泊まった。夜半、ふと気配に気づき目を覚ました平蔵は、向かいの宿から、善八が黒装束で身軽に屋根から飛び下りていくのを目撃。翌朝、近くで泥棒があったと騒ぎになっていた。善八は自らが、ひとりばたらきの盗賊であることを明かし、平蔵のことを見込んで、盗みを手伝ってほしいと言い出した。町を仕切っている悪党の酒問屋「升屋」に忍び込む手はずだという。善八によると、平蔵の人柄は盗っ人にぴったりとのこと。善八の指南を受けながら、言われるままに升屋に忍び込み、ふたりはまんまと金箱ひとつを盗み出した。

  • S01E17 女掏摸お富

    • December 6, 1989
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    平蔵(中村吉右衛門)は、密偵・相模の彦十(江戸家猫八)とともに、久しぶりに母の実家である巣鴨の豪農・三沢仙右衛門(北村和夫)の家を訪ねた。のっぺい汁を堪能し、仙右衛門と王子権現に参詣しようと向かっているところで、あごにほくろのある女(坂口良子)とすれ違った。仙右衛門は、あれは笠屋の女房・お富だが、ほくろはないはずだと言う。彦十から、あごにほくろのある女スリのことを聞いたことを思い出した平蔵は、翌日、お富を尾行する。すると、見事な早業で、続けざまに三人から財布を抜き取ったのだ。平蔵は、お富から糸をたぐっていけば、意外な大物に当たるかもしれないと内偵を続けさせた。お富は、卯吉(中西良太)と所帯を持ち、幸せな日々を送っていた。だが、かつて江戸市中でもそれと知られたスリの元締、霞の定五郎(睦 五朗)の娘だった。お富は、昔の仲間である岸根の七五三造(片桐竜次)から、百両用意しないとその素性をばらすと脅されていたのだった。

  • S01E18 浅草・御厩河岸

    • December 13, 1989
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    平蔵(中村吉右衛門)は、甲州・石和に出張り、大盗・鶍(いすか)の喜左衛門(高並 功)一味を捕えた。その際、腕を買われてはるばる江戸から招かれていた錠前外しの松吉(本田博太郎)もお縄を受ける。平蔵は、正直で孝行者の松吉を放免し、密偵とした。松吉は、浅草の御厩河岸で飾り職に打ち込むかたわら、同心・酒井祐助(篠田三郎)の忠実な手足となって働いた。また、お梶(浅利香津代)と所帯を持ち、平穏な日々を送っていた。そんなある日、松吉のもとに諸国を股にかけた大盗賊、海老坂の与兵衛(岩井半四郎)から、錠前破りの依頼がくる。与兵衛は、盗賊ながら仁義に厚く『盗む者も泣きを見ず、盗まれる者も泣きを見ず』が流儀の、その世界では一目置かれる男。そのことを知った病床の父、元盗っ人の卯三郎(田武謙三)は、やるべきだと松吉の背中を押す。平蔵と与兵衛の間で板挟みになる松吉。そのころ、すでに平蔵のもとにも与兵衛が江戸に現れたとの報せが入っていた。

  • S01E19 むかしの男

    • December 20, 1989
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    平蔵(中村吉右衛門)は、幕府の命により甲州・韮崎に出張していた。甲斐、信濃の二州に渡って猛威をふるっていた凶賊、犬目の伝次郎(藤原 真)の逮捕がその目的だった。そんなある日、平蔵の留守を守る妻・久栄(多岐川裕美)のもとに一通の手紙が届いた。差出人の名は、近藤唯四郎(鹿内 孝)。かつて久栄を口説き、捨てた男であった。平蔵と同じ、本所の旗本の出でありながら、人を殺めるなどして身を持ち崩し、今では盗賊の用心棒に成り下がっていた。近藤の狙いは、久栄の過去をネタに、捕えられた盗賊のひとり、砂吉(きくち英一)を釈放することだった。久栄は、毅然として要求をはねつけた。だが、近藤は盗賊の一味らとともに、久栄の姪・妙(三宅香菜)と、女中・しの(松島ゆみこ)を誘拐。期限までに久栄ひとりで砂吉を連れてこなければ、ふたりの命はないと脅迫してきた。意を決した久栄は、火付盗賊改方の御用部屋に向かうのであった。

  • S01E20 山吹屋お勝

    • January 10, 1990
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    平蔵(中村吉右衛門)の従兄、巣鴨の長者・三沢仙右衛門(北村和夫)が年甲斐もなく、料理茶屋「山吹屋」の茶くみ女・お勝(風祭ゆき)に入れあげ、嫁にしたいと言い出した。お勝の人となりを知るため山吹屋に向かった平蔵は、その身のこなしにどこか不審なものを感じ、密偵・関宿の利八(森次晃嗣)に素性を探らせた。女の顔をひと目見て、利八は驚愕する。それは、かつて利八が愛した女・おしのだった。夜兎の角右衛門(五味龍太郎)の下で盗賊だったころ、利八とおしのは御法度と知りながら恋仲になり、利八は指をつめていたのだった。おしのは、今はお勝と名前を変え、極悪非道の盗賊・霧(なご)の七郎(菅貫太郎)一味の引き込み役となっており、仲間の政(森田順平)と愛し合っていた。それを知った利八は、お咎め覚悟で、おしのと政を残忍な霧の七郎のもとから逃がそうと、ひとり奔走する。利八は今も、おしののことを思っていた。

  • S01E21

    • January 17, 1990
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    平蔵(中村吉右衛門)の剣友・岸井左馬之助(江守 徹)は、三国峠で五郎蔵(綿引勝彦)という男が襲われるところを見かけた。五郎蔵の兄弟分・五井の亀吉の息子、与吉(浜田隆広)が、五郎蔵を親の仇と思い込み襲ってきたのだ。もみ合ううちに与吉は転落、命を落としてしまった。亡骸を埋めてやる五郎蔵。その様子を見て、左馬之助は五郎蔵が盗賊なのではないかと、江戸まであとをつけた。話を聞いた平蔵が調べを進めると、男は名のある盗賊・大滝の五郎蔵だった。盗っ人気質がすたれ、稼業に嫌気がさして足を洗っていたのだが、病床に伏しているかつての配下・文助(草薙良一)と、遊女に身を沈めていた妻のお浪(浅見美那)を助けるため、再び盗みに手を染めようとしていた。そんな中、五郎蔵はかつての仲間・小妻の伝八(井上博一)が、親の仇は五郎蔵だと与吉に言っていたことを知る。内偵を進め、一味を一網打尽にするべく采配をふるっていた平蔵は、そうした事情を知り…。

  • S01E22 金太郎そば

    • January 24, 1990
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    江戸っ子たちの間に、威勢のいい彫り物が流行りはじめたころのこと、まだ女の彫り物は珍しかった。「金太郎そば」の女主人・お竹(池波志乃)は、片肌脱いで自慢の彫り物を見せながら出前のそばを運び、そば職人・由松(潮 哲也)の打つそばのうまさも相まって評判となっていた。そんな中、醤油酢問屋「横田屋」に盗賊が忍び込み、八十五両が盗まれた。主人の伊太郎(山内としお)は、気づかぬうちにもとどりを切られ、ざんばら頭になってしまった。そこには藁で作った玩具の馬が置かれていた。老盗・藁馬の重兵衛(織本順吉)の仕業だった。ある日、金太郎そばに出向いた平蔵(中村吉右衛門)と酒井祐助(篠田三郎)は、店内に同じ藁馬があることに気づく。店の者に聞くと、お竹が「木更津の旦那」と呼んでいる恩人からもらった物らしい。矢先、のれんの間から店の様子をのぞき込んでいる男がいた。横田屋の番頭・善助(灰地 順)だった。平蔵は、善助を問いただす。

  • S01E23 用心棒

    • January 31, 1990
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    三年越しで盗賊・馬越の仁兵衛(江角英明)の盗人宿をつきとめた平蔵(中村吉右衛門)は、筆頭与力・佐嶋忠介(高橋悦史)らを向かわせるが、取り逃がしてしまう。張り込みをしていた木村忠吾(尾美としのり)が、とっさに連絡係に使ったそば屋の由三(亀井賢二)が、博打仲間を助けるため一味に漏らしてしまったのだ。江戸の治安は乱れ、裕福な商家は先を争って用心棒を抱えていた。ひげの浪人・高木軍兵衛(ジョニー大倉)は、深川の味噌問屋「佐野倉」の用心棒。今日も豪快にすごみ、ごろつきを追い払った。だが、この男、実は剣術が大の苦手。そのことを手代の文六(佐藤仁哉)に知られ、佐野倉の金蔵の鍵を持ち出すよう脅されてしまう。文六は、仁兵衛の部下で、引き込み役として佐野倉に入り込んでいた。奉公人のおたみ(森口瑤子)は、軍兵衛が鍵を渡すところを目撃してしまう。事情を知ったおたみは軍兵衛を説得し、すご腕の浪人・木村平九郎に助けを求めた。それは平蔵の忍びの姿だった。

  • S01E24 引き込み女

    • February 7, 1990
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    磯部の万吉(金子研三)が江戸に戻ってきた。ひとりばたらきの盗賊で、確かな腕を買われて今も諸方の盗賊から助っ人を頼まれていた。ある日、万吉の行方を追っていた密偵のおまさ(梶芽衣子)は、かつて妹のようにかわいがっていたお元(高沢順子)と再会する。ふたりは昔、乙畑の源八の配下として引き込みをつとめていた。おまさがあとをつけると、お元は袋物問屋「菱屋」に入っていった。もしや万吉と盗みばたらきをするため引き込みに入っているのでは、と感じたおまさは、平蔵(中村吉右衛門)に報告。平蔵は、すぐさま菱屋に見張り所を設けさせた。一方、おまさは、物思いに沈んでいたお元のことが気になっていた。実は、菱屋の主人・佐兵衛(下塚 諒)と男女の仲になっており、かけおちを迫られていたのだ。そんな折、平蔵のもとに大盗・駒止の喜太郎(林彰太郎)一味が現れたとの報が入った。平蔵は、喜太郎と万吉、そしてお元がつながっているのではないかと考える。

  • S01E25 雨の湯豆腐

    • February 14, 1990
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)が見回りの折、浅草・浅草寺境内で本町の呉服問屋、越後屋伊兵衛が 殺された。平蔵は、大枚の金で人殺しを引き受ける商売人の仕業と見ていた。一方、筆頭同心・酒井祐助(篠田三郎)と密偵の伊三次(三浦浩一)は、盗賊・御座松の孫八の甥、為吉(新海丈夫)と、ろうそく問屋「辻????屋」の女房・お照(黒田福美)が示し合わせて会っているところを追っていた。すると、怪しい目つきの時次郎(清水健太郎)という男が、為吉とお照の後ろをつけていた。平蔵は、時次郎の存在に何か不吉なものを感じる。実は、時次郎こそが商売人だった。かつて時次郎は孫八の部下で、その一人娘のお照を愛したが、ふたりは為吉らによって引き裂かれていた。そんな中、時次郎のもとに殺しの依頼が立て続けに入る。それぞれ為吉、お照を狙うものだった。お照を目前にして、殺しをためらってしまう時次郎。時次郎は、浪人・宮沢 要(大出 俊)の助けを借りて、為吉を殺すのだが…。

  • S01E26 流星

    • February 21, 1990
    • Fuji TV

    風邪で寝込んでいた平蔵(中村吉右衛門)の寝所に賊が入り、父の形見である銀の煙管が盗まれた。平蔵の人気に嫉妬した、元盗賊で今は船頭をしている友五郎(犬塚 弘)が、その鼻を明かそうとやったことだった。友五郎は、密偵・小房の粂八(蟹江敬三)のかつての仲間であり、腕のいい盗人だった。そのころ大坂では、平蔵に復讐を誓う生駒の仙右衛門(金田龍之介)が、手練れの刺客・沖源蔵(河原崎次郎)と杉浦要次郎(伊東達広)を雇い、さらには関東一円にその名が轟く、鹿山の市之助(南原宏治)と手を組み、江戸の町を落とし入れようと画策。沖と杉浦は、平蔵の部下である小柳安五郎(香川照之)の妻・千代(吉次加奈子)を惨殺。次いで同心・木下与平次(出水憲司)が、さらには門番の治作(池田勝志)までもが命を奪われた。これを火付盗賊改方に対する挑戦とみた平蔵は、役宅、組屋敷を厳重に警備させるが、それをあざ笑うかのように、江戸市中に押し込み強盗を働くのであった。多くの死人を出したのは自分の責任と、平蔵は毎夜ひとりで市中見回りに出る。そんなある日、裕福な寺として知られる本明寺が襲われた。寺の者は殺され、盗品は船で運ばれたようだった。内偵を続けていた粂八は、友五郎が家を出たきり帰ってきていないことを思い出す。

Season 2

  • SPECIAL 0x1 殿さま栄五郎

    • April 4, 1990
    • Fuji TV

    荒くれ者の大盗賊・火間虫の虎次郎(中谷一郎)の配下ふたりが、岡場所の女をめぐって仲間割れをした。ひとりは死に、生き残った牛堀の参次(橋本 功)も火付盗賊改方に捕えられた。急ぎばたらきに欠かせぬ男を一夜にしてふたりも失った虎次郎。その穴埋めのために、ひとりばたらきの盗賊を諸方の首領に周旋する口合人を使おうと考えた。その動きを読んだ平蔵(中村吉右衛門)は、江戸中の密偵に指令を飛ばし、口合人を見張らせた。平蔵の読み通り、口合人・鷹田の平十(長門裕之)のもとに、虎次郎一味の配下・長沼の房吉(高橋長英)が訪ねてきた。平蔵は、平十と旧知の密偵・小房の粂八(蟹江敬三)に仲介させ、実在する侍くずれの用心棒『殿さま栄五郎』になりすまして虎次郎と接触、一味へ潜入する。だが、用心深い虎次郎は、なかなか栄五郎に扮した平蔵に次の押し込み先を教えようとしなかった。そこで、平蔵は信用を得るために、火付盗賊改方から参次を救い出してみせた。ようやく虎次郎は、日本橋の廻船問屋を狙っていることを明かした。次第に、旅人を装った盗っ人の仲間たちが集まり始め、その数を増していった。その中に、五条の増蔵(和崎俊哉)がいた。増蔵は、本物の栄五郎の顔を見たことがあったため、平蔵の正体がばれてしまう。

  • SPECIAL 0x2 雲竜剣

    • October 3, 1990
    • Fuji TV

    火付盗賊改方同心・片山慶次郎が殺された。その太刀筋に見覚えがあった平蔵(中村吉右衛門)は、剣の師匠である高杉銀平(武内 亨)から聞いた『雲竜剣』の使い手・堀本伯道(露口 茂)を思い出す。実は、半年前に平蔵はこの雲竜剣の使い手と思われる黒覆面、黒装束の男に襲われていた。刀が相手の体に隠れ下段から斬りあげてくる剣法で、平蔵の着衣は左の肩口を斬り裂かれていた。そんなある日、密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)のもとに鍵師の助次郎(藤木 悠)がやってくる。助次郎は合鍵作りの名人で、盗賊のために合鍵を作り、それで得た大金で、旅の途中で長患いをしたり、手に職のない者や金のない者の面倒を見てくれる、報謝宿を諸方に作っていた。五郎蔵が探りを入れると、助次郎は何者かに合鍵作りを依頼され、常陸の国に向かおうとしていた。そこへ、またしても同心・金子清五郎殺害の報が入った。心臓を短刀で一突きにされていた。平蔵は、伯道の消息を探り、助次郎の動きを追わせる。すると、意外な接点が見えてきた。

  • S02E01 おみね徳次郎

    • October 17, 1990
    • Fuji TV

    髪結いの徳次郎(峰 竜太)は、料理茶屋「万屋」の女中・おみね(宮下順子)と暮らしていた。徳次郎は、平蔵(中村吉右衛門)のことを親の仇と恨む盗賊・西浜の甚右衛門の配下で、引き込みと錠前外しの役目を担うという別の顔を持っていた。ある日、一味のひとり、佐倉の吉兵衛(中井啓輔)が徳次郎を訪ね、至急大坂へ向かうよう甚右衛門の指示を伝えるが、それをおみねに知られてしまう。どこまでもついて行くというおみねに、徳次郎は大阪に連れて行くことを決意する。ちょうどそのころ、密偵のおまさ(梶芽衣子)は、旧知の仲であるおみねと再会していた。おみねは、徳次郎とのことをすべておまさに打ち明けた。実は、おみねも盗賊・法楽寺の直右衛門(小松方正)の一味だったのだ。盗人同士の色恋はご法度、そのことを知りながら、おみねは徳次郎のことを本気で思っていた。事情を聞いたおまさは、ふたりの成り行きを平蔵の手に委ねるのであった。

  • S02E02 むかしの女

    • October 24, 1990
    • Fuji TV

    江戸の町に『雷神党』と名乗る浪人集団が出没していた。井原惣市(田中 浩)が率いており、人は殺める、喧嘩は売る、押し借りゆすりと、野良犬のような所業を繰り返していた。そんな中、平蔵(中村吉右衛門)は市中見回りに出かけた折、偶然おろく(山田五十鈴)と出会った。おろくは、若き平蔵が放蕩生活を送っていたころ、世話になった女である。酒好きがたたって身を落としていたおろくに、平蔵は懐の財布を取り出し渡してやった。その場にいたおろくの仲間・おもん(浅利香津代)は味を占め、おろくにかつての客を訪ねて金をせびるようそそのかした。ふたりは、木綿問屋「大丸屋」の主人となっていた万吉(近藤洋介)から、まんまと十両をせしめる。そのからくりを知った雷神党一味は、おろくの名前を語って、さらに大丸屋を恐喝。目に余る悪行を重ねる一味に業を煮やした平蔵は、浪人どもを一網打尽にするため、おろくを説得し、雷神党一味の動静を探らせる。

  • S02E03 白い粉

    • October 31, 1990
    • Fuji TV

    「五鉄」の三次郎(藤巻 潤)の口利きで、火付盗賊改方役宅で板前として腕を振るっている勘助(左とん平)。無類の博打好きだったが、恋女房のおたみ(甲斐智枝美)に出会ったことで博打の世界からは、きっぱりと足を洗っていた。平蔵(中村吉右衛門)は、そんな勘助の料理を毎日楽しみにしていた。だが、勘助の前に、昔の遊び仲間・六蔵(三上真一郎)が現れる。六蔵は、言葉巧みに勘助を博打に誘った。勘助は、再びずるずるとその深みにはまり、ついには借金の山を作ってしまう。実は、六蔵は盗賊・霰の小助(勝部演之)の配下であり、勘助は、小助たちの罠にはめられたのだった。小助一味の本当の狙いは、平蔵を毒殺することにあった。小助一味は、おたみを誘拐し、借金とおたみの命をネタに勘助を脅迫してきた。おたみの命を救うため、勘助は平蔵の吸い物に毒を入れることを承諾する。一方、平蔵は、そんな勘助の異変を敏感に感じ取っていた。

  • S02E04 托鉢無宿

    • November 7, 1990
    • Fuji TV

    品川でのこと、平蔵(中村吉右衛門)は、ぼろぼろの法衣をまとった異様な風体の托鉢僧に出会った。その男は、かつて同門で修行をしていた剣友・井関録之助(夏八木勲)だった。録之助と会うのは、かれこれ二十年ぶりのこと。昔から腕は立つが、どこか気楽な男で、物乞い同然の身なりではあったが、それも録之助らしいと平蔵は感じていた。ある日、録之助は、ねぐらにしている神社で、盗賊らしき男たちが密談をしているところに居合わせる。それは、盗賊・古河の富五郎(五味龍太郎)一味の、鍋蔵(江藤 漢)と惣助(うえだ峻)だった。話を聞かれたと思った鍋蔵と惣助は、録之助の命を狙うがうまくいかず、ついには刺客を雇う。差し向けられた殺し屋は、録之助がかつて弟のようにかわいがっていた菅野伊介(深水三章)だった。伊介は、相手が録之助とは知らなかったのだ。苦労の末、殺し屋に身を落としていた伊介に同情した録之助は、平蔵のもとへ向かった。

  • S02E05 五年目の客

    • November 14, 1990
    • Fuji TV

    品川宿の遊女・喜蝶(波乃久里子)は、ある日、上機嫌の客から突然五十両もの大金を渡され、それを預かることに。男は、遠州の大盗賊・羽佐間の文蔵(笹 吾朗)の手下、江口の音吉(中山 仁)だった。そこへ岡っ引きと町方役人が現れ、音吉は逃走。残された五十両を持って、喜蝶は姿を消した。それから五年、喜蝶はお吉と名前を変え、神田の旅籠「丹波屋」の女将におさまっていた。そんなある日、偶然、音吉が丹波屋に客としてやってきた。驚愕するお吉。お吉はてっきり脅されるものと思い込み、好色な音吉に言われるがままに身体を任せてしまう。だが、音吉の方は、お吉が五年前のあの喜蝶であることに気づいていなかった。音吉の真の狙いは、丹波屋に押し入るための下調べだったのだ。そのころ、平蔵(中村吉右衛門)のもとにも、音吉が江戸に現れたとの報が入ってきていた。文蔵一味が動き出しているとみた平蔵は、音吉に見張りをつけさせる。

  • S02E06 雨引の文五郎

    • November 21, 1990
    • Fuji TV

    ある日、平蔵(中村吉右衛門)は、雨引の文五郎(目黒祐樹)の所在をつかんだ。文五郎は一匹狼の盗賊で、決して非道を犯さぬ鮮やかな手口から『すきま風』の異名をとっていた。 どうやら文五郎は、血生臭い盗賊一味と争っているらしい。平蔵は、両者ともに捕えようと文五郎を泳がせる。平蔵が文五郎のあとをつけていると、ふたりの男が文五郎に襲い掛かってきた。ひとりを捕えた平蔵だが、男は名前さえ明かそうとしない。その目に文五郎へのただならぬ殺意を感じた平蔵は一計を案じる。元盗賊の老密偵・五丁の勘兵衛(浜村 純)を呼び寄せ、盗賊仲間を装い男を脱獄させたのだ。男は、伊勢の盗賊・落針の彦蔵(樋浦 勉)だった。彦蔵は、仲間内でもつまはじきにされるほどの乱暴者だが、文五郎には大坂、江戸で盗みの邪魔をされ、さらには文五郎の横やりで縄張りを継ぎ損ねていたのだった。復讐を果たそうと、彦蔵一味は文五郎の居場所を突きとめ、追い詰める。

  • S02E07 猫じゃらしの女

    • November 28, 1990
    • Fuji TV

    密偵の伊三次(三浦浩一)は、提灯店と呼ばれる岡場所の女・およね(池波志乃)の馴染みだった。ある日、伊三次はそこで卯之吉(三ツ木清隆)の姿を見かけた。卯之吉は、ろう型を取らせたら江戸でも三本の指に入ろうかという男で、それとは知らずに盗人の鍵を作って以来、誘いを断りきれずその道にはまりこんだ気の弱い男であった。報告を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、伊三次に内偵を命じた。卯之吉は、盗賊・伊勢野の甚右衛門(玉川伊佐男)の依頼で、ろう型を作っていたが直前で気が変わり、渡すのを拒んでいた。そして、そのろう型を、およねに預けていたのだった。甚右衛門一味は卯之吉を拷問し、型をおよねに預けたことを白状させた。一味の彦造(津村鷹志)が型を受け取りに行くが、それはすでに伊三次によってすりかえられていた。そのころ、密偵・小房の粂八(蟹江敬三)も、拷問されていた卯之吉をなんとか助け出していた。屈辱に震える甚右衛門は…。

  • S02E08 盗賊二筋道

    • December 5, 1990
    • Fuji TV

    ある日、平蔵(中村吉右衛門)と密偵・彦十(江戸家猫八)は、高萩の捨五郎(菅原謙次)を見かけた。その信条から江戸へは顔を見せないといわれている名の知れた盗賊である。捨五郎は、侍に斬られようとしていた農夫の子供を助けようとして足を斬られ、危ないところを平蔵らに救われた。そんな捨五郎は、彦十に篭滝の太次郎(石橋雅史)へ手紙を届けてほしいと頼む。太次郎は北陸道から越中・越後にかけて荒っぽい盗みをはたらく盗賊だった。盗みの口を斡旋する、口合人・寺尾の治兵衛(西山嘉孝)のたっての頼みで、捨五郎は本意ではない太次郎一味の盗みに手を貸すことになっていたのだ。彦十が届けた手紙を読んだ太次郎は、足の傷で盗みができなくなったとの文面に、袖にされたと勘違い。恨みを抱き、捨五郎と治兵衛の殺害を企てる。そのころ平蔵は、捨五郎を火付盗賊改方役宅に連れて帰っていた。一方、治兵衛は嫁入りする娘のために一世一代の盗みを計画していた。

  • S02E09 本門寺暮雪

    • December 19, 1990
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)の昔の道場仲間である井関録之助(夏八木勲)は、雨の降りしきる中、絵馬堂の縁の下で、名幡の利兵衛(草薙幸二郎)と浪人(菅田 俊)が話しているのを聞いてしまう。浪人に気づかれ、間一髪で難を逃れたものの、録之助はそのふたりと因縁があった。上方で暮らしていたころ、録之助は、悪の元締・大親分の利兵衛から殺しの依頼を受けたことがあったのだ。金に目がくらみ前金を受け取ってしまったが、翌日には思い直し断っていた。だが、のちに刺客を送られ、それが雨の日に見た浪人だった。録之助が『凄い奴』と呼ぶその浪人は、並の強さではない剣の腕前だった。凄い奴は、一目で録之助のことを思い出していた。録之助は凄い奴のあとをつけるが、まかれてしまい、逆に尾行されてしまう。その最中、録之助は平蔵と再会。事情を聞いた平蔵は、凄い奴と、これまで一度も尻尾をつかまれたことがないという利兵衛を捕えようと、この機会を利用する。

  • S02E10 女賊

    • January 23, 1991
    • Fuji TV

    江戸の町に、東海道・岡部の宿から元盗賊・瀬音の小兵衛(花沢徳衛)がやってきた。偶然、密偵のおまさ(梶芽衣子)と再会した小兵衛は、助けを求めてくる。訳あって里子に出していた息子の幸太郎(黒田隆哉)が、盗賊の女首領・猿塚のお千代(沢たまき)に骨抜きにされているというのだ。お千代は、四十過ぎには見えない美貌と色気で数々の男を手玉に取り、屈強の手下を従え、殺しもいとわぬ急ぎばたらきをしていた。おまさから報告を受けた平蔵(中村吉右衛門)は、お千代の狙いが、幸太郎の働く乾物問屋「大坂屋」にあると踏んだ。お千代は、大坂屋の内情を探るために幸太郎を利用していたのだ。平蔵は、おまさを奉公人として大坂屋へ送り込んだ。また、小兵衛が幸太郎を助けるために、お千代を殺そうとしているのではないかと考え、直接会いに向かった。平蔵は、小兵衛に、岡部に帰って息子を待つように、すべてを自分に任せるようにと説得するのだった。

  • S02E11 四度目の女房

    • January 30, 1991
    • Fuji TV

    腕が良く評判の大工・伊之松(西岡徳馬)には、美人でよくできた女房のおふさ(森口瑤子)がいた。ふたりは誰もがうらやむ仲のいい夫婦だった。だが、伊之松の正体は、盗賊・利三郎(中田浩二)の配下であった。ある夜、塗り物問屋「橘屋」に賊が押し入り三千八百両が盗まれた。賊がどうやって入ったのか、相当な重量の金をどう持ち出したのかも不明。火付盗賊改方の筆頭与力・佐嶋忠介(高橋悦史)らの調べにより、倉の正面に滑車のような物が取り付けられていたことが判明する。そこから倉の改築時に図面を引いた伊之松の名前が浮かび上がった。だが、伊之松は失踪してしまう。実は、新たな盗みのために尾張へと向かっていたのだ。平蔵(中村吉右衛門)は、同心・木村忠吾(尾美としのり)におふさを見張らせ、伊之松の帰りを待つことにする。一年後、おふさは、生活のためとはいえ、その器量の良さを買われて通い小町になっていた。そんなおふさを、伊之松の盗賊仲間・仁吉(花上 晃)が狙っていた…。

  • S02E12 雨乞い庄右衛門

    • February 6, 1991
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)の旧友・岸井左馬之助(江守 徹)は、江戸に戻る旅の途中で、ひとりの老人(田村高廣)と知り合った。のらりくらりと素性を明かさず、時折見せる鮮やかな身のこなしは只者ではなかった。その男こそ、大盗・雨乞い庄右衛門。寸分隙のない仕掛けで大枚をせしめた盗みから四年…その消息は途絶えていた。長らく病の床にあったのだが復調したため、最後のおつとめに江戸へ向かう途中だったのだ。だが、かつての一味は庄右衛門の女・お照(朝比奈順子)と破目の伊太郎(富川澈夫)が共謀し牛耳っていた。庄右衛門の右腕である鷺田の半兵衛(藤沢 薫)と安五郎(久賀大雅)を殺し、庄右衛門の命をも狙っていたのだ。伊太郎が放った定七(石山雄大)と市之助(小野進也)からの襲撃をなんとか逃れた庄右衛門は、事態を把握。けじめをつけるために、死期が迫る体をおして江戸へ向かった。左馬之助は、平蔵のところに駆け込み、事情を説明する。

  • S02E13 密告

    • February 13, 1991
    • Fuji TV

    ある夜、平蔵(中村吉右衛門)の役宅に、女(光本幸子)から一通の密書が届いた。差出人の名はなく、女は左足を引きずっていたという。手紙は、深川の足袋股引問屋「鎌倉屋」に、今夜盗っ人が押し入るとのことだった。半信半疑ながらも、同心を引き連れ出向いた平蔵は、そこで盗賊・伏屋の紋蔵(沖田浩之)一味を捕まえた。若い者ばかりで凶行に及び、急ぎばたらきを繰り返していた凶賊であった。紋蔵の顔を見た平蔵は、かつての遊び仲間の横山小平太(沖田浩之/二役)に瓜ふたつであることに驚く。小平太は、昔、平蔵が妹のようにかわいがっていた茶店の娘・お百に手を付け、身ごもったというお百を石段から突き落としたのだ。紋蔵は、そのお百の子供だった。やがて、紋蔵らを密告した女がお百であることがわかる。なぜ、母親が自らの子を密告したのか。平蔵は、その居所をつかむため、紋蔵に、自分が紋蔵の父親だと偽の告白をする。

  • S02E14 夜狐

    • February 20, 1991
    • Fuji TV

    夜狐の弥吉(江藤 潤)は、路上で素人女の世話を持ち掛け、世話をした女から割前を取るという隠し売女の斡旋を稼業としていた。ある夜、弥吉は若侍が殺されるところを目撃。翌日、死体を発見したのは遊郭から朝帰りした同心・木村忠吾(尾美としのり)だった。平蔵(中村吉右衛門)らがその身元を洗うと、三千石の大身旗本・近藤監物(根上 淳)の跡取り息子・小一郎(竹内隆治)であることが判明。不自然な殺され方から、平蔵は、近藤宅に密偵・伊三次(三浦浩一)を下働きとして潜り込ませた。一方、弥吉は殺しの下手人を突きとめ、近藤家の家督相続に絡む陰謀を探り出していた。裏で殺しの糸を引いていたのは、家督を実の息子・又太郎(久保龍一)に継がせたいと考えていた後妻の満寿子(佐野アツ子)だったのだ。弥吉は、井坂孫兵衛(沢 竜二)と組んで、満寿子らをゆすろうと脅迫状を送り付けた。伊三次の働きによって、弥吉らの企みを知った平蔵は…。

  • S02E15 霧の朝

    • February 27, 1991
    • Fuji TV

    御用聞き、仙台堀の政七(谷口孝史)の手先として、お上の御用をつとめる桶屋の富蔵(平田 満)は、妻のおろく(二木てるみ)、息子の幸太郎(高橋友洋)と仲睦まじく暮らしていた。そんなある日、幸太郎が紫頭巾の女にさらわれ、平蔵(中村吉右衛門)ら火付盗賊改方は、富蔵のためにも、と調べを進める。実は、幸太郎はもらい子で、生みの親は吉造(石丸謙二郎)とおきね(小鹿みき)といった。そのため幸太郎は、吉造夫婦にさらわれたと思われたが、真犯人は蜂須賀の為五郎の情婦・お安(東丘いずひ)だった。為五郎は富蔵に捕まったために死罪になっており、その復讐のために幸太郎をさらったのだ。そんな中、博打狂いがたたって夫婦で夜逃げしていた吉造は、偶然お安が幸太郎をかくまっていることを知る。幸太郎を助けるため、ひとり乗り込んでいく吉造。だが、蜂須賀一味に捕まってしまう。そのころ、平蔵もお安の行方をつかもうとしていた。

  • S02E16 白と黒

    • March 6, 1991
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)は自ら出役し、門原の重兵衛(諸木淳郎)の隠れ家を急襲。一味をお縄にした。だが、その中でただひとり、平蔵が左腕を斬りながら逃がしたのが、もんどりの亀太郎(ベンガル)だった。軽業師のような身のこなしで脱出してのけたのだ。ある日、左腕が利かなくなった亀太郎に、お今(あべ静江)とお紋(浜田朱里)というふたりの女が声をかけてきた。お今は、かつて重兵衛の配下であり、亀太郎とは昔馴染みだった。その後、お今とお紋は、それぞれ女中奉公した先で盗みを繰り返し、亀太郎の世話を続けた。実はこのふたりは血のつながった姉妹で、亀太郎が隠している金を狙っていたのだ。それは、重兵衛が残した千両という大金だった。なかなか尻尾をつかませない亀太郎だったが、いつしかお紋に惚れてしまい、駆け落ちしようと持ち掛ける。そのころ平蔵は、女ふたり組の下女泥棒と、亀太郎の行方をそれぞれに追っていた。やがて、ふたつの線は交わっていった。

  • S02E17 春の淡雪

    • March 13, 1991
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    火付盗賊改方同心・大島勇五郎(中村浩太郎)は、与力・天野甚造(御木本伸介)に率いられ向かった捕物で刀を飛ばされ不格好によろめいた。だが、その身を恥じることもなく、危ういところを助けられた礼はいくら払うのが世間の相場か、などと聞くような男だった。 また、雪崩の清松(平泉 成)を、その前身さえ知らぬまま密偵として使っていた。さすがの平蔵(中村吉右衛門)も、そんな大島の行く末を案じていた。ある日、平蔵の密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)が、清松と盗っ人の銀太郎(椎谷建治)が連れだっているところを見かける。報告を受けた平蔵は、大島と銀太郎に見張りをつけさせた。大島は、清松に博打で百二十両の借金があり、それをネタに仲間に引き込まれそうになっていた。銀太郎は、盗賊・池田屋五平(中村又五郎)の配下でありながら、清松と手を組み、五平から千両もの金を奪おうと企てていた。清松と銀太郎は、五平の娘・お梅(鶴山小夕里)を誘拐し、身代金千両を要求する。

  • S02E18 下段の剣

    • March 20, 1991
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    平蔵(中村吉右衛門)の一人息子、辰蔵(長尾豪二郎)が剣術の稽古を積んでいる市ヶ谷・左内坂の坪井道場に、ひとりの浪人(江原真二郎)がやってきた。浪人は、松田十五郎と名乗り、その太刀さばきと下段に構える独特の剣法に、辰蔵だけではなく見た者すべてが度肝を抜かれたという。話を聞いた平蔵は、その浪人がかつて江戸一番とうたわれた盗人の用心棒・松岡重兵衛ではないかと考える。松岡は、その昔、平蔵の剣の師匠・高杉銀平道場の客分でもあり、平蔵が若かりしころ、金欲しさに盗みを働こうとした折には、自分のようになるな、と身を持って止めてくれたことがあった。はたして、その浪人は、松岡重兵衛だった。今は引退した重兵衛は、盗賊・牛久の小助(井上昭文)と不破の惣七(宮内 洋)から、再び用心棒を依頼されていた。重兵衛の行方を追う平蔵は、小助と惣七の狙いが絹問屋「山城屋」であることをつきとめる。

  • SPECIAL 0x3 熱海みやげの宝物

    • March 27, 1991

    江戸での激務に健康を損ねた平蔵(中村吉右衛門)は、妻の久栄(多岐川裕美)、密偵・相模の彦十(江戸家猫八)、おまさ(梶芽衣子)らを伴って、木村忠右衛門と名乗り熱海の温泉に十日あまりも滞在していた。そんなある日、彦十から昔馴染みの嘗め役・馬落の利平治(いかりや長介)が同宿していることを知らされる。嘗め役とは、大店を物色し金蔵の場所や奉公人の数などを調べる役まわりで、単独行動が常の仕事。だが利平治には連れの庄八(鶴田 忍)がいた。不審に思った平蔵は、彦十に偶然を装って利平治に接触させた。利平治の話によると、上方では五本の指に入る大盗賊・高窓の久兵衛が死に、一家は悪党の高橋九十郎(伊藤敏八)が乗っ取り、急ぎばたらきをするようになっていた。利平治は、江戸に逃げ、身を潜めている久兵衛の息子にどうしても渡さなければならない物があり、それは盗賊なら誰でもよだれを流して欲しがるお宝だという。そのお宝を狙って、九十郎らが利平治を追っているということだった。平蔵は、彦十を従えた盗賊の頭・木村忠右衛門になりきり、利平治を無事に江戸まで送り届けると約束する。一方で、おまさに至急火付盗賊改方と連絡をとるよう指示を出し、利平治、彦十を伴って熱海を出るのだった。

Season 3

  • S03E01 鯉肝のお里

    • November 20, 1991
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    ある日、密偵のおまさ(梶芽衣子)は、妙に金回りの良い、お里(野川由美子)という女を見かける。お里は、無一文の荒物売りの若者に飯処でたらふく食わせてやったうえ、店に一両小判を置いていった。その話を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、お里を女賊とにらみ、見張りをつけさせた。お里は、義父であり、今は煙管職人として生計を立てている元盗賊・長虫の松五郎(垂水悟郎)の家に身を寄せ、男漁りと賭博に明け暮れる毎日を送っていた。松五郎には足を洗ったと話していたが、実はお里は、常陸から野州、上州を縄張りにしている大盗賊・白根の三右衛門一味の引き込み役だった。『鯉肝』と異名を取る、その名の通り、煮ても焼いても食えない曲者だった。やがて、松五郎のもとに三右衛門一味から連絡が入る。お里を足抜けさせる代わりに、合鍵を作れと命じられる。松五郎の住む長屋を見張っていた密偵・相模の彦十(江戸家猫八)とおまさは、松五郎の家の異変に気づいていた。

  • S03E02 剣客

    • December 4, 1991
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)と同心・木村忠吾(尾美としのり)は、編笠姿の不審な浪人(中尾 彬)を見かけた。平蔵は、忠吾に尾行させるのだが、見事にまかれてしまう。ちょうどそこへ、非番の酒井祐助(勝野 洋)が声をかけてきた。酒井の剣術の師匠である松尾喜兵衛(丘路 千)を見舞いに行くところだという。平蔵は、近くにあるという松尾の隠居先に同行。だが、そこで松尾喜兵衛が何者かに斬り殺されていた。編笠の浪人の仕業と見た平蔵は調べを進める。そのころ、密偵のおまさ(梶芽衣子)は、かつて駿河・遠江を荒らしまわっていた野見の勝平の配下・定吉(石橋正次)の姿を見かける。密偵・相模の彦十(江戸家猫八)らの働きにより、勝平一味の動きが次第に明らかになってくると、編笠の浪人が、勝平一味の抱えている凄腕の用心棒であることがわかった。浪人の名は、石坂太四郎。平蔵は、酒井に師の仇を取らせ、かつ一味を捕えるために、一計を案じるのであった。

  • S03E03 馴馬の三蔵

    • December 11, 1991
    • Fuji TV

    小房の粂八(蟹江敬三)が平蔵(中村吉右衛門)の密偵になる前、まだ野槌の弥平の配下だったころのこと。粂八は小料理屋「川宗」の女主人・お紋(伊藤美由紀)と男女の仲になっていた。だが、お紋には、香具師・鮫洲の市兵衛(西園寺章雄)という恐ろしい男がついていた。粂八とお紋は、市兵衛から逃げ、ふたりで生きていこうと決意。粂八は、旧知の盗賊・馴馬の三蔵(金内喜久夫)の女房・おみののところにお紋を預けた。だが、おみのとお紋はごろつきのような男たちによって殺されてしまう。それは、市兵衛の仕業と思われた。三蔵は失意のうちに失踪。その後、平蔵の密偵となった粂八は、市兵衛への恨みを押し殺して生きてきた。そんなある日、日本橋の呉服問屋「扇屋」が襲われ、下手人として市兵衛が捕まった。粂八と市兵衛のいきさつを聞いた平蔵は、粂八を静かに見守る。そのころ、偶然にも粂八は三蔵の姿を見かけていた。三蔵は、盗みの準備をしているようだった。

  • S03E04 火つけ船頭

    • December 18, 1991
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)は岸井左馬太郎と名乗り、馴染みの船宿から船を出した。こうして時折、川の上から市中見回りをしていたのだ。船頭には、いつも常吉(下條アトム)を選んでいた。常吉は『口無し』と言われるほどの無口であったが、心の底は実直で気のいい男。だが、この日ばかりは常吉の様子がおかしかった。平蔵には、どこか荒れているように見えたのだ。女房のおさき(竹井みどり)が、同じ長屋に住む浪人・西村虎次郎(伊藤敏八)と浮気しているところを見てしまったからであった。気の弱い常吉は、山犬のような西村を前にして何もできなかった。そんな中、ふとしたことで落ちた提灯から火がつき、常吉はボヤ騒ぎを起こしてしまう。以来、常吉は放火の魔力に取りつかれるようになる。ある夜、火つけを試みようとした常吉は、畳表問屋「近江屋」の裏手に出た。腰につるした竹筒の灯油をまこうとしたそのとき、そこに黒い盗人装束の男たちが現れた。

  • S03E05 熊五郎の顔

    • January 22, 1992
    • Fuji TV

    火付盗賊改方は、関東一円を荒らしまわった大盗賊・羽黒の長右衛門一味の残党を追っていた。そんな中、同心・沢田小平次(真田健一郎)らは、山猫の三次を捕えるが、兄貴分である洲走の熊五郎(高橋長英)を取り逃がしてしまう。熊五郎は、必ず三次を奪い返してみせると大見得を切って消えていった。熊五郎は、長右衛門の右腕と呼ばれた男で、かつてお上のために働いた政蔵を殺していた。平蔵(中村吉右衛門)は、熊五郎が三次を奪い返しに来たところを捕え、政蔵の妻・お延(音無美紀子)につぐないをしたいと考える。そんなある日、お延は腹痛で苦しんでいた信太郎(高橋長英/二役)という男を助けた。医者を呼び介抱してやるうちに、ふたりは次第に惹かれ合っていった。回復した信太郎は、商売を済ませ、必ず戻るとお延に約束し去っていく。だが、その直後、熊五郎の人相書を見たお延は、信太郎が熊五郎に瓜ふたつであることを知る。

  • S03E06 いろおとこ

    • January 29, 1992
    • Fuji TV

    寺田源三郎(鷲尾 功)は、兄・又三郎(鷲尾 功/二役)のお役目を継ぎ、火付盗賊改方同心と なった。又三郎は、非道の盗賊・鹿熊の音蔵(浜田 晃)一味によって殺されていた。源三郎は、その恨みを晴らすべく音蔵一味の行方を追う。ある日、源三郎は、又三郎のかつての密偵・おせつ(山下智子)と出会った。おせつは、船見の長兵衛という盗賊の配下で、引き込みのつなぎをしていたが、今は足を洗って叔父の市兵衛(中井啓輔)がやっている居酒屋「山市」で働いていた。おせつから、又三郎が音蔵のあとを付けた先で命を落としたと聞いた源三郎は、ひとりで調べを進める。それを知った平蔵(中村吉右衛門)は、探索は火付盗賊改方にまかせ、源三郎には音蔵の件に介入しないよう命じる。だが、源三郎は次第におせつとの仲を深めていき、音蔵と昔馴染みだという市兵衛の手引きで、音蔵の盗人宿まで案内してもらう手筈を整えてしまうのであった。

  • S03E07 谷中いろは茶屋

    • February 5, 1992
    • Fuji TV

    呉服問屋「備前屋」に押し込みがあった。金を奪ったうえ、主人から丁稚まで十五人が惨殺された。手口から見て、墓火の秀五郎の仕業に間違いなかった。備前屋は、同心・木村忠吾(尾美としのり)の見回り区域から目と鼻の先であった。実は忠吾は、谷中「いろは茶屋」の女・お松(杉田かおる)に入れあげ、お役目そっちのけで通いつめていた。筆頭与力・佐嶋忠介(高橋悦史)から雷を落とされる忠吾だったが、茶屋通いはやめられず、有り金は底を尽きかけていた。そんな折、忠吾は、お松の常連客である『川越の旦那』(長門裕之)と知り合う。武州・川越で絹屋を営んでいること以外、名前も明かそうとしない旦那は、ふたりのためにと十両を差し出してくれた。だが、この男こそが墓火の秀五郎だった。平蔵(中村吉右衛門)の指示で、秀五郎の居場所を追っていた密偵・小房の粂八(蟹江敬三)は、忠吾と秀五郎が楽しそうに語り合っているところを見てしまう。

  • S03E08 妙義の團右衛門

    • February 12, 1992
    • Fuji TV

    高萩の捨五郎(菅原謙次)は、平蔵(中村吉右衛門)にその命を助けられて以来、密偵となっていた。ある日、捨五郎は上州、信州から越後路へかけて大仕掛けの盗みを重ねる盗賊・妙義の團右衛門(財津一郎)と再会。捨五郎は足を洗う前、草津の湯治場で病に倒れたときに、團右衛門から手厚い見舞いを受けた。その際、ほだされて蝋燭問屋「三倉屋」の内情を話してしまっていた。聞けば、團右衛門はその三倉屋を狙っているという。團右衛門は捨五郎に助っ人を頼んできた。さらに平蔵に一泡吹かせるべく、火付盗賊改方の役宅に飯炊き男の竹造(うえだ峻)を潜り込ませているという。話を聞いた平蔵は、捨五郎を團右衛門一味に加わらせた。また竹造にさとられることなく、逆手にとって利用しようと泳がせる。だが、竹造を通じて捨五郎が平蔵の密偵であることがばれてしまう。團右衛門は、捨五郎と平蔵に目にもの見せてくれようと、すべての段取りを変更する。

  • S03E09 雨隠れの鶴吉

    • February 19, 1992
    • Fuji TV

    京都の金箔師「吉文字屋」に盗みに入ったのは、釜抜きの清兵衛(須永克彦)とその一味だった。周到な準備を重ねたその仕事で七百六十両もの大金を奪い、吉文字屋がそれに気づいたのは五日後のこと。この手引きをしたのが雨隠れの鶴吉(石原良純)と、その女房・お民(早野ゆかり)だった。ふたりは十二年ぶりに故郷の江戸に里帰りする。鶴吉は、そこで幼少のころの知り合いである井関録之助(夏八木勲)と再会し、録之助のはからいで疎遠になっていた実父・万屋源右衛門(織本順吉)と対面。愛人の子供であった鶴吉は幼少のころから苦労を重ね、十六のときに家を飛び出したきりだった。そんな鶴吉に、源右衛門は万屋を継いでほしいと言い出した。そのころ、平蔵(中村吉右衛門)は、凶悪な盗みを働く稲荷(とうが)の百蔵(阿波地大輔)一味の動きを追っていた。そんな中、お民はかつて仕えていた百蔵一味の音五郎(荘司 肇)が万屋にいることに気づくのだった。

  • S03E10 網虫のお吉

    • February 26, 1992
    • Fuji TV

    同心・木村忠吾(尾美としのり)は、手配中の女賊・網虫のお吉(風祭ゆき)を見かけ尾行していた。すると、火付盗賊改方の同僚である同心・黒沢勝之助(磯部 勉)が現れ、ふたりは出逢茶屋に消える。黒沢は大盗・苅野の九平一味を追っており、お吉はその配下であった。網虫とは蜘蛛のこと、お吉の網にかかったら最後、男はみな生気を吸い取られてしまうのだった。九平もお吉に入れあげており、消息不明となっていた。黒沢は、そんなお吉の体をもてあそび、金までも巻き上げていた。忠吾は平蔵(中村吉右衛門)に報告、さらに調べを進めていくと、お吉が日本橋の琴師・歌村清三郎(佐原健二)の後妻に収まっていることがわかる。それでもお吉の金も体も離す気がない黒沢は、お吉に執拗に九平の居場所を問いただす。やがて黒沢の本心を見抜いたお吉は、黒沢の殺害を企てる。平蔵は、ことの成り行きをぎりぎりまで見極めるのだった。

  • S03E11 夜鷹殺し

    • March 4, 1992
    • Fuji TV

    江戸の町で夜鷹を狙った殺しが続けて起こった。夜鷹は御禁制の商売、見つけ次第お縄にする町方にとっては、何も騒ぐほどのことではないといった様子。一連の殺しで、密偵・相模の彦十(江戸家猫八)の知り合い、おつね(野平ゆき)も殺されていた。平蔵(中村吉右衛門)は、彦十の思いも汲み下手人探しに乗り出す。密偵のおまさ(梶芽衣子)をおとりにして、平蔵と彦十は毎夜、町に繰りだした。だが、なかなか夜鷹殺しは現れなかった。そんな中、おつねの死を悲観した亭主と娘が心中をはかる。平蔵不在の際は、決して町に出ないとの命令に背き、彦十とおまさは、ふたりだけで夜の町へ。その夜、夜鷹殺しが現れ、おまさは傷を負ってしまう。だが、その後も平蔵たちは夜の町に出るのをやめなかった。そして、ついに夜鷹殺しと遭遇、あとを追うと旗本屋敷に入っていった。そこは、御書物奉行を勤める川田長兵衛(中野誠也)の屋敷だった。平蔵らは、川田屋敷の住人を調べるのだが…。

  • S03E12 隠居金七百両

    • March 11, 1992
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)の息子・辰蔵(長尾豪二郎)が鬼子母神にある茶店「笹屋」の娘・お順(浅野愛子)に惚れた。お順の父・次郎助(芦屋雁之助)は、かつて盗賊・白峰の太四郎の片腕といわれた男だったが、四年前に足を洗っていた。その次郎助のもとに、かつての仲間・薬師の半平(中田浩二)がやってきた。太四郎が隠居金としてため込んだ七百両を預かってほしいという。隠居金は、盗っ人が足を洗う前に最後の盗みで作るもの、ため込むのはご法度だった。だが、高齢の太四郎のため、そして受けた恩を返すために次郎助は金を預かった。間もなく、太四郎の元配下・奈良山の与市(小野武彦)が現れ、隠居金の在りかを狙って次郎助に近づいてきた。しらを切っていた次郎助だったが、与市にお順をさらわれてしまう。そのころ辰蔵は、平蔵の私邸からくすねたかんざしを、お順に渡そうと考えていた。だが、笹屋が店を閉めたきりにしていることに不審を抱く。

  • S03E13 尻毛の長右衛門

    • March 18, 1992
    • Fuji TV

    布目の半太郎(堤大二郎)は、流れ盗っ人を貫いていたが、塚原の元右衛門(穂高 稔)の口ききで尻毛の長右衛門(小林昭二)と出会った。やがて長右衛門を真の盗賊と見込んだ半太郎は、自ら申し出て固めの盃を受け配下となる。半太郎は、薬種問屋「橋本屋」に引き込み役として入り込んでいる、おすみ(水野真紀)と恋仲になっており、所帯を持つ約束を交わしていた。ある日、平蔵(中村吉右衛門)の妻・久栄(多岐川裕美)が風邪をこじらせたため、平蔵の使いで、密偵のおまさ(梶芽衣子)が橋本屋に出向くと、そこにおすみの姿があった。おすみは、かつて尻毛の長右衛門の配下だった、おしんに生き写しだった。長右衛門一味を知るおまさは、平蔵に報告。これは何かあるとにらんだ平蔵は、調べを進める。一方、長右衛門は、半太郎におすみを女房にしたいと切り出した。おすみと長右衛門の間で板ばさみになってしまった半太郎は、すべてを捨てて江戸を出る決意をする。

  • S03E14 二つの顔

    • March 25, 1992
    • Fuji TV

    ある日、道端で素人女の世話をする『あほうがらす』の与平(花沢徳衛)が、平蔵(中村吉右衛門)に声をかけてきた。そうした場所を己の目で確かめておくのも無駄ではないと、平蔵はその誘いを受ける。案内された茶屋「ひら井」で、平蔵は、おはる(宮沢美保)と出会った。おはるは、母とは死別し、病気で臥せている父と妹がひとりいるという境遇だった。そこで平蔵は、おはるの話から、ひら井にもみあげの下に刀傷のある男がいることを知る。平蔵は、刀傷の男が、夜ぎつねの富蔵(坂本長利)という悪党ではないかと考え、その正体を突きとめようと、密偵・伊三次(三浦浩一)に、ひら井を見張らせた。刀傷の男は、盗賊・神崎の倉治郎(田中 浩)だった。倉治郎は、平蔵の顔を知っており、平蔵がひら井から出ていくところを見ていた。ひら井の女将・おろく(工藤明子)と倉治郎は、目前に迫っていた盗みばたらきに備え、用心のために与平を殺し、おはるの命も奪おうとする。

  • S03E15 炎の色

    • April 1, 1992
    • Fuji TV

    ある日、密偵のおまさ(梶芽衣子)は、旧知の盗賊・峰山の初蔵(新田昌玄)から声をかけられた。初蔵は、犯さず、殺めず、貧しき者から奪わずの掟を守る大盗賊・荒神の助太郎の弟分だった。助太郎が亡くなり、近いうちに二代目の披露と、それに伴った大仕事をするという。助太郎は子宝に縁がなく、初蔵は誰が二代目を襲名するのか明かさなかった。おまさは初蔵に、自分は平蔵の密偵である大滝の五郎蔵(綿引勝彦)の配下であると言っておいた。そんなおまさに、初蔵は盗みを手伝ってほしいと持ちかけてきた。話を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、おまさを一味に潜り込ませる。そこでおまさは、荒神の二代目がお夏(池内淳子)という名の女盗賊であることを知る。後日、お夏はおまさを譲り受けることになり、仁義を通すために五郎蔵と対面した。そこへ、おまさの後見人として前沢儀助と名乗り平蔵も同行。平蔵は、お夏の人柄をしっかりと見極めるのだった。お夏は、次第におまさだけに心の内を明かすようになり、ついにはきょうだいの契りを結んでほしいと言い出した。お夏の人柄にほだされたおまさは、つい自らの腕に刃を当てさせてしまうのだった。そのころ、初蔵たちは醤油酢問屋「野田屋」への急ぎばたらきを企んでいた。

  • S03E16 おしま金三郎

    • April 15, 1992
    • Fuji TV

    火付盗賊改方同心・松波金三郎(峰岸 徹)は、平蔵(中村吉右衛門)配下で腕利きのひとりであったが、強引な調べの手法もまた際立っており、同役とも折り合いがつかずにいた。その松波が、金で個人的に使っている密偵に七兵衛(不破万作)がいた。ある日、七兵衛のところにおしま(蜷川有紀)がやってきた。おしまは、火付盗賊改方が追い求めている盗賊・牛尾の又平(玉生司朗)の身内のひとりだった。又平一味の急ぎばたらきに嫌気が差したおしまは、七兵衛に足抜きをしたいと言ってきた。松波は、おしまの足抜きに力を貸すかわりに、又平一味の動きを知らせるよう持ち掛ける。すると、おしまから思いがけない提案が。松波の弱みを握りたいおしまは、一夜を共にしたいと言ってきたのだ。松波は平然とその提案を飲み、おしまから内情を引き出す。それによって火付盗賊改方は、又平一味を壊滅。だが後日、おしまとの関係が発覚した松波は、御役御免になってしまう。

  • S03E17 忠吾なみだ雨

    • April 29, 1992
    • Fuji TV

    同心・木村忠吾(尾美としのり)は、ある日浪人者ふたりに絡まれていた若い娘・お雪(喜多嶋舞)を助けた。忠吾は器量良しのお雪に惚れ込み、やがてふたりは結婚を約束するようになる。お雪は足袋屋「つちや善四郎」の主人・善四郎(山田吾一)に育てられていた。実はこの男、今は堅気となっているが、かつては鴨田の善吉という名で、鈴鹿の又兵衛(高松英郎)の片腕といわれたほどの盗賊であった。お雪は、善四郎の義兄である又兵衛の娘だったのだ。そんなことは露とも知らず、忠吾はお雪のことを平蔵(中村吉右衛門)に相談。お雪の身元を調べ始めた平蔵は、やがて又兵衛一味が動き出していることをつかんだ。又兵衛は引退を決意し、最後の大仕事に取り掛かろうとしていた。それを知った平蔵は、忠吾に内勤を命じる。盗賊改めと盗賊の娘の恋。悲しい運命が待ち受けていることを予感しながら、平蔵は又兵衛一味を捕えるため、調べを進めるのであった。

  • S03E18 おみよは見た

    • May 6, 1992
    • Fuji TV

    殺し屋・青堀の小平次(近藤正臣)は、茶問屋・八幡屋利兵衛が囲っている、お八重(桃山みつる)という女を殺した。だが、その現場をお八重の下女・おみよ(吉沢梨絵)に見られてしまった。殺しを見られたからには始末する。小平次は、殺しの仲立ちをしている大島の治兵衛(草薙幸二郎)の配下・宇吉(西沢利明)から、掟通りおみよを殺すよう念押しされる。だが、おみよは町方の調べに対し、小平次の顔も格好も見ていないと答えていた。お八重の件を含め、いわれのない殺しが続いていたことから、平蔵(中村吉右衛門)は殺し屋とそれを斡旋している者がいるとにらみ、調べを進める。口封じのために、おみよを探していた小平次は、偶然立ち寄ったそば屋でおみよに出くわす。だが、殺すのをためらってしまう。小平次は武家の出であったが、上役の罪をかぶって父は切腹、一家離散していた。その際、親戚に引き取られた妹の面影を、おみよに見ていたのだった。

  • S03E19 密偵たちの宴

    • May 13, 1992
    • Fuji TV

    それは小房の粂八(蟹江敬三)の何気ないひと言から始まった。この日、平蔵(中村吉右衛門)の密偵である、おまさ(梶芽衣子)、伊三次(三浦浩一)、大滝の五郎蔵(綿引勝彦)、豆岩(青木卓司)が宴を開いていた。そこで粂八が、最近の盗っ人は、むごい急ぎばたらきばかり。本当の盗っ人とはどういうものか、一度見本を見せてやりたいと言い出した。伊三次は、それなら格好の相手がいると乗ってきた。医者でありながら、金蔵まで作って高利貸しをしている竹村玄洞(戸浦六宏)だ。おまさだけは、平蔵に顔が立たないと反対するが、男連中は、相模の彦十(江戸家猫八)や五鉄の三次郎(藤巻 潤)も巻き込んで、玄洞について詳細に調べ始める。一方、平蔵は、駿府御城下を荒らしまわっていた盗賊・鏡の仙十郎(五味龍太郎)一味が江戸に入ったとの報せを受けていた。平蔵は密偵を集め、仙十郎の行方を追わせた。すると、偶然にも仙十郎の狙いが、玄洞宅であることがわかる。

Season 4

  • S04E01 討ち入り市兵衛

    • December 2, 1992
    • Fuji TV

    ある夜、「五鉄」の前に深手を負った男が倒れていた。男は、松戸の繁蔵(下川辰平)という盗賊だった。繁蔵は、平蔵(中村吉右衛門)の密偵・相模の彦十(江戸家猫八)の昔馴染みであり、伝説的な盗賊・蓮沼の市兵衛(中村又五郎)の片腕と言われていた。市兵衛は、時間をかけて準備し、決して誰も傷つけずに大仕事をする本格の盗賊。平蔵のはからいで医者を呼び、彦十らは繁蔵の介抱にあたった。やがて、繁蔵に代わって、彦十が市兵衛のもとに出向き、繁蔵の容態を伝えた。市兵衛は、上方から中国にかけて急ぎばたらきを続けていた盗賊・壁川の源内(内田勝正)から、江戸に進出する手助けをしてほしいと再三言われていたのだが、信条の違いを理由に断っていた。それがもとで繁蔵は命を狙われたのだった。ほどなく繁蔵は無念の死を遂げ、市兵衛は壁川一味への仇討ちを決意する。市兵衛らの動きを追い、なりゆきを見守っていた平蔵は…。

  • S04E02 うんぷてんぷ

    • December 9, 1992
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)は、二十三年ぶりに池田又四郎(神田正輝)の姿を見かけた。又四郎は、かつて高杉道場で井関録之助(夏八木勲)らと共に剣を学び、平蔵が弟のように目をかけていた存在であった。又四郎は、上方を根城にしている盗賊・須の浦の徳松(北村英三)の用心棒になっていた。又四郎は、かつて徳松の女であったお吉(大塚良重)と深い仲になり、お吉は、又四郎の命を助けるために姿を消してしまっていた。そのお吉を、徳松一味の重吉(益富信孝)が、江戸の町で見つける。お吉は、大店である薬種問屋「大和屋」で働いていた。話を聞いた徳松は、次の押し込み先を大和屋に定め、お吉に引き込みの手引きをさせるため、又四郎にお吉を説得するよう持ちかけた。又四郎は、どうにかお吉を助けたいと考えた末、徳松一味に刃を向ける。また、火付盗賊改方に出向き、平蔵宛てに書き置きを残していった。書き置きを読んだ平蔵は、ひとり出て行くのであった。

  • S04E03 盗賊婚礼

    • December 16, 1992
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    朝になるまで誰も気付かないまま、薬種問屋「山城屋」で金七百八十両が盗まれた。本格の盗賊・一文字の弥太郎(三ツ木清隆)一味の仕業だった。その弥太郎のもとに、名古屋の大盗・鳴海の繁蔵(寺田 農)から書状が届く。それは、弥太郎が繁蔵の娘・お糸(田中由美子)と夫婦になるという、双方の親同士が交わした取り決めを確認するためのものだった。鳴海一味は、繁蔵の代になってから急ぎばたらきをするようになっており、江戸に出て盗みを働く際に弥太郎を利用しようとしているのは明らかだった。弥太郎は、結婚の約束は守るが、稼業での付き合いはしないとの旨を伝える。そのころ、平蔵(中村吉右衛門)のもとに、十年前まで弥太郎の配下だった長島の久五郎(中村橋之助)を見かけたとの報せが入る。久五郎は、繁蔵の配下となっており、結婚の取り決めに関して弥太郎一味とのつなぎ役を務めていた。平蔵は、その線から弥太郎、鳴海一味の行方を追う。

  • S04E04 正月四日の客

    • January 13, 1993
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    枕橋にある蕎麦屋「さなだや」では、正月四日に限り、さなだそばだけを出していた。女房のおこう(山田五十鈴)が、両親の祥月命日にふたりを偲び、母がよく作ってくれたさなだそばを作り、父が好きだった唄を三味線で奏でるのだ。ねずみ大根を入れたそばは、辛みが強く常連の客も寄りつかなくなるが、そんなおこうの思いを知っている平蔵(中村吉右衛門)は、さなだそばを食べに訪れるのであった。ある日、ひとりの客(河原崎長一郎)が、さなだそばを目当てにやってきた。その後、男は正月四日だけ、さなだやに現れるようになる。そんな中、蝋燭問屋「日野屋」が盗賊一味に襲われた。平蔵らの調べにより、亀の小五郎一味の仕業と思われた。おこうは、小五郎一味の配下・前砂の甚七(中村又一)の発見に一役買うが、そこで小五郎に亀の彫り物があることを知って驚く。正月四日の客にも、亀の彫り物らしきものがあったのだ。そして、また明くる年の正月四日がやってきた。

  • S04E05 深川・千鳥橋

    • January 20, 1993
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    ある日、密偵のおまさ(梶芽衣子)は、間取りの万三(高橋長英)とお元(一色彩子)の姿を見かける。万三は、大工仕事のときに引いた間取り図を、方々の盗人に売りつけている男であった。翌日、おまさと相模の彦十(江戸家猫八)があとをつけると、万三は、鰻屋「大和屋」の主人・金兵衛(根上 淳)のもとを訪ねた。金兵衛は元盗賊の頭目だった。おまさと彦十は、平蔵(中村吉右衛門)に報告。万三は若いころからの労咳持ちで余命いくばくもなく、また金兵衛も人を傷つけぬ盗みをしてきた盗賊であった。そこで、おまさと彦十は、どうかこのふたりにお慈悲をと願い出た。平蔵は、おまさらの願いを聞き入れると約束する。そのころ、万三は自分と同じく労咳にかかっているお元を最後の女と決め、ふたりで静かに余生を送るために最後の仕事として『幻の絵図面』と呼ばれている浅草の札差「金子屋」の図面を売ろうとしていた。万三の話を聞いたお元は、やめてほしいと懇願するのだが…。

  • S04E06 俄か雨

    • January 27, 1993
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    その日、平蔵(中村吉右衛門)は市中見回りのため目黒不動に立ち寄った際に、雷雨に見舞われた。百姓家で雨宿りをした平蔵は、そこで火付盗賊改方の勘定方同心・細川峯太郎(中村歌昇)とお長(長谷直美)の密会を目撃。細川は、そこに入ってきた手配中の浪人・岩口千五郎(田中 浩)に気づかず、あっけなく気絶させられるという失態を演じてしまった。やむなく岩口を捕えた平蔵は、細川に雷を落とし、妻を迎えるよう命じた。細川と同じ長屋に住んでいるお幸(若林志穂)が、かねがね細川に思いを寄せていたことを知った平蔵のはからいであった。細川は、お幸と婚礼をあげ夫婦となった。お幸との新婚生活に満足し、落ち着いたかに見えた細川だったが、ある日、お長のことを思い出してしまい、むくむくと浮気心が湧き上がってきてしまう。細川は、お長に会いに行くため目黒に向かうが、そこで盗賊・江島の由五郎一味の残党・鳥羽の彦蔵(柴田侊彦)に出くわしてしまう。

  • S04E07 むかしなじみ

    • February 3, 1993
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    密偵・相模の彦十(江戸家猫八)は、偶然、昔の盗賊仲間・網虫の久六(草薙幸二郎)から声をかけられた。久六は、ひとりばたらきの盗賊でありながら、盗みを働くたびに仲間を集めては小金を狙うやり口で全国を渡り歩いてきた。久六は、彦十に盗みの手助けをしてほしいと言ってきた。すぐに平蔵(中村吉右衛門)に知らせた彦十だったが、久六から詳しい話を聞いて同情してしまう。かつて久六は、上方でおきんという女と所帯を持っていたが、盗っ人稼業を優先し、金五両を添えて豊次郎という男に譲っていた。おきんのお腹には久六の子供が宿っていたが、そのことを知ったのはずっとあとのこと。今は豊次郎も息子も病に伏せているという。久六は、恩義のある豊次郎や息子のためにまとまった金をつかみたいと言ってきたのだ。彦十は、久六に手を貸す決意をする。そのころ平蔵は、密偵のおまさ(梶芽衣子)、大滝の五郎蔵(綿引勝彦)に、様子のおかしい彦十の動きを見張るよう命じていた。

  • S04E08 鬼坊主の女

    • February 10, 1993
    • Fuji TV

    かつて江戸市中を荒らし回った大盗賊・鬼坊主清吉(ガッツ石松)と、その両腕といわれた左官の政次郎(丹古母鬼馬二)、入墨の吉五郎(根岸一正)が、江戸伝馬町の牢屋敷に送られてきた。鬼坊主とふたりの手下は、町奉行所の拷問に耐え抜き、何ひとつ口を割ろうとしなかったため、市中で評判になっていた。平蔵(中村吉右衛門)は、密偵のおまさ(梶芽衣子)と相模の彦十(江戸家猫八)に、町奉行所に知られぬよう、鬼坊主の様子を探るよう命じた。そんな中、鬼坊主ら三人に市中引き回しの上、磔のお達しが下った。だが、鬼坊主は捕えられてなお、大それたことを考えていた。引き回しの最中に、辞世の句を読みあげて江戸中をあっと言わせようとしていたのだ。鬼坊主は、自分の女・お栄(光本幸子)と連絡をとり、お栄の家の床下に隠してある金を使って、時世の句を作れる者を探させた。そこでお栄は、浪人・棚倉市兵衛(高津住男)に目を付けるのだった。

  • S04E09 霧の七郎

    • February 17, 1993
    • Fuji TV

    中国筋でその名も高い大盗賊・霧の七郎(片桐竜次)とその一党が、江戸に潜入していた。七郎の兄、小川や梅吉は、すでに平蔵(中村吉右衛門)の手によって逮捕処刑され、七郎は復讐の機会を虎視眈々と狙っていた。そんなある日、七郎は浪人・上杉周太郎(原田大二郎)と出会った。上杉は飄々としており、どこかつかみどころのない変わり者だったが、その並々ならぬ腕を目の当たりにし、七郎は平蔵の息子・辰蔵(長尾豪二郎)殺しを依頼する。ところが上杉は、腹を下して苦しんでいた辰蔵を助けてしまう。さらに辰蔵と意気投合した上杉は、一緒に岡場所へ繰り出してしまった。結局、上杉は殺しの依頼を断った。だが、殺しを依頼した者のことを辰蔵に話そうとはしなかった。辰蔵は、上杉を平蔵に合わせることにする。そのころ平蔵は、七郎一味が江戸に潜んでいることを知り、調べを進めていた。そして七郎が江戸にいるならば、復讐を企てることもあるはずだと考えていた。

  • S04E10 密偵

    • February 24, 1993
    • Fuji TV

    青坊主の弥市(本田博太郎)は、盗賊・荒金の仙右衛門の配下であったが、平蔵(中村吉右衛門)の容赦ない拷問にかかって、ついには口を割り、仙右衛門一味は捕まえられた。だが、半死半生になりながら最後まで仲間に義理を通したことが認められ、今は火付盗賊改方の密偵となっていた。弥市は堅気となり、一膳めしや「ぬのや」の主人として店を切り盛りし、妻のおふく(友里千賀子)と、娘のおみよと幸せに暮らしていた。ある日、ぬのやにかつての盗賊仲間・乙坂の庄五郎(横光克彦)がやってきて、仙右衛門一味の唯一の生き残り、縄抜けの源七(岡田 潔)が江戸に舞い戻っていると知らせてきた。裏切り者の弥市を殺すために、居所を探しているという。弥市は、与力・佐嶋忠介(高橋悦史)らの協力を得て、ぬのやに見張りをつけてもらい、源七の行方を追う。だが、そこへ庄五郎が極秘に接触をはかってきた。実は、庄五郎は裏で源七とつながっていたのだ。

  • S04E11 掻堀のおけい

    • March 10, 1993
    • Fuji TV

    紙問屋「伊勢屋」が襲われ、主人と女房のおけい(三ツ矢歌子)が、手足を縛り上げられた格好で見つかった。だが、盗賊を引き込んだのはおけいだった。翌朝、木村忠吾(尾美としのり)らが来るが、当然おけいはしらを切り、事件は迷宮入りとなった。一年後、密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)と忠吾は、おけいを見かけ声をかけるが、おけいは、人違いだと言って去っていく。やがて、おまさ(梶 芽衣子)の記憶から、おけいは大店の女房になりすまし、盗っ人の引き込みをする掻堀のおけいだと分かる。平蔵(中村吉右衛門)は、そんな女が姿を見せたとなれば、企みがあるはずだとにらんだ。そのころ、五郎蔵はかつて配下だった鶴吉(沖田浩之)と鉢合わせる。様子のおかしい鶴吉を問いただすと、鶴吉は親子ほども年の離れたおけいに骨抜きされていると明かす。五郎蔵が鶴吉を助けるべく動き出したころ、おけいは残忍な殺しも厭わない和尚の半平(阿知波大輔)と組んで、新たな盗みを画策していた。

  • S04E12 埋蔵金千両

    • March 17, 1993
    • Fuji TV

    病床に伏した独身の浪人者・太田万衛門(中丸忠雄)は、死期が迫るのを感じ取り、下女で妾のおてい(中島唱子)を枕元に呼んだ。万衛門は、自分はかつて小金井の万五郎と名乗った大泥棒で、悪事を重ねてため込んだ千両ほどの金を隠してあり、その半分をおていにやると言った。残りは行方知れずの息子に渡したいと言い、息子の消息を知る信州・上田にいる男を連れて来くるようおていに命じた。そのころ、風邪をひいた平蔵(中村吉右衛門)の役宅に、医者の辻桃庵(寺下貞信)が来ていた。診察が終わると、桃庵は患者のことだと言って、万衛門の話を始めた。それによると、死を待つばかりの万衛門の元に、試しに別の医者を連れていったところ、医者は病を癒せると言った。その申し出に飛びついた万衛門は、やがて医者の手技により回復を見せた。狂喜した万衛門は、完治させたら治療費の五十両とは別にさらに五十両を支払うと言ったという。その話を聞いた平蔵は、考え込む。

  • S04E13 老盗の夢

    • March 24, 1993
    • Fuji TV

    引退して京都に隠居していた蓑火の喜之助(丹波哲郎)に、おちよ(青山知可子)という女ができた。喜之助は、おちよのために江戸で最後の大仕事を計画する。喜之助は、その名の通り、古蓑や笠がちょろちょろ燃えるように静かに盗みを働き、殺めず、犯さず、貧乏人から奪わずの掟を守ったまま万両を稼いだという、盗っ人の鑑と言われるほどの男だった。江戸に出てきた喜之助は、平蔵(中村吉右衛門)の密偵・小房の粂八(蟹江敬三)に接触。粂八とは旧知の仲だったが、粂八に密偵の匂いを嗅ぎとると、すぐに姿を消した。粂八から話を聞いた平蔵は、急いで喜之助の足取りを追わせるが、なかなか尻尾をつかめなかった。そのころ喜之助は、前砂の捨蔵(中井啓輔)の口利きで、四人の助っ人を集め、盗みの手筈を整えていた。だが、この四人は、殺しもいとわない盗賊・黒雲の龍蔵(五味龍太郎)の手先で、喜之助の盗みを横取りしようと企んでいた。

  • S04E14 ふたり五郎蔵

    • March 31, 1993
    • Fuji TV

    火付盗賊改方役宅に新しい髪結いが雇われた。髪結いの名は五郎蔵(岸部一徳)。平蔵(中村吉右衛門)の密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)と同じ名前だった。髪結いの五郎蔵は、腕が良く実直で評判もいいのだが、どこか気の弱いところがあった。ある日、髪結いの五郎蔵の異変に気づいた平蔵が、密偵のおまさ(梶芽衣子)に調べさせると、五郎蔵の女房・おみよ(野平ゆき)が誘拐されていたことがわかる。だが、髪結いの五郎蔵は何も話そうとしない。平蔵は、何者かが髪結いの五郎蔵を脅し、盗みを働くのではないかと調べを進めた。髪結いの五郎蔵の出入り先で、大店は三店。その中のひとつ、菓子屋「桔梗屋」に長尻のお兼(宮田圭子)という引き込み役が入っていた。押し込み先は桔梗屋と思われたが、平蔵は合点がいかなかった。引き込み役がいるなら、髪結いの五郎蔵の使い道がないからだ。そんな中、髪結いの五郎蔵を見張っている者がいるとの連絡が入った。平蔵は、桔梗屋と髪結いの五郎蔵に見張りをつけさせる。これらはすべて、兄を平蔵に殺された凶賊・暮坪の新五郎(菅貫太郎)が仕組んだことだった。新五郎は、おみよを誘拐し監禁。さらに凄腕の浪人を雇っていた。新五郎の大胆な計画が遂行される日が、目前に迫っていた。

  • S04E15 女密偵・女賊

    • April 14, 1993
    • Fuji TV

    密偵のおまさ(梶芽衣子)は、定期のつなぎをつけるため平蔵(中村吉右衛門)の御用を勤める口合人・佐沼の久七(小林昭二)のもとに出向いた。そこで、押切の駒太郎(朝日完記)という腕のいい錠前外しの話を聞いた。八王子の絹問屋「清水屋」で盗みを働いたばかりだということだった。時を同じくして、おまさは、妹のようにかわいがっていた昔の盗賊仲間・お糸(岡まゆみ)と再会。お糸は、約束の茶店で恋人を何日も待ち続けていた。話を聞いたおまさは、お糸の待ち人が駒太郎であることを知る。ふたりは夫婦になる約束をしていた。平蔵はおまさからの報告を受け、駒太郎が仕えている盗賊・鳥浜の岩吉(浜田 晃)の行方を追った。お糸の話によると、駒太郎は血を見るのが嫌いで、残忍な押し込みを繰り返す岩吉一味から逃げ出したいと言っていたという。平蔵は、岩吉一味の盗人宿が「船清」であることをつかみ、捕物はその日のうちに行われた。だが、平蔵にはもうひとつやることがあった。

  • S04E16 麻布一本松

    • April 21, 1993
    • Fuji TV

    同心・木村忠吾(尾美としのり)の見回り区域が麻布になって三ヵ月。麻布には、遊ぶ場所も盛り場もなく、忠吾は面白くない。そんなある日、麻布の一本松坂で、忠吾が何気なく蹴った小石が、剣客・市口又十郎(村田雄浩)に当たってしまう。忠吾が妙に突っ張ってしまったため、ふたりは揉めるが、忠吾はとっさに市口の急所を蹴り、何を逃れた。数日後、忠吾が麻布に見回りに出ると、ひとりの女が声をかけてきた。その女・お弓(水島かおり)は、市口に嫌がらせを受けたことがあり、一本松坂での出来事を見ていたという。お弓は、お礼も兼ねて忠吾にまた会いたいと言ってきた。デレデレの忠吾だったが、お弓と会う約束をした前日、平蔵(中村吉右衛門)と見回りに出たところを、盗賊・堀本虎太郎の残党三人に襲われ、足に深手を負ってしまう。忠吾は、どうにか明日までに足を治してくれと医者に頼むのだが、即座に無理だと言われてしまい…。

  • S04E17 さざ浪伝兵衛

    • April 28, 1993
    • Fuji TV

    屈強な体躯を武器に、江戸中を荒らし回っていた凶賊・さざ浪伝兵衛(又野誠治)は、小田原に潜伏していた。さざ浪の一味は、平蔵(中村吉右衛門)によって捕えられ壊滅していた。かねてより、伝兵衛の情婦・おだい(清水ひとみ)に目を付けていた平蔵は、おだいが、人目を忍ぶように江戸を出たのを見て、伝兵衛に呼ばれたものと確信。同心・酒井祐助(勝野 洋)、沢田小平次(真田健一郎)らを引き連れて小田原城下に入り、おだいを慎重に見張った。だが、おだいは変装を得意とする悪党・役者小僧市之助(趙 方豪)と結託し、伝兵衛を亡き者にしようと企んでいた。それを知った伝兵衛は怒り狂い、老盗・砂堀の蟹蔵(織本順吉)、馬子ながら関所の抜け道案内をしている政吉(高良隆志)の力を借りて、おだいと市之助を殺そうとする。さらに、火付盗賊改方が小田原にいることを知り、平蔵の眼前でふたりを殺し、その鼻を明かしてやろうと思い立つのだった。

  • S04E18 おとし穴

    • May 5, 1993
    • Fuji TV

    編笠に着流し姿で市中見回りに出た平蔵(中村吉右衛門)は、甘酒や「恵比寿屋」から出てきたふたり連れに目を注いだ。それは火付盗賊改方同心・佐々木新助(中村梅雀)と茶くみ女のお才(山本みどり)だった。この恵比寿屋は、若い茶くみ女を揃え、客が連れ出し料を払えば、どこへでも連れ出すことができた。平蔵は、役向きのことで探りを入れているのかと思ったが、うぶな佐々木のこと、どこか危うさを感じた。佐々木は、実直な人柄を見込まれ、筆頭与力・佐嶋忠介(高橋悦史)の姪・お米(丸山秀美)を嫁に迎えていた。だが、実のところ、佐々木は、初めて知った女の歓びに抗いきれず、金を都合してはお才のもとへ通いつめていたのだ。だが、お才は盗賊・夜鴉の勘兵衛(岩尾正隆)の女房だった。一味の罠に落ち、脅された佐々木は、次第に盗みの手助けをするようになる。火付盗賊改方の監視を外すように、押し込みが続いた。平蔵は、内部に密告者がいるのではと疑念を抱いた。

  • S04E19 おしゃべり源八

    • May 12, 1993
    • Fuji TV

    盗賊・天神谷の喜佐松(伊波一夫)一味を追ったまま、四ヵ月もの間、行方不明になっていた同心・久保田源八(佐藤B作)が見つかった。当時、喜佐松が相州・藤沢に潜んでいるという報せを受け、密偵・小房の粂八(蟹江敬三)とともに探索を進めていたのだった。久保田は、記憶をなくしており、それまでの行動はおろか、自分のこと、嫁のこと、お役目のことすらわからない有り様だった。そんな中、久保田がかぶっていた笠の文字から、藤沢にある茶屋「とみや」が浮かび上がる。とみやの主人・仁助(花上 晃)によると、四ヵ月前の雨の日、久保田は、平塚の旅籠「米屋」に泊まっている粂八に文を渡してほしいと頼み、町人風の男のあとを追っていったという。だが、その文は粂八に届いていなかった。仁助は、米屋の番頭・梅次郎(下元年世)に預けたという。梅次郎が怪しいとにらんだ平蔵は、その素性を洗うよう粂八に命じた。やがて、天神谷一味の仕業と思われる押し込みが発生する。

Season 5

  • S05E01 土蜘蛛の金五郎

    • March 9, 1994
    • Fuji TV

    三ノ輪のはずれにあるめし屋「どんぶり屋」。飯は食い放題で、魚と汁がつき、香の物のお代わりは勝手。田舎そばでも十五文はするところを、これだけ腹におさめてたったの七文。飯時を過ぎ店の裏手に食うや食わずやの連中が群れてくると、今度はただで雑炊を振る舞っていた。平蔵(中村吉右衛門)は、これを盗っ人がやっているものとにらみ、食い詰め浪人・木村五郎蔵と名乗り、自らどんぶり屋に通い出した。店の主人は、越後・越中・信州を荒らし回った急ぎばたらきの盗賊・土蜘蛛の金五郎(遠藤太津朗)だった。やがて金五郎は、平蔵の腕を見込み、五十両で殺しを依頼してくる。相手は手引きが整う土壇場まで明かせないという。与力・天野甚造(御木本伸介)はじめ火付盗賊改方、密偵たちの調べによって、金五郎が大きな盗みを計画していることがわかった。殺しと盗み、このふたつの関係は…。平蔵に、ある考えが浮かぶ。平蔵は、旧友・岸井左馬之助(竜 雷太)に使いを出すのだった。

  • S05E02 怨恨

    • March 16, 1994
    • Fuji TV

    盗賊・駒止の喜太郎(汐路 章)一味が捕縛された。だが、このとき喜太郎の盗みを助けた盗賊のひとり、磯部の万吉(速水 亮)は、同心・木村忠吾(尾美としのり)に傷を負わせて逃走。それから三年が経過した。その万吉が江戸に出没したとの報せがあり、平蔵(中村吉右衛門)は忠吾に調べを任せる。忠吾は、密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)とおまさ(梶芽衣子)に万吉の居所を突き止めるよう命じる。実は、万吉のネタを平蔵に通したのは五郎蔵だった。かつて五郎蔵の優秀な配下で、今は五郎蔵の漏らし(情報)屋をしている桑原の喜十(金内喜久夫)から報せがあったのだ。五郎蔵は、再び喜十に万吉のことを尋ねるが、どうも様子がおかしい。そこで五郎蔵は、おまさに頼み、喜十の営む「信濃屋」を見張った。すると信濃屋の二階に、今里の源三(長門裕之)という盗賊の頭がいることがわかる。そのころ、源三と因縁のある万吉は、刺客・杉井鎌之助(清水紘治)を雇い、源三を殺す算段を進めていた。

  • S05E03 蛙の長助

    • April 13, 1994
    • Fuji TV

    廻船問屋「上總屋」に、盗賊・夜嵐の定五郎(五味龍太郎)が押し入った。火付盗賊改方の面々は、定五郎の噂を求めて町に散った。そんなある日、浪人姿で探索に出ていた平蔵(中村吉右衛門)は、元盗賊・蛙の長助(米倉斉加年)を助ける。長助は借金取りをしており、取り立て相手の旗本・今井勘十郎(長谷川明男)から半殺しの目にあっていた。長助は、相手の耳元で蛙のように「返せ、返せ」と気長に鳴くことで見事に借金を取り立てる男だった。平蔵は、長助の頼みで今井からの取り立てを手伝い、三十二両を返済させた。だが、貧乏旗本の今井が、そのような大金を返済したことを不審に思い、密偵のおまさ(梶芽衣子)、相模の彦十(江戸家猫八)に今井の身辺を洗わせる。一方、長助は、取り立ての際に今井の家に居合わせたのが、昔の盗賊仲間・浅間の捨蔵(高並 功)であることに気づいていた。そのことを知らされる平蔵。平蔵は、捨蔵と定五郎一味につながりがあると考えていた。

  • S05E04 市松小僧始末

    • April 20, 1994
    • Fuji TV

    日本橋の木綿問屋「嶋屋」の一人娘・おまゆ(長与千種)は、力と腕っぷしは関取並み、剣を取らせれば火付盗賊改方与力・酒井祐助(勝野 洋)と互角の腕前。寄り付く男がいなかった。だが、世間から売れ残りおまゆと呼ばれても、本人はまったく気にしなかった。そのおまゆが、すりの市松小僧又吉(春風亭小朝)と、ひょんなことから恋に落ちた。市松小僧又吉は、江戸市中を騒がせているすりの名人。おまゆは、又吉にすりをやめさせ、夫婦になると決心する。すべてを両親に打ち明けると、五年間見事に所帯を張り通せたら、改めて亭主として認めると言われる。半年後、おまゆと又吉は広小路に「小島屋」という小間物屋を出した。平蔵は、又吉が市松小僧と知りながら、捕まえたいのは堅気の亭主ではないと、又吉を見逃す。だが、酒井に当分の間又吉を見張るよう言いつけた。すりは三度捕まれば、死罪。又吉はすでに二度捕まっていた。ある日、そんな又吉の前にひとりの侍が現れる。

  • S05E05 消えた男

    • April 27, 1994
    • Fuji TV

    筆頭与力・佐嶋忠介(高橋悦史)は、元火付盗賊改方同心・高松繁太郎(渡辺裕之)と偶然再会を果たした。八年前、高松は佐嶋に、好きな女と他国へ行くと書き置きを残し出奔していた。だが佐嶋は、そこに平蔵(中村吉右衛門)の前任者・堀帯刀の下で働くのに嫌気が差したという本心があることを知っていた。佐嶋は、もう少し平蔵の着任が早ければ、辞めることはなく、平蔵の片腕になっていただろうと高松に語りかけた。酒を酌み交わし、ふたりが別れた直後、近くで殺人が起こった。現場に残された提灯から、佐嶋は高松がやったものとにらむ。平蔵らの調べにより、殺されたのは盗賊・笹熊の勘蔵(佐藤仁哉)だとわかる。勘蔵は、八年前に佐嶋らが取り逃がした凶賊・蛇骨の半九郎の配下であった。高松は失踪する三日前、蛇骨一味のお杉(斉藤林子)という女を網にかけ、二、三十両あれば盗人宿がわかるので工面してほしいと、堀帯刀に申し出たが却下されていた。お杉は、勘蔵の情婦だった。

  • S05E06 白根の万左衛門

    • May 4, 1994
    • Fuji TV

    ある日、密偵・相模の彦十(江戸家猫八)は、茶店で男女ふたり組がすりに遭うのを見かけ、すりから財布を取り返した。その財布の中には『萬さえもん』と書かれた札があった。それは、二十年以上も上方を荒らし回った大盗・白根の万左衛門(岡田英次)の名札だった。万左衛門は、押し入った先々の神棚にこの名札を貼りつけてきたのだ。平蔵(中村吉右衛門)は、万左衛門の一味が江戸に入ったとみてふたり組の手がかりを探らせ、それが万左衛門の義娘・おせき(岡本 麗)と、その亭主・鶴吉(石丸謙二郎)だとわかる。一方、七十二歳の万左衛門は自らの死期を悟り、江戸での盗みを断念していた。おせき、鶴吉、配下の長兵衛(西田 健)を集めると、自分が死んだら京都の自宅にある隠し金二千両を、手下全員で分けるようにと命じた。だが、話を聞いた誰もが二千両を独り占めしようと考え始める。一方、平蔵は万左衛門の引き込み役と思われる、お沢(西岡慶子)に目を付けていた。

  • S05E07 お菊と幸助

    • May 18, 1994
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)が甲州へ出張していたときのこと、かつて平蔵の屋敷に奉公していたお菊(増田恵子)が、久栄(多岐川裕美)を訪ねてきた。連れ合いの伝吉(水上功治)の働き口を世話してほしいという。久栄は、自ら請け人となって絹問屋「上州屋」を世話した。伝吉が店に泊まり込んだ夜、盗賊が押し込みに入り、一家は惨殺されてしまう。平蔵の留守を狙った急ぎばたらきと考えられ、その引き込み役は伝吉であった。とんでもないことをしてしまったと責任を感じる久栄。留守を預かる筆頭与力・佐嶋忠介(高橋悦史)らは、必死にお菊の行方を追う。実は、お菊の父親・清兵衛は盗賊であったが、その後、平蔵の密偵となっていた。またお菊には、足の不自由な実の夫・幸助(田中隆三)がおり、お菊は、父と夫のことを持ち出されて、伝吉から脅されていたのだった。そんな中、お菊は伝吉の頭を徳利で殴って殺してしまう。そして、ついにお菊は捕えられるのだが…。

  • S05E08 犬神の権三郎

    • May 25, 1994
    • Fuji TV

    火付盗賊改方筆頭与力・佐嶋忠介(高橋悦史)は、上野山下の蕎麦屋「明月庵」で偶然、盗賊・犬神の権三郎(峰岸 徹)を見かけ、捕えた。権三郎は凶悪な盗みばたらきを繰り返しており、佐嶋が二度取り逃がした相手だった。平蔵(中村吉右衛門)は、取り調べの際も十分注意するよう命じるが、その夜物置小屋に火事があり、その混乱に乗じて権三郎は牢を破って逃げてしまう。平蔵は、屋敷の内外を心得た者の手引きがあったとにらんでいた。また、二年前、同じ牢屋で起こったある事件を思い出していた。かつて平蔵は、密偵・五丁の勘兵衛に指示し、盗賊・落針の彦蔵を脱獄させた。そして、彦蔵を餌に大盗・雨引の文五郎(目黒祐樹)を釣り上げた。その後、文五郎は平蔵の信頼する密偵となっていた。平蔵は、屋敷出入りの密偵を全員集めるが、文五郎だけが姿を見せなかった。平蔵は、文五郎と権三郎には、何か深い因縁があるとみて、その行方を追うのだった。

  • S05E09 盗賊人相書

    • June 15, 1994
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    蕎麦屋「東玉庵」に盗賊が押し入り、小女のおよし(高橋貴代子)を除いて、店の者全員が惨殺された。およしは盗賊の首領の顔を見ていた。その顔に目立つ傷跡のあることから、平蔵(中村吉右衛門)は人相書を手配、絵師・石田竹仙(柄本 明)が筆をとった。だが、できあがった人相書を見て、およしは全く似ていない、まるで違う人だと言った。およしの話によると、人相書を作る際、はじめはうまくはかどっていたが、途中から竹仙の口数が少なくなり、しまいにはおよしが顔の特徴を言っても生返事ばかり。それでも下絵は似ているものができていたという。不審に思った平蔵は、竹仙の素性を調べ、見張りをつけさせる。だが、竹仙はその見張りをまいた。いよいよ容疑は深まり、平蔵は竹仙を捕えた。竹仙はかつて流れ絵師として大店に入り込み、盗賊の手引きをしていた男だと分かる。そして、今度の人相書の男・熊次郎(六平直政)は昔の仲間だったのだ。

  • S05E10 浅草・鳥越橋

    • June 22, 1994
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    深川にある船宿「鶴や」は、平蔵(中村吉右衛門)の意を受け、密偵・小房の粂八(蟹江敬三)が預かっていた。そこに、押し切りの定七(平泉 成)という盗っ人が客としてやってきた。定七は、鶴やの馴染み客・小間物屋「三好屋」の主人(中井啓輔)と何やらきな臭い話をしていた。定七は、盗賊・傘山の瀬兵衛(中田浩二)の配下だった。平蔵は、密偵のおまさ(梶芽衣子)に定七を見張らせる。すると定七は、風穴の仁助(井上純一)という男と連絡をとった。仁助は、蝋燭問屋「越後屋」に引き込み役として入っていたのだ。平蔵は、鶴やでのやりとりから、定七が瀬兵衛を裏切り、三好屋に盗みばたらきを横取りさせようとしていると確信する。さらに定七は、仁助の女房・おひろ(小林かおり)が瀬兵衛と不倫していると仁助に吹き込み、瀬兵衛の命まで奪おうとしていた。平蔵は、定七が必ず三好屋につなぎをつけるとにらんでいた。平蔵の読み通り、ふたりは再び鶴やに姿を現した。

  • S05E11 隠し子

    • June 29, 1994
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    平蔵(中村吉右衛門)のもとに、長谷川家の元中間だった久助(奥村公延)が久しぶりに顔を見せた。平蔵と久助は、方々の博打場に連れだった仲であった。久助は、平蔵の父にお園(美保 純)という隠し子がいることを告白する。突然、妹の存在を告げられた平蔵は、久助に教えられた根津権現にある「三坪」という居酒屋にお園を訪ねた。お園の煙管を持つ手つきは、亡き父にそっくりだった。平蔵は、久助の話が本当だと悟る。周囲の店が女に身体を売らせている中、お園は客に媚びることもなく酒しか出さなかった。そんなお園を見初め、面倒を見ようと、根津界隈の顔役・荒井屋松五郎(田口 計)が言い寄っていた。久助はそのことを知り、思い余って平蔵に相談したのだった。一方、盗賊・藤岡の勘四郎(浜田 晃)の配下と思われる横沼の利吉(三浦賢二)が、荒井屋の縄張りで捕まった。火付盗賊改方の厳しい追及に、利吉は、盗人宿を荒井屋から紹介されたと白状する。

  • S05E12 艶婦の毒

    • July 6, 1994
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    平蔵(中村吉右衛門)が、老中・松平定信のはからいにより、父の墓参のために京都へ行くことになった。お供には同心一名と内示があり、それを知った同心たちは平蔵の前で剣術の腕を披露し、売り込みに必死となる。だが、平蔵は木村忠吾(尾美としのり)を指名する。お供がつくとはいえ、平蔵はひとり京へと向かい、忠吾は宿の手配のため平蔵に先んじて入っていた。そんな折、墓参りを済ませた平蔵は、忠吾が年増の女と密会しているところを目撃する。あろうことか、女は、平蔵が若かりしころに深い仲となった虫栗権十郎(遠藤征慈)一味の女賊・お豊(山口果林)だった。後をつけた平蔵は、お豊が筆・刷毛の「柏屋」の後妻に収まっていることを突き止める。その後、お豊が虫栗と会っているのを見た平蔵は、忠吾に虫栗をつけさせる。虫栗が入っていったのは、盗人宿で夜明けにおつとめをするという。そのころ、平蔵は茶屋から出てきたお豊と二十年ぶりに対面する。

  • S05E13 駿州・宇津谷峠

    • July 13, 1994
    • Fuji TV

    京都からの帰り、平蔵(中村吉右衛門)と同心・木村忠吾(尾美としのり)は、藤枝の宿で江戸から迎えに出てきた『猫どの』こと同心・村松忠之進(沼田 爆)と合流する。猫どのによると、江戸では、盗賊・空骨の六兵衛が殺され、その下手人に心当たりがあるという密偵のおまさ(梶芽衣子)が、駿州までやって来ているという。おまさは、六兵衛殺害の手がかりとなる、昔馴染みのお茂(二宮さよ子)と会っていた。かつておまさは、お茂に命を救ってもらったことがあった。六兵衛の配下は、音五郎(金子研三)、藤枝の久蔵(立川三貴) 、臼井の鎌太郎(誠 直也)の三派に分かれており、お茂は久蔵の女房だった。話を聞いた平蔵は、おまさと忠吾に、お茂のあとをつけさせる。するとお茂は、六兵衛の隠し金のひとり占めを狙って、三人の男たちをたぶらかしていたことがわかる。お茂はおまさに、隠し金を手に入れたら、百両で鎌太郎を始末してほしいと頼んできた。

Season 6

  • S06E01 蛇苺の女

    • July 19, 1995
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)は、見回りを兼ねて亀戸天神に参詣した後、門前の料理屋「玉屋」に寄った。この店には、おきさ(藤吉久美子)という女がいた。おきさは、かつて盗賊に手ごめにされ、それがもとで離縁していた。だが、健気に前を向くおきさを見て、平蔵は安心する。その帰り、平蔵は、玉屋にいた商人風の客が辻斬りに襲われているところを助ける。だが、平蔵が名乗ると、商人風の客は、逃げるように姿を消してしまった。不審に思った平蔵は玉屋に戻り、その客について尋ねた。すると、その客が張替屋と思われる男と会っていたことがわかる。人相から商人風の客は、凶賊・沼目の太四郎(中尾 彬)と判明。張替屋の男と共に、平蔵はその行方を追った。張替屋は、針ヶ谷の宗助(ベンガル)という腕利きの嘗め役だった。宗助が絵図面を作り、太四郎に売っていると見て、平蔵は密偵・相模の彦十(江戸家猫八)とおまさ(梶芽衣子)に宗助を見張らせる。すると宗助は、女房のおさわ(余貴美子)を玉屋で働かせ始めた。平蔵は、おきさに事情を説明し、おさわの動きを知らせてくれるよう頼んだ。宗助は、玉屋の絵図面を土産に、おさわと上方で暮らすつもりだったが、おさわは太四郎と情事を重ね、宗助を殺そうと計画していた。

  • S06E02 お峰・辰の市

    • July 26, 1995
    • Fuji TV

    同心・木村忠吾(尾美としのり)は、馴染みの女郎が身請けされヤケ酒を食らっていた。ふらふらと歩きだした忠吾は、ぶつかった浪人から、ひどく痛めつけられてしまう。後日、その浪人を見かけた忠吾は、締め上げてやろうとあとをつけた。すると、浪人が入った家に、組屋敷出入りの座頭・辰の市(市川左團次)が、目を開けてやってきた。浪人は、辰の市のかつての盗賊仲間・青木源兵衛(堀田真三)だった。源兵衛は、近いうちに四谷の文具商「玄祥堂」に押し入る手伝いをしてほしいと言ってきた。辰の市は、揉み療治をしに行く玄祥堂に恩があった。玄祥堂に女中奉公していたお峰(田島令子)と所帯を持たせてくれたのだ。ふたりとも堅気になっていたが、辰の市は元嘗め役、お峰は元引き込み女だった。そのころ、お峰も密偵・おまさ(梶芽衣子)と再会していた。ふたりは旧知の仲だった。忠吾とおまさの話を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、源兵衛の企みを見抜くのだった。

  • S06E03 泥亀

    • August 2, 1995
    • Fuji TV

    三田寺町の魚籃観音堂境内の茶店の亭主・泥亀の七蔵(名古屋章)。以前は、藤枝宿にたむろしていた盗賊・牛尾の太兵衛(岩田直二)一味の盗人宿の番人だったが、太兵衛のはからいで引き金をもらい数年前に引退していた。ある日、七蔵は関沢の乙吉(森次晃嗣)から声をかけられる。乙吉は、錠前外しの名人でひとりばたらきの盗賊。七蔵とは知った仲だった。乙吉によると、太兵衛が重病になったと見るや、手下の梶が谷の三之助(勝野賢三)たちが有り金を持ち逃げし、それがもとで太兵衛は死亡。家屋敷を売られた妻や娘は、あてもなく家を放り出され消息不明だという。七蔵は、なんとか残された家族に恩を返すため、金を作らなければと考える。そんな中、乙吉と旧知の密偵・相模の彦十(江戸家猫八)も、再会を果たした。事情を知った平蔵(中村吉右衛門)は、まず乙吉を捕えた。そして、三之助の一味が七蔵に絡んで引っかかるかもしれないと見て、七蔵を見張らせる。

  • S06E04 浮世の顔

    • August 9, 1995
    • Fuji TV

    滝野川村で、佐々木典十郎(増島剛之)という武士と、名古屋を根城にしているひとりばたらきの盗賊・藪塚の権太郎(若尾哲平)が殺された。殺しの全貌は、村娘・およしの証言によって明らかになった。佐々木は、およしを暴行しようとした。そこに通りかかったのが、権太郎と盗賊・三沢の磯七(石倉英彦)。権太郎は、佐々木を殴り殺すと、今度は自分がおよしにのしかかった。それを年長の磯七にいさめられ、口論の末、刺し殺されたのだった。平蔵(中村吉右衛門)は、江戸に馴染みのない権太郎が旅姿でなかった点に不審を抱き、口合人を通して動いているとにらむ。調べの結果、口合人・鷹田の平十を通じて、権太郎が凶賊・神取の為右衛門(五味龍太郎)の一味に加わろうとしていたことがわかる。為右衛門は押し込みを目前に控えていたが、権太郎たちと連絡が取れなくなったため、計画を中止。そのため、平蔵たちは、あと一歩のところで為右衛門一味を取り逃がしてしまう。

  • S06E05 墨斗の孫八

    • August 16, 1995
    • Fuji TV

    ある日、密偵のおまさ(梶芽衣子)は、久しぶりに本格の盗賊・墨斗の孫八(内藤武敏)と再会する。孫八は、大工上がりの盗賊で、殺さず、犯さず、貧しいものから奪わずの掟を、頑なに守り続けてきた。また、自分の親兄弟が苦しみながら死んだのを見てきたことから、生への執着がなかった。病を抱えていた孫八は、幼い息子のために最後の大仕事を計画。おまさに、助ばたらきをしてほしいと頼んできた。孫八には、東海岡部の宿で知り合った、おしげという女との間に二歳になる息子がいた。手が足りないという孫八の話を聞いて、平蔵(中村吉右衛門)、密偵の伊三次(三浦浩一)らも、孫八一味に加わることに。平蔵と孫八は、互いに通じ合うものを見出し、ふたりだけで大いに酒を飲み、意気投合する。そして、ついに盗みは決行された。日本橋の茶問屋「鶴屋」に忍び込んだ孫八一味。金蔵の前にたどり着いた孫八は、特製の鋸で錠前を切り始める。

  • S06E06 はさみ撃ち

    • August 23, 1995
    • Fuji TV

    かつて中国、九州を荒らし回った大盗賊・猿皮の小兵衛(中村嘉葎雄)は、ひとりも殺さず、一度もお縄にならぬまま引退。今は江戸の町で薬種問屋「萬年屋」の主人となり、余生を送っていた。その小兵衛の年若い妻・おもん(松田美由紀)に、貸し本を生業とする友蔵(内田直哉)という間男ができた。実はこの男、女たらしの引き込みで知られた冷酷な盗賊・針ヶ谷の友蔵だった。友蔵は、おもんをたぶらかして、夜な夜なおもんの床に忍び込み萬年屋の間取りを調べた。だが、友蔵の相棒・大亀の七之助(三上真一郎)は、押し込みの人集めを平蔵(中村吉右衛門)の密偵・相模の彦十(江戸家猫八)に頼んでしまう。彦十を通じ、平蔵らは、まんまと一味に加わることに成功する。一方、小兵衛は、おもんに間男ができたこと、それが友蔵であること、そして友蔵が賊であることを見抜いていた。そこで小兵衛は、盗賊時代の配下で、今は番頭の弥次郎(垂水悟郎)とある計画を立てる。

  • S06E07 のっそり医者

    • September 6, 1995
    • Fuji TV

    同心・木村忠吾(尾美としのり)が、役宅で預かっている身寄りのない娘・およし(高橋貴代子)の奉公先を探してきた。奉公先は、荻原宗順(宍戸 錠)というやもめ暮らしの医者で、およしと宗順は、ひと目見て互いに打ち解けた。宗順は、金儲けには目もくれず、貧しい者にはただで薬を与え、薬代を払えるようになるまで何年でも待つ評判の良い人物だった。平蔵(中村吉右衛門)は、妻の久栄(多岐川裕美)が心配していたこともあり、宗順に会いに行くことに。その人柄に触れ、安心する平蔵。また、宗順の手にあった竹刀だこを見て、剣術においても相当の使い手であると思うのだった。そんなある日、およしが平蔵を頼って役宅にやって来た。およしによると、宗順の家を嗅ぎまわっている怪しげな男たちがいて、身の危険を感じるという。平蔵は、宗順の過去を洗い始める。そして宗順が、三十年前に取るに足らないいさかいから同輩を斬り殺し出奔していた、早川民之助であることがわかる。

  • S06E08 男の毒

    • September 13, 1995
    • Fuji TV

    盗賊・黒股の弥市(本田博太郎)は、持病の労咳によって火付盗賊改方の前で果てた。その弥市に、長い間もてあそばれていた娘・おきよ(川上麻衣子)も解放され、一ヵ月後、晴れて小間物屋の直吉(坂本あきら)と所帯を持った。だが、おきよの体は、すでにいっときも男なしではいられないものになっていた。おきよは、平蔵(中村吉右衛門)が若かりしころ世話になった、煮売り屋の伊助(中井啓輔)の孫だった。黒股の弥市が、おきよの体に毒を仕込んだと心配する平蔵。だが、おきよはそれがもとで男と長続きせず、次々とその遍歴を重ねてしまう。そんな中、おきよは、経師屋の宗七(本田博太郎/二役)を見かけて驚く。弥市に瓜ふたつだったのだ。宗七と暮らし始めるおきよ。だが宗七は、盗賊・総上の三五郎(井上博一)の配下で、腕利きの引き込みだった。そのころ、三五郎一味の動きを追っていた平蔵は、一味の盗人宿をつかみ、捕物の準備を着々と進めていた。

  • S06E09 迷路

    • September 20, 1995
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)の手にかかって、盗賊・池尻の辰五郎(有川正治)が自害した。それを知った裏の世界の顔役・猫間の重兵衛(石橋蓮司)は、平蔵への復讐を誓う。重兵衛と辰五郎は盃を交わした義兄弟だった。そんなある日、平蔵は覆面姿の浪人に襲われる。逃げた浪人のあとを追うと居酒屋「豆甚」の前で忽然と姿を消した。平蔵は、豆甚の前に立っていた主人の顔に見覚えがあった。主人の人相書きを見た密偵・相模の彦十(江戸家猫八)は、それが盗賊・矢野口の甚七(井上昭文)であることに気づいた。そんな中、与力・秋本源三(山内としお)が、のどを射抜かれ殺される。続いて、難は逃れたものの平蔵の嫡男・辰蔵(長尾豪二郎)が襲われるなど、平蔵の周囲の者が次々と襲われる。平蔵は、自分への恨みによる凶行、挑戦と受け取る。そのころ、江戸の町に十五年ぶりに盗賊・法妙寺の九十郎(早川 保)が現れた。九十郎は辰五郎の妹の亭主で、九十郎一味の盗みばたらきを重兵衛が助けていた。九十郎が、密偵になっているとは知らずに玉村の弥吉(阿藤 海)に接触を図ってきたことで、火付盗賊改方は、九十郎一味の動きをつかみ始める。一方、御公儀の厳しい追及にあっていた平蔵は、これが最後の御奉公になるかもしれないと覚悟を決め、行方知れずになるのだった。

  • S06E10 おかね新五郎

    • October 18, 1995
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)は、寺の境内で子供に読み書きなどを教えている浪人・原口新五郎(滝田裕介)を訪ねた。新五郎は、高杉道場で同門だった平蔵の恩人である。血生臭い日々を送る平蔵にとって、新五郎との時間は息抜きとなっていた。その帰り、平蔵は二十数年ぶりに、おかね(南田洋子)という女を見かけた。おかねは、若いころ流しの女郎をやっており、平蔵や密偵・相模の彦十(江戸家猫八)とも旧知であった。おかねは、片目の男を包丁で切りつけようとしていた。聞けば、片目の男は弥助(山田吾一)といい、かつて、おかねは言い寄ってきた弥助の目をかんざしで刺した。それを恨んだ弥助が、おかねの娘を殺したのだという。その娘は、新五郎との間に授かった子だった。おかねは新五郎を慕い、新五郎もまたおかねと所帯を持つつもりだったが、新五郎の士官の妨げになると、おかねは自ら身を引き、ひとりで子供を産み育てていたのだ。平蔵は、おかねの仇討ちに手を貸すことにする。

  • S06E11 五月闇

    • November 1, 1995
    • Fuji TV

    密偵・伊三次(三浦浩一)は、馴染みの娼妓・およね(池波志乃)から、胸に傷のある伊佐蔵(速水 亮)という客の話を聞いた。凶賊・強矢の伊佐蔵と見た伊三次は、平蔵(中村吉右衛門)に報告する。だが、いつもと様子の違う伊三次を見て、平蔵は、ふたりに何か因縁があると感じた。平蔵は、密偵・相模の彦十(江戸家猫八)を、およねのいる岡場所「みよし屋」に潜入させて伊佐蔵が来るのを待った。だが、伊三次はひとりで伊佐蔵を捕まえようと躍起になっているところを、伊佐蔵とその仲間・市野の馬七(中嶋しゅう)によって、めった刺しにされてしまう。朦朧とした意識の中、伊三次は、かつて伊佐蔵の女房・おうの(志乃原良子)を横取りしたあげく伊佐蔵に重症を負わせ、かけおちした江戸で、今度は他の男に抱かれていたおうのも殺したと告白する。伊三次は、布団の下に平蔵からもらった二両がある、それを、およねに渡してほしいと頼むのだった。

Season 7

  • S07E01 麻布ねずみ坂

    • August 21, 1996
    • Fuji TV

    指圧師の中村宗仙(芦屋雁之助)は、当代きっての腕を持つが、治療代もピカ一と言われる男。その治療代は五十両とも百両とも言われていたが、平蔵(中村吉右衛門)からは一両もとろうとしなかった。平蔵と妻の久栄(多岐川裕美)は、宗仙の素顔は、純な心根の持ち主であると見ていた。そんなある日、同心・沢田小平治(真田健一郎)が、宗仙の家に浪人・石島精之進(中原丈雄)が出入りしているのを見かける。だが、沢田は石島のことを宗仙のところに出入りするには、場違いな風体であると感じる。そこで密偵・相模の彦十(江戸家猫八)、おまさ(梶芽衣子)に調べさせると、石島は大坂の香具師の元締・白子の菊右衛門(田中弘史)の連絡役として宗仙のもとを訪ねていることがわかった。宗仙は、菊右衛門の女・お八重(速水典子)と男女の仲になってしまい、菊右衛門から三年の間に五百両を払えば、お八重をくれてやると言われ、せっせと金を工面し、大坂に送っていたのだった。

  • S07E02 男のまごころ

    • August 28, 1996
    • Fuji TV

    火付盗賊改方同心・田中貞四郎(片岡弘貴)は、職務には忠実であったが、同僚の腕利きたたちに比べると、その実績は決して芳しいものとはいえなかった。平蔵(中村吉右衛門)が出張中のある日、この田中が密偵の源助(大杉 漣)とともに、ひとりの火付け犯を捕らえた。焼け跡にぼんやりと突っ立っていたその男は、菓子屋「柏屋」の奉公人・亀吉(小倉久寛)。火を付け八両を盗んだことは認めたが、金の行方はわからなかった。平蔵が留守の間に、亀吉の火あぶりの刑が確定、処刑は間近に迫っていた。だが周囲の話によると、亀吉は『鈍牛』と言われており、少し知恵は足りないが人のいい青年で、誰もが火事場泥棒などできるはずがないと口を揃えていた。報告を受けた平蔵は、不審なものを感じ、処刑を延期するよう申し入れ、この件を念入りに調べ直すことに。平蔵は、火付けの夜に亀吉を見たという柏屋の下女・おさい(春やすこ)に話を聞いた。

  • S07E03 妖盗葵小僧

    • September 4, 1996
    • Fuji TV

    筆屋「竜渕堂」が盗賊一味に襲われ、金品強奪に加え、主人の京屋善太郎(山本 宣)の目の前で、妻のお千代(岩本千春)が暴行された。その後、お千代は自殺を図ろうとし、火付盗賊改方同心・木村忠吾と密偵のおまさ(梶芽衣子)がそれを助ける。事情を知った平蔵(中村吉右衛門)は、少しずつお千代に語りかけ、その心を開いていった。だが、善太郎とお千代は心中してしまう。生前のお千代の話から、盗賊は声色を使って他人になりすまし侵入したものと思われた。賊の一味は押し込みを繰り返し、その家の女房や娘にまで暴行を働いた。火付盗賊改方は、昼夜を問わず探索を始める。賊の一味は、葵の御門の入った紋付き袴を着た葵小僧芳之助(島木譲二)を頭目とする凶賊だった。そして、葵小僧はまたもや小間物屋「日野屋」を襲った。主人が世間体を恐れ表沙汰にしないのをいいことに、葵小僧は日野屋の女房に執着し始めた。それを知った平蔵は、日野屋に二度と押し込みはさせないと約束する。

  • S07E04 木の実鳥の宗八

    • April 16, 1997
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)と同心・木村忠吾(尾美としのり)は、ある日、老人(大木 実)が直参旗本・宮口伊織(高橋長英)から財布をする現場を目撃した。老人のあとを追うと、男はかつて木の実鳥と呼ばれた、すりの名人・宗八だと分かる。木の実鳥とは、猿のこと。鳥が枝から枝へ木の実をついばむように身軽なところからついた名で、十五年以上も同じ場所に住んでいることからも、その腕の良さがうかがえた。宗八が金だけを抜き取って捨てた宮口の財布から、ある大店の店と住まいを写し取ったと思われる図面が出てきた。平蔵の命を受けた与力・小林金弥(中村歌昇)が宮口に当たりをつけると、宮口は動揺を隠せなかった。平蔵は、宮口が盗賊と何らかの接点を持っているとにらみ、宮口を見張らせる。同時に、宮口からすりのことを聞いた悪党が、口封じのために宗八の命を狙うことを考え、平蔵は自らが出向き、宗八を当分の間、家から出さないよう仕向けるのだった。

  • S07E05 礼金二百両

    • April 23, 1997
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)は、珍しく風邪をひき寝込んでいた。そんな中、大身旗本・横田大学(磯部 勉)の息子・千代太郎(藤山扇治郎)が誘拐される。お供に山中伊助(河原崎建三)以下、四人の家来若党が控えた中での出来事だった。四人の家来は瞬く間に斬り殺され、山中が傷を負ったまま手紙を持ち帰った。相手は手紙で千両を要求。さらに、横田家家宝の刀・新藤五国光を盗んだことを伝えてきた。ことが表沙汰になれば、切腹はもとより、お家お取りつぶしになりかねない。横田家用人・谷善左衛門(多々良純)は、甥である与力・小林金弥(中村歌昇)を通じて、平蔵に内意の解決を依頼する。話を聞いた平蔵は、小林に自分で考えるよう促す。同時に、密偵・相模の彦十(江戸家猫八)を横田家に潜入させ、おまさ(梶芽衣子)に横田家を見張らせた。平蔵は、いかに曲者だったとしても、そうやすやすと家宝の国光を盗めるとは思っていなかったのだ。

  • S07E06 殺しの波紋

    • April 30, 1997
    • Fuji TV

    ある夜、火付盗賊改方与力・富田達五郎(萩原流行)が舟上で、ふたりの男を殺害した。ひとりは薬種商・橋本屋助蔵(滝 譲二)、もうひとりは船宿「菊川」の船頭・留吉であった。盗賊・犬神の竹松(河原さぶ)は、その現場を目撃。竹松は、富田の顔を覚えていた。三年前、富田が盗賊・下津川の万蔵一味を捕えた際、竹松は富田に弟の長吉を殺されていたのだ。竹松は、金百両を要求し、富田をゆすり始めた。富田の異変に気づいた平蔵(中村吉右衛門)は、密偵・小房の粂八(蟹江敬三)らに命じて、富田の周囲を調べさせる。実は、富田が殺した橋本屋は、盗賊だった。かつて富田の娘・幸(藤井真理)が大病を患い、市中見回りもうわの空だったころ、富田は、ふとしたことから絡まれ、抜刀してきた若侍を斬ってしまった。そこを、悪党の橋本屋に見られてしまっていたのだ。平蔵たちは、慎重に調べを進め、次第に富田の犯した悪事に近づいていくのであった。

  • S07E07 五月雨坊主

    • May 14, 1997
    • Fuji TV

    ある日、密偵・伊三次(三浦浩一)は、火付盗賊改めの人相書きも手掛ける絵師・石田竹仙(上田耕一)が、家の前で血まみれの男を引きずっているところを目撃する。男は竹仙のことを「九兵衛どん」と呼び、長五郎にやられた、十日のおつとめは、だめだ、と謎の言葉を残し、死んでいった。死んだ男は、明らかに盗賊の片割れだと思われた。やがて、竹仙の描いた人相書きは、江戸中に潜む密偵たちに渡されたが、手応えはなかった。そこで平蔵(中村吉右衛門)は、死んだ男が竹仙のことを、盗っ人一味の九兵衛という男と勘違いしたとみて、竹仙に自分の顔を描かせる。ふたつの人相書きをもとに調べを進めると、菓子屋「万屋」の下男・長五郎(和崎俊哉)という男が浮かんできた。平蔵たちは十日のおつとめをにらみ、万屋を見張ったが、盗賊は現れなかった。そんなある日、同心・木村忠吾(尾美としのり)と番小屋の番太郎(掛田 誠)が長五郎を見張っているところに、お栄(奈良富士子)という女がやってくる。

  • S07E08 泣き味噌屋

    • May 28, 1997
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    火付盗賊改めの勘定方同心・川村弥助(平田 満)は、臆病が過ぎるところがあり、同僚にほんの少し迫られただけでも泣いてしまい、周囲からは泣き味噌屋と呼ばれていた。だが、平蔵(中村吉右衛門)は、帳簿に工夫をこらし、勘定係として何人分もの働きをする川村を高く評価していた。そんなある日、川村の愛妻・さと(北原佐和子)が何者かに襲われ、命を落とす。辱めを受けた上、絞殺されてしまったのだ。悲嘆にくれる川村は、首を吊ろうとするが失敗。そこを同心の木村忠吾(尾美としのり)に見つかり、ならば女房殿のところに送ってやると忠吾が刀を抜くと、今度は命乞いをする始末。さすがの忠吾もあきれ果ててしまう。一方、火付盗賊改方の必死の捜索で、旗本・秋元左近(亀石征一郎)を首領とする無頼の一派「風流組」が浮上。風流組が開く大掛かりな博打が開かれることを知った平蔵たちは、直ちに召し捕りに向かおうとするが、そこへ川村がやってきて…。

  • S07E09 寒月六間堀

    • June 4, 1997
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    本所の軍鶏鍋屋「五鉄」に平蔵(中村吉右衛門)が泊まったのは、役目についてから初めてのことだった。前夜、密偵・相模の彦十(江戸家猫八)や、おまさ(梶芽衣子)、亭主の三次郎(藤巻 潤)を交えて昔語りに花を咲かせているうちに、酒を過ごしたのであった。平蔵は五鉄をあとにし、彦十を連れだって歩いていると、ある老武士(中村又五郎)が、屈強な用心棒に守られた金貸し・山下藤四郎(潮 哲也)を討とうとしているところに遭遇する。だが、老武士は何度か飛び出そうとするのだが体が動かず、結局、身を揉むようにして嗚咽し始めた。それでも山下を追う老武士に平蔵は声をかける。老武士の名は市口瀬兵衛。聞けば、山下は息子の仇で、七十一歳になる瀬兵衛は二十余年もの間、山下を探し求めていたという。話を聞いた平蔵は、瀬兵衛の仇討ちの手助けをすることに。山下を調べると、料亭「巴屋」の女主人・おとせ(中村久美)と因縁があることがわかった。

  • S07E10 見張りの糸

    • June 11, 1997
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    密偵・相模の彦十(江戸家猫八)が、家人をことごとく殺したあげく放火強奪を繰り返す凶賊・稲荷の金太郎(片桐竜次)一味の盗人宿を突きとめた。そのそば屋「大黒や」を見張るために、筋向いにある仏具屋「和泉屋」が選ばれた。平蔵(中村吉右衛門)が見回りがてら、旧友の井関録之助(夏八木勲)とともに和泉屋の前を通ると、録之助が和泉屋の主人・東兵衛(奥村公延)に見覚えがあるという。だが、録之助はどうしても思い出せない。実は、和泉屋は東兵衛をはじめ、家人四人が元盗賊だった。足を洗ったとはいえ、和泉屋の縁の下には二千両もの金が隠してあった。そうとは知らず、同心・沢田小平次(真田健一郎)、木村忠吾(尾美としのり)らは、和泉屋の二階で見張りを続けた。一方、彦十の調べで金太郎一味には、寺島村にもうひとつの盗人宿があることが判明する。盗人宿がふたつあることに疑問を持った平蔵に、ある考えが浮かぶ。

  • S07E11

    • June 18, 1997
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    平蔵(中村吉右衛門)が、初めて陰陽師の山口天竜(佐川満男)を見たのは、軍鶏鍋屋「五鉄」であった。不遜な態度で店をあとにする天竜に、平蔵も苦笑い。ある日、平蔵と密偵・相模の彦十(江戸家猫八)は、その天竜が懐中の物をすられる場面を目撃する。平蔵は、すりを追いかけ捕まえた。すったのは、伊太郎(有薗芳記)という若者で、盗んだ袱紗包みからは、三十両の大金と薬包のようなものが出てきた。そこには白い散薬が入っており、平蔵はその匂いをかいで眉をひそめた。調べると、それは南蛮渡来の毒薬だった。きな臭さを感じた平蔵は、天竜の身辺を洗う。すると天竜は最近、五千石の大身旗本・土屋左京家に出入りがかない、相当に羽振りがいいことがわかった。土屋家の何者かが大金で天竜を釣り、誰かの毒殺を計ったと思われるが、土屋左京には相応の権勢があり、調べを進めた上でしくじれば、腹を切る覚悟が必要だった。平蔵たちの命がけの調べが始まった。

  • S07E12 あいびき

    • June 25, 1997
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    江戸で一、二と評判の大工・仁兵衛(三遊亭金馬)の女房、お徳(左 時枝)は、美貌の青年神官・朋斉(竹本孝之)と人目を忍ぶ仲になっていた。お徳は、朋斉の頼みで仁兵衛が手掛けた商家の間取り図を書き写し、渡していた。朋斉は、郷里の父親が、江戸で評判の間取りを真似た家を作ることができると喜んだ。そんな中、お徳が間取り図を渡した「伊勢屋」「越後屋」「相模屋」が、次々と盗賊に襲われる。いずれの店も棟梁の仁兵衛が図面を引いていたことがわかり、平蔵(中村吉右衛門)は仁兵衛に調べの手を伸ばす。職人気質の仁兵衛は、自分のところには押し込みの手引きをするような人間はひとりもいないと断言。お徳は不安になり朋斉に問いただすが、盗っ人とは関係ないと否定されてしまう。だが、朋斉は盗賊・疾風の陣内(五味龍太郎)の配下だった。そんなある日、お徳と朋友があいびきしているところを、かつて仁兵衛に放逐された文吉(櫻木健一)に見られてしまう。

  • S07E13 二人女房

    • July 2, 1997
    • Fuji TV

    剣の腕はからっきしであった高木軍兵衛(ジョニー大倉)は、平蔵(中村吉右衛門)の口添えにより坪井道場に入門し、その腕を上げ、今は味噌問屋「佐野倉」の用心棒となっていた。ある夜、軍兵衛は向かいの質屋を襲った盗賊一味のふたりを斬り倒した。この盗賊は、彦島の仙右衛門(中野誠也)一味で、中には軍兵衛と昔馴染みの佐吉(石田登星)も加わっていた。佐吉は、仙右衛門の妻・お増(伊佐山ひろ子)から、女遊びのやまない仙右衛門の殺害を五十両で持ちかけられる。佐吉は、お増の企みを仙右衛門に告白、今度は仙右衛門が百両出すからお増を殺してくれと言ってきた。佐吉は双方から金をせしめた上で仙右衛門を殺し、お増と一緒に一味を乗っ取ろうと計画。仙右衛門の殺害を、軍兵衛に依頼してきた。一度は断った軍兵衛だったが、昔の悪事をネタに脅されてしまう。軍兵衛は、平蔵に相談しようと軍鶏鍋屋「五鉄」を訪れるのだが、思い立ったように帰ってしまう。

  • S07E14 逃げた妻

    • July 9, 1997
    • Fuji TV

    火付盗賊改方与力・小林金弥(中村歌昇)以下、同心・木村忠吾(尾美としのり)たちは、盗賊・燕小僧又吉(赤星昇一郎)一味を捕らえに向かったが、肝心の燕小僧を取り逃がしてしまう。平蔵(中村吉右衛門)は、燕小僧の人相書きを作り各所に手配した。そんな中、忠吾の友人である浪人・藤田彦七(うじきつよし)が後妻・おみね(佐藤恵利)をもらった。藤田の娘・お弓(内泉朱賀)も、おみねによくなついている。前妻・おりつ(江口由起)は、数年前に突然家を出たまま行方知れずになっていた。ある日、そのおりつから、明後日の昼過ぎに波切不動内の茶屋に来て助けてほしいという内容の文が届く。藤田から相談を受けた忠吾は、平蔵に助けを求める。話を聞いた平蔵は、悪党が絡んでいるかもしれないと、火付盗賊改方を配置し万全を期した。約束の茶屋を調べに出向いた平蔵と密偵のおまさ(梶芽衣子)は、その近辺で、燕小僧の姿を見かける。あとをつけたふたりは…。

  • S07E15 見張りの見張り

    • July 16, 1997
    • Fuji TV

    密偵のおまさ(梶芽衣子)は、昔馴染みの盗賊・長久保の佐助(本田博太郎)と再会する。おまさが、それとなく探りを入れるため、今は小房の粂八(蟹江敬三)と組んでいると話すと、佐助が粂八に会わせてくれと言ってきた。佐助は、粂八の弟分・杉谷の虎吉(金子研三)の居所を教えてほしいと頼む。虎吉は、佐助の息子を殺したのだという。粂八は、虎吉とは縁が切れていたが、心当たりを当たってみると約束し、南品川へと向かった。そんな粂八のあとを、佐助は密かにつけた。その十日ほど前、紙問屋「伊勢屋」に賊が押し込み、二十名を惨殺し金品を強奪。平蔵(中村吉右衛門)は手がかりがなく困り果てていた。平蔵は、藁にもすがる思いで伊勢屋の下女・おはつの実家がある南品川の八百屋に手がかりを求め、同心・木村忠吾(尾美としのり)と密偵・相模の彦十(江戸家猫八)を派遣する。聞き込みを終えた忠吾と彦十は、粂八と、そのあとをつけている佐助を偶然見かけ、平蔵に報告する。

Season 8

  • S08E01 鬼火

    • April 15, 1998
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)が駒込の居酒屋で一杯やり店を出ると、それを見計らったかのように賊が押し入ってきた。平蔵は賊を追い払い、そのひとりを捕えるが、居酒屋の店主夫婦は姿を消していた。店主が口にした『丹波守』という言葉が気にかかり、平蔵は七千石の大身旗本・渡辺丹波守直義(西田 健)と、消えた夫婦との関係を探り始める。そんな中、平蔵が捕えた賊のひとりが「よしの」と言い残して急死してしまう。一方、渡辺丹波守はかつて女中に手を付けて生ませた子供を、六百石の旗本・長井家に養子に出していたことがわかった。だが、長井家当主の弥一郎(荻島真一)は行方知れずになっており、丹波守の実子が長井家を継いでいた。すべては渡辺丹波守に取り入っている元御番医・吉野道伯(三谷 昇)が仕組んだことだった。道伯は、弥一郎をたぶらかし、家を捨てさせていた。家を捨てた弥一郎は、大坂へ向かった。そこで出会ったのが、渡辺丹波守が捨てた女中・お浜(山口果林)だった。渡辺丹波守は、事情を知る弥一郎とお浜を、亡き者にしようとしていた。道伯は、病身の渡辺丹波守の治療を一手に担い、お家存続のために自分の過ちを覆い隠さんとする丹波守の弱みを握ることで、その権勢を己の利益のために利用しようとしていたのだった。

  • S08E02 瓶割り小僧

    • April 22, 1998
    • Fuji TV

    密偵・おまさ(梶芽衣子)は、十年ぶりに牛松(佐藤蛾次郎)と再会する。何をやっても役立たずなことから牛松は『のろ牛』と呼ばれていた。聞けば、今は盗賊・石川の五兵衛の配下だという。五兵衛は、江戸市中を避け、その場限りの仲間を集めて急ぎばたらきを繰り返していた。おまさが牛松のあとをつけると、浅草の船宿「伊勢新」に入っていった。話を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、もう一度牛松に探りを入れるよう、おまさに命じた。だが、牛松は喧嘩がもとで死んでしまう。平蔵は、伊勢新のような名の知れた宿に泊まるのは、そこで内々誰かと会う約束があったはずだと、おまさに伊勢新を見張らせた。思惑通り、五兵衛と思われる男(上杉祥三)が現れ、火付盗賊改方はその男を捕まえる。だが、男はお縄になっても何も話さなかった。平蔵は、その男の顔に見覚えがあった。平蔵は、牢番とぶつかって割れ落ちた茶碗の音で、二十年前にあった、その男との因縁を思い出した。

  • S08E03

    • April 29, 1998
    • Fuji TV

    芝、西の久保の「壷屋」は、紙油、京白粉の評判もいいが、『桜紅』と名付けた口紅が女たちの人気を集めていた。その壷屋に奇妙なことが起こった。金蔵から三百二十両が盗まれたのだ。合鍵を使ったものと思われたが、金蔵の戸口に近づくには、一度店の中に入るしかなかった。だが、その形跡もなく、鍵を収める手文庫も錠がおりたまま。奉公人も誰ひとりとして欠けていなかった。話を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、その鮮やかな手口に、この盗っ人をどうやっても捕えてみたいと思うのだった。ところが、ほどなく金は元通りの場所に返ってきた。これは、壷屋の隣で扇子を売っている「平野屋」の主人・源助(坂上二郎)と番頭・茂兵衛(木村 元)の仕業だった。平野屋は、帯川の源助という元盗賊で十年前に足を洗っていたが、つい昔の血が騒いだのだ。平蔵は、壷屋の見取図から、金蔵にいたずらを仕掛けるなら、平野屋からしかないと見抜いていた。

  • S08E04 眼鏡師市兵衛

    • May 6, 1998
    • Fuji TV

    同心・木村忠吾(尾美としのり)は、小間物屋の前をうろうろする不審な老人(加藤 武)を見かける。忠吾があとをつけると、老人は眼鏡師の市兵衛であることがわかった。一年前、小間物屋では、瀬川の友次郎という盗賊の捕物があった。忠吾のにらんだ通り、市兵衛は足を洗ってはいたが、大盗・蓑火の喜之助の配下で錠前を外す鍵作りの名人だった。市兵衛は、同じく蓑火の配下であった友次郎から百五十両の大金を預かっており、友次郎に会うために小間物屋を訪れていた。そんな折、市兵衛のもとにかつての盗賊仲間・三雲の利八(加納 竜)が、合鍵を作ってくれと言ってきた。断る市兵衛だったが、利八は引き下がらなかった。一方、そんな利八の姿を密偵・おまさ(梶芽衣子)が見かけ、その盗人宿をつかむ。報告を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、利八をはじめ蓑火の残党狩りに出向く。そのころ、市兵衛は利八の手から逃れるために、店をたたみ江戸を出ようとしていた。

  • S08E05 はぐれ鳥

    • May 13, 1998
    • Fuji TV

    神田の小間物屋「丁子屋」彦三郎方へ盗賊十余人が押し込み、主人一家をはじめ奉公人を殺害、九百八十両もの大金を奪い去った。それから十ヵ月がたち、依然手がかりはつかめなかったが、平蔵(中村吉右衛門)には一縷の望みがあった。奉公人の中にひとりだけ生き残った手代がいたのだ。手代は、賊が京の冷泉家に収める白扇を懐にするのを見ていた。そんな折、同心・木村忠吾(尾美としのり)は、いろは茶屋「近江屋」で、女を買う女・津山薫(毬谷友子)の話を聞き、声をかける。だが、津山は忠吾に扇を投げつけ、逃げてしまう。その扇には、京・冷泉と書かれていた。話を聞いた平蔵は、直ちに近江屋に見張り所を設け、津山が来るのを待った。だが、忠吾に声をかけられたことを怪しんで、津山は姿を消してしまった。平蔵は、人相書きを作り江戸中に手配する。そんな中、同心・吉見丈一郎(羽場裕一)の前に、津山が姿を現した。津山と吉見は、かつて同門で剣の修行をした仲だった。

  • S08E06 おれの弟

    • May 20, 1998
    • Fuji TV

    見回りの途中、雨に降られた平蔵(中村吉右衛門)は、ふと高杉道場の同門で、弟のようにかわいがっていた滝口丈助(渡辺裕之)の住まいを訪ねることにした。丈助は、高杉道場の第十一代目当主・高杉庄平(大木晤郎)の師範代で、やがては庄平の後継者とされる剣士であった。だが、平蔵は丈助に、普段とは違う何かを感じ取る。そこで、盗賊改めの仕事を離れ、密偵・おまさ(梶芽衣子)と相模の彦十(江戸家猫八)に頼み、丈助の周囲を調べることにした。丈助は高杉道場の後継者争いに巻き込まれていた。後継者の第一と見られる丈助に対し、御公儀御側衆筆頭、石川筑後守の三男・源三郎(友居達彦)がその座を狙い、横やりを入れているという。また、丈助は、刀研師・今井宗仙(織本順吉)の後妻・お市(真行寺君枝)と惹かれ合っていた。そんな折、丈助のもとに源三郎から果たし状が届く。源三郎がだまし討ちを考えているのを知りながら、丈助は決闘の場へと向かった。

  • S08E07 同門対決

    • May 27, 1998
    • Fuji TV

    船宿「鶴や」にふたり組の男女がやってきた。その顔を見た密偵・小房の粂八(蟹江敬三)は、すぐさま隠し部屋へ行き、のぞき穴からふたりを見た。女は、かつて野槌の弥平一味の引き込み役をしていた砂蟹のおけい(根岸季衣)で、男のほうは、笠倉の太平(石丸謙二郎)という役者あがりの盗っ人だった。おけいと太平は、盗みばたらきの話をしており、おけいは今、長沼又兵衛(森次晃嗣)の配下だと言っていた。粂八から話を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、すぐさま見張りをつけ、一味の狙いが巣鴨の徳善寺であることをつかむ。徳善寺の念誉和尚は、高利の金を諸方に貸し付けており、王子権現と音羽・護国寺前に料理屋を持つほど羽振りが良かった。また、又兵衛は高杉道場で平蔵と同門であり、竜虎と呼ばれた間柄だった。だが、師匠の高杉銀平は、どうしても又兵衛に免許皆伝を許さず、又兵衛は寝間に忍び込んで免許皆伝の書付を盗み出し、行方をくらましていたのだった。

  • S08E08 影法師

    • June 3, 1998
    • Fuji TV

    火付盗賊改方同心・木村忠吾(尾美としのり)が、平蔵(中村吉右衛門)の肝いりで妻をめとることになった。同心・吉田藤七の四女、おたか(佐藤 綾)である。婚礼を十日後に控えた忠吾は、非番のこの日、独身最後の女遊びを楽しもうと遊女屋を目指していた。だが、ひとりの男が、忠吾に突き刺すような視線を向けていた。男は盗賊・塩井戸の捨八(新 克利)。捨八は、熊谷宿の料理屋「棚田屋」に押し込んだ際、長坂万次郎(長谷川明男)と手を組んだ『りゃんこの源三郎(尾美としのり/二役)』に、一味の者を斬り殺されていた。忠吾は、源三郎に瓜ふたつだった。捨八は、忠吾を源三郎と思い込み、さらに勘違いを重ねていく。忠吾が偶然、叔父の中山茂兵衛(石濱 朗)に会ったのを、つなぎをとったとみなし、茂兵衛が入った菓子舗「池田屋」を、次の押し込み先だと勘違い。捨八は、配下の為吉(赤塚真人)に、いよいよ仇討ちができると得意気に話した。だが、この為吉こそが長坂と組み、捨八の一味を裏切った張本人だった。

  • S08E09 さらば鬼平犯科帳

    • June 10, 1998
    • Fuji TV

    火付盗賊改メ長官の長谷川平蔵(中村吉右衛門)は父の墓参りのために、公儀に届けを出して京へ向かった。お供は木村忠吾(尾美としのり)ただ一人である。久しぶりに江戸を離れた平蔵は、日頃の激務から解放されてくつろいだ気分で旅を続け、無事墓参りを終えた。 ところが、帰路の途中で大変な事が起こった。平蔵は江戸には帰って来なかった。忠吾によると、平蔵は鈴鹿峠で忠吾とはぐれ、谷底に足を滑らせて命を落としたのだと言う。妻の久栄(多岐川裕美)始め、小林金弥(中村歌昇)ら部下の同心たちには信じられない。 しかし、忠吾に同行した鈴鹿の関所の役人二人が、鈴鹿山中での捜索の模様を話し、鹿も通わぬ難所で平蔵の足跡が発見され、やがて愛用していた銀のキセルも見つかったことを聞くに及んで、遺体は見つからなかったものの死んだとしか思えなくなった。 平蔵が好んだ軍鶏鍋の店、本所の五鉄には、密偵と言う立場のために、葬儀にも顔を出せない相模の彦十(江戸家猫八)、おまさ(梶芽衣子)、小房の粂八(蟹江敬三)、大滝の五郎蔵(綿引勝彦)が集まって平蔵をしのんだ。 その頃大坂では、平蔵が死んだ、と言う話を聞いた凶悪な盗賊・白子屋菊右衛門(金田竜之介)が、これを機会に江戸へ乗り込んで荒らし回ろうと企んでいた。朝が来て、彦十、おまさ、粂八、五郎蔵が五鉄から外へ出ると、霧の中に深編笠の男が立っていて…。

Season 9

  • S09E01 大川の隠居

    • April 17, 2001
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)は、船頭・友五郎(大滝秀治)の舟で大川に出ていた。友五郎の唄う千住節に聞き惚れ、どうしてももう一度聞きたかったのだ。ふたりは、そこで『大川の隠居』と言われる巨大な鯉に出くわす。そんな中、平蔵は友五郎が取り出した煙管を見て驚いた。平蔵の役宅から盗まれた父の形見だったからだ。密偵・小房の粂八(蟹江敬三)の昔馴染みである友五郎は、浜崎の友蔵という元盗賊だった。かつては飯富の勘八の配下で、勘八亡きあとは、その息子・庄太郎(石井揮之)の仮親となっていた。友五郎は、自分の腕はまだ鈍っていないと示すため盗みをはたらいたのだ。粂八から話を聞いた平蔵は、自らの印籠を粂八に手渡し、それを役宅から盗んだ物にしろと言う。粂八は、友五郎に印籠を見せつけると、自分は印籠を、友五郎は煙管を役宅に返すことで腕試しをしようと持ちかける。友五郎は話に乗ったが、約束の日に返しに来なかった。そのころ友五郎は、昔の盗賊仲間・薮原の伊助(深水三章)から押し込みの手伝いを頼まれていた。伊助たちは、庄太郎を拘束しており、友五郎は断ることができなかった。伊助が仕える川越の盗賊・鹿山の市之助(中田浩二)と、上方の老盗・生駒の仙右衛門(財津一郎)は、掻堀のおけい(平 淑恵)の仲立ちで、江戸で大きな押し込みを企てていた。

  • S09E02 一寸の虫

    • April 24, 2001
    • Fuji TV

    火付盗賊改方が盗賊・不動の勘右衛門一味に打ち込みをかけた時、密偵の仁三郎(火野正平)は、勘右衛門が隠し持っていた短筒で平蔵(中村吉右衛門)に狙いをつけているのに気づき、自らの身を投げ出して平蔵の命を救った。仁三郎には、生涯恩を忘れてはならないと心に決めている人がふたりいた。ひとりは平蔵、もうひとりは、盗賊・船影の忠兵衛(高橋昌也)であった。そんな仁三郎のもとに、かつての盗賊仲間・鹿谷の伴助(高橋長英)がやってきて、忠兵衛に仕返しをしようと言ってきた。仁三郎は、忠兵衛から殺さず、犯さずの掟を叩き込まれたことを感謝していたが、伴助は逆だった。申し出を断った仁三郎に、伴助は、おみの(虎谷綾乃)の名前を出してきた。おみのは、妹夫婦に養女として引き取ってもらっている仁三郎の娘だった。仁三郎は、ある覚悟を決める。そのころ密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)が、忠兵衛の姿を見かけていた。それを聞いた平蔵は、忠兵衛の行方を追う。

  • S09E03 男の隠れ家

    • May 1, 2001
    • Fuji TV

    三ヵ月ほど前のこと、錠前外しの腕にかけては右に出る者がいないとうたわれる、ひとりばたらきの盗賊・玉村の弥吉(地井武男)は、宇田川町にある小間物屋「吉野家」の主人・清兵衛(小野武彦)と出会った。清兵衛は、女房、子供、店の者にまで馬鹿にされる養子の身で肩身の狭い思いをしていた。特に先代が他界した三年前から、妻のお里(紅 萬子)は、清兵衛をないがしろにするようになっていた。弥吉と清兵衛は妙に馬が合った。清兵衛は、弥吉に愚痴を聞いてもらったり、身分のある侍に変装して町へ出かけたりと、憂さ晴らしをするようになる。一方、密偵・おまさ(梶芽衣子)と相模の彦十(江戸家猫八)は、愛宕下で弥吉の姿を見かけ、そのあとをつけた。報せを受けた平蔵(中村吉右衛門)ら火付盗賊改方は、早速弥吉を見張ると、そこで弥吉と清兵衛の奇妙な友情を垣間見ることになるのであった。清兵衛から絵図面を手に入れた弥吉は、吉野家に忍び込んで…。

  • S09E04 一本饂飩

    • May 15, 2001
    • Fuji TV

    火付盗賊改方同心・木村忠吾(尾美としのり)は、「豊島屋」名物・一本饂飩の食べ方を、その男(石橋蓮司)に教えていた。初めて見る顔だったが、酒を酌み交わすうちに男の言葉や振る舞いから、ついお役目目線で相手の素性を読んでみたりしてしまう。実はこの男は、盗賊・寺内武兵衛だった。武兵衛は次の盗みばたらきを間近に控え、狙いをつけた大店の薬種問屋「由井屋」に算法者として出入りしていた。武兵衛は、忠吾にその企みを見抜かれたと思い、忠吾を荷船宿に軟禁する。連絡のとれなくなった忠吾に何かあったとにらんだ平蔵(中村吉右衛門)は、密偵・おまさ(梶芽衣子)と伊三次(三浦浩一)に忠吾の行方をあたらせる。一方、荷船宿では、武兵衛の部下たちが忠吾のことを、新しい相手だと思っていた。武兵衛は男色家だったのだ。そのことを知り、おびえる忠吾。なんとかなればと藁にもすがる思いで、忠吾は、自分のふんどしを川に流すのだった。

  • S09E05 闇の果て

    • May 22, 2001
    • Fuji TV

    金に縁がなく、根っからおひとよしの浪人・藤田彦七(船越英一郎)は、女房のおみね(井上ユカリ)、娘のお弓(池本愛彩)と暮らしていた。神田の大店・袋物問屋「和泉屋」へ月に何度か出稽古に行き、生活も落ち着いたはずだった。だが藤田は、自分に愛想を尽かし、男を作って上方に逃げた先妻・おりつ(野村真美)と、よりを戻していた。お弓は、おりつとの間にできた子供だった。ある日、密偵・小房の粂八(蟹江敬三)と伊三次(三浦浩一)は、藤田が渡辺八郎(岡崎二朗)といるところを見かける。渡辺は、凄腕で残忍な、ひとりばたらきの盗っ人だった。これを聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、すぐに調べを進めた。どうやら渡辺は、何らかの形で藤田の弱みを握り、大店の和泉屋を狙っているようだった。藤田は、渡辺におりつを拘束されていたのだ。だが、おりつは渡辺の女だった。

Additional Specials

  • SPECIAL 0x4 山吹屋お勝

    • February 8, 2005
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)の従兄で、巣鴨の大百姓・三沢仙右衛門(橋爪 功)が長男の初造(金田明夫)とともに、役宅を訪れた。初造は、仙右衛門が年甲斐もなく、料理茶屋「山吹屋」の女中・お勝(床嶋佳子)に入れあげ、嫁にしたいと言い出し困っていると訴えた。お勝の人となりを知るため山吹屋に向かった平蔵は、その身のこなしに不審なものを感じ、密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)に素性を探るよう命じた。五郎蔵は、さらに子分の密偵・関宿の利八(吉田栄作)をお勝の元へと差し向けた。女の顔を見て、利八は驚愕する。それは、かつて利八が愛した女・おしのだった。その後、ふたりの消息は途絶えてしまう。責任を感じた五郎蔵は、利八の行方を追おうとするが、平蔵はそれを許さない。五郎蔵に代わり、ふたりの密偵、小房の粂八(蟹江敬三)とおまさ(梶 芽衣子)が捜査をする。同じ頃、極悪非道の盗賊・霧(なご)の七郎(平泉 成)もおしのを探していた。実は、おしのは、七郎一味の引き込み役だった。平蔵に恨みを持つ七郎は、おしのを山吹屋に送り込み、復讐の機会を待っていたのだ。そこへ、平蔵の親類の仙右衛門がおしのを見初めたことを好機とばかりに、仙右衛門邸に盗みに入ろうと図っていた。だが、依然おしのの行方は知れなかった。

  • SPECIAL 0x5 兇賊

    • February 17, 2006
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)ら火付盗賊改方は、船宿「松島屋」の二階座敷で極悪非道の盗賊・網切の甚五郎(大杉 漣)一味を捕えようとするが逃走され、密偵・馬返しの与吉(本田博太郎)を失ってしまう。一方、元盗賊・鷺原の九平(小林稔侍)は、四十年ぶりに故郷・加賀金沢の田近谷を訪ねていた。九平が地蔵堂の中で雨宿りをしていると、軒先に三人の男がやってきて、平蔵暗殺の密談を始めた。その中の頭領こそ、甚五郎だった。九平の江戸での仕事は、居酒屋「加賀や」の亭主。その芋酒は地元でも評判だった。ある日、加賀やに着流し姿の平蔵がやってきた。夜鷹のおもん(若村麻由美)にも、わけへだてなく接する平蔵に九平は感服する。その帰り、平蔵は浪人たちに襲われるが、これを一蹴。それを見ていた九平は、おそるおそる平蔵のあとをつけた。たどり着いた先は、火付盗賊改方の役宅。平蔵は、九平の尾行に気づいており、おやじ、ご苦労と言い放ち役宅に入っていった。驚いた九平は、店をたたみ行方をくらませてしまう。そんな中、江戸に舞い戻っていた甚五郎一味が、三件の畜生ばたらきを起こし、平蔵たちは執念の探索を開始する。そのころ、行くあてもなく途方に暮れていた九平を、密偵・大滝の五郎蔵が偶然見かけ、声をかける。

  • SPECIAL 0x6 一本眉

    • April 6, 2007
    • Fuji TV

    打物問屋「豊島屋」が襲われた。二百八十両余りが奪われ、一家十二名が皆殺しにされた。金蔵の錠前はきれいに切断されており、平蔵(中村吉右衛門)はただならぬ相手と直感、火付盗賊改め総力をあげての調べが開始された。豊島屋の錠前切りは、江戸の職人にできる技ではないことがわかったが、豊島屋に出入りの按摩・茂の市(火野正平)は湯治に出ており調べがつかず、賊の影は杳としてつかめなかった。そんな中、密偵のおまさ(梶芽衣子)は、誰かに見張られているような落ち着かない日々を送っていた。数日後、同心・木村忠吾(尾美としのり)は、煮売り酒屋「治郎八」で、尾張の出だという甚五郎(宇津井健)に再会。忠吾は、甚五郎のことをその容姿から『一本眉』と呼んでいた。だが、この男こそ清州の甚五郎という、名うての盗賊だった。実は、おまさを見張っていたのも甚五郎だった。やがて、おまさに接触してきた甚五郎は、一世一代の盗みをするから手伝ってほしいと言ってきた。甚五郎は一滴の血も流さず、大店「三橋重慶」の金蔵を破るという。おまさの話を聞いて、甚五郎のあとをつけた平蔵は、刺客に襲われた甚五郎を助け、一晩を共に明かした。甚五郎を狙ったのは元配下で、今は凶賊に成り下がっていた倉淵の佐喜蔵(遠藤憲一)だった。

  • SPECIAL 0x7 引き込み女

    • October 17, 2008
    • Fuji TV

    江戸の町に猿のように身軽な、軽業小僧と呼ばれる盗っ人(井手らっきょ)が現れた。町方は、三十人がかりで追い詰めておきながら取り逃がしてしまう。与力・小林金弥(中村歌昇)と筆頭同心・酒井祐助(勝野 洋)は、数年前から関東一円で蛮行を繰り返している凶賊・駒止の弥太郎(石倉三郎)一味の中に、軽業を得意とする手下がいると平蔵(中村吉右衛門)に報告する。そんな折、密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)が、弥太郎のもとで引き込みをしているお元(余貴美子)という女が、袋物問屋「菱屋」で働いていることを突き止めた。平蔵は、弥太郎一味が江戸で動き始めているとにらみ、直ちに調べを開始する。平蔵は、親交のある奥御番付の医師・井上玄庵(市川染五郎)に仲介を頼み、密偵のおまさ(梶芽衣子)を菱屋に潜入させた。おまさとお元は、互いの苦悩を理解し合い、次第に打ち解けていった。お元は、菱屋の主人・伊兵衛(羽場裕一)と恋仲になっており、伊兵衛から駆け落ちしようと誘われていた。おまさの目には、お元が、引き込みの仕事としてではなく本気で伊兵衛と割りない仲になったと映っていた。それを知った平蔵は、おまさに一芝居うたせる。おまさは、自分を盗賊・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)の配下だと偽って素性をばらし、お元を呼び出すのだった。

  • SPECIAL 0x8 雨引の文五郎

    • July 17, 2009
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    火付盗賊改方に、日本橋の足袋問屋「大野屋」に盗賊が入るとの予告状が届いた。差出人の名前は雨引文五郎(國村 隼)。隙間風の異名をとり、音もなく出入りしては証拠の名札を残していく、ひとりばたらきの盗っ人だった。予告通り、大野屋に盗賊が押し入ったが、それは文五郎ではなく、急ぎばたらきの盗賊・落針の彦蔵(菅田 俊)一味だった。火付盗賊改方は、すんでのところで彦蔵を取り逃がしてしまう。平蔵(中村吉右衛門)は、これを盗っ人同士の仲間割れと見ていた。一方、予告状のことは彦蔵の耳にも入っていた。彦蔵は、文五郎の行方を突き止め、文五郎を追い詰めた。そこに平蔵たちが現れ、彦蔵一味を捕縛するが、文五郎には逃げられてしまう。火付盗賊改方の容赦ない拷問にも、口を割ろうとしない彦蔵に手を焼いた平蔵は、思いがけない手を打つ。彦蔵と旧知の元盗賊・舟形の宗平(伊東四朗)に頼み、彦蔵を脱獄させたのだ。彦蔵を泳がせれば、必ず文五郎にたどり着くという平蔵の狙いだった。平蔵の読み通り、彦蔵は文五郎の居所を突き止めた。かつて盗賊・西尾の長兵衛の配下であった文五郎と彦蔵は、その跡目問題で揉めた過去があったのだ。以来、彦蔵は、執念深く文五郎の命を狙い続けていた。

  • SPECIAL 0x9 高萩の捨五郎

    • June 18, 2010
    • Fuji TV

    上州信州、そして越後にかけて派手な盗みを働く盗賊・妙義の團右衛門(津川雅彦)には、優秀な嘗め役・高萩の捨五郎(塩見三省)がいた。ある日、平蔵(中村吉右衛門)と密偵・小房の粂八(蟹江敬三)は、江戸の町で捨五郎の姿を見かけ、あとをつける。捨五郎は、侍に絡まれていた親子を助けるために、足に大怪我を負ってしまうが、間一髪のところで平蔵たちに助けられた。平蔵は、根っからの悪党ならあんなことはしないと、捨五郎を役宅に運び、手厚く看護した。さらに、傷が治っても足を引きずることになる捨五郎のために、びわの木で手作りの杖を用意。平蔵が火付盗賊改方の長官であることを知った捨五郎は、恩義を感じ、密偵として働くようになる。三年後、捨五郎は團右衛門とばったり出くわした。捨五郎が以前に調べ上げていた蝋燭問屋「三倉屋」を狙い、江戸に来ているという。すでに引き込み役としてお兼(北原佐和子)を入れており、平蔵の役宅にも飯炊き男の竹造(火野正平)を潜り込ませていた。團右衛門は捨五郎に助ばたらきを頼んできた。だが、捨五郎が密偵となっていることを突き止めた團右衛門は、素知らぬふりをして、押し込みの日時を捨五郎に伝える。平蔵もまた團右衛門の行動を注視しながら竹造に気づかれぬよう、その網を広げていくのだった。

  • SPECIAL 0x10 一寸の虫

    • April 15, 2011
    • Fuji TV

    平蔵(中村吉右衛門)は、与力同心を引き連れ、密偵・仁三郎(寺脇康文)の手引きで、凶盗・不動の勘右衛門(下元年世)の隠れ家に打ち込んだ。その際、平蔵をかばった仁三郎が短筒で撃たれ負傷してしまう。命に別状はなく平蔵も安心するが、仁三郎の平蔵に対する忠誠心には誰もが感心した。そんなある日、平蔵が同心溜りに入ると、富田庄五郎(原田龍二)が、読んでいた書状を後ろ手に隠した。不審に思った平蔵は、富田に書状を届けた人物を、内々に調べさせることに。その夜、富田は盗賊・鹿谷の伴助(北見敏之)から火付盗賊改めの立場を使って盗みの手引きをするよう脅された。富田は病床の妻・お幸(若村麻由美)のために金を工面しようと、盗賊・橋本屋助蔵(小宮健吾)に情報を流し、さらに隠蔽のためにこれを斬り捨てていたのだ。そのころ、仁三郎は密偵のおまさ(梶芽衣子)に、生涯恩を忘れてはならない人がふたりいると話していた。一人は平蔵、もうひとりは、たとえ盗っ人であっても、どう生きなければならないかを教えてくれた盗賊・船影の忠兵衛(三國連太郎)だという。傷も癒えつつあった仁三郎だったが、かつての盗賊仲間・伴助がやって来て、娘をたてに脅されてしまう。伴助の本当の狙いは、忠兵衛の命だった。

  • SPECIAL 0x11 盗賊婚礼

    • September 30, 2011
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    薬種問屋「山城屋」に盗賊が入り、七百八十両が盗まれた。平蔵(中村吉右衛門)らの調べにより、関東一円を荒らし回っていた大泥棒・傘山の弥兵衛の息子・弥太郎(市川染五郎)一味の仕業と判明する。引き込み女を山城屋に奉公させるために、それらしい親元まで作って五年もの歳月をかけるという本格のやり口だった。ある日、弥太郎のもとに、尾張の凶盗・鳴海の繁蔵(布施 博)の使いである長嶋の久五郎(松平 健)が手紙を持って現れた。手紙は、先代同士の遺言で、弥太郎と繁蔵の妹・お糸(黒川智花)が結婚する約束だという内容だった。弥太郎は、久五郎を通じて、お糸とは結婚するが稼業の上での付き合いはしないと返答する。先代とは違う、繁蔵一味の非道な急ぎばたらきを、弥太郎は快く思っていなかった。そんなある日、平蔵は料理屋「瓢箪屋」を訪れた。平蔵は、店主・勘助(中村歌六)の身のこなしにただならぬものを感じ、密偵・伊三次(三浦浩一)に調べさせる。瓢箪屋は弥太郎一味の盗人宿だった。瓢箪屋から出てきた久五郎を名古屋まで追いかけた伊三次は、弥太郎の婚礼話を突き止め、平蔵につなぎを出した。だが、伊三次は久五郎の身の上に自分を重ね、次第に肩入れしてしまう。それを知った平蔵は…。

  • SPECIAL 0x12 泥鰌の和助始末

    • January 4, 2013
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    元盗賊・泥鰌の和助(石橋蓮司)は、不破の惣七(寺島 進)、その手下の鎌太郎(吉見一豊)に盗みの助ばたらきと人集めを持ちかけた。五年前に足を洗った和助だったが、ある事情から、生涯最後のお盗めを企んでいたのだ。だが、和助は、盗みの日取りも押し入り場所も明かそうとしない。いら立った惣七は、和助が引き取って育て上げた徳次郎(福士誠治)を、自分の情婦のおみね(酒井美紀)に誘惑させ情報を得ようとする。おみねに迫られた徳次郎は、和助からお盗みの詳細を聞き出そうと探りを入れるが、のらりくらりとかわされてしまう。そのころ、密偵のおまさ(梶芽衣子)が、昔馴染みであるおみねと再会したことで、一味の動きが発覚。平蔵(中村吉右衛門)は、和助や惣七の存在を知ることとなった。かつて和助は腕利きの大工で、屋敷や大店の新改築の際、密かに盗み細工を仕掛けていた。家の図面も写してあり、何年か後に忍び込み、あとは盗むだけという手際の良さで、盗まれたことに半月たっても気がつかないこともあったという。自ら和助のあとをつけた平蔵は、その顔を見て驚く。まだ『本所の銕』と呼ばれていた若かりしころ、自分にある言葉をかけてくれた人物だったのだ。平蔵はさらに和助を付けるが、ふとしたところで気づかれてしまう。

  • SPECIAL 0x13 見張りの糸

    • May 31, 2013
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    密偵・小房の粂八(蟹江敬三)は、縁日で幼馴染みの盗賊・稲荷の金太郎(渡辺いっけい)と再会。昔話に花が咲く中、金太郎は近々行うという盗みの助っ人を粂八に頼んできた。粂八によると、金太郎は盗賊・狢(むじな)の豊蔵(木下ほうか)の配下で、茶屋「大黒屋」を盗人宿としているという。話を聞いた平蔵(中村吉右衛門)は、金太郎を泳がせ一味を根こそぎ捕えようと、見張り所を設けることに。大黒屋近くの仏具屋「和泉屋」が選ばれ、与力・小林金弥(中村又五郎)らが、主人の忠兵衛(中村嘉葎雄)を訪ねてその二階を借り受けた。そんなある日、小林らが見張りをしていると、忠兵衛が大黒屋でお茶を飲んでいた。目立つことはするなと怒る小林に対し、忠兵衛は、お参りをした帰りには決まって大黒屋に寄るため、素通りはかえって誤解を招くと切り返した。そのやりとりを聞いていた平蔵は、たいした腹の据わりようだと言って感心する。実はこの男、『堂ケ原の忠兵衛』と異名をとった元盗賊の頭だった。和泉屋には隠し金が置いてあるため、一刻も早く火付盗賊改めに出ていってほしかったのだ。一方、金太郎は代替わりして急ぎばたらきをするようになった豊蔵一味に嫌気がさしていた。そんな中、金太郎を追っていた粂八が豊蔵一味に捕えられてしまう。

  • SPECIAL 0x14 密告

    • January 9, 2015
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    火付盗賊改方の役宅近くに、平蔵(中村吉右衛門)と旧知の間柄である九兵衛(柳家小さん)が営む居酒屋がある。ある日、そこに珊瑚玉のかんざしを挿した女が現れ、急いで平蔵に渡して欲しいと言って文と心づけを置いていった。ちょうど店にやって来た同心・木村忠吾(尾美としのり)が文を預かるが、そのまま深酒してしまい夜更けになってから平蔵に届けた。文に目を通した平蔵は、忠吾を激しく叱責。それは、仙台堀にある足袋問屋「鎌倉屋」に今夜、盗賊が押し入ることを密告するものであった。平蔵らは、鎌倉屋へ急行するが、すでに盗賊が金を奪って姿を消したあとだった。平蔵は、文を届けた女が、元は木更津で旅籠の女将をしていたお百(高島礼子)であることを突き止める。お百は昔、平蔵が通っていた「車屋」という茶店に奉公していた娘だった。当時、お百は若侍・横山小平次の子供を身ごもり産んでいた。お百のために、平蔵は持参金を工面し、木更津の百姓家へ嫁がせてやったのだ。平蔵は密偵のおまさ(梶芽衣子)を通じ、お百を呼び出した。そしてお百が、盗賊・笹子の長兵衛に拾われていたことを知る。一味は、お百の息子・紋蔵(高橋光臣)が継いでおり、鎌倉屋への押し込みも紋蔵たちの仕業だった。

  • SPECIAL 0x15 浅草・御厩河岸

    • December 18, 2015
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    火付盗賊改方長官・長谷川平蔵(中村吉右衛門)の密偵、大滝の五郎蔵(綿引勝彦)と伊三次(三浦浩一)は、通りで男が老人を張り飛ばす現場に居合わせ、止めに入る。結局、乱闘となるが、その隙に老人は逃げおおせた。同じく密偵のおまさ(梶芽衣子)は、目を腫らした伊三次の治療をしながら、大人気ないとあきれ返る。片や五郎蔵は、老人に見覚えがあるのだが、誰だか思い出せずにいた。翌朝、老人が伏木の卯三郎(左とん平)だと思い出した五郎蔵は、おまさに報告。おまさからそれを聞いた平蔵は、大盗賊と知られる海老坂の与兵衛(田村亮)の配下だった卯三郎が一仕事を企んでいるとしたら見逃せない、と鋭く言う。 平蔵と同じことを考えた五郎蔵は、卯三郎の息子で御厩河岸に暮らす岩五郎(田辺誠一)の元へ。岩五郎は、若い頃から五郎蔵が面倒を見てきた男で、岩五郎も五郎蔵に恩義を感じていた。岩五郎は卯三郎には何十年も会っていないが、自分を訪ねて来ることがあれば連絡すると約束した。海老坂一味といえば、用心深く仕事ぶりも際立つことで鳴らし、配下の者ですら一人として捕まったことがなかった。平蔵は、何としても与兵衛を捕まえてその面を拝みたいと思う。そんな矢先の夜遅く、岩五郎の元へ卯三郎が姿を見せた。物音に気付いた妻のお勝(小林綾子)をはぐらかした岩五郎は、卯三郎に握り飯をやる。それをむさぼった卯三郎は、与兵衛が岩五郎に会いたがっていると明かした。

  • SPECIAL 0x16 鬼平犯科帳 THE FINAL 前編 五年目の客

    • December 2, 2016
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    長谷川平蔵(中村吉右衛門)は、おまさ(梶芽衣子)と共に、伊三次(三浦浩一)のこぐ船で市中を見回っていた。山谷堀に入ったところで、伊三次は江口の音吉(谷原章介)を見つける。音吉は、遠州の大盗賊・羽佐間の文蔵(吉澤健)の手下だった男。今後、文蔵と音吉が江戸で盗みを働くことに備え、おまさは音吉をつけることに。 おまさをはじめとした密偵たちの尾行により、文蔵と音吉の狙いが「丹波屋」という旅籠(はたご)であることが判明する。「丹波屋」の主人は源兵衛(平泉成)、おかみはお吉(若村麻由美)。音吉の見張りを続けていたおまさは、お吉を見て険しい表情になる。音吉が「丹波屋」に入る前に、船宿であいびきしていた相手がお吉だったからだ。 お吉は、五年前に自身の生活のため、そして病弱だった弟・庄次(渡辺大)のため、品川の遊郭で働いていた。そこで音吉と出会い、彼が寝ている間に、つい出来心から五十両を盗んでしまった。その後、源兵衛と出会い、おかみとして働くことで小さな幸せをつかみかけたが、そこに客として五年ぶりに音吉が現れたのだ。音吉に脅されるものと思い込み、彼に言われるがままに体を任せてしまったお吉。しかし、「丹波屋」に来た音吉の狙いは盗みに入るための下調べだった。 一方そのころ、酒井祐助(勝野洋)ら、火付盗賊改方が、妖気の漂う殺気をまとった謎の剣豪・石動虎太郎(いするぎ・とらたろう/尾上菊之助)に次々に襲われる事件が発生していた。その事件は、平蔵の上司にあたる京極備前守(橋爪功)をも巻き込むほどの大きな影となり、平蔵らを襲うことに・・・。

  • SPECIAL 0x17 鬼平犯科帳 THE FINAL 後編 雲竜剣

    • December 3, 2016
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    夜道を、長谷川平蔵(中村吉右衛門)と木村忠吾(尾美としのり)が歩いていると、覆面をつけた刺客・石動虎太郎(いするぎ・とらたろう/尾上菊之助)が現れる。急襲に、剣の使い手である平蔵も追い詰められるが、間一髪のところで、一撃を浴びせ追い払う。以前にも、平蔵の部下である酒井祐助(勝野洋)らが刺客に次々と襲われ、小柳安五郎(谷口高史)に至っては命を落としていた。刺客と相対した平蔵は、刺客の構えが若いころに牛久で手合わせをした剣豪の構え「雲竜剣」と似ていることを思い出す。 平蔵が襲われた翌日、平蔵宅の門番が刺客に斬られ命を落とす。刺客の大胆な犯行に、苦渋の表情を浮かべる平蔵。さらに数日後、平蔵らの同様に乗じるように、牛込の薬種屋「長崎屋」に凶賊が押し入り、16名が惨殺される事件が起こる。自分たちのことにかまけて、見回りが手薄になっていたことを悔やむ平蔵は、上司の京極備前守(橋爪功)に、見回りの増員を頼み、犯人を捕まえることに執念を燃やす。密偵のおまさ(梶芽衣子)や五郎蔵(綿引勝彦)の働きで、牛久に行き場のない年寄りや貧しい人々が無料で泊まる「報謝宿」があり、それを元武家で医師の堀本伯道(田中泯)が営んでいることが分かる。伯道は「雲竜剣」の使い手で、盗賊でありながら、本気で人助けをしているとのこと。 その後、平蔵は謎の刺客・石動虎太郎をおびき寄せるため、あえて一人で市内を見回る。夜道で虎太郎と出会う平蔵。一触即発の状況下に、伯道が姿を現す。共に、「雲竜剣」の使い手である伯道と虎太郎は実の親子であった。若いころに、手合わせをしていた平蔵と伯道、そして父・伯道との間に深い葛藤があり、悪に手を染めることとなった虎太郎が一堂に会し、物語は衝撃的な結末を迎える。