平蔵(中村吉右衛門)の役宅に、お熊(北林谷栄)という老女が訪ねてきた。お熊は、若き平蔵が無頼時代に世話になった女であった。話によれば、弥勒寺の下男、茂平(北原将光)から遺言を託されたという。茂平は昨晩、命を落としていた。その遺言というのは、ひとつは千住の畳屋、庄八(早川純一)に自分が死んだと伝えること、もうひとつが神奈川宿の塩売り牛松の家にいる、孫のおみつに金の入った胴巻きを届けることだった。胴巻きには五十八両もの金が入っていた。お熊は、わけありの大金とみて平蔵を訪ねたのであった。寺には、火災に備えて土地の人間や檀家が預けていた財産があった。平蔵は、その財産を狙い盗賊一味が暗躍しているのではないか、茂平はその引き込み役で、畳屋の庄八も一味なのではとの疑いを持つ。そこで、平蔵、沢田小平次(真田健一郎)、密偵・小房の粂八(蟹江敬三)が見張りにつく形で、まずは遺言通りに、お熊を庄八のもとに向かわせる。
Name | Type | Role | |
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Yasuhiro Sakurai | Writer | ||
Keiichiro Yoshida | Director |