平蔵(中村吉右衛門)は、船頭・友五郎(大滝秀治)の舟で大川に出ていた。友五郎の唄う千住節に聞き惚れ、どうしてももう一度聞きたかったのだ。ふたりは、そこで『大川の隠居』と言われる巨大な鯉に出くわす。そんな中、平蔵は友五郎が取り出した煙管を見て驚いた。平蔵の役宅から盗まれた父の形見だったからだ。密偵・小房の粂八(蟹江敬三)の昔馴染みである友五郎は、浜崎の友蔵という元盗賊だった。かつては飯富の勘八の配下で、勘八亡きあとは、その息子・庄太郎(石井揮之)の仮親となっていた。友五郎は、自分の腕はまだ鈍っていないと示すため盗みをはたらいたのだ。粂八から話を聞いた平蔵は、自らの印籠を粂八に手渡し、それを役宅から盗んだ物にしろと言う。粂八は、友五郎に印籠を見せつけると、自分は印籠を、友五郎は煙管を役宅に返すことで腕試しをしようと持ちかける。友五郎は話に乗ったが、約束の日に返しに来なかった。そのころ友五郎は、昔の盗賊仲間・薮原の伊助(深水三章)から押し込みの手伝いを頼まれていた。伊助たちは、庄太郎を拘束しており、友五郎は断ることができなかった。伊助が仕える川越の盗賊・鹿山の市之助(中田浩二)と、上方の老盗・生駒の仙右衛門(財津一郎)は、掻堀のおけい(平 淑恵)の仲立ちで、江戸で大きな押し込みを企てていた。
Name | Type | Role | |
---|---|---|---|
Kei Tasaka | Writer | ||
Yoshiki Onoda | Director |