開門……。人間界が神界と魔界と繋がってから、10年。人族、神族、魔族の通う国立バーベナ学園に通うため、幼馴染みの同居人、芙蓉楓に、朝、起こされる主人公、「土見稟」。高校2年生。いつものように登校し、いつものように授業が始まるはずだった……。しかし、そんな「いつもの日常」を一変させるような出会いが、彼を待ち受けていた。
突如、稟のクラスに、二人の美少女が転校してきた。一人は、神界のプリンセス「リシアンサス」、もう一人は、魔界のプリンセス「ネリネ」。しかも、二人とも、稟と楓の暮らす自宅の両隣に引っ越してきたから、さあ、大変!二人とも、過去の稟との思い出を大切に胸に秘め、今ここに、稟への想いを遂げるべくやってきたのだった!
朝から神王と魔王の暑苦しい挨拶を受けて、通学していく稟と楓、そして、リシアンサスとネリネ。プリムラは、お留守番。一人お見送り。季節は、ちょうど、梅雨時。ずっと降り続く雨。みんな陰鬱な気分になるも、リシアンサス一人だけは、ウキウキ気分。どうやら、彼女には雨にまつわる、とても楽しい想い出があるようだった……。
ネリネと一緒に教室の掃除をしている稟。ちょうど、二人でゴミを運びに校庭に出て行く。そのとき、生徒の何人かが、ネリネと親しくしている稟に対して、侮辱するような会話を投げかけてくる。気にしないよう振舞う稟だったが、ネリネは、許せなかった!彼女の魔法が炸裂する!その瞬間、辺りは白光に包まれた……。
稟は夢を見た……。8年前の……。雨の中、泣き叫ぶ、8年前の楓。目を覚ますと、屈託のない笑顔がそこにあった。いつもの楓の笑顔。瞬間、大きな地震が起きる!何かの予兆のように……。登校途中、いつものように、親衛隊に追いかけられる稟。リシアンサスのイス攻撃、ネリネの攻撃魔法により、何とかその場は回避する。「私も!」と頑張る楓だったが……。
稟たちが、学園に通学していく中、いつものように、一人でお留守番のプリムラ。部屋で手持ち無沙汰にぬいぐるみをいじっている……。登校途中、そんなプリムラの様子が心配な稟たちは、プリムラを喜ばせようと思案する。そんな中、何と、プリムラが、学園にまでやって来てしまったから、さあ、大変!
小鳥のさえずりが聞こえるさわやかな朝。いつものように、元気よく飛び起きる時雨亜沙、かと思いきや、少し表情が曇っている。実は、ある男子生徒から告白されてしまったのだ…。しかも、その男子生徒は、スポーツ万能なハンサムボーイ。噂は学校中にも広まって、稟の耳にも届く。
朝、いつものように、楓の声で目覚める稟、のはずだった…、が、起こしたのは何と、シア。しかも、これからデートをしようというのだ。恋愛占いを信じたシアは、思い切って、稟にデートを申し込んだのだった。シアに気押されてデートをすることになった稟だが、そのデートは、予想通り、波乱へと巻き込まれていく…。
学校でのテストも終わり、稟たちは海水浴に出かけることに。色とりどりの水着を披露する楓、亜沙たち。プリムラとネリネの水着は特に、ドキドキなものだった。美女に囲まれながら海水浴に興じる稟たち。昼食も済ませ、おなか一杯になった稟とシアは、浜辺で思わず、転寝してしまう…が…。
海水浴に行ってから、ますます、仲がいい稟とシア。急接近する二人に、「結婚だー」と早合点する神王。早速、プリムラ相手に、結婚式の予行練習に励む。二人の周囲の雰囲気もちょっと、妙な感じだ。大騒ぎする麻弓に、あたふたする楓や亜沙たち。何となく不安になってくる稟とシアだった…。
夏の補習授業を終えて、一目散に教室を飛び出した麻弓は、いきなり、廊下で稟と衝突してしまう。ぶつかった際、下着を見られてしまう麻弓だったが、何の反応も示さない稟に、苛立つ。帰路、カレハのバイト先「喫茶フローラ」で愚痴りまくる麻弓。そろそろ、帰ろうとしたその時、ちょっとした事件が起きる!?
夏休みも今日で最後。にもかかわらず、宿題山積みの稟とシア。二人に宿題を教えるネリネと三人でいい雰囲気。先に宿題を終わらせた稟は、次の美術の課題に取り組むべく外出することに。出かけていく稟にお弁当を用意する楓。プリムラもお手伝い。そのプリムラに、ちょっとした異変が起こる!?
魔界に帰ったプリムラ。寂しい芙蓉家。稟と楓はいつものように振舞うが…。どうもギクシャクしている稟と楓。プリムラのことが心配な二人。そんな中、心配な稟は、プリムラの容態を聞きに魔王家を訪れる。連絡が入れば教えるという魔王。その頃、魔界研究所では、最後の手段とされる治癒方法について語られていた…。
ブランコに揺られながら歌を口ずさむネリネ。稟がネリネと再会したときにも聴いた歌。ところが、ネリネは、この歌を自分の歌ではないと言う…。この歌は「リコリス」のものだと…。「リコリス」。彼女は、プリムラの姉ともいうべき存在であり、もう一人のネリネだった!
ネリネに案内され魔界研究所まで来た稟たち。プリムラの元へ急ぐ。ようやく入り口までたどり着いたそこには、神王と魔王が待っていた。稟たちの強い思いに打たれた神王と魔王は、プリムラに会うことを許可する。研究室にある円柱のカプセルに、プリムラはいた。眠っているプリムラに話しかける稟。しかし、何の反応も起きなかった。
プリムラも無事戻り、いつもの生活に戻った稟たち。ただ、少しだけ変化があったようだ。ネリネがより、社交的になっていたのだ。不思議がる一向。明るくなったことに安心する稟、復帰した亜沙の所に事件の報告に行く。亜沙の全快祝いをする稟たち。そんな中でシアは、性格が少し変わったネリネに、疑問を抱いていた。
朝、亜沙の家に出かけていこうとする稟を呼び止める声。その声の主はシアだった。授業そっちのけで、デートに誘うシア。戸惑いながらも付き合う稟。あちこち振り回されてしまう。一方、その頃バーベナ学園では、居所の知れない稟に、亜沙は、「誘拐でもされたんじゃない」と楓を心配させるのであった。
昼休み。亜沙の手作りクッキーを試食する稟。その様子を見ていたシアとネリネは、二人をデートさせることに!稟に対して気持ちをハッキリさせようと迫る。稟も渋々同意。果たしてデート作戦開始!樹や麻弓たちも巻き込んでの大事に…。そして、いよいよ、そのデートの日がやって来た!
休日の朝、いつもの芙蓉家の食卓。どことなく、ぎくしゃくする稟と楓。出かけていった稟の部屋を掃除している楓、机のフォトスタンドを手に取る。8年前の、あの事件に思いを馳せる楓…。その事件は、楓と稟の二人にとって、最も、つらく悲しい事件だった…。
病室の亜沙を見舞う稟。心配そうな稟に、母親の亜麻は「話があると」誘い出す。その頃芙蓉家では、楓が、自分の取った行動を後悔していた。病院の中庭で話し出す亜麻。それは、亜麻と亜沙、母親と娘の壮絶な闘いであった…。亜麻との話の後、楓に電話を入れた稟は、再び亜沙の病室に戻って行った…。
具合のよくない楓を心配しつつ、登校する稟、シア、ネリネ。昼休み。学食で食事をとる稟は、あまり食欲がない。心配した亜沙は、自分の弁当を稟に差し出す。放課後、楓の見舞いにと、花屋に立ち寄る亜沙。一方、シア、ネリネたちと帰宅した稟は、プリムラから衝撃的な言葉を聞く!!
いつもの登校風景。そして、いつものように授業中、ボーっとしている稟に、鉄槌を食らわす撫子先生。いつものように、樹や麻弓たちと取りとめもない会話をしている稟。いつものように学園風景。時が流れているはずだった…。しかし、その「いつも」は少しずつ、変わろうとしていた…。
病院。病室。輸液の入った点滴。医師たちの会話。医者に迫る稟。制する亜麻。病院の中庭に稟を呼び出した亜麻は、ゆっくりと、それでいて、しっかりと、自身の過去、そして自分と娘、亜沙の置かれた境遇について話し始める…。亜麻の想いを真摯に受け止める稟。
病室からいなくなった亜沙を懸命に探す稟。一方、そのころ亜沙は、稟との思い出の場所に急いでいた。行方が分からず焦る稟。ベンチにうずくまる。そんな稟の脳裏に亜沙の言葉が思い浮かぶ。「もしかしたら!」稟の向かった場所に、果たして亜沙はいた!? 衝撃のクライマックス!