ラッカ、不思議なグリの街を仲間と歩く。グリの街、そこは壁に囲まれ灰羽連盟に守られた謎多き街であった。 仮面商人トーガと話師、謎の街のアナザーサイドが・・・ 熱も収まり、落ち着いたラッカはこの不思議な世界の様子を眺めている。 廃虚のようなオールドホームの建物、その南棟の孤児院ではレキが子供たちの面倒を見てる。 灰羽はそれぞれ仕事を持ち、オールドホームをねぐらとしている。 羽の生えた身体にあわす服を求め、人間の住む街の古着屋の向かうラッカ達。 灰羽はお金を持てず、服代のかわりに手帳にサインをするだけで 支払いは灰羽連盟がしてくれるという。 この街では灰羽はその団体に守られた特殊な存在らしい。 街の市場ではトーガと呼ばれる壁の外からの行商人と話師(わし)と呼ばれる 灰羽連盟の人間がまるでセリのように指で文字の形をつくっては、取引をしている。 トーガには灰羽はおろか、街の人間も近づくことが許されないらしい。 謎多きこの街は来訪するものまで完全に隔離されている。
ラッカ、灰羽手帳を入手。灰羽手帳を取りに、初めて灰羽の寺院に向かうラッカ。 そこは会話の許されない世界、戸惑いながらも手帳を手にするが・・・ 仲間に支えられたオールドホームの楽しい生活が始まる ラッカは灰羽連盟に呼ばれ、初めて寺院へ向かう。 灰羽手帳をもらい、これで完全にグリの街の住民となったが まだ仕事の決ってないラッカはレキの部屋を訪れたり オールドホームの子供達の世話を手伝う。 するとラッカからパンケーキの匂いがすると子供達が騒ぎだし、 一斉に「パンケーキが食べたい!」の大合唱。 仕方なしにパン屋でバイトしてるヒカリの店へ買い物に出かけるラッカ。 街へ向かう道中、クウと合流する。 クウは年長組、最年少のため仲間の手伝い仕事をしてるが、れっきとした先輩。 得意げに街を案内するクウだが、ピントのぼけたガイドぶりに苦笑するラッカだが 無邪気で純真なクウがラッカの不安を少しだけ和らげてくれる。
就職みならいのラッカ、初めての職場見学灰羽は働かなくてはならない、しかし何をしたらいいのかもわからない、カナの働く時計塔の職場を見学するラッカ。 朝、不思議な夢にうなされて目がさめたラッカ。まだここが現実なのか?灰羽となった自分の境遇に実感がわかない。 灰羽は街に守られている分、必ず仕事につかなくてはならない決まりとなっており、その仕事を決めるために今日はカナの仕事を見学する日。 グリの街の真ん中に位置するカナが勤める時計屋。出勤時間に遅刻してきたカナに親方の厳しい声が飛ぶ。職人かたぎの親方にあぜんとするラッカだが、 カナとともに与えられた仕事を始める。 ひと仕事が終り、カナはラッカを時計塔の上につれていく。 そこからラッカはグリの街を守る壁を目にして 自分がいる世界、そして人間との関係を知るのだった。
職探しシリーズ第2弾!ネムといっしょに図書館へネムの働く図書館を手伝うラッカの心をとらえたのは、古くてぼろぼろの「世界のはじまり」という絵本・・・。 ネムが働く図書館でにやってきたラッカ。ネムの長年の相棒のスミカ(人間)は出産のため、図書館を去ることになっている。ネムは記念にプレゼントを用意しようと頭を悩ませていた。明るく優しいスミカにふれ、ラッカはネムのプレゼントに協力を申し出る。そのプレゼントはネムとスミカがかつて二人で解読しようとした古い絵本、「世界のはじまり」の読めなくなった先の物語を完成させ、それを装丁してプレゼントしようとしていたのだが、なかなか物語の結末が見つからない。 灰羽たちにとっても自分たちがなぜ、ここに生まれたのか? この世界はいったいどういう世界なのか?疑問に思うのと同様に、この閉ざされた街の人間、スミカも外の世界を知りたがっていた。 結局、街での幸せを選んだスミカへ、かなわなかった夢の想い出として その絵本を送るという灰羽たち。 ふたりが書き上げる絵本はどんな物語になるのか・・・?
クウが教えてくれた。もうすぐ冬がグリの街にやってくるある日曜日の朝、オールドホームの中を探索するラッカ。自分の部屋をもとうと、適当な部屋をさがしていた。日曜日の朝、地図を片手にオールドホームの中を見て回るラッカ。灰羽としてひとりだちする第一歩として、自分の部屋を見つけようとしているのだ。どこもほこりだらけで適当な部屋を見つけることができずにさまようラッカに声をかけたのはクウだった。 思いがけず、クウからプレゼントをもらったラッカ。冬用のコートだった。自分には大きすぎるからというクウ。大好きなはずのホットケーキの朝ごはんの場にもあらわれなかったり、ラッカにお勧めの部屋を教えたりするクウに、ラッカは漠然とした不安を感じはじめる・・・。 その午後。ラッカの不安に影響されたかのように、天気は雨模様に変わり、雷が鳴りだした。やがて落雷のせいでオールドホームは停電になる。 なにかがラッカ達の日常におころうとしている・・・
切り落とされた羽、切り離せない悲しみ・・・すっかり寒くなった朝。自分の部屋で目覚めるラッカの表情は暗い。それは寒さのせいではなく・・・。ことあるごとに、悲しい想いに囚われるラッカ。いつもと変わらない仲間たちや街の人の態度に、自分ひとりが悲しんでいて、おきざりにされているような気になってしまう。偶然街で出会い、オールドホームに起きたできごとを聞いてくるヒョコに、ラッカは苛立ちをぶつけてしまう。 なにをしても、ラッカは悲しみから立ち直れないでいた。 8話 鳥 私なんていなくなっちゃえばいいんだ。 灰羽としての自分を見失ってしまったラッカは、自分に絶望していた。そんなラッカの耳に入ってきたのは、烏の鳴き声ーーー
私なんていなくなっちゃえばいいんだ。灰羽としての自分を見失ってしまったラッカは、自分に絶望していた。そんなラッカの耳に入ってきたのは、烏の鳴き声ーーー自分は、いったいどうして灰羽になったのか。灰羽とは何なのか。自分は果たして灰羽としてここにしてもいいのだろうか。グリの街の人々が灰羽に見せる優しさに接するたび、ラッカは自分に問いつめていた。 やがて、私なんてここにいないほうがいい、消えてしまったほうがいいと思い始めてしまうラッカ・・・。 そんなラッカの耳に、鳥の声がとびこんでくる。 自分の夢の中にたびたび登場した鳥、カナとゴミすてにいったときにであった鳥、 そしてオールドホームでおきた異変を知らせてくれた鳥。 自分を呼んでいると感じたラッカは、鳥のあとをついて、灰羽にとっては危険な場所である西の森の中に、ひとり進んでいった・・・。 西の森でラッカが見つけたものは・・・・?
ここで、私のことずっと待っていてくれたの・・・西の森の中で、井戸の中に閉じ込められ、足をくじいてしまったラッカを助けだしてくれたのは・・・。烏のために作った墓とラッカの上に、雪がうっすらとつもりはじめた。寒さに身を縮めながら、烏の墓を見つめるラッカ。その時、ふと頭上の壁にあかりが差した。ラッカの救いを求める声に応じて井戸の底におりてきたのはトーガだった。助け出されたラッカはトーガに礼をいうが、会話が許されていないトーガはなにも言わず、その場を立ち去ろうとする。クウのことを尋ねようとトーガをおいかけてきたラッカは、気づくと、壁の前にいた。クウの声が壁から聞こえた気がして、壁に触れるラッカ。突如、現れた話師に叱られる。なぜ、危険を冒してこんなことをしてるのか?問い詰められるとラッカは井戸の中でであったこと、自分の夢についておもいだしたこと、灰羽である自分自身のことを、堰をきったように話師にぶつける・・・・。西の森を抜けたラッカを、レキが見つけて一安心する仲間達だが、ラッカが壁を触ったことを知るとレキの表情が一転する。壁に触れた灰羽にはその報いがあるのだ。
「ずっとそばにいてくれるって言ったのに・・・」罪憑きの試練を越え、自分に落ち着きを取り戻したラッカに対し、ラッカの世話をすることを自分の役目としてきたレキは・・・ラッカの看病をヒカリたちに任せ、仮眠をとったレキは、夢に苦しんで目を覚ま した。レキが見たのは、繭から誕生した時の記憶。自分を育ててくれたクラモリ と、同じ年のネム。 昔の夢から目を覚ましたレキは、慌ててラッカの部屋に向かう。カナの買ってき た解熱剤ではやはりラッカの熱は引かない。レキは、心を決めて、灰羽連盟の寺 院に向かう。レキは壁に触ったために出る発熱に効く薬草がそこにあることを知っていた。 レキを迎え入れたのは昨晩ラッカを助けた話師だった。レキはラッカを放り出し た話師を責めるが、話師はレキにラッカは罪憑きの試練を乗り越えたことを告げ、レキに自分の時間が残り少ないことを覚悟するように告げる。
わたし、レキを助けたい、レキの力になりたい夢を思い出せないレキの苦しみに初めて気がついたラッカ。しかしレキを救うことはレキとは二度と会えなくなることを意味する・・・寺院での仕事を与えられたラッカは、やっと一人前の灰羽と認められ、落ち着い た日々を送るようになっていた。 そんなある日。年少組のダイが廃工場で生活をはじめる年齢になったため、オー ルドホームから廃工場に移り住むことになった。ダイの保護者として廃工場につ いていったラッカは、そこでミドリやヒョコと再び出会う。ダイを預ける挨拶を すませて帰ろうとするラッカを追いかけてきたミドリ。その時ミドリは、思わず 過去にレキがヒョコを死なせかけたことを非難してしまう。ラッカはレキをかばう。そのときラッカは気がついた。レキはいつでもわたしのことを大切にしてくれた。いつも回りに気をつかっていた。クウがいなくなったときも、私が罪憑きになったときも、いちばん苦しんでいたのはレキだったのかもしれない・・・。 レキの苦しみに気がついたラッカは話師に相談する。レキを助けたいと。しかし話師はラッカに厳しい現実を語る。レキに残された時間は少なく、更にレキを救うことは、自らレキとの別れを招く行為だということを・・・
レキのために、私にできる事・・・レキはますます自分の部屋に閉じこもる時間が増えた。その理由を知っているラッカは、レキを助ける方法をヒョコたちに相談する相変わらずレキは暗い思いを抱いたまま、最近はオールドホームの仲間達からも距離を置き始めている。なんとかレキのチカラになりたいと思うラッカだが、なかなかその手だてが見つからない。 そんな中、ラッカはヒカリたちにつれられて街に出かける。年越しの儀式に必要な鈴の実を買いに市に来たのだ。その市で、ラッカとレキは偶然ミドリとヒョコに出会う。レキがいなくなった後、ラッカはレキを助けるのを手伝ってほしいとミドリとヒョコに頼む。 そして過ぎ越しの祭の日。ひとりオールドホームに残りたいというレキを残して、ラッカは、みんなと一緒にグリの街に出かけた。何も知らない仲間達は鈴の実を街の人々に渡していく。そして最終目的地、廃工場についたラッカを待ち受けていたのは、ミドリだった。
レキは最初から私に優しくしてくれていたんだね・・・罪憑きの試練を乗り越えたラッカを嫉んでいたと正直に語るレキにショックを受けるラッカ。その時、忘れかけてた記憶が甦る。過ぎ越しの祭の晩。仲間達が眠るゲストルームを抜け出し、ラッカはレキの部屋に向かった。そこには、壁や天井が黒く塗りこめられ、どろどろとした赤い月が描かれていた。そして床には一面の砂利と線路が延びていた。「これが私の繭の夢」。レキは自分の見た夢で覚えていることを部屋に描いていたのだ。 ラッカは話師に託された木箱をレキの目の前にさしだす。レキの本当の名前がこの中には入っている。救いを求めつつも、期待しないようにしながらそれを開いたレキは、やはり絶望する名前しかそこに見いだすことは出来なかった。 そのショックから、ラッカに今までの自分の過去を話し始めるレキ。クラモリ、ヒョコ、話師と、自分の元を去っていった人、自分のせいで苦しめてしまった人達のことを思い出したレキは、ラッカにその苦しみをぶちまけてしまう。 レキに巣立ちの時は来るのか?ラッカの気持ちは届くのか・・・?