イタリア首相府が秘密裏に設立した超法規的諜報機関、社会福祉公社。そこでは担当官と義体と呼ばれる公社が開発したサイボーグが兄妹(フラテッロ)と呼ば れるペアになって、暗殺を始めとする裏の任務を行っていた。ある日、ローマ市内で行われていた市民デモに便乗する爆弾テロが発生。付近を警戒中だったジョ ゼ・ヘンリエッタ組とジャン・リコ組のフラテッロは、政府に敵対する五共和国派の犯行であることをすばやく察知し、犯人を追跡。駆けつけたヒルシャー・ト リエラ組、作戦2課員らとともに速やかにテロリストを制圧した。任務を忠実にこなす義体たち。「条件付け」された彼女たちは、命令とあれば殺人へのためら いは一切ないのだった。その晩の公社。ジョゼの留守中に、ヘンリエッタはジョゼの部屋で自分へのプレゼントを偶然見つけ箱を開けてしまう。プレゼントに刻 まれた他の女性の名前を見てショックを受けたヘンリエッタは・・・・・
殺しに天才的才能を持つ少年ピノッキオ。五共和国派幹部でありピノッキオの育ての親でもあるクリスティアーノが依頼する暗殺の仕事を淡々とこなす日々を送っていた。ある日、爆弾作りのスペシャリスト、フランカ・フランコと行動をともにするように指示をうける。建設中のメッシーナ大橋爆破計画を実行しようとするフランカ・フランコを護衛しろというのだ。モンタルチーノにあるピノッキオの自宅で合流した3人。当初は互いを警戒し合っていたフランコ・フランコとピノッキオだったが、会話を交わす中で見え隠れするお互いの信念に、徐々に親近感のようなものを感じ取っていた。その頃、暗殺者"ピノッキオ"の調査中に行方不明となった作戦1課のコーエンを捜索することになった、ヒルシャー・トリエラ組が出発の準備をしていた。これからモンタルチーノで起こることを予想もせずに・・・・・・
暗殺者"ピノッキオ"の調査中に行方不明となった作戦1課コーエンを捜索するため、モンタルチーノに向かったヒルシャーとトリエラ。行方不明になる前にコーエンが滞在していたホテルで、手かがりになるメモを見つけ、二人はピノッキオの隠れ家らしき家にたどり着く。その家の前にたたずんでいた少女・アウローラに、話しかけるトリエラ。世話好きのアウローラは、近所のよしみでピノッキオへの差し入れの料理を持ってきたのだった。料理が入ったバスケットに盗聴マイクを仕掛け、家の中の様子を見ることに。ピノッキオの家に勝手に入ったアウローラは、フランカとフランコに義体だと勘違いされ、命の危険にさらされてしまう。その様子を盗聴していたヒルシャーは公社の応援を待たずに救出のため、トリエラと二人きりで乗り込むことを決意。そしてピノッキオとトリエラは初めて互いの存在を知ることになる・・・・・
「条件付け」による依存症のために、入院生活を余儀なくされていたアンジェリカ。しかし治療の甲斐あり、ようやく仕事に復帰することを許され、担当官のマルコーと共にミラノに向かっていた。喜びを隠し切れないアンジェリカとは裏腹に、マルコーは複雑な表情を浮かべていた。ピノッキオの情報を得るためにミラノ市警を訪れたマルコー。その帰りに、アンジェリカを心配しミラノまで来ていたプリシッラとオリガに遭遇し、仕事を手伝わせることにする。「今日は見ているだけでいい」と、アンジェリカが愛用するステア-TMPをプリシッラに渡すように言うマルコー。マルコーに貢献できないでいる自分に、アンジェリカの気持ちは揺らいでいく。そんな中、敵のアジトに突入した現場でアンジェリカは薬の副作用が出てしまい・・・・・
数年前、目を負傷したせいで国家警察を辞めることになったマルコー。恋人で出版社に勤めるパトリツィアは、これを期にマルコーに危険と隣合わせの職から退いて欲しいと願っていた。しかし二人の関係はマルコーが公社に入った頃から、次第に距離ができていた…。二人が別れ数年経った現在、パトリツィアは知り合いのレオナルドに「公社の秘密を一緒に暴かないか」と誘われる。マルコーのことを忘れられずにいるパトリツィアは、レオナルドと一緒に調べて回ることに。一方マルコーは、薬の副作用で記憶が失われていく義体のアンジェリカにやり切れなさを感じ、気持ちとは裏腹にアンジェリカに冷たくあたっていた。ある日、五共和国派のテロリストを誘い出した現場で、偶然にもマルコーとパトリツィアは再会を果たす。
メッシーナ海峡大橋開発公社の理事長誘拐を企てる五共和国派グループのリーダー、ニノ。ニノは優秀な活動家として名を馳せていたが、数年前に兄を警察に殺されてからは血を好まない慎重派となり、仲間内では走れなくなった犬「チベタンテリア」と呼ばれていた。一方、捕らえた五共和国派(パダーニャ)から理事長誘拐の情報を引き出した公社は、ヘンリエッタを理事長の親戚の子どもと称して、ジョゼら2課員と共に護衛を担当させる。五共和国派(パダーニャ)のテロで夫を亡くしているにもかかわらず、理事長は大勢の血を流してまで夫の遺志を継ぐこと、つまりメッシーナ大橋を完成させることに意味があるのかを疑問に思い始めていた。復讐が復讐を呼ぶという事実に思い悩む人々の姿がそこにあった……。そんなニノが勤める古道具屋に、ジョゼとヘンリエッタが壊れた万華鏡の修理を依頼しに訪れる。
数年前、学生だったフランカは、身に覚えの無い罪に問われ獄死した父親の復讐を誓う。伝説的な爆弾職人フランコの元を訪れるが、弟子入りを拒否されてしまう。諦めないフランカを前に、生きる目標を持たないでいたフランコは、自分の中で何かが変わっていくのを感じていた。そして現在。モンタルチーノで、ヒルシャーとトリエラにアジトを襲撃されたフランカ・フランコとピノッキオは、フラスカーティにあるワイン農園に身を隠していた。メッシーナ大橋爆破作戦準備のため、1人でローマを訪れたフランカだったが、立ち寄った事務所で張り込み中の1課員に見つかり捕らわれてしまう。帰ってこないフランカを気にしたフランコとピノッキオは、彼女を迎えに行くことにする。
担当官のいないクラエスは、公社の敷地から出ることなく、義体技術改良の試験体となっていた。食事制限や身体能力検査などが課せられているものの、それ以外の時間はハーブの世話をしたり、ピアノを弾いたり、読書をしたりと穏やかな時間を過ごしていた。ある日、ジャンが検査の一環で見せた夕暮れの映像に、クラエスは懐かしさと悲しさが同居した複雑な感情を覚える。過去の記憶を消去されたクラエスだが、今は亡き彼女の担当官との思い出を象徴するその映像に、何かを感じずにはいられないのだった。その帰り道、クラエスは屋内射撃場の前を通りかかり、何かを思い出しそうになる。記憶のない場所なのになぜか懐かしさがこみ上げてくる……クラエスはその理由を無意識に求めていた。
ジョゼはかつての同僚・軍警察のマルカントニオとローマ市内のリストランテで、数年ぶりの再会を果たし喜んでいた。しかしそれも束の間、リストランテのすぐ前の通りで、五共和国派(パダーニャ)の爆弾テロが起こる。一方、爆弾テロの犯人を追っていたベルナルド・ビーチェ組とジャン・リコ組は、犯人の部屋から軍隊でしか手に入らない高性能爆薬を見つける。軍関係者が関わっていると判断し、調査を進める2課員たち。モリーゼ州の山中で武器を輸送する怪しい軍用トラックを見つけたジャン・ジョゼたちは、銃撃戦の果てに鎮圧に成功する。だが、そのトラックには乗っていたのは、絶命したマルカントニオだった。ジョゼはかつての同僚の裏切りに気を落とす間もなく、彼らの黒幕であるガニエ大佐の暗殺を命じられる。
フラスカーティにあるワイン農園で潜伏中のピノッキオは、農園生活に馴染み、穏やかな日々を送っていた。共に潜伏中のフランカとフランコは、メッシーナ大橋の爆破計画を練りつつも、2課員たちによって武器調達ルートが潰されたこともあり、計画は頓挫したままだった。そんなある日、フランカは、彼女の身を案じるマリノフから電話で衝撃的な内容を告げられる。それは、失態の責任を取ってクリスティアーノが失脚すること、そしてクリスティアーノと縁を切るようにとの勧告だった。しかしフランカとフランコは、クリスティアーノを慕い続けるピノッキオのことを思い、メッシーナ大橋の実験橋を爆破することでクリスティアーノの失脚を阻止することを決意する。何も知らないピノッキオも、2人の護衛のために一緒にミラノへ向かうのだが……。
クリスティアーノ失脚を防ぐため、メッシーナ大橋の実験橋爆破を目論むフランカとフランコ。2人が爆弾を仕掛けていると、警戒態勢にあったジョゼ・ヘンリエッタ組に見つかってしまう。ピノッキオも交えての銃撃戦となり、結果的に実験橋の爆弾テロは不成功に終わる。フランカから真実を聞いたピノッキオはクリスティアーノの窮地を救うため、クリスティアーノの屋敷を訪れ逃げるように説得する。覚悟を決めていたクリスティアーノだったが、ピノッキオの気持ちに心を動かされ、国外への逃亡を決心する。その頃、情報を入手した社会福祉公社作戦2課はクリスティアーノ拘束に乗り出していた。屋敷に踏み込んだトリエラの目の前に、モンタルチーノで完敗した相手・ピノッキオが現れた……。