人々の半数が能力者の町、咲良田市。そこに住む少年・浅井ケイは、自分の記憶を完全に保持し続ける能力を持っていた。彼は、同級生・相麻菫の紹介で、感情の欠けた少女・春埼美空と出会う。春埼は、世界を最大3日前の状態に戻す『リセット』という能力を持っていた。そして、泣いている人を見たらリセットすると言う。ケイはそんな春埼の能力に興味を持つ。そして――
倉川真理は、7年前に死産していたと分かった。春埼が仲良くなったクラカワマリは、本当なら存在しない人間だった。母親はマリを愛し続ける事に疲れて、彼女を『管理局』に預けて、咲良田から去ろうと決意していた。それを知ったケイは、春埼の感情とクラカワマリの幸せを取り戻すために行動を開始する。
高校生になったケイと春埼は、奉仕クラブで活動していた。能力を使い、様々な問題を解決するのである。村瀬陽香という少女から、死んだ猫を生き返らせて欲しいという依頼を受ける。しかし依頼には、腑に落ちない事がたくさんあった。情報屋の「非通知くん」に協力を求めると、『マクガフィン』という謎のアイテムの話題が出るのだった。
ケイの前に現れた皆実未来は、記憶が欠落していた。「非通知くん」の能力によって、情報を吸われたからだ。そして事件は殺人事件に発展する。一方で、村瀬陽香は『触れたものを消す』能力を持っていた。そして依頼とは別の目的、「マクガフィン」を手に入れるため、ケイたちに近付いていた。村瀬は、能力を使ってケイと春埼の命を狙う。
三ヶ月前。入学式を終えたばかりのケイと春埼は、津島によって奉仕クラブに入部させられる。そして、最初の依頼を押しつけられる。世良佐和子という少女が能力で、ビー玉の中に入ってしまったのである。リセットを使って、事件が起きる前の状態に戻すよう指示する津島。しかしケイはリセットをせず、世良佐和子から聞き込み調査を始める。
佐々野という老人は、写真の中の世界に入る能力を持っていた。しかし「赤い目をした少女」によって能力を失ったと言う。能力をとりもどすため『マクガフィン』が欲しいという佐々野。しかしケイは「マクガフィン」では解決しないと言う。事件の調査を始めるケイと春埼。二人は「魔女」と名告る人物によって『管理局』に呼び出されるのだった。
赤い目の少女・岡絵里は、ケイに敵対心を持ち、春埼美空のリセット能力を奪うと言う。岡絵里はその昔、家庭の事情で苦しんでいたところをケイによって救われた。しかし、その頃とは変わってしまった今のケイを憎んでいると言うのだ。ケイの依頼で調査をしていた村瀬は、岡絵里と遭遇すると、岡絵里の能力により攻撃される。
写真の能力を使ってケイの行動を封じた岡絵里は、春埼美空のリセット能力を奪おうと迫る。一方、『名前を持たないシステム』である「魔女」は、一つの計画を進めていた。佐々野もまた能力の秘密を隠したまま行動を開始する。さらなる力を望む岡絵里は、魔女の未来視能力をも狙い『管理局』を襲撃する。
2年前――ケイと春埼美空がまだ中学2年の頃。相麻菫が死んだ後、2人は疎遠になっていた。お互いもう屋上に行くこともなくなり、ケイも春埼を避けていた。そこに、奉仕部から依頼が入る。問題を解決するため、2人は久しぶりに会うのだが、そこで春埼はリセットが使えなくなったと言う。
4年前――小学6年生の夏休み、ケイは『咲良田』を訪れた。そこで初めて『能力』を目にしたケイは、咲良田と能力について興味を持ち、調査を開始する。そうするうちに、自分にも能力が開花するケイ。『記憶』という能力を得たケイのもとに『管理局』からのコンタクトがある。そこで『索引さん』と名告る女性と出会うのだった。
ケイが風邪をひいて学校を休んだという。そこで皆実未来は、春埼美空にお見舞いに行くように促す。「せっかくラブなイベントなんだから」と。「風邪とラブは関係ありません」と相変わらず朴念仁な春埼に、皆実は手っ取り早く風邪を治す方法を提案する。「キスすると風邪は治る!」と。なし崩しに、春埼はケイのお見舞いに行く事になるのだった。
ケイは『管理局』に依頼して『夢の中の世界』の調査を始める。そこは『片桐穂乃歌』という9年間昏睡状態の女性が持つ『能力』が作りだした世界で、現実の咲良田と寸分違わぬコピー世界だと言う。ケイはそこで相麻菫に関する一つの実験を計画していた。ケイと春埼美空が夢の中の世界に入ると、ミチルという名の少女と出会う。
夢の中の世界でケイは、『野良猫屋敷のお爺さん』について聞く。彼は、『シナリオの写本』を書く能力を持っているという。野ノ尾盛夏から聞いた伝言『シナリオNo.407』の事を思い出すケイ。ケイはチルチルから聞いた情報によって、お爺さんのもとに向かう。一方その頃、相麻菫も夢の中の世界にいてミチルと会っていた。
ミチルがまだ『片桐穂乃歌』だった頃。彼女は夢の中の世界で、何でもかなえる事ができて、そこに来た人に何でも与える事ができた。しかし野良猫屋敷のお爺さんに、「与えられることで失うものもある」と言われる。『宇川沙々音』は、夢の中の世界が正しくないと判断する。そして、この世界を破壊すると言う。
現実世界で、片桐穂乃歌の容態が急に悪化する。能力を使う事を望まなくなり、彼女がいるはずの夢の中の世界が消えてしまうからだ。目を覚ますことのない彼女が夢の世界を失うのは、自殺も同然である。一方、野良猫屋敷のお爺さんのもとを訪ねる野ノ尾盛夏。現実世界の彼は歳老いて歩く事もできない状態だった。
今日は、ケイたちの高校の学園祭である。ケイと春埼美空は劇で恋人同士を演じるが、どうしても春埼はラストシーンの笑顔を上手に作れない。春埼はケイに対する自分の想いに気付き、そして、それを素直に認める事ができないのだ。ケイは、村瀬陽香や中野智樹の力を借りて、春埼と二人きりになる。そして――
『シナリオNo.407』を記憶したケイ。そこに書かれていたのは、今からおよそ40年前、咲良田に管理局ができる最初の一年間の事だった。世界にはまだ能力者が3人しかおらず、管理局の最初のメンバーとなる彼等は、咲良田と能力の未来について計画を立てていた。そこに「非通知くん」から連絡があり、ケイは思いがけない情報を得る。
管理局は危険な能力に対して規制を始める。岡絵里の能力を使って、能力を封じるのだ。そんな中で宇川沙々音は、能力を使うよう依頼を受ける。意図的に能力を暴走させて欲しいと。その事故を理由に、より能力の規制を進めようというのだ。その事を予測したケイは、村瀬陽香と野ノ尾盛夏に協力を依頼して宇川の行方を探す。
管理局対策室の真の意図を知った浅井ケイ。春埼美空の身を案じるケイだが、そこに予告通り相麻菫が現れる。菫は、今まで秘密にしてきた様々な謎を語りはじめる。そして、約束通りチキンカレーを作った菫は、ケイにシャワーを貸して欲しいと頼む。「そろそろ本題に入りましょう」と。
何事もなかったかのような日常。平和な咲良田の街。ありきたりな毎日。学校の屋上で将来の夢を語りながら昼食をとる。浅井ケイは母の作ったチキンカレーの味を思い出す。それは昨日、相麻菫が作ってくれたものと似ていた。ケイは、母に会おうと自分の生まれ育った街を訪ねる。そこで思いがけない人物と遭遇するのだった。
自分の計画の進行について疑念を感じた浦地正宗。浦地は、索引さんと加賀谷とともに、浅井ケイとその関係者を狙って行動を開始する。一方ケイは今まで出会った仲間を集めると、相麻菫から委ねられた一つの切り札をもとに、菫自身の行方を捜す。そしてケイは、浦地たちの行動と真っ向から衝突する。
浦地正宗の作戦に手を貸している岡絵里と、浅井ケイが遭遇する。ケイは絵里に、完全に敗北する。そしてケイは、春埼美空たち仲間が待つ所へ絵里を案内する。そこには、宇川沙々音も待っていた。そこへ、浦地からの連絡が入る。ケイは今まで見知った事、考えた事を、浦地に語るのだった。
津島信太郎を仲立ちに、浅井ケイと浦地正宗は直接対話をする。人質をとられて為す術もなくその主張を聞く。一方、それぞれに逃げ道を模索するケイの仲間たち。ケイを信頼して一人で待っている春埼美空は、索引さんと加賀谷に追い詰められる。ケイは、浦地の説得を試みるが――
それぞれが咲良田の未来のために行動する中、危機に陥る相麻菫。菫を救うべく奔走する浅井ケイ。そしてケイを助けようと決意する春埼美空。それぞれの意志と選択と決意とが交錯する。ケイと春埼はそれぞれに、間違う事を許されない選択を迫られて――