突然の停戦。その報せを士官候補生アリスは士官学校の卒業式で、ランデル・オーランド伍長は焦土の市街地で、驚きとともに聞く。 ……それから3年。帝国は飢餓、疫病、統制を失って略奪者に転じた兵隊など、戦争の負の遺産にいまだ苦しんでいた。「狼」と名乗る中尉に率いられた一団「灰色の狼」も、戦車を武器に野盗化し山麓の村を恐怖に陥れている。 いっぽう、すでに陸軍情報部隊3課に配属されたアリスは、少尉としてこの無法者たちを排除するため、村に出動していた。が、実戦経験を積む敵は容易に降参しそうにない。ひとまず様子をうかがうことにする陸情3課小隊。彼らが立ち寄った村の食堂には、放浪の旅を続けるオーランド伍長の姿もあった。