霧がたなびく夜明けの街。朝帰りのオレルド准尉は、橋の上から川をのぞき込んでいる女に目を留める。「まさか身投げ?」。瞬間、疑いを抱いた彼は、自殺を思いとどまらせようと車道に飛び出す。が、眼前を馬車が横切るうちに、女の姿は忽然と消えていた。 その日、配給品の分配という任務を気ままに済ませたオレルドは、再び夜の街へ。たまに足を運ぶ店で楽しくやっていると、そこに今まで気にも止めていなかった存在が。早朝、橋のたもとで見かけた女だった。翌日も同じ店に通ったオレルドは、両親を失った彼女が17歳から辛い境遇で生きてきたこと、さらに、6年前戦場に駆り出された青年の帰りを待ち続けていることを知る。