堂々ハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、大手出版社『現代公論出版』に勤務する35歳の九州男児だ。ハジメが所属しているのは、連載小説と特集記事を売りにした中高年層ターゲットの雑誌『現代公論』の編集部。創刊40年の歴史を誇る同誌は、かつては社の看板雑誌だった。だが、いまでは発行部数も激減し、特集記事もまったく当たらないどころかトラブルを引き起こす種になることもしばしばで、その度に特集デスクのハジメが関係各所に土下座して回っているようなありさまだった。 そんなハジメにとって自慢の妻が、アパレルメーカー『シャレーヌ』の企画開発室に勤務している陶子(石田ゆり子)だ。ハジメと陶子は、同じ大学の天文部だったことが縁で結婚した。部のアイドルだった陶子を、どういうわけかハジメが射止めることに成功したのだ。ふたりの間には、6歳になるひとり息子・力(加藤翼)がいた。ハジメにとって陶子は、明るく、優しく、そして母としてたくましい、まさに理想の妻だった。 『現代公論』編集部は、雑誌編集一筋の独身編集長・小町ゆかり(江波杏子)を筆頭に、男勝りのバツイチ女性・泉玉子(ともさかりえ)、ハジメとは同期の独身貴族・轟真一郎(沢村一樹)、小説を愛する古参の編集者・美濃部善男(皆川猿時)、裏ネタやオタクネタに詳しい蟻田ミキオ(宅間孝行)、茶髪の新人編集者・馬場敦(和田正人)ら、個性的な部員たちがいた。契約カメラマンの河野恵介(鈴木浩介)は、ハジメと陶子の大学時代の後輩でもあった。ハジメは、編集長と部員たちの間に挟まれ、ファッション誌の編集部員たちからは
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、偶然見てしまった妻・陶子(石田ゆり子)の携帯メールから、彼女が今週の土曜日に男とホテルに泊まることを知る。しかしハジメは、陶子を問い詰める勇気もなく、どうすればいいのかわからずにいた。 そんな折、ハジメは、雑誌「現代公論」の特集会議で知ったインターネットのQ&Aサイトのことを思い出し、「今週、妻が浮気します。問い詰めるべきか、様子をみるべきか。僕はどうしたらいいのでしょうか? Xデーまで、あと3日です」と書き込んだ。すると、すぐさまサイトの利用者から「問答無用で即刻離婚」「奥さんを殴ってでも問い詰めるべきです」といった回答が寄せられる。そのひとつに、プリンという名前の女性からの回答があった。そこには「冷静になって浮気相手が誰なのかを確かめ、ふたりの関係値を探るべきではないか」と記されていた。浮気が初犯なら未然に防げば未遂に終わり、すでに浮気をしているならその交際期間の長さや関係性によっても対応が変わる、というのだ。それを見たハジメは、プリンの意見に納得しながらも、どうやって陶子と浮気相手の関係を探ればいいのか思い悩む。 するとそこに、新人編集者の馬場(和田正人)から電話が入る。馬場は、「現代公論」で新たに連載を依頼した作家の一条(あめくみちこ)にインタビュー取材をする予定だったが、取材時刻になってもカメラマンの恵介(鈴木浩介)が到着していないのだという。ハジメは、慌てて一条の家に向かった。 ハジメが一条の家に到着すると、すでに取材は終了していた。だが、恵介が遅れたせいで大幅に
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、妻の陶子(石田ゆり子)が結婚記念日を忘れて、ひとり息子の力(加藤翼)を連れて保育園のお泊り会に行ってしまったことを知る。この機会に陶子と話し合って何としてでも浮気を阻止しようと考えていたハジメは怒りが収まらず、インターネットのQ&Aサイトに、明日は浮気現場に乗り込んで相手の男を殴ってやる、と宣言する。 あくる朝、目を覚ましたハジメは、再びQ&Aサイトを訪れる。するとそこには、ハジメの決断を支持する回答者たちからの書き込みが多数寄せられていた。その中で、プリンという女性回答者だけは、「感情のままに乗り込み、相手を殴っても何も生まれません。まずは子どものことを考えて、ギリギリまで修復の道を探るべきです」とハジメを諭す。しかし、そんなプリンの意見にも「話し合う時間はもうない」「話し合っても証拠がなければ浮気を認めないのでは?」「浮気がばれたとわかれば奥様は警戒を強めて、結局、浮気相手が誰かもわからなくなってしまうかもしれない」といった反論が浴びせられていた。陶子が相手と会うまであと数時間。ハジメがどう行動すべきか迷っていると、そこに陶子と力が帰ってくる。陶子は、朝食の用意をすると、支度を整えて仕事に出かけた。その間ハジメは、何をすればいいのかわからず、部屋の中をただうろついていた。 出社したハジメは、朝まで飲んでいてそのまま会社に泊まっていた轟(沢村一樹)に声をかえられる。事情を知る轟は、ハジメたちが話し合う機会を持てなかったことを教えられると、こうなったらホテルに乗り込んで離婚届を
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、アーリントンホテルの一室で、陶子(石田ゆり子)と彼女の浮気相手・春木(藤井フミヤ)と対峙する。ハジメは、 Q&Aサイトでのアドバイスを思い出し、冷静さを保つよう自分に言い聞かせると、陶子と春木の姿を携帯電話のカメラで撮影した。証拠を押さえて事実関係をはっきりさせなければならないからだった。 春木も既婚者であることを知ったハジメは、「あなたにとっては遊びなんですよね?」と彼に尋ねた。しかし春木は、すぐには答えなかった。陶子が指輪をはずしていることに気づき、動揺するハジメ。すると春木は、お互いに家庭を崩壊させるつもりで会っているわけではないのだからそういう意味では遊びになる、とハジメに答えた。が、続けて春木は、陶子に恋をしてしまったのは事実だ、と告白した。春木の言葉を聞いて頭に血が上ったハジメは、話し合いを続けることを拒否し、離婚しようと陶子に言い放つと、部屋の壁を殴りつけて出て行ってしまう。 部屋を後にしたハジメは、ホテルまで同行してくれた轟(沢村一樹)と合流する。ハジメは、陶子に離婚を言い渡してきたことを轟に話した。離婚話を突きつけて外に出たら陶子が追いかけてくると思ったのに何も起きなかった、と力なく話すハジメ。轟は、そんなハジメを、とりあえず行きつけのバー『鴎外』に連れて行く。 『鴎外』でハジメと轟が話していると、そこに至宝(西村雅彦)がやってくる。至宝は、ハジメが撮影した陶子と春木の写真を見ながら、法的手段に訴えるなら明確な情報が必要だ、と告げる。陶子たちが、いつからど
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、陶子(石田ゆり子)の浮気相手・春木(藤井フミヤ)と1対1で話し合おうと決意する。ハジメは、今回の一件についていろいろと相談してきたQ&Aサイトに「浮気男と対決します」と書き込んで気持ちを奮い立たせると、春木が勤める会社・羽住商事へと向かった。 羽住商事に着いたハジメは、陶子が勤めているアパレルメーカー『シャレーヌ』が、羽住商事のグループ会社であることを知る。羽住商事は、アパレル関係だけでなく、宇宙開発、金属、化学、食品など、幅広い事業を手がける大企業だった。 ハジメは、春木の所属する繊維事業部の応接室に案内される。が、なんとそこには玉子(ともさかりえ)と馬場(和田正人)の姿があった。玉子たちは、『現代公論』の特集「スケールの大きな男」第2弾のために春木に取材を申し込んでおり、その打ち合わせで羽住商事にきていたのだ。ハジメも、特集の会議のときにその候補者リストを渡されていたが、そこにあった春木の名前を見落としていたらしい。 ほどなく会議室にやってきた春木は、ハジメの姿を見て驚く。が、ハジメも春木も、その場では初対面を装って挨拶を交わした。ハジメは、玉子や馬場の会話から、春木がファッション業界で注目されているプロデューサーであることを知り、驚きを隠せなかった。 編集部に戻ったハジメは、雑誌のイメージに合わない、などと難癖をつけて、春木ではなく他の候補者を取材するよう主張する。しかし、編集長の小町(江波杏子)は、羽住商事が現代公論社の株主でもあることから、春木を大きく取り扱うようハ
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、妻・陶子(石田ゆり子)の浮気相手、春木(藤井フミヤ)を殴りつけた上、彼の妻に浮気のことをバラしてしまう。それを知った陶子は、傷つけなくてもいい人を傷つけた、と怒り、ハジメに別居を申し出る。 しばらくして、ハジメの母・房子(大森暁美)が力(加藤翼)を連れて堂々家に駆けつける。房子は、ハジメと別居することにした、と陶子から打ち明けられ、慌ててやってきたのだ。浮気をしたのはハジメの方だと思い込んでいる房子は、一時的に陶子と力を引き取って面倒を見ていた。房子は、ハジメと陶子を座らせると、別居は絶対に許さない、と説教し、もう一度話し合いをさせようとする。 陶子が房子に事情を説明しようとすると、そこにカメラマン・恵介(鈴木浩介)がやってくる。仕事で知り合ったモデルと結婚することにした恵介は、ハジメたちに仲人を頼みにきたのだ。ハジメと陶子の大学時代の後輩でもある恵介は、ハジメたちのような夫婦にずっと憧れてきたのだという。それを聞いた房子は、ふたりが自分たちを見つめなおすいい機会だ、と勝手に仲人を受けてしまう。 あくる日、結婚の報告を受けた玉子(ともさかりえ)や轟(沢村一樹)ら『現代公論』編集部の面々も、恵介を祝福する。が、ハジメが仲人を引き受けたと知った轟は、驚きを隠せなかった。披露宴の話などで盛り上がる部員たちに困惑したハジメは、自分はまだ仲人の器じゃない、などとつぶやく。すると編集長の小町(江波杏子)は、男は部下の仲人をやって初めて一人前、と言ってハジメに仲人をやるよう命じる。
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、もう一度、妻の陶子(石田ゆり子)と話し合おうと決意する。陶子が何故浮気をしたのか、そしてハジメ自身に落ち度は無かったのかをキチンと確かめたかったからだった。 ハジメが帰宅すると、陶子はテーブルの上に離婚届と結婚指輪を置いて待っていた。ハジメの母・房子(大森暁美)にすべてを打ち明けた陶子は、すでにハジメと離婚する決心をしていた。房子は自分の行為を許してくれたが、だからこそ自分が許せない、とハジメに告げる陶子。話し合うつもりでいたハジメは、戸惑いを隠せなかった。 ハジメは、息子の力(加藤翼)は自分が育てる、という陶子の言葉に逆上し、浮気をした陶子にそれを言う資格があるのか、と怒りをぶつける。すると陶子は、ハジメは浮気をしたことがないのか、と逆にハジメに問いかけた。ハジメは、それを否定したが、実はひどく動揺していた。ハジメは、それを陶子に悟られまいとして、お互い冷静になって明日もう一度話し合おう、と彼女に告げる。 そんな折、ベストセラー作家の水澤舞(山口紗弥加)が『現代公論』で連載小説を書き下ろすことが決定する。水澤は、マスコミに顔を出さないセレブ作家としても知られるが、今回の連載にあたって写真撮影ありのインタビュー取材も受けてくれることになったのだという。編集長の小町(江波杏子)は、ハジメにその担当を命じた。水澤自身がハジメを指名したのだ。実は水澤は、6年ほど前に見習いのライターとして『現代公論』に出入りしていたことがあった。当時は本名の田之上塔子という名前で活動していたため
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)との別居を決意した陶子(石田ゆり子)は、ひとり息子の力(加藤翼)を連れて家を出る。そのときのハジメと陶子のやりとりを偶然目撃した近所の主婦たちは、興味津々で見つめていた。 ハジメから別居の報告を受けた轟(沢村一樹)は、いますぐにでも力を取り返しに行くべきだ、と助言した。すると、横でふたりの会話を聞いていた至宝(西村雅彦)が、母親の暴力や育児放棄といった正当な理由がない限り親権は母親に行く可能性が高い、とハジメに告げる。すっかり落ち込んでしまったハジメに、轟は、『現代公論』の特集で妻たちの実態を暴いてリベンジしよう、などと言うと、さっそく部員たちに特集の準備をするよう指示する。馬場(和田正人)や蟻田(宅間孝行)は、ハジメが相談を持ちかけていたQ&Aサイトを紹介して、妻に浮気された相談者の男にもインタビューしよう、などと大張り切りだ。 その夜、ハジメの家に、酒や食材を抱えた轟がやってくる。ハジメを元気付けようと思って訪ねてきたのだ。ほどなく至宝も現われ、酒宴を始めたハジメたちは、その勢いで繁華街に繰り出す。するとそこに、ホストたちに囲まれて繁華街を練り歩いている至宝の妻・君子(広田レオナ)の姿があった。至宝に傷つけられたことへの仕返しで男遊びをしている、と平然と言ってのける君子。ショックを受けた至宝は、ハジメが相談しているQ&Aサイトに「妻に浮気返しされました。どうしたらいいでしょう?」と書き込む。 同じころ、陶子は、力を連れて実家に身を寄せる。が、別居の理由が陶子の浮気だと知った父
妻の陶子(石田ゆり子)と正式に別居することになったハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、ひとり息子の力(加藤翼)とふたりだけの生活を始める。ハジメは、陶子が旅行に行ったと力に説明し、炊事や洗濯はもちろん、保育園の送り迎えなどを懸命にこなす。 ある朝、保育園が振替休日であることを知らなかったハジメは、仕方なく力を編集部に連れて行く。それを見た編集長の小町(江波杏子)は、事情を察し、ハジメを励ます。実は小町は、妻に浮気されたQ&Aサイトの相談者がハジメであることも見抜いていた。 心配した轟(沢村一樹)は、いつまでも陶子のことを力に言わないわけにはいかないのではないか、とハジメに尋ねた。ハジメは、そんな轟に、陶子のことを許すつもりだったがQ&Aサイトに書かれたある質問が頭から離れない、と告げる。それは、「あなたは、妻の他の男に抱かれたことを忘れることができるのですか?」という質問だった。 そんな中、ハジメは、大学時代の後輩でもあるカメラマン・恵介(鈴木浩介)から、ハジメと陶子の仲人も務めた大学時代の恩師が亡くなったことを教えられる。ハジメは、陶子に連絡を取ると、力の世話を轟に任せて、通夜と告別式の手伝いをするために恩師が住んでいた八ヶ岳へと向かった。 ハジメと陶子は、天文部時代の仲間であるノッチ(石井正則)たちと再会する。ハジメと陶子が別居していることなど知らないノッチたちは、ふたりとの再会を喜び、昔のようにハジメのことをからかったりしていた。 同じころ、轟は、力を連れてハジメの家に戻る。するとそこに、玉子(ともさか
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)と陶子(石田ゆり子)は、もう一度やり直すことを決意して抱き合った。だが、そのときハジメの脳裏に浮かんだのは、陶子の浮気相手・春木(藤井フミヤ)の姿だった。ハジメは、自分の情けなさに苛立ち、ソファーに座り込んでうなだれる。陶子は、そんなハジメにコーヒーを入れると、「あなたは、妻が他の男性に抱かれたことを忘れられるのですか?」という質問をQ&Aサイトに書き込んだのは自分だ、と告白する。ハジメは、その言葉に驚きながらも、いますぐはダメでも時間が経てば忘れられる、と、まるで自分に言い聞かせるように答えた。すると陶子は、どんなに努力しても以前のような家族には戻れない、とハジメに告げる。陶子は、自分のことを許そうと無理をして苦しむハジメの姿を見たくなかったのだ。 ハジメと陶子は、明け方近くまで何度も話し合った。ひとり息子の力(加藤翼)のことをまず先に考えよう、というハジメ。しかし陶子は、このままの状態が続くのは力のためにならないのではないか、と答えた。ハジメは、何度もそんなやり取りをしながら、陶子が許してくれたのに自分が陶子を許せないはずはない、と苦悩する。 やがて夜が明けた。憔悴しきって黙り込んでいたハジメは、ふいに「俺、ダメだ」とつぶやく。何年経っても陶子が浮気したことを忘れることができない、というのだ。ハジメは、涙を流しながら「好きだから別れて下さい」と陶子に告げた。陶子も、ハジメと同じ思いだった。 出社前、ハジメは、区役所に離婚届を提出しに行く。だが、証人2名の署名捺印がなかったた
ハジメ(ユースケ・サンタマリア)は、妻の陶子(石田ゆり子)と正式に離婚した。陶子は、ひとり息子の力(加藤翼)を連れて実家に身を寄せる。 ハジメは、仕事に打ち込むことで離婚のショックから立ち直ろうと決意する。ところがその矢先、思わぬ事態が起きた。現代公論社が、大手出版社の講学館に吸収合併されることになったというのだ。しかも、それに伴って『現代公論』は休刊になることが決定しているのだという。編集長の小町(江波杏子)は、広告主や作家への説明、契約等の処理を法務部の至宝(西村雅彦)と連携しながら進めるよう玉子(ともさかりえ)や轟(沢村一樹)らに指示すると、正式な休刊決定が出るまではいつも通り仕事を続けるよう命じた。しかしハジメは、『現代公論』の休刊は受け入れられない、と言い出し、講学館社長・斐川(佐戸井けん太)の元に掛け合いにいってしまう。 ハジメが講学館に着くと、ちょうど斐川は外出するところだった。ハジメは、無礼を承知で斐川に走り寄ると、必ず部数を伸ばしてみせるからチャンスがほしい、と土下座して頼み込む。しかし斐川は、どの雑誌を続けるかは経営判断だ、と言ってハジメの申し出を取り合わなかった。 あくる日、編集部にカメラマンの恵介(鈴木浩介)がやってくる。恵介は、恋人の亜里沙(MEGUMI)が元AV嬢だったことから両親に結婚を反対されていたが、ようやく説得することができたのだという。恵介たちから仲人を頼まれていたハジメは、陶子と離婚したことを恵介に告げる。ハジメ夫妻の後輩でもある恵介は大きなショックを受けながらも、結婚式には是