ハジメ(ユースケ・サンタマリア)と陶子(石田ゆり子)は、もう一度やり直すことを決意して抱き合った。だが、そのときハジメの脳裏に浮かんだのは、陶子の浮気相手・春木(藤井フミヤ)の姿だった。ハジメは、自分の情けなさに苛立ち、ソファーに座り込んでうなだれる。陶子は、そんなハジメにコーヒーを入れると、「あなたは、妻が他の男性に抱かれたことを忘れられるのですか?」という質問をQ&Aサイトに書き込んだのは自分だ、と告白する。ハジメは、その言葉に驚きながらも、いますぐはダメでも時間が経てば忘れられる、と、まるで自分に言い聞かせるように答えた。すると陶子は、どんなに努力しても以前のような家族には戻れない、とハジメに告げる。陶子は、自分のことを許そうと無理をして苦しむハジメの姿を見たくなかったのだ。 ハジメと陶子は、明け方近くまで何度も話し合った。ひとり息子の力(加藤翼)のことをまず先に考えよう、というハジメ。しかし陶子は、このままの状態が続くのは力のためにならないのではないか、と答えた。ハジメは、何度もそんなやり取りをしながら、陶子が許してくれたのに自分が陶子を許せないはずはない、と苦悩する。 やがて夜が明けた。憔悴しきって黙り込んでいたハジメは、ふいに「俺、ダメだ」とつぶやく。何年経っても陶子が浮気したことを忘れることができない、というのだ。ハジメは、涙を流しながら「好きだから別れて下さい」と陶子に告げた。陶子も、ハジメと同じ思いだった。 出社前、ハジメは、区役所に離婚届を提出しに行く。だが、証人2名の署名捺印がなかったた