生命の不滅を語り継ぐ「火の鳥」の劇場用オリジナルストーリーです。未来の宇宙空間を舞台に、人間の業を背負ったゴドーが数々の試練を経て神(ゴッド)へと昇華されて行く様子が語られます。フルアニメーションに挑戦ということで人物の輪郭線が微妙に揺れているのはご愛嬌。何事も挑戦あってこそ次の道が開けるのですから--。女性型のロボットが人間に恋をして、願いを火の鳥に叶えてもらう、というおとぎ話も含め、全編に手塚治虫ならではの変身願望(あるいは変形願望)があふれています。
シリーズ中、人気の高さでは一、ニを争う名作のアニメ化ですが、キャラクターデザインはオリジナルのマンガとはずいぶん変わっているので、このアニメ化作品はそれだけで賛否両論となりました。しかし、りんたろう氏の手によるクォリティの高い演出は作品に安定感を与えています。 物語は彫り物の天才、茜丸と、彫り物をすることでしか自分の命のありかを見出せない盗賊上がりの我王が、その腕と才能を競い合わなければならなくなる運命に翻弄される、というもの。
ヤマトタケルの神話を元に、手塚治虫の生命論が展開されて行く原作を、流麗なタッチでアニメ化した、角川春樹事務所版『火の鳥』シリーズの第二段です。 今回もキャラクターデザインをマンガよりも大人っぽい姿に変更していて、原作の絵を愛するファンからは悲しいため息をつかれました。
角川春樹事務所版『火の鳥』シリーズの第三弾です。母船を失い、宇宙を漂流する運命におかれた宇宙飛行士たちの運命を通して、愛の残酷さを描いた原作をアニメ化しています。愛する女性が異形の植物へとメタモルフォーゼしていく、という手塚治虫独特のひねったロマンチシズムを見事に映像化しています。
火の鳥を求めて、ヤマタイ国の兵が再び火の山に押し寄せる。そこには、弓の名手・弓彦の姿もあった。猿田彦と対峙する弓彦。しかし、勝負はつかない。猿田彦は弓彦に、火の鳥を仕留めたときにはナギに譲るように頼む。火の山が火を噴くなか、弓彦は火の鳥を仕留めるが、ヒミコは生き血を飲む間もなく命を落とす。ナギと猿田は騎馬の民に捕らえられ、グズリとヒナクは火の山の深い縦穴の中に閉じこめられてしまう。
ウズメという女の協力によって、ヤマタイ国を滅ぼそうとする騎馬の民から逃げ出すナギと猿田彦。ヤマタイ国に戻った彼らは弓彦と協力し騎馬の民と立ち向かうが、劣勢。捕まえた火の鳥のありかを聞いたナギは、猿田彦やヤマタイ国の人々を救うために火の鳥の血を使おうとするが、火のついた宮殿の崩壊に巻き込まれてしまう。 そしてヤマタイ国は滅ぶ。深い縦穴の中に閉じこめられていたグズリとヒナクの子・タケルは、子孫を残すために縦穴からの脱出を試みる。
25世紀、月面の研究施設の爆発に巻き込まれたレオナは人工頭脳の埋め込み手術によって蘇生する。しかし手術の影響か、爆発以前の記憶をなくし、さらには人間がガラクタに見えるようになってしまう。レオナは、人間の姿をした一人の女性・チヒロと出会い一目惚れする。しかし、チヒロはロボットだった。レオナの旧友・ランプは、なんとかレオナの記憶をよみがえらせ、彼だけが知っている「永遠の命」の情報のありかを手に入れようとするが、レオナはチヒロと 手を取り合って医療施設を抜け出してしまう…
無意識のうちに研究施設の爆発跡地にたどり着くレオナとチヒロ。ランプは執拗にレオナを追い続ける。レオナは研究施設で次第に過去を取り戻していく。それは、失意のうちに死んだ父の記憶と、父への反発、そして、猿田博士の下で行っていた「火の鳥」 の羽の生命力の研究だった。過去の恋人・レイコの残した言葉の真実は?レオナをかばって機能を停止するチヒロ。死ぬことのできない体になったレオナのとった選択とは!?
男として育てられた左近介は、非道の父を助けようとする八百比丘尼を斬りにでかける。寺で八百比丘尼を斬った後、屋敷に帰れなくなった左近介は、八百比丘尼が未来の自分自身であることを知る。 左近介は時間の輪の中に閉じこめられてしまったのだ。いずれ来る、自分自身に斬られる未来を見据えながら、左近介は寺を訪れる人・動物・妖怪の命を分け隔てなく救う生活を始める。
敗戦の将、ハリマは顔に狼の毛皮をかぶせられ、取る事ができなくなってしまう。助けてくれたオババ、傷を負った敗戦の将・猿田とともに倭の国に渡るハリマ。彼らは、そこで土地神である狗族の娘・マリモを助ける。猿田の旧知の村で休んでいたハリマたちは突如刺客に襲われる。 ハリマは、土地神を放逐し仏教を国家宗教として己の権力を高めようとする奸臣たちの思惑に、 知らず知らずのうちに巻き込まれていたのだ。
歳月は流れ、ハリマは犬上の里の郷長となり犬上と名も変えていた。里は栄え、平和な生活が続くかに思われてたが、土地神を廃し仏教を広めようという朝廷の圧力は急激に強くなってきた。そしてついに、土地神を祀った磐座が国司の部下たちによって引き倒されそうになる事件が起こる。ついに犬上は朝廷と対立してしまう。里を救うため犬上は、土地神を擁護しているという噂の天智大王の弟・大海人皇子をたよって大津京に行こうとするが、再び刺客に襲われる。
天智大王の崩御により、政局は大きく動き出した。マリモに助けられ傷も癒えた犬上は、度重なる里への雑徭供出の命にいらだち、再度京へ向かう。国宰に手をあげた罪を問われとらえられ、牢に入れられた犬上は天智大王の子・大友皇子と面会するが、事態の進展はなかった。折しも、大海人皇子の部下として挙兵の準備を進める猿田と牢で再会、大海人皇子の子・高市皇子と3人で大津京を脱する。
大友皇子らの軍勢と大海人皇子、猿田、犬上らの軍勢の戦いが始まる。大友皇子軍は仏法を用い超常的な力で犬上らを攻撃してくるが、マリモら狗族をはじめとする土地神たちが犬上側に加勢。しかし、「宗教が悪いのではなく、宗教を用いる人間が悪いのだ」と火の鳥は加勢を拒む。なんとか犬上は仏法を用いる僧を倒し、大海人皇子の軍は勝利する。しかし、権力を手にした大海人皇子は、国家統一のために仏教を擁護する立場に変わっていくのだった。
人の脳に直接、快感を与える宇宙生物・ムーピー。所有を禁じられたムーピーを愛してしまったマサトは、ムーピーのタマミと地下都市ヤマトから脱出、地上で隠遁生活を送る人工生命の権威、猿田博士のもとにたどり着く。マサトを追ってきたロックが研究室にたどり着くとともに、世界各地の地下都市間の全面戦争が起こり、人類は3人を残し滅亡してしまう。火の鳥により死ねない体になっていたマサトと、もともと生命力の強いムーピーのタマミを残し、猿田博士とロックも死んでしまう。
やがてタマミも寿命を迎え、マサトはとうとう世界でただ一人になってしまう。死ぬ事もできず、 猿田博士の残した人工生命の研究を続け、何とか生命を作り出そうとするもうまくいかない。5000年のコールドスリープについていた女性に会うこともできない。 圧倒的な孤独にさいなまれるマサト…。長い年月が過ぎ、マサトの体をきっかけに新しい生命が生まれる。そしてマサトはタマミとの再会を果たすのだった。