「おまえがすべて、壊した」 グリフィスのことも鷹の団のことも今を何も知らないガッツに、キャスカの声が震える。グリフィスにはガッツがいなければダメなのだ。と泣き言を吐き出しながらその裏腹でキャスカはガッツと身も心も結ばれてゆく。 グリフィス幽閉の地はウインダム城最古の建造物“再生の塔”。王女シャルロットの協力によって、ガッツ、キャスカたちはその最下層の牢獄にグリフィスを見出す。だが、そこにあったのは、拷問の末に両手両足の腱を切られ、舌を抜かれた痛々しい彼の肢体だった。見る影もないその姿に、団長の帰還を待ちわびていた鷹の団に動揺が走る。そして、グリフィスも自分がガッツとキャスカに同情された瞬間を目の当たりにして堪らず身体を引きずる。グリフィスの絶望に、覇王の卵ベヘリットが反応したのはそのときだった。失われたはずのそれが、グリフィスの手中に戻り。 幕を開けるのは、216年に一度の宴の刻。太陽が消え、闇に覆われんとする地に異形が溢れ出す。ベヘリットの叫びが波動となり現れた禍々しき異空間に、守護天使ゴッド・ハンドが降臨。異変に惑う鷹の団を尻目に、「我らが眷族」とゴッド・ハンドが示すグリフィスのための降魔の儀が進められていく。天空の城を目指し、頂に屍を積み続け、何もかも失い、ただ朽ちようとしているグリフィスが最後に見出すのは、どのような道か。 「捧げる」 彼の心の声が響き、天に届く。壮麗なまでに凶暴な悪魔が爆ぜ、おびただしい数の使徒が鷹の団の者たちを喰らう。それは、5人目の守護天使の誕生とあらゆる闇が光を凌駕する時代のはじま