茫洋と広がる大宇宙。数ある銀河のひとつ、クレセント大銀河のイラスタント太陽系第五惑星“アースト”。その辺境、3000年の歴史を誇る“ボーダー王国”に世継となる赤ん坊が誕生した。しかし、王子ジョルディ誕生に沸く王国に魔の手が迫る。征服王マーダルに率いられた人馬兵(じんばへい)“プロマキス”によってボーダー王は命を落とし、王妃フェリアもまたマーダル軍兵に捕えられる。生まれたばかりのジョルディを抱え、逃げるボーダー王の遺臣アズベスの前に人馬兵が迫ったその時、絶体絶命のアズベスと王子を救ったのは謎の光る飛行物体だった。 国を追われて12年間、アズベスはジョルディ王子を孫として育てながら、マーダル打倒のため、世の闇を打ち払うと古より伝えられる鉄巨人“ガリアン”を求め各地を遍歴していた。逞しい少年に成長したジョルディは、旅の途中、マーダル兵に追われていた少女チュルルを助け、共にマーダルに対抗する勢力の本拠地“白い谷”に辿り着くのだった。
白い谷の砦に着いたアズベスとジョルディを迎えたのは、住人達の歓喜の声と、チュルルの父であり、谷の長でもあるダルタスだった。谷で発掘される古代の武器群の中に、伝説の鉄巨人ガリアンの存在を見つけることができなかったジョルディは、チュルルと共にガリアンが眠ると言われる山に向かう。見慣れぬ刻印を見つけ、洞窟の奥へと進む二人は、遂にガリアンの眠る場所を発見するが、そこは大蛇“グラップ”のねぐらだった。必死にグラップと戦うも力尽きたジョルディを助けるアズベス。一息ついた一同の頭上に現れた光に意識を失う3人だったが、ジョルディは何者かに操られるかのようにガリアンに乗り込む。 襲い掛かるマーダル配下ザバ将軍の人馬兵部隊に劣勢を強いられる白い谷の軍の前に現れた鉄巨人ガリアン。立ち塞がる人馬兵を一刀両断、その伝説の力をザバ将軍に見せつけるのだった。
伝説の鉄巨人ガリアンの前に次々と倒される人馬兵部隊を指揮するザバ将軍は、移動要塞“攻城塔”を白い谷に突撃させ白兵戦に出る。不利な戦いを強いられる白い谷の軍は、敵の動力部を破壊するため、ダルタス自ら攻城塔内部に潜り込む。ガリアンの援護も得て決死の作戦は成功、マーダル軍は一時撤退する。 戦いを終え、ガリアンから降りるジョルディは歓喜をもって迎えられるが、自分の経験した出来事に不可解な念を払いきることができない。そんなジョルディに赤毛の美女ヒルムカは、旅をして強い男になれと諭す。 再び谷に襲い掛かるマーダル軍を迎え撃つジョルディは、ザバ将軍の飛甲兵“ウィンガル”に苦戦を強いられ、白い谷軍もまた、人馬兵の前に成す術をなくしていた。そこに現れた謎の光る飛行物体。たじろぐマーダル軍の隙を見逃さず、ジョルディはザバ将軍のウィンガルを撃破、人馬兵も破壊するが、戦いの最中、ヒルムカの手によりチュルルが空飛ぶ光の船で連れ去られるのを目撃する。ガリアンを飛行型へと変形させ、ヒルムカを追うジョルディ。しかし、そこでマーダル親衛隊長、ハイ・シャルタットが操る銀色のウィンガルと遭遇する。
マーダル兵の包囲網を突破したかのようにみえたジョルディ達の前に立ち塞がるハイ・シャルタット(以下、ハイと省略表記)は、剣を交えたジョルディをガリアンの操縦者だと確信、マーダルの下に連れ去ろうとするが、ウィンドウがこれを阻止、一同は再び脱出を計る。 慣れない無重力下での追撃に業を煮やしたハイはプロッツの反対を押し切り、無重力を作る機械を止めてしまうが、結果、谷の施設は崩壊、マーダル軍に混乱が生じ、ジョルディ達もまた、迫り来る岩の前に成す術を失う。が、事態の収拾を計るプロッツが制御装置を起動させたおかげで危機を回避するジョルディ達。しかし、そこにハイの駆る銀色のウィンガルが迫る。激しい追撃を交わし、ガリアンに乗り込んだジョルディはウィンガルを撃退。だが、この事件によって、一同は無重力の世界の正体を知るらしいヒルムカの素姓に疑念を抱くのだった。
再度戦いを挑んできたハイと互角の戦いを繰り広げるジョルディ。度重なるハイの命令無視に業を煮やしたローダンは、自ら発掘現場に赴きガリアン砲撃の指揮を執る。容赦ない砲撃に満身創痍のガリアンは、ヒルムカの空飛ぶ光の船と共に脱出。だが、一行を待ち構えていた飛甲兵ウィンガル小隊は空戦能力を持たないガリアンを翻弄、マーダル軍随一の騎士、ランベルが待つ荒野へと追い込む。ランベルの乗る機甲兵“ザウエル”に苦戦するガリアンを“異文明不干渉”の原則から助けるべきか否か躊躇するヒルムカだったが、ついには加勢を決意。間一髪のところでジョルディは逃げ切ることが出来た。しかし、ヒルムカの行動はマーダルによって、文明の発達した惑星を支配する高度文明連合の知ることとなり、彼女に査問委員会への出頭が命ぜられる。再びアーストに戻ると言い残し、空飛ぶ光る船で去るヒルムカ。ジョルディ達は白い谷へと帰還するのだった。
チュルルを伴い、無事に帰還したジョルディを歓喜の声で迎える白い谷の戦士達。誰もがジョルディを英雄として認めたこの時、ダルタスにより、ジョルディ自身も知らなかった出生の秘密、ジョルディが亡きボーダー王の世継である事実が谷の住民に告げられる。しかし、喜びに沸く谷をローダン率いる討伐軍が襲撃、傷ついたガリアンで出撃したジョルディは、ランベルのザウエルに苦戦を強いられる。ザウエルの攻撃がガリアンを捉えようとしたその時、ヒルムカの空飛ぶ光の船がジョルディを救うが、査問委員会の追撃部隊がヒルムカの船を撃破、間一髪のところでヒルムカは脱出する。 一方、ローダンへの度重なる命令違反により監禁されていたハイは、部下の親衛隊員に救出され、マーダルにローダンの危険性を直訴するが、そこでマーダル自身の野望を聞くこととなる。 白い谷でヒルムカの手により強化されるガリアン。ジョルディ達の見守る中、最強の機甲兵が誕生しようとしていた。
亡きボーダー王の遺児ジョルディの存在を知り、次々と各地から白い谷へと集まる反マーダルの軍勢。なんとか人々の期待に応えようとするジョルディだが、母の生死が気になるために戦いの準備に集中できない。 一方、マーダル軍に対抗するため、装備の充実を計ろうと兵器の発掘を急ぐヒルムカの前に高度文明連合から派遣されたウーズベンが現れる。彼は連合の命令でヒルムカを強制的に連れ帰ろうとするが、彼女の決意の前に命令を遂行できずに姿を消す。 白い谷の捕虜となったランベルから、フェリアがマーダルの手によって彫像とされたことを知ったジョルディは、ヒルムカの制止を振り切りマーダルの居城“鉄の城”へとガリアンを駆るのだった。
マーダルは己の野望の前に立ちはだかる白い谷の軍を排除するため、自ら出陣することを決意。討伐軍の中にマーダル本人の旗印を見たジョルディは、谷での迎撃準備の時間を稼ぐため、機甲兵部隊を率いガリアンで出撃する。 野営するマーダル軍に夜襲をかけるジョルディ。が、奇襲作戦はマーダルによりその真意を見抜かれ、逆にハイ率いる親衛隊のウィンガルが谷に迫る。 主力である機甲兵部隊不在の隙を突かれ、ウィンガル部隊相手に苦戦を強いられるダルタス達。が、その時ランベルの乗るザウエルが現れ、谷の軍に加わる。ランベルの支援の下、反撃に転じる谷の軍は親衛隊を撃退。共に戦うことになったかつてのマーダル軍随一の騎士は、谷の住人から歓声を浴びるのだった。
ジョルディ達の決死の奇襲作戦にも関わらず、一向に衰えを知らぬマーダル軍の進撃。当初成功していた奇襲作戦も、警戒したマーダル軍の前に思うような戦果を上げられずにいた。 討伐軍の進路に、惑星アーストに漂着した際マーダルの使用した船があることを知ったアズベスは、マーダルの行動を読み、船のある谷間へと単身乗り込む。 一人、夢の実現を見ることなく死んでいった同朋に誓いを立てるマーダルに、潜んでいたアズベスが斬りかかる。猛撃を間一髪交わし、逃走するマーダルに追いすがるアズベス。が、力及ばず逆にハイの指揮する機甲兵部隊を前にして危機に陥る。そこにジョルディの駆るガリアンが強襲、アズベスを援護する。これによりアズベスはからくもマーダル軍の追撃から逃れるのだった。
発掘場に到着したマーダルは重力制御装置の力で地下深く埋まる巨大な機械を引き上げ、ついに星々に渡る術を手にする。 一方、制御装置から飛び出したジョルディは、反旗を翻したアーストの民が包囲する“鉄の城”にガリアンで突入、母の彫像が安置される間へと辿り着く。しかし、そこで待ち受けていたのは、ハイを従えたマーダルだった。マーダルは、高度文明連合の決定した価値感により、闘争本能を排除され、魂を抜かれたような人々が存在するクレセント銀河の実情をジョルディに語った。人間のあるべき姿を捻じ曲げる元凶とも言うべき、高度文明連合と戦おうと誘うマーダルやハイ。しかし、その言葉に耳を傾けないジョルディは捕われの身となるのだった。
マーダルを人質に取り、“鉄の塔”内部に入ったジョルディはそこで母フェリアの再生を試みる。マーダルの指示により装置を操作するジョルディ。眼前で覚醒したフェリアは、目の前の少年に己が赤ん坊の面影を見る。十二年の月日を経てついに果たされた母と子の対面。だが、抱き合う2人の前にハイのウィンガルがマーダルを救出せんと出現。形勢は逆転し、窮地に立たされるジョルディだったが、ヒルムカとウィンドウの助けで“鉄の塔”を脱出。しかし、フェリアは再びマーダルによって連れ去られてしまう。 マーダルは星々を渡る“超空間転移基”を発動、事態の急変を察知した高度文明連合の光る船をも消滅させ、ついにマーダルの野望への第一歩が、今、踏み出される。 その頃、ジョルディ達はマーダルとの決着をつけるため、“鉄の塔”に向け進軍を開始していた。
“鉄の塔”に進撃する白い谷の軍勢は、発動された超空間転移基の波動に飲み込まれ、一瞬にして惑星アーストからマーダルの生まれ故郷、惑星ランプレートへと転移する。 予期せぬ事態に混乱する一同だったが、“鉄の塔”を奪わない限りアーストに帰れないことをヒルムカに告げられ、再び進撃を開始する。が、そこに現れる高度文明連合の光る船。マーダルにより次々と消されていく光る船の姿に、マーダルの力の強大さを目の当たりにする一同。 自らの帰還と共にランプレートを支配下におくと宣言したマーダルは、住民が忘れていた闘争本能を目覚めさせるために血の洗礼を開始する。反抗することなく次々と倒れていく住民に苛立ちを覚えるジョルディ達一同は、虐殺を続ける機甲兵部隊に戦いを挑む。 一方、高度文明連合は、マーダルによって感情を取り戻した人々の影響が他惑星にも波及することを恐れ、“イレイザー”の発動を決定するのだった。
自らの故郷、惑星ランプレートを混乱に陥れるマーダル。だが、混迷の時を迎えるランプレートに、惑星を無に帰すほどの力を持つ重力破動兵器、“イレイザー”が迫る。一方、ランプレートでは、マーダルの虐殺を契機に、人々が長い間忘れていた牙を剥き出し始める。己の思惑通りに事が運ぶさまを見守るマーダルに、フェリアは自分の身を捧げることと引き換えにこの凶行を終わらせるように迫るが、憎しみしか必要としないと吐き捨てるマーダル。 殺戮の中、チュルルを助けに入ったジョルディの前に現れたハイは、停戦を申し入れ、共に高度文明連合と戦おうと最後の誘いを掛ける。それでも応じないジョルディに危険が迫った時、スラーゼンとランベル達が現れるが、数で勝る機甲兵部隊に苦戦を強いられる。ランベル達の手で開かれた突破口から“鉄の塔”へと向うジョルディ達に明日はあるのか。
“鉄の塔”へと向うガリアンを迎え撃つマーダルの機甲兵部隊。一時間半後に迫った“イレイザー”の到達を前に、ヒルムカを救い出そうとするウーズベン。ジョルディ達を助けたいと願うヒルムカの意思を汲んだウーズベンは、迫り来る恐怖の実体をマーダルに告げ、超空間転移基を使いアーストに戻るしか助かる術はないと助言する。 “鉄の塔”の前で繰り広げられるハイとジョルディ達の攻防戦の最中、現れたマーダルは部下達に剣を引くように命令。雌雄を決する覚悟だったジョルディに、クレセント銀河の未来を託すと言い残しランプレートの民の下に帰るマーダル。彼に生涯の忠誠を誓うハイはその後を追って行った。 発動する“イレイザー”の前に崩壊する惑星ランプレート。間一髪で始動した超空間転移基がアーストの地へジョルディ達を誘った。 ……数年後、ジョルディはアーストの王となった。そしてその横に寄り添うのは、妃チュルルの姿だった。