地球連邦政府転覆の可能性を秘めた『ラプラスの箱』の在処が遂に明かされた。その場所は、事件の始まりの地、インダストリアル7の〈メガラニカ〉であった。 ビスト財団当主代行のマーサ・ビスト・カーバインは、財団権益を保持すべく、地球連邦政府中枢を担う移民問題評議会議長ローナン・マーセナスと、甥のアルベルト・ビストを伴ってシャイアン基地に直行し、事態の始末を図ろうとする。一方、『箱』を奪取せんと先行したフル・フロンタルを追い、インダストリアル7に急ぐバナージだが、眼前に《バンシィ・ノルン》を駆るリディと、アンジェロの《ローゼン・ズール》が立ち塞がる。『箱』の守人、サイアムが待つ〈メガラニカ〉に到達する者は果たして―。
西暦から宇宙世紀への改暦セレモニーが行われた日。地球連邦政府首相官邸のある宇宙ステーション、ラプラスが爆破テロで破壊された。テロに加わった青年サイアム・ビストは爆発に巻き込まれるが辛くも生き延び、後に『ラプラスの箱』と呼ばれることになる禁忌の箱を手に入れる。それから、100年近くが経った宇宙世紀0096年――。暗礁宙域に建造中の工業スペースコロニー、インダストリアル7に、『袖付き』と呼ばれる反政府組織の偽装貨物船ガランシェールが入港する。ガランシェールの目的はビスト財団が隠し持つ『ラプラスの箱』の受け取り。母の死を契機に見知らぬ父に引き取られ、アナハイム・エレクトロニクス工業専門学校に通う少年バナージ・リンクスは、そのガランシェールに密航してインダストリアル7に潜入した少女と出会う。アクシデントで無重力空間に投げ出された少女を救ったバナージに、彼女は「戦争」を止めるため会いたい人がいるという。
ガランシェールから連れ戻しに来たマリーダを振り切って、オードリーが会いたいというビスト財団当主カーディアスがいるメガラニカの屋敷に辿り着いたバナージは、そこで一枚のタペストリー「貴婦人とユニコーン」を見つける。不思議なデジャブを感じるバナージ。そこへ現れたカーディアスはバナージを追い返すと、戦争の火種となる『ラプラスの箱』の受け渡し中止を求めるオードリーの願いを断るのだった。同じ頃、『箱』の流出阻止の密命を帯びた地球連邦軍の特殊部隊エコーズを乗せた強襲揚陸艦ネェル・アーガマがインダストリアル7に近づく。一方、『シャアの反乱』後を生き延びたネオ・ジオン残党軍『袖付き』のジンネマンたちが『箱』の受け渡し交渉に現れるが、カーディアスが用意したのは『箱』の鍵のみ。オードリーを保護しているという言葉も疑うジンネマン。そこへ連邦軍モビルスーツ部隊が『袖付き』と交戦に入ったという情報がもたらされる。
コロニー内で繰り広げられたモビルスーツ戦は、カーディアスとジンネマンの交渉を決裂させ、バナージのクラスメートたちの命を奪った。残してきたオードリーを助けにメガラニカへと走るバナージだが、迷い込んだ工業ブロックで白い一角のモビルスーツを見つける。メガラニカに潜入したアルベルトに撃たれ、瀕死の重傷を負ったカーディアスは、実はバナージの生き別れた父だった。『ラプラスの箱』が呪縛するビスト一族の運命を覆す希望を託して、バナージに『箱』の鍵、ユニコーンガンダムを託したカーディアスは炎の中に消える。封印していた幼い日の記憶が蘇り、ユニコーンガンダムを起動させたバナージは、『袖付き』のモビルスーツ、クシャトリヤと対決。コロニーの外へ押し出すが、反撃され、絶体絶命の危機に陥る。その時、NT-Dが発動し、ユニコーンガンダムが変身を遂げるのだった。オードリーは、その姿を見て呟く。「ガンダム……」と――。
ミネバ(オードリー)を人質にしたダグザの停戦要求を拒絶したフロンタルは、ネェル・アーガマの撃沈を宣言。バナージはオードリーを助けるため、アナハイム社の重役アルベルトの力を借りてユニコーンガンダムで出撃する。だが、アルベルトの狙いは鍵であるユニコーンガンダムをフロンタルに破壊させて『箱』への道を封じることだった。デストロイモードに変身したユニコーンガンダムでフロンタルのシナンジュと戦うバナージ。しかし、マリーダのクシャトリヤの不意討ちでユニコーンガンダムごと捕まってしまう。ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の拠点、資源衛星パラオに連行されたバナージは待ち受けていた仮面の男、フル・フロンタルと対面する。
地球連邦軍ロンド・ベルのネェル・アーガマと特殊部隊エコーズが、バナージとユニコーンガンダムの奪還作戦を開始した。ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の拠点、資源衛星パラオは新たな戦場と化す。混乱の中でバナージと再会したミネバは、リディの父の力を借りるため地球へ行くと伝える。一方、フロンタルは強化人間のマリーダを使って『ラプラスの箱』の鍵であるユニコーンガンダムのNT-D(ニュータイプ・デストロイヤー)の発動を促そうとする。ユニコーンガンダムには『箱』への道を開示するプログラムが仕組まれていた。クシャトリヤを駆るマリーダと戦ったバナージは、ニュータイプ同士の感応により彼女の過去と心の痛みを知るのだった。
連邦側の捕虜になったマリーダは、バナージに「それでも」と言い続けろ、ユニコーンガンダムに眠るもうひとつのシステムを呼び覚ます力になる、と助言する。そのマリーダは地球へ移されることになる。サイアムの孫娘で現ビスト財団当主代行マーサ・カーバインの指示だ。アルベルトに財団の命綱である『ラプラスの箱』の開放阻止を命じたのもマーサだった。一方、バナージはパラオでラプラス・プログラムが新たに示した座標、宇宙世紀元年にテロで爆破された首相官邸ラプラスの跡地へ向かう。ダグザに強制され、一度は反発したバナージだが、オットーからバナージ救出作戦を主導したのがダグザだと知らされ、ユニコーンガンダムを出撃させたのだ。
地球に落ちたユニコーンガンダムとバナージを助けたガランシェールが西サハラ砂漠に不時着した。地球潜伏のジオン残党軍は地球連邦の首都ダカールを襲撃する陽動作戦を展開。連邦政府の中心人物ローナンはブライト・ノアにガランシェール探索を命じる。リディと共に地球に降りたミネバは自分が政治利用されるのを怖れてマーセナス家から姿を消すが、地球生まれの老人が語る「宇宙移民を実行した人々の善意」という言葉でなすべきことに気づき、追っ手の者達に身を預ける。同じ頃、アルベルトの叔母マーサは強化人間のマリーダを手駒とするべく再調整を施す。一方、ジンネマンはジオン残党軍と接触するためバナージを連れて砂漠の横断を敢行する。
砂漠を旅したバナージは連邦軍に家族を殺されたジンネマン達の悲しい過去を知り、『ラプラスの箱』をより良く使う方法を探るべく新たな情報が開示される場所、トリントン基地へ向かうことを決意する。そのトリントン基地への攻撃をフロンタルに進言するロニ。彼女は地球連邦首都ダカールを襲撃したシャンブロのパイロットだった。一方、リディはデルタプラスでブライト艦長が指揮するラー・カイラムに合流する。そのラー・カイラムにトリントン基地が襲われたとの報が入る。ジオン残党軍がカークスの呼びかけで結集したのだ。シドニー新湾に現れたシャンブロは無差別に市街地を破壊しながら進撃。ジオン残党の怨念がロニを殺戮に駆り立てていた。
バンシィに急襲されたバナージは、ユニコーンガンダムと共に身柄を拘束され、ラー・カイラムに収容された。そのバナージがアルベルトの腹違いの弟だと聞かされ驚くリディ。アルベルトの叔母マーサは、リディの父ローナンから引き渡されたミネバをバナージに口を割らせるための駒とすべく超大型輸送機ガルダへ移送した。八方塞がりの状況下、『ラプラスの箱』への新たな座標を秘匿し続けるバナージに、ロンド・ベル司令ブライトは歴代ガンダムパイロットと同じ可能性を認めて励ますと、カイ・シデンを通じてミネバ奪還の共同作戦をガランシェールへ伝達。救援にネェル・アーガマを派遣する段取りも図り、バナージをミネバのいるガルダへ送り出す。
ミネバとマリーダ奪還作戦を仕掛けるガランシェール隊。その阻止をマリーダに命じるアルベルト。ユニコーンガンダムのバナージはデストロイモードに変身したバンシィに苦戦する。一方、マーサ達の手を逃れたミネバはリディの救いの手を拒み、バナージが受け止めてくれると信じて空に身を投げた。バナージはその願い通りにミネバを助けてガランシェールに届け、マリーダとジンネマン救出のため再びガルダへ向かった。ガンダムへの憎しみに囚われたマリーダだが、ジンネマンの出現に心を乱される。リディの憎悪はバンシィもまたガンダムだという事実をマリーダに突きつけ、混乱してバンシィから吐き出されたマリーダをジンネマンは助けるのだった。
連邦軍から追われる身となったネェル・アーガマが選んだ苦肉の策、『袖付き』との共同戦線。それに反発するクルー達に受け入れを命じたオットーは、フロンタルから本音を引き出そうとする。ミネバからも『箱』を手に入れて何をする気か? と問われたフロンタルは、地球を除く月と各サイドが経済的な結びつきを強めて連邦を弱体化させるという「サイド共栄圏」構想を明かす。その結果、引き起こされる悲劇を予見して失望するミネバだったが、『ラプラスの箱』への最終座標がインダストリアル7のメガラニカだとフロンタルに伝えてしまうのだった。一方、アルベルトからバンシィ・ノルンを受け取ったリディは、ユニコーンガンダムを追って出撃する。
フル・フロンタルに『ラプラスの箱』の最終座標が知られ、落ち込むバナージ。マリーダは望みを持ち続ければチャンスは来ると励ます。一方、タクヤ達は密かに連邦軍哨戒艦を呼び反撃の機会を窺うが、アンジェロに察知されてしまう。彼らを人質にされ哨戒艦撃沈を要求されたオットー艦長は共同戦線の破棄を決断。激しい銃撃が展開される中、バナージはフロンタルと対峙する。ミネバもフロンタルのサイド共栄圏構想を否定する立場でマリーダと動くが、ジンネマンはマリーダに投降を命じた。しかし、マリーダの決意がジンネマンの恨みを解かす。バナージとマリーダに反撃され、ネェル・アーガマから脱出したフロンタル達は『箱』の最終座標へ向かう。
今際の際のビスト財団当主、カーディアスから、『ラプラスの箱』の『鍵』となるモビルスーツ《ユニコ−ン》を託された少年バナージ・リンクスは、『袖付き』のマリーダ中尉が駆る《クシャトリヤ》と交戦後、ロンド・ベルの強襲揚陸艦《ネェル・アーガマ》に拿獲(だかく)されてしまう。その艦には、バナージの友人のタクヤとミコットと共に、『箱』の譲渡を阻止しようとしてカーディアスと接触した少女オードリー・バーンも収容されていた。 その《ネェル・アーガマ》に対し、単機で挑みかかるモビルスーツが出現する。 《シナンジュ》と呼ばれる真紅の機体を駆る人物こそ、『シャアの再来』の二つ名を持つ『袖付き』の首魁(しゅかい)、フル・フロンタルだった——。