人から頼られやすいこと以外に、何も持ち合わせていない男子高校生、北条文太郎。将来の夢を見出せない彼は、ぼんやりとした焦りを感じていた。幼なじみの夕夏には才能がある、夢もある。自分には――? そんな彼の姿を、孤高の同級生・黒田砂雪が見つめていた。突如、男子トイレで「学校ではできない話」がしたいと迫られ、デートすることになった二人。ひとしきり楽しんだ後に明かされた、彼女の真の目的とは……。
美少女ゲームの勉強をしながら、ゲーム作りのスタッフ集めに奔走する文太郎。だが、彼が連れてきたスタッフは、やる気のない学生ばかりだった。さっそく壁にぶつかるも、幼なじみで演劇部のエースである夕夏を、声優として参加させることに成功。さらに同じく幼なじみの亜登夢からも参加の申し出が。黒田に覚悟を問われ、一度は消沈しかける亜登夢。だが、恋愛という言葉を聞いた途端、彼は「変貌」を遂げる。
ミーティング合宿を行うことになった文太郎達。そこで黒田は改めてゲーム作りの覚悟について熱弁を振るう。だが、その一途な想いに水を差すように、遅刻したテルハが悪びれない態度を見せる。睨み合うふたり―—。さらにテルハは、自分達が作ろうとしているゲームの、短すぎる開発期間や内容面について言及する。「楽しんでやるべき」と言うテルハに対し、黒田は頑なにそれを否定。そしてさらなる不和は、ついに綻びを生んでしまう。
プロット制作に苦戦する文太郎。「1話完結で書いてみたら」という黒田のアドバイスに、ようやく筆が乗り始める。結果プロットは3日で上がり、皆からの評価も悪くない。だが、読んでみての感想は「普通に面白い」という、無味乾燥なものだった。さらなるキャラ立ちの必要性に悩む文太郎。そんな彼にヒントを与えようと、黒田によってプロのライターとの会合の場が用意される。ベテランから発せられた、シナリオの極意。それは――。
外注先から音楽と背景が上がってきた。さっそくテルハが組み上げて、ゲーム序盤がプレイ可能に。 初めてプレイ可能になったゲームの出来に、一同の胸も躍る。 だが、ふと文太郎が違和感を口にした。自分の文章が書き換えられている? ……それはテルハの手によるものだった。 しかも彼女は、自身が担当している公開が差し迫ったホームページ制作には手を付けてないという。 そのことをとがめられたテルハは機嫌を損ね、部室を去ってしまい……。
荒野を進むためには、時に息抜きも必要だ―? 文太郎達は夏の海を満喫していた。 思い思いに楽しむ中で、黒田だけは真剣に“美少女ゲームあるあるシチュエーション”を遂行する。 ビーチバレー、追いかけっこ、水の掛け合いにバーベキューと、その度に突飛な発言が飛び出す。 一通り楽しみ、一同はスイカを食べることに。 笑い声が響く中、黒田がまたしてもおかしな話をする。 だがその何気ない言葉は、夕夏に微かな変化を与えていた。
告白シーンが書けず、四苦八苦する文太郎。 告白経験がないことがその原因ではないかと思い至った彼は、参考意見を聞こうと奮闘。 六波羅の皆も実演を交えつつ、萌えるシチュエーションを提案するが、ピンと来るものがない。 見兼ねた夕夏から外出を提案された文太郎は、「夕夏と擬似デートをすれば、何か掴めるのでは」と思いつく。 だが、「デート」というワードに、夕夏は過剰反応。 文太郎を必要以上に意識してしまった彼女は――。
スランプ気味の文太郎に対し、ついに緊急措置――所謂「缶詰」を敢行。 皆の協力という名の監視のもと、48時間ぶっ続けでシナリオを書くこととなる。 だが油断した文太郎はつい寝入ってしまうのだった。 さらに寝落ちしたのは彼だけではなく、監視するはずの皆も同様。 改めて激励を背に受け、机に向かう文太郎だったが、次第に憔悴の色があらわれる。 そんな彼を見て皆は書き上げた際の「ご褒美」の相談をしはじめるのだった。
「朝森さん家の24時」のアフレコ日。ヒロイン役・夕夏はやる気満々だったが、スタジオの張り詰めた空気と、プロである声優の演技を間近で見たこともあり、落ち着かない。そしてついに本番――。緊張のために苦戦する彼女を、さらに時間的な制約が襲う。自分の演技に納得はいかないものの、黒田に説得され、失意の中でアフレコを終えることに。数日後、スタジオ側から録り直し部分が発生したとの連絡が来る。だが、落ち込む夕夏は……。
「朝森さん家の24時」の体験版の評価を気にして、ネットを見る文太郎たち。そこには同日に体験版を公開し、高評価を得ていた別ブランド名も記載されていた。名は「タイフーン」。偶然にも、そのスタジオのライター・光輝と会うこととなった文太郎は、六波羅&タイフーンでの交流会の提案を受けることに。そして、交流会当日。タイフーン社長・鯛子の強烈なキャラクター性もあって、場の雰囲気は不穏な方向へと転がり始める――。
明かされた事実に、衝撃を受ける文太郎達。これまでの努力は何のために……? 真相を隠し、皆を騙していた黒田に怒りをぶつける六波羅の面々は、やり切れない想いと共に部室を去っていく。それは文太郎も同じだった。しかし、「自分たちのゲームを完成させたかった」という自身の正直な想いに改めて向き合い、モヤモヤした気持ちを抱える一同。「荒野に挑みたい――」。その想いはみな同じなのだ。
ついに「朝森さん家の24時」の発売日を迎え、なんとなく落ち着かない一同。部室に入った彼らは、ガッツポーズをする黒田の姿を目にする。それは好調な売り上げの「朝森さん」が再出荷されたとの報によるものだった。同時に六波羅とタイフーンの勝負も決着の時を迎える。その結果は……。 かくして、文太郎たちは荒野の片隅へと足を踏み入れた。その先に何が待ち受けているのかは、まだ分からない。それでも――。
ゲーム特別版『アニメEdition』