動物の姿に変身する特殊能力を代々受け継いでいるバンパイヤ一族。その研究に生涯を捧げている熱海教授の講演会場に、ひとりの青年が訪ねてきた。彼、トッペイは暴力沙汰に巻き込まれ、新聞記者の森村に助けられる。両親を探している、という彼に同情した森村は、当面の仕事場として手塚プロを紹介する。そんなトッペイをバンパイヤ族ではないかと疑った悪の天才、間久部六郎(ロック)は何とかトッペイの真実を暴こうと近づいてくる。
オオカミに変身したトッペイが勢い余って熱海教授を崖から突き落として殺害してしまうところを見ていたロックは財界の大物、大西の一人娘ミカを誘拐する計画にトッペイの力を利用しようと考え、トッペイを脅迫した。協力しなければおまえの秘密をばらし、殺人犯として告発する、と。そんな時、トッペイの弟のチッペイが兄を訪ねて上京してくる。チッペイは兄がミカを誘拐する現場を目撃してしまい、驚いて後を追いかける。
誘拐したミカを隠れ家に監禁したロックはトッペイを開放した。トッペイはロックの悪事を暴く証拠を探そうと、ミカの家へとチッペイと共に潜入する。一方、ロックは警察の追及をまんまとかわしながら、ミカの身代金として一億円分のダイヤを要求した--。
ロックから宝石を奪い返したトッペイとチッペイは逆に誘拐犯と間違われ、警察に追われる身となってしまった。チッペイはオオカミに変身して警察の追跡を振り切ったが、トッペイは警察犬に追いつめられてしまう。オオカミに変身して警察犬と戦うトッペイは自らも重傷を負ってしまう。一方、ロックは悠然と秘密の地下室で三人の魔女に未来を占わせていた。老婆たちの予言を聞いてロックはさらに野望を膨らませて行く。そんなロックの隠れ家をチッペイが嗅ぎ付けるのだが・・・。
ダイヤは戻ったが、ミカは戻らない。苛立った大西は新たに届いた脅迫状にすくみ上がり、警察への協力も断る。ミカの命を救うためには警察の手を引かせるしかなかったのだ。大西は自分の書生であるロックがまさか真犯人とは思ってもいないので、身代金の宝石を彼に預け、犯人が指定した場所へ向かわせた。警察による厳重な監視の中、宝石を奪っていったのは白いオオカミに変身したトッペイだった。いまだロックの命じるままに動かなければならないトッペイは苦悩する。彼は同じバンパイヤ族である立花博士とその助手の岩根山ルリ子と久しぶりに再会し、苦境を告白する。それがまたひとつ悲劇を生み出すとは気づかずに・・・。
誘拐犯を追跡する下田警部は、不思議な老オオカミの死を不審に思い、現場の寺を張り込んだ。と、そこから怪しい僧侶が出かけて行く。下田警部はこの僧侶の跡を尾行した。もちろんその僧侶はロックの変装だ。一方再会したばかりの父を死なせてしまったトッペイに対し、ルリ子はバンパイヤ族の者が山口県の秋芳洞に集結する『バンパイヤ委員会』に参加するよう誘う。秋芳洞へ向かうトッペイたちをロックが、そのロックを下田警部が追った。
トッペイはルリ子に案内されて秘密の洞窟を通り抜け、バンパイヤ委員会に参加する。一方、ロックはミカと森村を洞窟内の谷底に突き落とした。一命は取り留めるミカと森村だが、ふたりは人間を敵視するバンパイヤ族に捕まってしまう。
洞窟内に入ろうとしていた下田警部を、ロックは女装でだまして後ろから殴り倒した。ロックに捕まっていたトッペイは、チッペイに縄を解いてもらい。下田警部を救出する。そのまま脱出しようとするのだがすでにあたりは夜。トッペイは月明かりを受けてオオカミに変身してしまう。その変身の苦しみを見てミカはトッペイの境遇に同情する。しかしそのミカが今度は突然現われた原人に拉致されてしまった。
トッペイたちは原人を連れ去ったミカを追って、離れ小島に上陸した。その島には何と死んだはずの熱海教授がいて、凶悪な実験を行っていた。彼は人間を原人化する『マッドパー』という薬品を使って、各地で人間蒸発事件を頻発させていたのだ。そのさらわれてきた人間たちの中にはトッペイの母親の姿もあった。一方、ロックは大西から遺言状を見せられていた。それには「もしミカが無事に戻ったら、ミカと結婚し自分の後を継いで欲しい」と記されていた。ロックはそれならば、と大西の殺害を計画し始める。莫大な遺産を手にするために。
ミカが発見された、という知らせを受けて現場へ急いだ大西夫妻の乗った車が列車と衝突した。ふたりの事故死を確認してロックは高笑いする。しかし葬儀の夜から彼は亡霊にうなされるようになった。予言の老婆たちはロックにバンパイヤ族と手を結べば悪夢から開放されると告げる。ロックはバンパイヤ委員会のルリ子と会い、共に人間を支配するための革命を起こそうと呼びかける。ロックに対しては不信感もあったが、バンパイヤ族にとって革命というのは魅力的な言葉だった。
死んだ大西の財産を相続したロックは、大西邸跡地に遊園地を作る計画に着手していた。下田はそんなロックこそが一連の事件の犯人だと確信しているが証拠がない上に、動物に変身する人間の話などをするせいで警察内部で浮き上がってしまっていた。下田は単身工事現場に乗り込むのだがバンパイヤ族にみつかり、追い詰められてしまう。一方、離れ小島に囚われていたミカはトッペイの母親と会い、島から小船で脱出する。そんなふたりを原人が追いかけた。
ロックの手で瀕死の重傷を追った下田は、駆けつけた森村の腕の中で息を引き取る。下田の上司である川野もロックが怪しいとにらむがやはり確証がない。ロックは自信満々に完成した遊園地をマスコミに披露した。それはあらゆる生活福祉事業を兼ねた夢の国だった。ロックの名声は高まるが、森村はこの夢の国に隠された秘密を何としてでも暴こうと執念を燃やす。
ロックは親善大使として日本を訪問したアルタミア国のマルガレーテ王女を自分の遊園地に招待した。その遊園地内で王女が行方不明になってしまう。ロックがこの遊園地を作ったのは、この王女誘拐計画を遂行するためだったのだ。じつは王女に付き添っていたアルタミア大使もバンパイヤの一族で、彼も王女誘拐に一役買っていた。
王女を人質に取ったロックとバンパイヤ一族の前にアルタミア国は膝を屈した。この時、ロックの世界征服計画が本格的に始動したのだ。財界の大物外村の娘マリに近づいたロックは、大西の会社と外村の会社との合併を発表し、一大コンツェルンのトップに踊り出る。ロックの真実の姿を知る森村は、何とかロックの仮面を剥ごうとするのだが、逆にロックの手下に捕まってしまう。そんな森村を助けたのはトッペイだった。森村はロックとバンパイヤ族とのつながりを証明するため、テレビカメラの前でトッペイを変身させ、世間にバンパイヤの存在を知らしめようとする。
テレビの生中継でロックとトッペイが直接対決することになった。しかしロックは動じない。逆にすべての悪事を「人間ではないケダモノ」のせいにできるとほくそ笑んでいた。テレビでの放送が始まり、トッペイは次々にロックの悪事を暴いていく。しかしロックは特別な照明でトッペイをオオカミに変身させ、そして、勝ち誇った声で叫ぶのだった。「危険な猛獣を捕まえろ!」
バンパイヤの存在がテレビ中継によって明らかにされ、日本中がパニックになった。政府は混乱を沈めようとするが、ロックは「バンパイヤ」に人権はいらないと主張し、バンパイヤたちは次々に捕らえられていく。それはまさに人間狩りの様相を呈していき、ロックは人間が人間を狩猟する光景を高みから見下ろして楽しそうに笑った。
人間狩りは収まる気配を見せず、さらに激しくなっていく。捕らえられたバンパイヤは額に『V』の印を刻印され、収容所へと押し込められていった。まさに人種隔離の恐怖が蔓延する。トッペイは仲間たちから「すべてはお前のせいだ」となじられ、どこにも身を隠す場所を持てなくなる。捕らえられたトッペイはミカによって収容所行きのトラックから救出されるのだが、トッペイの心には人間への憎悪が激しく燃えたぎり、彼の変身にはもはや月の光も必要なくなってしまう。差別と偏見と弾圧。その苦しみが彼の姿だけではなく心までも獣と化させた証だった。
野球場に隠れるトッペイを捕まえるため、警察は収容所に囚われていた母親を連れてくる。母の子守唄に誘われてトッペイが現われると、母親はすぐさま狼に変身し、トッペイと共に球場から逃げ出して行く。ミカはバンパイヤを人間に戻す薬『ヒューマンS』を開発中の別府博士のもとにチッペイと森村をかくまっていた。母と共に逃避行を続けるトッペイの心には人間への憎しみしかなかった。しかし、警察に包囲された彼を救ってくれたのもまた人間だった。身を盾にして自分と母親を守ってくれたトラック運転手の姿を見て、トッペイはふたたび人間への信頼を取り戻して行く。
トッペイは別府博士の開発した『ヒューマンS』によって人間となった。この薬によって収容所に捕らえられていたバンパイヤたちは、みんな人間となって開放された。バンパイヤ委員会もようやく自分たちがロックにだまされていたのだと悟り、警察に自ら出頭する。それでようやく人間狩りの恐怖は終焉を迎えた。ロックはビルの屋上まで森村に追い詰められた。格闘の末、ふたりとも転落してしまい、森村は死亡する。しかしロックは? 彼の姿は弧島に潜む熱海博士の前に現われた。傷だらけのロックは博士に整形手術で自分を別人に変えてくれと依頼する。
ヒューマンSの効能でトッペイの母は純粋な人間になった。トッペイはこの薬があれば、バンパイヤ族は差別も偏見も受けない人間に生まれ変われると喜んだ。だが自分は熱海博士が作り上げた原人たちと戦わなければならない。だからまだ完全な人間に戻るわけにはいかないとトッペイは思う。列車転覆事故に原人がかかわっていると知ったチッペイは、その首謀者の男が放つ匂いでそれがロックだと見抜き、トッペイに知らせる。
熱海博士の開発した『マッドパー』は人間を原子時代の原人に逆行させてしまう薬だったが、別府博士の『ヒューマンS』はこの原人たちをももとの人間に戻す効力があるとわかった。それを知った熱海博士は、さらに強力な原人を作り上げるためプロレスラーを誘拐し、強力な殺人マシンへと生まれ変わらせた。
凶暴な殺人マシンと化したプロレスラーのマンモス東条は、次々に殺人を重ね、バンパイヤたちも血祭りにあげていく。別府博士の実験を手伝うようになったルリ子はロックの隠れ家に忍び込むが、マンモスに発見されてしまう。トッペイ、チッペイに危ういところを助けられるルリ子だが、疲れを知らないマンモスは執拗に三人を追いかけてくる。しかしヒューマンSを込めた弾丸で撃たれると、彼もまた人間の姿に戻った。そんなマンモスにとどめをさすべく撃ち殺したのはロックだった。ロックはまたしてもトッペイの前から逃げ去ってしまう。
講演会場へ向かう途中、別府博士は原人たちに拉致されてしまう。そしてトッペイたちのもとにロックからの脅迫テープが届いた。ひとりきりでロックからの呼び出しに出向いていったトッペイに、ロックは再びチームを組もうと誘う。しかしトッペイは首を縦に振らない。しびれを切らせて女空手原人が襲いかかってくるが、トッペイは狼に変身して彼女を倒す。そしてトッペイとチッペイは別府博士の救出に急ぐ。
熱海教授を救出するためロックたちのアジトに潜入したトッペイは、逆に捕らえられガス室に閉じ込められてしまう。危ないところをチッペイに救われるのだが、バンパイヤ仲間の西川が女原人に殺されてしまう。さらにロックは別府研究所に時限爆弾を仕掛けて行った--。
トッペイの母は、いまは幼稚園の保母として平和に暮らしていた。ところが子どもたちに異変が起こる。子どもたちが原人に変身し始めているのだ。もちろん熱海博士の仕業に違いない。トッペイは熱海博士を追及しようとしてロックの罠にはまりマッドパーを注射されてしまう。人間の姿に戻れなくなってしまったトッペイの運命は--。
トッペイはロックに連れ去られたが、トッペイはヒューマンSによって純粋な人間になっていたので、もう変身できない。彼はチッペイやルリ子に助けられ、警察はロックを捕まえるべくバンパイヤ族の力を求めてくる。人間狩りの時とは逆に、いまロックは「悪魔の化身」と呼ばれながら、人間からもバンパイヤからも追われる身となった。追い詰められたロックは熱海教授とも仲間割れし、教授を射殺する。しかしマッドパーを浴びてしまい、視力を失ったロックの乗ったモーターボートは、大型船へと突っ込んで大破炎上した。ロックは死んだ。そしてトッペイたちの周りにようやく平和が訪れた--。