日向徹(小栗旬)は、29歳にして時価総額3000億円とも言われるIT企業「NEXT INNOVATION」を率いる注目の若手社長。徹に可能性を感じた朝比奈恒介(井浦新)が会社設立を持ちかけて、8年前に大学が開放した古い学生会館の一室から会社をスタート。瞬く間に成功を収めた。 一方、澤木千尋(石原さとみ)は、東京大学理学部という学歴ながら就職が決まらず面接に奔走する日々を送っていた。そんなある日、面接に向かう途中で、「NEXT INNOVATION」が入る高層ビルが目に止まった。ハイセンスな職場と、そこで働くオシャレな人々。就活用のスーツに履き古しのローヒール姿の自分とは何かが違う、とため息をもらす。 そのころ、日向は朝比奈と取締役の山上芳行(佐野史郎)を前に、戸籍をインターネット上で管理するシステムを作る計画を明かした。日向は、国が着手する前に自分たちがやるんだと意気込むが、山上は、初期投資だけで会社の金が吹き飛んでしまうと難色を示す。 数日後、千尋は「NEXT INNOVATION」の会社説明会にやってくる。学生で埋め尽くされた会場の最前列に千尋が座ると、ステージに日向が現れた。そんな日向を舞台袖から朝比奈が見守っていると、朝比奈の妹の耀子(相武紗季)も様子を見に来る。 日向は、自分の話を終えると、学生に質問を始めた。最前列の端から指名する中、ついに千尋の番になった。いきなり内定数を聞かれた千尋は、正直にゼロだと明かした。すると日向は、東大卒でも内定がもらえない時代なのか、それともよっぽど欠陥があるのか、と千尋を値踏みするように見た。そして、内定がない人間は出ていけ、と言い放つ
千尋は朝比奈に対し偽名を使っていることを認めるが、藤川が千尋を気に入っていることもあり、偽名のままPFプロジェクトに契約社員として雇われながら並行して就職活動を続け、朝比奈も彼女の立場をそのまま見守り続ける。日向は千尋に対しては大いにバカにしていたが、調子を狂わされると感じながらも母と同じ名の彼女が気になり、失うのが惜しいという心理を知人の僧・笛木にだけ語っていた。だが、千尋が学生であることを隠していたことがほどなく藤川に知られてしまい、NIは総務省との会合に出入りを禁じられてしまう。しかし、内定が決まっていた会社の最終面接を諦めてまで連日藤川に謝罪を続けた千尋と、圧倒的に優れた社会保障システムのプログラムを見せた日向の交渉によって藤川の心をつかんだNIは復帰を許され、千尋は引き続きインターンシップとしてプロジェクトに関わることになる。
NIではプログラマーが「デスメール」と呼ばれるメール1本で解雇され、千尋は日向のやり方を悪趣味と批判する。千尋は友人の遙香に日向と過去に知り合った思い出について打ち明ける。千尋が高校生の頃、日向は千尋の住む田舎町を訪れ、母を探しに来ていたが、その人が実は千尋の知人であることを伝えられないまま、彼は町を去っていた。また、朝比奈の妹・燿子は日向への恋を自覚し、千尋も彼に恋をしていると見抜いてライバル宣言をする。千尋は解雇された坂口と日向の間を取り次ぎ、日向は坂口の資質を見抜いて新会社を設立させる。朝比奈はその様子に複雑な表情を見せる。その後、偽名の件をなかなか言い出せないでいた千尋は、酔った勢いで不用意にそのことを告白してしまう。
開発陣によるPFのシステムの出来に不満を抱いた日向は、自らの手でプログラムを組み始めていた。一方、偽名の件で怒りを買い日向に解雇された千尋は、彼に詫びるためPF開発に役立つことをしようと、役所の業務や共通番号制度に関するアンケートを取っていたところ、不審者と誤解を受けた挙句警察署に連行されてしまい、日向に迎えに来てもらう羽目になる。日向は開発中のシステムを千尋に見せているうちに、ユーザーの目線でシンプルなインターフェースにすべきだということに気付き一から作り直す。そんな彼に千尋はこっそりと日向の母が暮らしている住所を教える。日向はまた改めて彼女を採用し、千尋は夏井真琴という本名をNIスタッフたちに明らかにする。 同時に朝比奈はNIを一流企業にしたいという考えから大手通信会社「JIテック」との提携を進めていたが、日向はそれを一蹴する。また、日向が真琴と共に開発した新しいインターフェースに対しても、朝比奈は以前の物を支持して見解が食い違う。日向は朝比奈に失望したと口にし、朝比奈は愕然とする。 ある夜、燿子は日向に出会った時の話をして、そのとき二人が意気投合したことと再び会う約束をしたことを語る。燿子は日向にキスをし、真琴は偶然そんな二人の姿を見かけてしまう。
日向と燿子の接近に真琴がうろたえる中、PFの実証実験を、真琴の知人でもある青山が農業を営む村で行うことになった。日向は真琴と小川を伴って農村での実験を始めるが、老人の多い村人たちはITに疎くパソコンを触ることすら抵抗があり、思うようにいかない上にライバルのJIテックの開発が順調に進んでいるというニュースが飛び込んでくるなど、苦境に陥る。日向を心配する真琴は、青山の言葉を受けて彼を励まし、日向は再び前向きにPF開発を進めていく。真琴は日向を傍で支えたいと思うようになっていた。しかし、その裏で朝比奈は日向を陥れるべく罠を仕掛ける。NIユーザーの個人情報を盾に強請りを働いてきた元社員の遠野に階段から突き落とされた朝比奈は、自ら足に大怪我をさせて遠野を傷害罪で告訴すると逆に脅し、彼を利用して日向が自分の株の一部を手放すよう追い込んだのである。さらに、約500万人のユーザーの個人情報が流出、日向は窮地に立たされる。
流出騒動によりNIの株価は下がり続けるが、内部に疑わしい人物は見当たらない。プロジェクトも進められず、真琴は対策のために動きたいと希望したものの、契約期間が残り少ないため対策チームからも外されてしまう。 一方、個人情報を遠野に流出させた張本人である朝比奈は、暴落したNIの株を買いしめるよう何者かに指示していた。そんな中開かれた株主総会は、株主たちの怒号が飛び紛糾の幕切れとなった。朝比奈は日向を強く責め立て、PFの計画は母親を探すのが目的だったのだろうと指摘する。日向は真琴に、母の件はきっかけに過ぎないが、生きているかどうかさえ分かればよかったのだと語る。 自宅で落ち込んでいた日向は、以前「へこんだ時はいつでも呼んでください」と言ってくれた真琴の携帯に電話をかけてみるが、応答はない。その頃、朝比奈は真琴に日向への思いを問い詰め、彼女への好意を告白していた。そのとき日向のもとに燿子が訪れ、彼に好きだと迫る。真琴からの折り返しの着信に気付かないまま、二人は抱き合う。
NIが総務省から業務停止命令を受け、社内で対応を考える日向に、朝比奈は真琴に告白し振られたと話す。燿子とキスをした日向も、ぎりぎりのところで彼女を拒んでいた。真琴は日向の電話に出られなかったことを謝り、社員たちは日向の味方であり、トップとして虚勢を張ってでも自分たちを安心させてほしいと励ます。日向は自分の株を担保に借金をして情報流出の被害者に謝罪金を出すことにし、それによって事態は改善に向かい、株価も上昇する。日向はこの勢いに乗ってPF事業を役員たちに認めさせるが、同席で山上から社長解任動議が出され、日向の社長辞任が採択される。それは朝比奈の仕組んだ計画の一環だった。ある日、真琴は大学研究室での実績が買われ、大手製薬会社の研究員としてスカウトを受ける。何よりも望んでいた就職だったが、真琴は日向の元で働きたいと思っていた。真琴はその気持を日向に伝えるが、日向は真琴の将来を考えてそれを断る。一方燿子は、偶然兄の日向への裏切りを知り問い詰めるが、彼は日向と勝負するためだと答える。燿子は日向にこの事実を伝えることが出来なかった。社長に就任した朝比奈は突然日向に解雇メールを送る。日向は朝比奈の暗躍を知り、記者会見で社長辞任とNIからの退職を表明する。
日向に問い詰められた朝比奈は平然とこれまで仕組んだことを認める。山上は、個人情報流失の謝罪金にあてた日向の個人資産がほとんど残っていないこと、朝比奈の自社株保有率が40%を超えたことを伝え、さらにPFから手を引くよう通告する。日向はそれを拒絶し、安岡らを誘ってPF開発の新会社を作る決意をする。真琴は製薬会社との話を進めていたが、インターンシップ終了日に朝比奈からNIへの正規採用を打診される。送別会の席で日向は過去を振り返り、朝比奈への感謝を述べる。ところがその最中、記者会見の様子がテレビで流れ、朝比奈よりNIがJIテックと提携してPFを開発していくことが正式に発表される。日向はPFの所有権を完全に失い、引き抜こうとした社員たちにも断られる。日向に花束を渡す朝比奈は「お前は俺がいなければ何もできない」と言い放ち、日向は怒りのあまり暴れて会場を出ていく。真琴は朝比奈の仕打ちを責め、「自分は日向のことが好きだ」と言って彼の後を追う。真琴は日向に製薬会社の内定もNIも断ったことを告げ、彼について行きたいと宣言する。二人は新しいスタートの記念にNIが入るビルの前で写真を撮り、オートバイに二人乗りしてNIを後にする。
資産を失い自宅を手放した日向は笛木の寺に居候し、真琴と新会社を始める。しかしPFという目標を奪われた日向は気力を失っていた。新社長となった朝比奈はJIテックからPFのコストダウンを迫られインターフェイスを改変させるが、藤川事務次官は日向が以前作成したPFの方が優れていたと苦言を呈する。その言葉を受けた朝比奈は苛立ち、創業以来の社員たちの誓いが書き込まれた社内の壁「ウォール」を白く塗りつぶす。朝比奈の姿を見ていた山上は彼が日向を切ることを止めるべきだったと後悔する。 燿子は日向に兄のことを詫び情報漏洩の証拠を渡すが、日向はもはや執着を見せずそれを拒絶する。燿子は日向にカフェで語り合う朝比奈と真琴の姿を見せるが、日向の様子にその行為が彼を傷つけたと気付く。日向はこのことで真琴と口論になり、彼女も母や朝比奈のように自分から去ると思い悲観する。だが、日向は事務所を見渡すと壁一杯に張られた紙に気づく。その紙には藤川に突然呼び出されて以前のシステムをベースとしたPFの改良を非公式に依頼され、その問題点を全て暗記した真琴のメッセージが一項目毎書かれていた。日向は自暴自棄から目覚め、その仕事を見事に仕上げる。そして表向きはJIテックが改良したものとされていたPFが日向の手がけた物だと知った安岡・小川・細木はNIを辞めて日向の元へ行き、新しい会社は「WONDER WALL(ワンダー・ウォール)」(以下、WW)と名付けられる。だが数日後、朝比奈が情報漏洩とインサイダー取引などの罪で逮捕されたニュースが流れ、一同は呆然とする。
日向は朝比奈の件で東京地検から事情聴取を受け、遠野が日向たちを見返し、認めてもらいたいという気持ちから彼らを陥れたと自供したことを知る。日向は朝比奈との面会を望むが、彼は肉親の燿子と会うことすら拒んでいた。日向は真琴と共にWWの営業に力を入れる。今まで人に頭を下げることの少なかった日向は真琴の協力で懸命に努力をして少しずつ世間と折り合い、業績を伸ばし再度認められていく。一方、NIは経営危機に陥り、その状況を打開するために山上は日向に社長への復帰を打診する。そんなある日、真琴は日向に理由を告げず休みを申し入れ、製薬会社の研究所で実験のアルバイトを始める。WWの経営が軌道に乗り、NI時代以上に成長した彼がもはや自分を必要としておらず、魅力的すぎる日向の側にいることを辛いと感じたからだった[45]。日向は連絡の取れなくなった真琴を心配して彼女の実家へ向かうが、その途中で休暇中の燿子と出会い、一緒に現地に向かう。真琴は実家にはいなかったが、兄を通じて日向の実母の居場所を知っていた燿子は、彼に母に会うことを勧める。実母の定食屋に入った日向はお互いに名乗ることはなかったが、母の作るオムライスを食べ、捨てられた恨みや怒りを抱くこともなく、元気だったことを喜びながら定食屋を後にする。帰りの駅で燿子は、今の日向が一番会いたい人は母ではなく真琴だと助言し、日向自身も素直に認める。東京に戻った日向は真琴のいる研究所へ向かう。真琴は研究所で働いて仕事ができるようになりたいと言い、日向も朝比奈の戻る場所を残したいという思いからNIへの復帰を決めたと告げる。
日向の社長復帰会見を見た真琴は思わずNIに向かい、日向と偶然会ってしまう。倒産の可能性もある厳しい状況に悩む日向は真琴がブラジル勤務になると聞いて動揺し、彼女の仕事を侮辱してしまい、二人は口喧嘩になる。一方、日向の復帰を知った朝比奈はついに面会に応じる。日向はNIを絶対に無くさないと宣言し、朝比奈に帰って来いという。朝比奈は泣き崩れ、土下座して日向に謝罪する。先日の口論を後悔した日向は真琴に電話で謝り、仕事の後に会おうと誘うが、翌朝真琴は日向のことを「好きすぎて辛い」という言葉を電話で残し連絡を絶ってしまう。混乱した日向は朝比奈と面会してアドバイスを求める。朝比奈は「それはお前の気持が知りたいということだ」と教える。そして、真琴が日向を変えてしまったことに自分は嫉妬していたのだと打ち明ける。 日向はJIテックと交渉し、PFによる将来の一切の利益の譲渡と引き換えに一連の問題に対する賠償金の減額を迫り、加えてNIを開発に関わらせることと50億の開発費を要求する。難色を示す幹部たちの中、社長の宇田川はこの提案に興味を示す。条件となった運用実験はWW社員の協力もあって成功し交渉は成立、倒産は回避された。 経営危機の回避を祝うパーティーで、日向は社員一人一人の名前を言い当てて見せ、社員たちを感動させる。そこで真琴がWWオフィスにいることを知った安岡は気を遣って日向を会いに行くよう促す。だが、日向が訪れた時には既におらず、真琴はブラジルへの研修に出発しようとしていた。社員一同はネット上のつぶやきなどを分析して真琴の出発便を調べ上げ、日向は彼女を空
日向と真琴は空港での告白のあと、遠距離恋愛を続けている。ある日仕事でニューヨークを訪れた日向は、研究発表会で現地に来ていた真琴と久しぶりに逢瀬を楽しむ。数週間後、真琴はブラジルの研究所がカーニバル休暇のため1週間限定で日本に帰国し、周囲の勧めで日向の部屋に滞在する。二人は直接会って過ごせることを喜ぶものの、スタイリッシュな生活スタイルの日向と生活感丸出しの真琴の共同生活は噛みあわない。 一方、刑期を終えた朝比奈は、ビジネスへの復帰は考えずにひっそりと過ごしていた。PFプロジェクトではJIテックが専用端末のみで利用できる方向を進め、個人のPCで利用できるシステムを追求する日向と対立する。日向はこの難局を乗り越えるため朝比奈にビジネスパートナーとしての復帰を望むが、その決断は社内外で反発を生む。再会した朝比奈も、自分に頼るのは同じことの繰り返しで安易な方法だと申し出を断る。 滞在中、真琴は勤務先が外資系企業に買収され、次の勤務地がボストンになると聞かされる。今後日本に帰るのは難しくなる可能性があり、真琴は日向の側にいるために退職して日本で再び地獄の就職活動をするか、そのまま勤務するかの決断を迫られる。日向に相談しようとした真琴は、社員からハードワークに対する反発を受けて悩んでいる彼と言い争いになる。部屋を出ていった真琴は、偶然朝比奈と再会して日向のことを語り合う。数日後、研究者としてまだまだ未熟なことを自覚した真琴は、ボストン行きを決める。 安岡夫妻の結婚式の日、日向はJIテックが経営破綻したことを知り、会合に向かう。日向はPFの利