築25年、家賃3万8千円のボロアパートに住む、美大生の竹本祐太は、同じ大学の先輩・真山巧、森田忍にからかわれつつも楽しい共同生活を送っていた。新学期を迎えたある日、花本先生の従兄弟の娘で少女のように小さく可憐な編入生・花本はぐみを紹介される。
執拗にちょっかいを出す森田にすっかり怯えてしまったはぐみ。そのストレスを作品制作にぶつけるが、それはなんと、彼女の見かけからは想像できないほどの超巨大なマッチョ像! 実ははぐみは将来を期待される才能の持ち主だったのだ。そんなはぐみを見て、竹本は複雑な心境になる。
帰省中のはぐみから電話をもらうほど仲良くなった竹本たち。電話口でドギマギする竹本を笑う真山だったが、一本の電話が彼を走らせる。電話は、原田デザインの理花からだった。一方、同級生の山田あゆみはそんな真山への気持ちを諦め切れずにいる。
周囲の学生から浮いているはぐみ。プレッシャーから倒れそうなところを竹本に介抱される。街もクリスマスムードが盛り上がってきたある日、サンタの格好をした森田がクリスマス会のカードを配りに来た。しかし、竹本にとってクリスマスは楽しいものではなかった。だが、今年のクリスマスは違った。皆が、そしてはぐみが居たから。
久々に帰省する竹本。気が進まない理由は、母の再婚相手である稼頭男のストレートさが苦手だからだ。帰京して花本先生の家に向かった花本に、はぐみは「おかえりなさい」と微笑む。その後、クリスマス会の森田のプレゼントの宝くじが当たり、花本先生の引率で熱海へと行く一行だったが…。
温泉からの帰り道、遊園地でしばし遊ぶ一行。真山は花本先生から理花の過去を聞く。花本は理花の亡くなった旦那の原田と親友だったのだ。卒業シーズンになり、皆の進路はバラバラに。飲み会の帰り道、酔った山田を背負いながら歩く真山。山田への応えられない気持ちを語る真山と、泣きながら告白する月だけが見ていた。
長期に渡る海外でのフィールドワークに、恩師から誘われて迷っていた花本先生。はぐみを一人にすることを心配していたが、意に反して、「大丈夫。お友達がいるから」と出発を促される。旅立つ花本先生のために四葉のクローバーを見つけに行くはぐみ。竹本たちも手伝い、皆で一緒に探すが…。
竹本の誕生会で、花本宅に集まった面々。途中で帰る真山を見送る山田は、まだ真山への恋心を捨てられずにいた。しかし、真山の心は相変わらず理花の存在が占めたまま。一方、竹本は、上京以来初めて1人の夜を過ごすはぐみを心配し、彼女のもとへと向かっていた。
浜美祭まで、あと8日と迫ったキャンパス。花本先生がいなくなった今、はぐみは相談相手を失い、創作活動の壁にぶつかっていた。森田は元気のないはぐみに気がつき、贈り主がわからないよう、こっそりとブローチを贈る。それを偶然察してしまった竹本は、はぐみにそのことを告げようかどうか迷っていた…。そして、冬の足音が近づいてくる。
12月も終わりに近づいた寒空の下、竹本たち5人は、水上バスに乗って短い船旅に出た。竹本は、はぐみの身に着けているブローチを目にして、切なそうにはぐみを見つめる。そんな竹本の様子を気遣い、真山が竹本にはぐみと過ごしてきた決して短くない時間を思い出させる。竹本の思い出が観覧車のようにゆっくりと回っていた。
今朝も森田のやりたい放題が原因で、もめている社会人・真山と未だ学生・森田。その狭間で泣いている竹本。そんなある日、花本先生が、突如、モンゴルから帰国するのだが…。帰国後の残務に追われ、はぐみの相手をできない花本先生の代わりに、森田がはぐみと二人きりで買い物に出かける事に。そんな二人を見送ることしか出来ない竹本。それぞれの想いがゆっくりと交錯していく。
伝説の大学8年生になった森田は、花見の席で意気揚々とリサイタルなどを催す。一方、はぐみはなんだか元気がない。竹本は、はぐみがブローチをはずしている事に気づく。森田と出かけたあの日以降、様子がおかしいはぐみだったが、ついに体調を崩し、寝込んでしまう…。そして森田は、帰国予定もわからぬままに、突然ロスへと旅立ってしまう。竹本は、急いで空港へと後を追うが、森田を乗せた旅客機は、すでに空の上だった。機影に向かって叫ぶことしかできない竹本は、力なく項垂れる…。
唐突にアメリカに旅立った森田。残された一同は、ただ唖然とするばかり。「森田さんに、帰ってきて欲しい? 帰って来て欲しくない?」何を思ったのか、いきなりはぐみに問いかける竹本。しかし、はぐみの口からは竹本の予想外の答えが返ってきた…。はぐみが森田に特別な感情を抱いていたことに初めて気が付いた真山と山田。そして、それ以来、はぐみは創作活動に没頭するようになる。そんなはぐみを心配に思った山田は、気晴らしにみんなで花火大会に出かけようとはぐみを誘うことに。
藤原デザイン事務所で、美和子、野宮たちやり手の先輩に囲まれながら奮闘している社会人・真山。しかし、ふと気が付くと昨晩見た理花の夢のことを思い出している。そんなとき、偶然、公園で真山を見かけた理花は、声をかけることをしない。野宮は花器をオーダーするため山田を紹介して欲しいと真山に頼むが、真山は頑なに野宮を山田に近づけないようする。それを不思議に思った美和子たちは…。
真山を挑発するかのように、野宮は山田に急接近する。そして野宮は、山田を半ば強引に長野へと、ドライブに連れて去る。二人の関係が気になる真山だが、突然浅井さんが倒れてしまい入院したことを聞かされる。見舞いに訪れた病院で、1年以上ぶりに理花と再会をはたした真山は、あらためて一緒に仕事がしたいと申し出るのだが…。
4年生になった竹本は、卒制や課題、就職活動とやらなければいけないことを抱えながら、心ここにあらずと不思議な塔を製作している。竹本を心配するはぐみと、そっとしておこうと気遣う山田。そんな時山田は、いきなり4人の男性から同時にプロポーズを受けることに。困った山田は、花本先生に相談していくうちに、少しだけ真山の気持ちを理解できた気がした。一方、真山は突然、藤原デザイン事務所を辞めてしまう…。
人間関係に不器用な竹本は、就職試験の面接で苦しんでいた。自分がやりたいことが定まらないらしい。そんな竹本をずっと心配するはぐみ。そして、またクリスマスの季節が近づいてきた。しかし、去年のそれと違って、今年は森田と真山たち、いつものメンバーは揃わなかった。竹本は、卒制作品を完成させることなく、胃潰瘍で病院に運ばれることになる。目を覚ました竹本の前に立っていたのは…。
大驚愕する竹本たち。TVに森田が映っている。しかも権威あるハリウッドの映画祭での受賞スピーチ場面だ。さらに一同を驚愕させる森田。彼は、いつの間にか日本に帰って来ていた。その翌日、森田には卒制提出期限が迫っていた。無事に卒制を提出し、8年間の大学生活にピリオドを打つことが出来るのか? 誰もが予想出来ない森田の行動に、ひさしぶりに周囲は振り回されることに…。
辞めたばかりの藤原デザインと仕事をすることになった真山。打ち合わせのために事務所を訪れると山田と鉢合わせに。いつのまにか山田が野宮と仕事をしていることを知る。過去の経緯もあり、二人の関係が気になる真山。理花に想いを寄せつつ、山田のことも放っておけない中途半端な立ち位置。花見の席で、そんな情けない真山の態度を見かねて、山田は野宮に対して思いもよらぬ言葉を口走ってしまう…。
留年したものの未だに進路が見えてこない竹本。卒業後も絵を描き続けるというはぐみの言葉を聞き、竹本は自分の不甲斐なさに落胆する。一方はぐみは、森田に賞にあわせて作品を描いていることを指摘されてしまう。森田は、はぐみにもっと大きなスケールで創作活動をさせるべきだと花本先生に強く訴えるのだが…。それぞれが、いまだ見えぬ将来に思い悩む日々が続いている。
藤原デザインの双子社長が気まぐれに仲直り。その処理のため、野宮は山田に告げずに、しばらく鳥取へ行くことに。依然、進路のことで悩み続ける竹本。花本先生の紹介で就職が決まりかけていた事務所も、就職内定祝いの夜に倒産してしまう。何とか竹本を元気づけようと、みんなで竹本を励まそうとするのだが…。気がつくと竹本は、降り出した雨を気にすることなく、ただひたすら自転車のペダルをこぎ続けていた。
竹本が、目的のないまま自転車で走り出して、一週間が過ぎようとしていた…。依然、自分は見つからないものの、100円ショップでアイテムを補給したり、民家で水を分けてもらったりしながら、ひたすら北へと進み続ける竹本。その後、松島で竹本は、寺や神社の修復士の一団に出会い、旅の軍資金を得ようと、その集団で下働きを始めることになるのだが…。そのころ東京では周囲の期待に応えられないはぐみが自分の将来のことで心を痛めていた…。
修復士たちの下で働き始めたものの、いきなりの修復作業に全く役に立たない竹本。しかし、食事の準備などを完璧にこなし周囲を驚かす。そして、彼自身も皆に喜んでもらえる現状に満足し始めてしまうのだが、修復士の中には、そんな竹本のことを快く思わない者もいて…。一方、東京では、理花が真山に、山田に器の製作を依頼したいと申し出るが二人を合わせまいと真山はそれを断ってしまう。しかし、理花からの依頼のことを直接知った山田は、そんな真山の気持ちに対して悩んでしまう…。
自転車での旅を再開した竹本。しんさんから借りた自転車や地図や旅の道具が何とも頼もしい。旅の途中で出会う人々、初めて見る景色、はじめての経験、そして幾多の困難までもが、竹本にいろいろなことを語りかけてくる。死んだ父のこと、学校のこと、将来のこと、そして…。ペダルを踏みすぎて、靴の底が抜けた頃、ついに竹本はある場所へとたどり着くのだった。そこで竹本が見たものは彼が子供の頃に思い描いていた場所だったのだろうか? 竹本がそこで見つけた答えとは…。
『……そして、僕たちは再び回り始める……』 大学にほど近いアパートで、美大に入ったものの、自分の進むべき道を見つけられずに悶々としていた竹本祐太。気の合う先輩の真山巧や森田忍と、それなりに楽しい日常をすごしていたのだが…。そんな頃、大学で編入生の花本はぐみと出会うことで、竹本の日常は、ゆっくりと回り始める。やがて、自転車のペダルを踏みしめながら、あてどもなく旅をすることになる竹本や仲間たちの青春恋愛模様を振り返る。
真山が勤める原田デザインの理花に仕事を気に入られ、真山と理花と一緒に仕事をする機会が増えた山田あゆみ。真山が理花を想っていることを知りつつ、彼のことが諦め切れないあゆみ。彼女は森田に、わざわざ二人が一緒にいるところを見にいくことはない、と諭されるのだが、わかっていても真山を追いかけてしまうのだった。一方、自然とあふれ出た「好き」という気持ちをはぐみに告げた竹本。後悔はしていないけど、その後はぐみとの関係はぎこちないままで…。
美和子から、山田が頻繁に理花の事務所に手伝いに行っていることを聞かされた野宮。野宮は、なぜか山田のことが気になり原田デザインに電話を入れる。やけに元気に振舞う山田の声から何かを察した野宮は、鳥取から東京に車を走らせることに……。しかしその頃、山田は美和子の頼みを受けて、鳥取に向かっていた……。
浜美祭が近づき、秋を感じ始めた頃、はぐみへの留学の誘いをやんわりと断る修司。学園祭の準備に追われる学生たちの忙しない姿を見て、ふと学生だった頃の自分や理花や原田のことを思い出す修司だった。一方、真山は理花とともに、上野駅で鳴り響く発車ベルに促されるように寝台列車に吸い込まれていく。彼女のふるさと札幌へと向かう真山と理花。そして、真山はずっとため込んできた想いを理花に告げるのだが……。
スペインへと旅立った理花。真山は一緒に行かなかった。だが、二人の関係に変化があったことを察して心を痛める山田。そんな山田を気遣って、美和子は強引に山田を健康ランドへと誘いだす。美和子から傷心の山田の様子を聞いた野宮は、自分に連絡してこない山田になぜか腹を立ててしまう。浜美では、竹本と森田がはぐみを交えて、パンの耳をめぐって争っていた。いつもどこからか稼いできた札束を持っているはずの森田のお金の使い道を不思議に思い、竹本は真山にそのことを訊ねるのだが…?!
幼少時代を振り返り、亡き父を想う森田。しっかりと未来と向き合う竹本。頭の中であふれ出る創作意欲と葛藤するはぐみの想い。そんなはぐみを見つめる修司。理花を手伝いにスペインに行くことになったうれしそうな真山と複雑な心境の山田。そんな山田を放っておけない野宮。……それぞれの思いが回りだす。山田は免許を取ったばかりの竹本に、みんなで海にドライブに行こうと提案するのだが……。
森田忍の兄・馨は幼少時を思い出す。馨は幼い頃からずっと、自分の父と弟にあって自分にはない何かに憧れ、またそれを見出そうともがき苦しんできた。そして馨は、今更ながら父・司の親友でパートナーの根岸のおじさんの寂しそうな横顔に、同様の気持ちが介在していたことを理解する。まだ馨と忍が幼かった頃、父の作った小さな会社は、根岸によって外資に経営権を奪われることになるのだが、根岸にもそうせざるをえない理由があったことを…。
理花を手伝うためにスペインに向かった真山は、理想と現実のギャップをかみしめながらも異国の地で何とかやっていた。忍と馨は、長年かけて準備してきた計画を実行しようとアメリカ、シカゴにいた。日本では、浜美祭の初日を向かえた、とても風の強い日に、竹本にも山田にも修司にも、誰もが思いも付かないような大変な事故にはぐみが巻き込まれてしまう…。
森田兄弟は長年の計画をついに発動し、成功するも、その後兄の馨は姿を消してしまう。事故に巻き込まれたはぐみは、右腕に怪我を負いしばらく病院に入院しなければならない。痛みをこらえながら自らの状況を認識しようと耐える辛そうなはぐみを目の当たりにして、心を痛める竹本と山田。そして、ただただ彼女を見守る修司……。落ち込んだ山田に対して野宮は彼女が今できることをアドバイスすると、山田は何やら思いついたように行動に移す…。
利き腕の自由を奪われたはぐみは、また創作活動に戻れるようにと苦しいリハビリを続ける。はぐみを元気付けようとお見舞いに通う山田だが、事故のことを知らないまま姿を消した森田の行方が気になる。山田は、スペインにいる真山を頼って森田の行方を捜すことに…。竹本は、はぐみに対して何も出来ない無力さに苛まれる。修司は、相変わらずはぐみの側にいて静かに見守りつづける。ようやくはぐみの事故のことを知った森田が、突然姿を現すのだが…。その直後、はぐみは病院からいなくなってしまう。
突然はぐみの前に姿を現した森田は、修司たちに無断ではぐみを自分のアジトと呼ぶ部屋に連れて行く。翌朝、腫れている手を見て動揺したはぐみは、病院に戻りたいと森田に告げる。はぐみを連れて病院に戻った森田に、心配していた修司は怒りを露わにする。手の検査と治療を終えたはぐみは、修司に今まではぐみが考えてた本当の気持ちを伝える…。それは、昨晩森田と話し合っているうちに確信した、はぐみの強い強い想いだった。
修司のはぐみに対する突然の告白に衝撃を受ける山田。スペインでの仕事を終え、帰国した真山と理花は、修司の下に駆けつける。兄の行方を心配しつつも自分の進む道を決意する森田。それぞれがそれぞれに新たな道を見つけようと模索していた。そんな彼らに春という季節が巡ってきた頃、住み慣れた部屋をひきはらい旅立つ準備を整えた竹本は、東京での最後の晩、はぐみと二人きりになる…。
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