世界的に活躍するヴァイオリニスト・青野 龍仁を父に持つ少年、青野 一。父の背中を見て育った一は数々のコンクールで好成績を収め、ヴァイオリンの天才少年と称賛される。しかし、とある理由で弾くことを辞め、無気力な毎日をすごしていた。そして迎えた中学3年の秋、止まってしまった時間が静かに動き出す日がやって来る。きっかけは、同級生の少女との出会いだった。さらに、進学を控えた彼は、高校オーケストラ部の存在を知る。
定期演奏会は「カルメン」で幕を開けた。オーケストラ部で楽器を本格的に始めた律子にとって、人前での演奏は未知への挑戦だ。同級生と対立し保健室登校していた中学の頃。ヴァイオリンとの出会い。演奏に、これまでの歩みが重なっていく―。ハルの出番となるチャイコフスキー「くるみ割り人形」。3年生メインのヴィヴァルディ「四季」。それぞれが音とともに過ごした時間、悩みや葛藤、心の交流、その全てをのせて演奏会は進む。
定期演奏会を終えた海幕高校オーケストラ部。青野たちは手応えをかみしめていた。次は全国コンクール。海幕オケ部は、2年生を中心とした新体制で、連覇を目指し始動する。しかし初日の朝練、ヴァイオリンの人数が思いのほか少ない。さらにパーカッションのセクションリーダー・佐久間が、新コンサートマスターの羽鳥そして弦楽器のメンバーを、辛辣な言葉で挑発する。戸惑う青野、立腹する佐伯と律子。新生オケ部、波乱の幕開け。
1stから異動して2ndヴァイオリンのパートリーダーになった滝本は、朝練を休み続けていた。パートをまとめる立場なのになぜ来ないのかと、ミーティングで佐久間たちに責められても、滝本はのらりくらりとかわし続け、理由を明かさなかった。ついには2ndメンバーの不満が爆発、滝本に詰め寄る。その様子を目撃してしまう青野。滝本は、意味ありげなことを言い捨て立ち去った。そして、滝本を心配する裾野からの思わぬ提案。