冀州・頓丘の県令となった曹操が世の中の動きをじっと窺っていた頃、幽州の涿県には、荒れた国の将来に憂いを抱くもうひとりの男がいた。昼間、ワラジを作って売っているその男の名前は、劉備玄徳。だが、人柄の良さから慕われる劉備には、義賊集団『鬼嚢』の頭という別の顔があった。
夜な夜な人助けのために動くその劉備が、ある日、大きな蛇矛を軽々と操る張飛益徳という豪傑と遭遇した。張飛は、噂の世直し集団『美髯団』の頭・関羽雲張の義兄弟。張飛の強さを知った劉備は、関羽に一目会いたかったこともあり、あっさり投降した。
青龍偃月刀を持つ関羽は、素直に従うよう劉備を促した。ところが、劉備は、自分の生きる目的が天下を獲り、民の笑顔を見ることだと高らかに話す。そして、自ら自分が天下の器だと言い切り、漢の皇族、中山靖王・劉勝の末裔だと明かした劉備は、一緒に天下を獲ろうと逆に関羽に持ちかけた。
張飛は、関羽が、初対面の劉備の誘いを当然断わると思った。ところが、劉備の高い志と人柄を見抜いた関羽は、なんとその申し出を受けてしまう。桃園に集まった劉備、関羽、張飛の3人は、天下泰平を誓って互いに杯を交わし、劉備を長兄とする義兄弟の契りを交わしたのだった。
一方、冀州・頓丘では、民を苦しめていた副県令の左嶺一味の首をはねた曹操が新たな敵と向き合おうとしていた。その敵というのは、『太平道』という新興宗教の信者たちを操る張角という男。この太平道の信者たちは、やがて、黄巾の乱と呼ばれる暴動を起こし、中国全土を揺るがすことになるのだ。