異形の武者達に追われるクロウと弁慶。疲れきった二人は、闇の中に一軒の藁家の灯を見る。一夜の宿を乞うた二人の前に現れたのは謎めいた美女、黒蜜。宿に 泊める条件として黒蜜は、奥の閨(ねや)を決して覗かないようにと言う。しかし黒蜜に魅せられたクロウは約束を破り、閨を覗いてしまう。そこで見た恐るべ き光景は―――!
森の中の一軒家に一夜の宿を乞う"人斬り以蔵"。その家の主は黒蜜だった。以 蔵は黒蜜の閨で異様な光景を目の当たりにする…! それは弁慶が見た悪夢か?! 謎の翁によって、呪いをかけられる弁慶。かたや黒蜜は、若狭の国の海辺で "人魚"に血を吸われ、不死の躰を得たとクロウに語る。そして、自らの血をクロウに吸わせる。そこへ、あの翁に率いられた異形の武者達が襲来! さらにク ロウ達の眼前に現れたのは、呪いに憑かれた弁慶だった―――!
自分はいったい何者なのか? 自問しつ つ黒蜜を探して彷徨うクロウは、明日香という街に辿り着く。そこで出会った歌留多と名乗る男から、24年前の小惑星の接近に端を発した"大災害"の話を聞 かされる。その"大災害"の後、関東を支配した赤帝軍の存在と共に。そして、歌留多の仲間のライから、今しも赤帝軍襲来の報せが入る―――!
戦時下の東京で、刺客に襲われ、黒蜜と共に逃げているクロウ。夢なのか、現実なのか?! クロウが気づくと、そこはライの隠れ家。赤帝軍に刃向かうライと その仲間達の組織"埴輪"。さらに、居座魚、そして久遠と名乗る男達と出会ったクロウは、彼らが黒蜜を匿っているという事実を教えられる。同時に、赤帝軍 が黒蜜の血を使って、恐るべき魔人を造り出していることも―――!
赤帝城内の研究室で、黒蜜から得た 血を使い、魔人を造り出しているマッドサイエンティストの長谷川。長谷川の命を受けて動く魔人達と、その先に黒蜜の存在を視ている赤帝と。かたやクロウ は、"埴輪"の長ともいうべき沙仁輪と会う。沙仁輪の許しを得て、黒蜜との再会が見えたクロウの前に、しかし、再び赤帝軍の魔手が―――!
赤帝軍の兵士達の襲撃を受ける"埴輪"のアジト。沙仁輪を守ってクロウ達も戦うが、魔人嵐山率いる赤帝軍は圧倒的!そん な中、沙仁輪の指示に逆らう居座魚。居座魚もまた、赤帝軍と同じく、黒蜜から採取した血液"御稜威"(みいつ)に魅入られていたのだ。自らの躰に御稜威を 注射した居雑魚は…! かたや、クロウと久遠の獅子奮迅の逆襲はなったものの、"埴輪"壊滅の刻は迫っていた―――!
沙仁輪達と共に駿河の神楽という村に入るクロウ。しかし、そこもすでに赤帝軍の手によって蹂躙された後だった。ただ一人生き残っていたトンバという男の描 いた画を見た時、クロウの脳裡に黒蜜との恐ろしい記憶の一部が甦る。黒蜜とはいったい何者なのか?! その時、赤帝軍からやって来た二人の魔人、花月と車 僧がクロウ達の前に立ち塞がる―――!
赤帝軍屈指の魔人である花月と車僧と、クロウ達の戦いの火 蓋が切って落とされる。戦いの渦中、覚悟を決めた沙仁輪は、敢えて花月との一騎打ちを仕掛けるが…。沙仁輪を手にかけられたクロウの怒りが爆発し、想像を 超えた力が覚醒する。そんなクロウの前に黒蜜が出現し、二人は再会を果たすが、それも束の間の逢瀬でしかなかった…。
関東へ、赤帝城へ―――! クロウ達は走る。そのクロウ達に赤帝軍の戦闘ヘリが、そして、花月の復讐に燃える魔人車僧が情容赦なく 襲い来る。凄まじい戦いの末に、歌留多も斃れるが、その代償として、クロウ達はついに赤帝城への侵入を果たす。クロウ、ライ、久遠。ここまで生き残った三 人の前に、赤帝への奥の扉は開かれるのか?! そして、クロウは黒蜜と再び会えるのか?!
赤帝城へ入ったクロウとライは、予想に反する久遠の裏切りによって、マッドサイエンティストの長谷川の手中に落ちてしまう。長谷川から自分の正体を知らさ れ、愕然となるクロウ。長谷川はそのクロウの血をライに注射することで、すべての真贋を確かめようとする。一方、用済みと見なされた久遠には赤帝軍兵士達 の銃口が向けられる。それぞれの忌まわしき宿命が錯綜する先には―――?!
ライの機知と機転 にフォローされ、クロウは長谷川を倒し、なんとか窮地を脱する。が、しばしの安堵の時を得た二人の前に、絶望と狂気に憑かれた久遠が現われる。その久遠の 狂手によって、ついにはライの命の灯も―――! そして、クロウと久遠の凄絶な一騎打ちが始まる。互いの命と、互いの黒蜜への熱情を賭けて。果たして最終 最後の関門を突破するのはどちらか?!
血河屍山の果てに、赤帝の奥の間への扉を開けるクロウ。 そこに待ち受けていたのは、まさに赤帝その者であると同時に、なんと弁慶でもあった。驚きを禁じ得ないクロウに、弁慶は謎の経緯と真相を語る。そして、長 い戦いの旅路の終点、クロウは探し求め続けてきた黒蜜との再会を果たす。しかし、すべての終わりは、またすべての始まりでもあるのだ―――。