三流私大を卒業した武誠治(二宮和也)は、部品会社に就職したが、社風になじめず、たった3ヵ月で辞めてしまう。 中堅商社で経理畑ひと筋に働いてきた父・誠一(竹中直人)は、何故相談もなく勝手に辞めたのか、と誠治を怒鳴りつけた。専業主婦の母・寿美子(浅野温子)は、誠治が自分で決めたことだから、と言ってかばった。誠治は、その気になればすぐに就職できると軽く考えていた。 しかし、就職活動は思うようにいかなかった。誠治は、とりあえずアルバイトを始めたものの、人間関係が上手くいかないとすぐに辞めてしまい、バイトを転々とする日々を送っていた。誠治の姉で、開業医のもとに嫁いだ亜矢子(井川遥)は、自堕落な弟の行く末を案じていた。それでも寿美子だけは、誠治を信じて見守っていた。
武誠治(二宮和也)は、千葉真奈美(香里奈)が大手ゼネコン・喜嶋建設の社員であることを知る。誠治をアルバイトとして雇った大悦土木は、喜嶋建設の仕事を請け負っていたのだ。 ある日、真奈美の発注ミスで現場の作業がストップするという事態が起きる。真奈美は、皆の足を引っ張ってしまったことを悔やみ、残って事務所の掃除を始める。誠治は、そんな真奈美の行為を自己満足だと決めつけた。 誠治が家に戻ると、寿美子(浅野温子)がリビングでゴミ袋の中身を広げていた。集積場所に出した燃えるゴミの袋に、ビンが混ざっていたために戻されてしまったのだ。寿美子は、キチンと分別しないと迷惑がかかる、と言って何度も中身を確認していた。だが、ちょうどそこに帰ってきた誠一(竹中直人)は、その光景を見ても何も言わずに2階に上がってしまう。
武誠治(二宮和也)は、大悦土木でのアルバイトにも慣れ、以前よりも前向きに仕事に取り組むようになっていた。ある日、誠治は千葉真奈美(香里奈)から飲みに誘われる。真奈美は、誠治をとある居酒屋に連れて行く。すると店には、大悦土木で一緒に働いている豊川哲平(丸山隆平)と手島信二(井上正大)が先に来ており、誠治たちを待っていた。そこで誠治は、自分よりも年下の手島が、目標を持って仕事に取り組んでいることを知る。 そんな折、誠治は、武家が出したゴミの袋に、隣人の西本幸子(坂口良子)がこっそりビンを入れているところを目撃する。誠治は、母・寿美子(浅野温子)にそれを報告しようとした。しかし寿美子は、自分が悪い、と言って謝り続けるばかりだった。誠治は、姉の亜矢子(井川遥)に連絡を取り、一緒に寿美子を病院に連れて行く。その際、亜矢子は、以前にも何度かおかしな出来事があったことを思い出していた。事情を知った主治医の岡野忠志(田中壮太郎)は、いまの生活環境に原因があるのなら引っ越した方がいい、とアドバイスした。 誠治と亜矢子は、父・誠一(竹中直人)にこの一件を報告し、引っ越しの相談をする。しかし誠一は、寿美子が心の弱さを治さない限りどこへ引っ越しても同じことの繰り返しだ、などと言ってふたりの言葉に耳を貸そうとはしなかった。
武誠治(二宮和也)は、大悦土木社長の大悦貞夫(大友康平)や先輩作業員の真田勝也(嶋大輔)、塚本学(山本龍二)らに、父親の誠一(竹中直人)と上手くいっていないことを告白する。誠治は、うつ病を患っている母・寿美子(浅野温子)の面倒を誠一に頼みたいが、顔を合わせればケンカになってしまい言い出せないと相談した。大悦は、そんな誠治に、親父さんは家族に対してそういう言い方しかできないのではないか、と告げる。真田も、臨月の妻に、ささいなことでつい怒ってしまったばかりだと続けた。「素直に頼んでみたらどうだ?」。大悦は、そう誠治に助言した。 その夜、事務員の星野あかり(岡本玲)は、合コンで知り合った弁護士・西本和彦(横尾渉)とデートに出かける。あかりに思いを寄せている豊川哲平(丸山隆平)は、誰とデートしようとあかりのことは諦めない、と明るかった。が、西本とデートしたあかりは、そのまま彼と一夜を明かしてしまう。 一方、千葉真奈美(香里奈)は、密かに思いを寄せている山賀亮介(眞島秀和)から食事に誘われる。そこで山賀は、大悦土木を離れて自分の部下にならないかと切り出す。真奈美は、まだ早いと思う、と答えたが…。
武誠治(二宮和也)は、父・誠一(竹中直人)の会社を訪れた。誠一と一緒に飲みに行こうと思ったのだ。が、そこで誠治が目にしたのは、見知らぬ若い女性・島田彰子(玄里)と仲良さそうに歩く誠一の姿だった。誠一たちの後を追った誠治は、ふたりがアパートに入るのを見届ける。ほどなく、部屋の明かりが消えたのを見た誠治は、ショックを隠しきれない。 あくる日、大悦土木で仕事をしていた誠治は、父のことがあったせいで、妻帯者である山賀亮介(眞島秀和)に好意を抱いているらしい千葉真奈美(香里奈)につっかかり、家族の気持ちを考えろ、などと余計なことを言ってしまう。そのようすを見ていた社長の大悦貞夫(大友康平)は、仕事を終えて帰ろうとしていた誠治を呼び止める。誠治は、そんな大悦に、誠一のことを打ち明けた。大悦は、残りの人生が見えた中年が焦ってあがいているだけだと思って大目に見てやれ、と誠治に助言するが…。 その夜、誠治は、誠一と口論になり、女性のことを切り出す。しかし誠一は、お前に彼女のことをとやかく言われる筋合いはない、と答えた。怒りが収まらない誠治は、この家から出て行け、と誠一に言い放つ。 別の日、誠治は、姉の亜矢子(井川遥)とともに、入院中の寿美子(浅野温子)を見舞う。その帰り、誠治は、誠一が浮気していること、そして家を出てしまったことを亜矢子に打ち明ける。すると亜矢子は、今度の日曜日に相手の女性のところに乗り込むと言い出し…。
武誠治(二宮和也)は、大悦土木のアルバイト仲間・豊川哲平(丸山隆平)が突風で倒れた資材の下敷きになり、病院に運ばれたことを知る。誠治は、哲平が収容された病院に向かい、千葉真奈美(香里奈)や社長の大悦貞夫(大友康平)らと合流した。哲平は、意識不明の状態が続いていた。現場の安全責任者である真奈美は、酷くショックを受け、自分を責めた。大悦は、偶発的で避けられない事故だった、と真奈美に告げるが…。
武誠治(二宮和也)は、引っ越しの費用として、とりあえず100万円貯めるという目標を立てる。大悦土木の社長・大悦貞夫(大友康平)は、そんな誠治に会社の経費の見直しを依頼する。誠治は、パソコン一式をそろえ、さっそく作業に取り掛かった。 千葉真奈美(香里奈)は、入院中の豊川哲平(丸山隆平)のことを心配していた。哲平は、見舞いに来た誠治と真奈美の前では明るく振る舞っていた。だが、この先のことを考えると哲平も不安なのではないか、と真奈美はいうのだ。誠治は、いつからでも再スタートできる、と真奈美に告げた。それは、かつて母・寿美子(浅野温子)が自分に言ってくれた言葉だった。 その寿美子は、病状も落ち着き、自分で薬のチェックもできるようになっていた。誠治は、姉の亜矢子(井川遥)にそれを伝え、あと少しで100万円貯まることを報告する。
目標にしていた100万円の貯金を達成した武誠治(二宮和也)は、母・寿美子(浅野温子)のために引っ越したいと誠一(竹中直人)に切り出す。その際、誠一がすでに隣駅の物件を調べていたことを知り、喜ぶ誠治。誠一は、そんな誠治に書店の袋を渡した。その中に入っていたのは、就職試験の攻略本だった。誠治は、ある医療機器メーカーの採用試験を受け、初めて最終面接までこぎつけていたのだ。 千葉真奈美(香里奈)は、設計部門に移ることを決意する。真奈美は、誘ってくれた上司の山賀亮介(眞島秀和)に改めてその件を相談して了承を得ると、誠治にも報告する。就職に向けて間もなく最終面接に挑む誠治と、橋の設計をしたいという夢への一歩を踏み出した真奈美は、互いにエールを送り合い…。 一方、亜矢子(井川遥)は、姑の則子(鷲尾真知子)に謝罪する。亜矢子は、寿美子の病気のことで則子と口論になり、うつ病への偏見は医者の家の人間として失格だ、と言ってしまったのだ。だが則子は、亜矢子が拍子抜けするほど素直な態度で自分の非を認め、うつ病のことをキチンと勉強しておく、と返す。 大悦貞夫(大友康平)をはじめとする大悦土木の仲間たちも、最終面接に臨む誠治を応援していた。そして面接当日、誠治は、寿美子に見送られて面接会場へと向かうが…。
武誠治(二宮和也)は、母・寿美子(浅野温子)と彼女につきまとう悪質な訪問販売員・相沢(ムロツヨシ)との関係を終わらせるために、必死で貯めてきた100万円を手渡す。事情を知った千葉真奈美(香里奈)たちは、弱者を狙うその手口に憤りを覚えながらも、誠治のことがあまりにも気の毒で、かける言葉も見つからない。 そんななか、大悦土木の職長・大悦貞夫(大友康平)は、正社員にならないか、と誠治に持ちかける。事務と営業を任せられる人材を探していた大悦は、誠治なら信頼できると思って声をかけたのだ。ふたりの話を偶然聞いてしまった事務員の星野あかり(岡本玲)は、真田勝也(嶋大輔)、塚本学(山本龍二)、手島信二(井上正大)の3人にそれを話す。真田たちは、誠治が大悦土木に入社すると知って喜んだ。 誠治は、大悦からの話を真奈美に打ち明けると、正直言って戸惑っている、と続けた。そんな誠治に、真奈美は、どの会社に入るかは誠治の基準で決めればいい、と告げる。 誠治が家に戻ると、亜矢子(井川遥)が息子の智也(橋本智哉)を連れて武家に来ていた。亜矢子は、姑の則子(鷲尾真知子)とぶつかって、家を出てきてしまったらしい。それを知った誠一(竹中直人)は、どうせ大した理由じゃないんだろう、と言って亜矢子を責めた。 するとそこに、誠治が最終面接をすっぽかしてしまった会社・ナミキ医療技研から電話が入る。もう一度、誠治と会って話がしたい、という電話だった。
武誠治(二宮和也)は大悦土木の正社員となって1年が経ち、武家は新しい家での生活を穏やかに過ごしていたが、ある日、母・寿美子(浅野温子)の不在時、武家に寿美子の兄・浅岡久志(国広富之)が訪ねてきて、誠治と亜矢子(井川遥)は、両親が寿美子の家族の反対を押し切って結婚したことを知る。また、和歌山で研修中の真奈美(香里奈)が東京に1週間滞在することになり、誠治と真奈美は久しぶりの再会を果たす。真奈美は父を早くに亡くし、その後、母・小百合(風吹ジュン)は再婚。そんな家庭環境から真奈美は母に対して複雑な感情を抱いており、結婚に対しても冷めた感情を持っていた。誠治もまだ、新生活が始まったばかりで結婚を具体的に考えたことはなかったが、ひょんなことから真奈美の母に対面し、真奈美の母親に対する複雑な思いや結婚に対しての冷めた考えを知ってショックを受ける。そんなある日、誠治と真奈美が大悦土木のメンバーと飲んだ帰り道、真奈美は捨てられた子猫を見つける。飼い主が見つかるまで真奈美が面倒をみるという約束のもと、真奈美は母のいる実家で子猫をひきとることに。しかし真奈美が仕事で不在時、子猫に元気がないと真奈美の母が動揺して、急きょ誠治が家に子猫を連れて行くことに。そして子猫の存在がきっかけとなって、武家、そして真奈美と母親の関係が動き出して・・・。