家の近くにはコンビニもなく、あるのは田畑ばかり。そんな典型的な田舎町である奥木染に、穹はウンザリしている彼女を、悠はなだめながら近所のスーパーに向かう。 買い物を済ませると悠はスーパーの隣の自転車屋で予め買っておいた自転車を受け取り、後ろに穹を乗せて奥木染を巡る。悠は「結構いい感じだろ?」と問いかけるが、穹は「別に」と素っ気なかった。 翌日、転入先の穂見学園に1人で登校した悠は、和やかなクラスの雰囲気に早くも溶け込んでいた。一方、体が弱く登校出来ない穹は1人で留守番をしながら悠の帰りを待ち詫びる日々を送っていた。ある日、奈緒を自転車の後ろに乗せている悠の姿を目撃した穹は、その夜、悠に下着姿で迫る……。
穹が悠に下着姿で制服の採寸を迫った日から数日が過ぎた。肝心の制服がなかなか出来上がらないため、穹は未だに登校できないでいた。 ある朝、「蚊が出た!」と大騒ぎする穹のせいで朝から疲れていた悠は、瑛から「蚊帳余ってるからあげる」と言われ、放課後に彼女が住む叉依媛神社に行く約束をする。 このことをきっかけに何となく瑛に興味を持った悠が彼女を観察していると、一葉が何くれとなく瑛の世話を焼いていることに気付くのだった。 放課後になって瑛とともに叉依媛神社を訪れた悠は、瑛がそこで一人暮らししていることを知る。悠はその理由を瑛と親しい一葉に問うが、彼女は自分自身と瑛のためにも、詮索しないで欲しいと告げるのだった。 次の日、プールで一葉が落とした携帯を届けようとした悠は、更衣室で一葉と瑛がじゃれ合っているような声を聞く。2人が睦み合っているのではないかと勘違いして赤面する悠だが、一葉が瑛を「お姉ちゃん」と呼ぶのを耳にして……。
悠は当初、瑛と一葉の関係を誤解していた。だが一葉の口から、瑛とは異母姉妹であること、そして一葉の父親が瑛を認知しないために瑛が一人で苦労していることを告げられる。一葉の苦悩を知りながら、彼女を気遣っていつもどおりの態度で接する悠。そんな彼の優しさを感じた一葉は、海水浴で二人っきりになったことをきっかけに、次第に悠に惹かれ、ともに過ごす時間も増えていくのだった。 ある日、瑛や悠と一緒に叉依媛神社で夏祭りの準備をしていた一葉は、夏祭りの下見をしに神社にやってきた父親と鉢合わせしてしまう。一葉の表情が怒りに満ちているのを見た悠は、口実を作ってその場から一葉を引き離した後、街へと誘うので会った。そして、その帰り道2人は唇を重ねるのだった……。
悠は学校で瑛に、彼女と一葉が腹違いの姉妹であることを打ち明けられた。だが瑛は父親に認知されておらず、これまでずっと一人で生きていたのだった。そんな深刻な真実を打ち明けつつも、笑顔を絶やさない瑛の明るさと強さに、悠は惹かれていく。 その日の夜、悠は自分が瑛と子供のころに出会っていたこと、そして遊んでいる際、幼い瑛が母親のペンダントをなくしてしまったことを思い出した。幼い日に見た瑛の切ない表情を思い出した悠は、一緒にペンダントを探そうと彼女を誘う。 瑛は「無理だよ」というが、「天女目をずっと笑顔でいさせてあげたい」という悠は、諦めずペンダントを探し続ける。その姿に心を打たれた瑛だが、その拍子に転んで悠もろとも泥まみれになってしまった。 泥を落として着替えるために、神社に戻った2人。先に悠がお風呂に入っていたところ、瑛も風呂場に入ってきた。同じ湯船に漬かっているうちに気持ちが高まってきた2人は、互いを求め合うのだった。
夏祭り当日、舞台で舞う瑛の目から涙が零れ落ちるのを見た悠は、社務所に駆け付ける。そこには悠の祖母の『瑛ちゃんと一葉ちゃんは取り違えられた可能性』という一文が書かれた日誌を燃やそうとしている瑛の姿があった。 翌日、悠は学校で瑛から別れを切り出された。大切な人を次々と失ってしまった瑛は、悠もいつか自分のもとから離れてしまうのではないかと考えていたのだ。しかし「永遠になくならないものはあるよ!」という悠は、一葉にすべてを打ち明けてDNA鑑定を申し入れる。そして一葉もそれを了承するのだった。 悠からDNA鑑定を行なうと告げられた瑛は、一葉や悠とともに、鑑定結果を聞く約束をする。だが結果が出る当日、瑛は町から逃げ出そうとしていた。しかし、悠の説得も有り、皆の元に戻った瑛。意外にも彼女の前に現れたのは、一葉の母親であった…。
奈緒と気持ちを確かめ合った悠は、穹に2人の仲を許してもらおうとしていた。だが穹は、話そうとする悠を避ける。そんなある日、奈緒はカレーを作ってみんなで食卓を囲むことを提案する。 穹が自室で昼寝をしていると知らずカレーを作り終えた悠と奈緒は、2人で昔の写真を見ているうちに自然と身体を重ね合う。そのとき、異変を感じて居間に飛び込んだ穹が、「また誘ったのね!」と奈緒に言い放つ。穹は、奈緒が犯した過ちを知っていたのだった。 奈緒を悲しませまいと決意した悠は、穹に責められて憔悴した奈緒を励ましながら、穹に様々なアプローチを試みる。そんな2人を気遣った亮平は、親睦を深めようと悠や奈緒、穹も含めてみんなで海水浴に出かけようと提案。だが肝心の穹だけが、海水浴に来ようとはしなかった。