白熱の水泳大会も終わり、いつものように登校する香月や勇治たち。校門前で初音のファンクラブが出迎えるのもいつものことである。が、今回は違った。ファンクラブは確かに存在するが、それは初音ではなく香月のファンクラブだった。勇治が大会中に撮影した、香月の水着姿にハートを直撃された男子生徒たちが一斉に香月のファンになったのである。彼らから「アイドル」と呼ばれ、戸惑う香月。その一方で勇治は、ファンクラブの存在にいら立ちを感じはじめ、ついには彼らと揉め事を起こしてしまう。 その様子を見ていたのは勇治のクラスメイト、町田と芹沢。2人は、自分の彼女を守るために戦った勇治の姿勢を高く評価する。……と思ったら、勇治本人は香月を「彼女」とは認識していないのだという。その発言に驚く町田と芹沢。2人は幼なじみであり、現在は付き合っている。自分たちと似た境遇である勇治と香月も当然付き合っていると思っていただけに、勇治の一言は衝撃的だった。さらに芹沢は以前、ちはやから聞かされていたことがあった。「香月には忘れられない人がいる」と。その人物が勇治ならば、香月は勇治と付き合うはず。となると思い当たるのは……。芹沢は考えを巡らせ、一つの結論に達した。その人物の名は結城小五郎。香月たちが中学生のとき、教育実習生として彼女たちのクラスに来たことがある。さらに彼は、ちはやの遠い親戚にあたるという。そのため、中学生時代の香月はちはやとともに、学校以外の場所で小五郎と会っていたのだ。その話は、中学生時代に香月と離れていた勇治にとって初耳だった。 そして噂を