後漢の都・洛陽の高級住宅地。高級官僚で宦官の祖父・曹騰の養子・曹嵩の嫡子として生まれた曹操は、幼なじみの曹仁の注意をよそに街中を暴れまわっていた。何ひとつ不自由のない環境で育った曹操は、兵法所や五経を軽く暗記する才能がある上、武芸をも磨いた、いわゆる文武両道に優れた若者。都に出没するようになった盗賊を馬で追いかけ、叩き斬る胆力も持ち合わせていた。
そんな曹操が、剛力の持ち主・許褚と知り合って程なく、義兄弟の契りを交わした仲間、夏侯惇、夏侯淵、曹洪、曹仁とアジトに集まった。曹操らの目的は、都を荒らす爆裂団対策。5人は、目下、李烈という男を頭とする爆裂団との抗争の真っ最中だったのだ。李烈は、秦の始皇帝を気取る“上将”を名乗り、自分が世の中を改める、と民衆をあおっている男。その巧みな言葉に吊られて、爆裂団に加わる兵の数が急増し、逆らう曹操らは賞金首にされていたのだ。
曹操が李烈を倒すために考えた作戦は、その論理を打ち砕き、同時に奇襲を掛けること。夏候惇らを伴って一味を訪ねた曹操は、手下たちの前で李烈の考えの誤りを指摘して軽く論破。動揺する李烈を見た曹操は、金で雇った許褚に崖の上から大岩を投げさせて一味を奇襲した。阿鼻叫喚の中、巨岩に押し潰された李烈は、その場で憤死してしまった。
曹操が、戦いの終結を宣言する中、夏侯惇は、頭を亡くした爆裂団の兵たちが憧れの目で付いて来ることに気付いて―。