パーティーを追放されたばかりの無能な治癒師ラウストの前に、ひとりの少女があらわれた。ナルセーナと名乗った彼女は、ラウストに向けて言った。「お兄さん、私とパーティーを組みませんか?」と。
少年時代のラウストは過酷な日々を送っていた。努力のかいなく〝無能〟の烙印を押され、自信を喪失するラウスト。自暴自棄になって街の外をさまよう彼は、そこである少女と出会い、冒険者を続ける決意をしたのだった。 はたして、その少女の正体とは――。
ラウストを追い出したパーティー「稲妻の剣」のリーダー、マルグルス。遅まきながら追放した治癒師の有能さに気づいた彼は、ラウストをパーティーに再勧誘する。しかし、ラウストは毅然と断るのだった。 次の日、ラウストのもとを訪ねる人影があった――。
ヒュドラの討伐を諦めきれないマルグルス。新たな剣士をパーティーに入れ、性懲りもなくヒュドラに挑む。剣士の腕は凄まじく、徐々にヒュドラを追いつめていく稲妻の剣。しかし、ラウストが駆けつけたとき、ヒュドラの様子に変化が起きる。
マータットの街や迷宮で魔獣関連の異変が頻発するのを危惧したラウストは、冒険者ギルドに対策を講じるように要請する。応対したギルドの上級職員、ハンザムはラウストを相手にしない。それどころか、「怖いのならこの街から出ていけ」と言い放つのだった。
ラウストたちは、ギルドから請け負ったフェニックス討伐のために迷宮に入る。計画通りフェニックスに遭遇、戦いが始まる。準備は万端で、次第にフェニックスを追いこむラウストたち。その時、フェニックスが変異してしまい――。
これまで多くの魔獣を倒してきたことでラウストたちには蓄えができていた。ナルセーナはふたりで一軒家を借りようと提案する。パーティーのメンバーが同じ家に住むことのメリットを口実にしてはいるが、実質はナルセーナによる愛の告白だ。しかし、ラウストの返答は色よいものではなく――。
マータットの迷宮では異変が続いていた。今日も新たな犠牲者が生まれ、それを目の当たりにしたラウストは再度ギルドに対策を要請する。しかし、今回もハンザムに拒絶される。食い下がるラウストに対し、「俺のことを忘れたか?」と問うハンザム。ラウストの記憶が蘇っていく――。
ラマータットの街を大きな揺れが襲う。その揺れと共に、迷宮から大量の魔獣があふれ出る。迷宮暴走がはじまったのだ。魔獣たちは群れをなして街を目指す。存亡の危機を前にして冒険者ギルドが動き出す。まるで暴走を予期していたかのようなギルドの動きを不審に思いつつも、ラウストたちも行動を起こすのだった。
ラウストとナルセーナは、ラルマと共にミストと対峙する。迷宮暴走から街を救うには、ラルマが持てる魔力を利用して防壁を形成し、その間に迷宮の主を倒すしかないと聞かされる。ミストは暴走を予見し、街のために数々の準備をしていたとのだと知るが、それでも心の底から信用することはできず――
ナルセーナが連れ去られた。ミストによって眠り姫として邪竜に捧げられる可能性があると知ったラウストは、それを阻止するために迷宮の最深部を目指す。強力な魔獣を倒しつつ進み、ついにミストに追いつく。そこで語られたミストの真意とは――。
ミストが邪竜の手に落ちた。同時に迷宮暴走の第2波がマータットの街を襲う。街を救うため、ミストに挑むラウストたち。しかし、ミストの体を得た邪竜の力は強大で、まったく歯が立たない。その時、「私を喰らいなさい!」と、ナルセーナが邪竜の前に進み出た。はたしてナルセーナの運命は――。