アリナは大都市イフールにあるギルドの受付嬢。カウンターで笑顔を振りまき、のんびり事務作業をこなして、定時になったら即帰宅。ああ、素晴らしい、安心・安全・安定の受付嬢ライフ! ……なんてものは、夢のまた夢。現実には厄介な冒険者たちへの受付対応に忙殺され、溜まった書類を片付け終わる頃には、定時はすっかり過ぎている。……もう限界! 連日の残業地獄でアリナが我慢の限界に達したとき、隠し持った一面が顔を出す――
ギルドの精鋭パーティ〈白銀(はくぎん)の剣(つるぎ)〉のリーダーであるジェイドに、アリナが〈処刑人〉だとバレてしまった。巨大な大鎚(ウォーハンマー)を出現させる〈神域(ディア)スキル〉にがアリナがに目覚めたのは、2年前。それ以来、受付嬢としての安定した立場を守るため、ギルドの追跡から必死で正体を隠してきた。それにも関わらず何度断ってもしつこく〈白銀の剣〉に勧誘してくるジェイドに、アリナはうんざり。そんなとき、ある冒険者が、アリナたちを逆恨みし、街で巨大なクレイゴーレムを操って街で暴れ始める――
クレイゴーレムの一件をきっかけに、ジェイドに続いて、ギルドマスターであるグレンにも、アリナが〈処刑人〉であることがバレてしまった。受付嬢でいられるのもここまでか……と思いきや、アリナはグレンから、自分の将来をかけた勝負を提案される。グレンと戦い、負けたら〈白銀の剣〉に入り、勝ったらギルドは〈処刑人〉探しから手を引き、アリナの受付嬢としての立場も守るという。ギルド本部の訓練場を舞台に行われた勝負の結果は……。
ルーフェスの〈白銀の剣〉に対する嫉妬心が暴走し、アリナは「白亜の塔」の攻略から外されることになった。得体のしれない危険なダンジョンに挑むジェイドたちを気にかけながらも、受付嬢としての業務に勤しむアリナ。そんな中、ジェイドから渡された仲間の窮地を報せる「導きの結晶片」が、突如光を放ち始めた。アリナは思わず、ギルド本部にある転移(クリスタル・)装置(ゲート)へと駆け出す――
もうすぐイフールでは年に一度、町全体が大々的に盛り上がる「百年祭」が開かれる。とても楽しみにしているアリナだが、参加するためには大きな課題があった。百年祭の開催期間、増額されたクエストのクリア報酬を目当てに押し寄せる冒険者たちへの対応で受付嬢は忙殺されてしまう。百年祭を楽しむために、なんとしても効率よく仕事を回そうと意気込むアリナだったが、百年祭前にも関かかわらず突如イフール・カウンターが大混雑し始め……。
「〈神域(ディア)スキル〉が手に入る遺物(レリック)がある」 そんなデマがまことしやかに広まり、冒険者たちが殺到したことで、イフール・カウンターは大混雑。無駄に仕事を増やされた怒りに震えるアリナは、デマの出どころを探りに向かう〈白銀の剣〉に同行することに。狙い通り、デマを吹聴する悪質な冒険者たちが、初心者パーティーに擬装した〈白銀の剣〉に声をかけてきた。その冒険者の中にはルルリの過去を知る人物がいて……。
待ちに待った百年祭の初日。無事に仕事を終わらせ、この日を迎えられたアリナは、仕事を手伝ってくれたジェイドと1日だけ一緒に百年祭をまわることに。ようやく目にすることができた賑やかな百年祭の光景に珍しく無邪気に大はしゃぎ。そんな明るく楽しい祭りの様子をよそに、ルルリはロウに付き添われながら、牢に入れられているアイデンの元を訪れる。