「あなたの行くところはありません」。50代半ばの男性は、自分の会社が無くなった日に言われた言葉が忘れられない。今から10年前の2011年4月1日、大手電機メーカー「三洋電機」のブランドが消滅。パナソニックの完全子会社となり、三洋電機は事実上無くなった。国内外10万人の社員のうち、パナソニックに移籍したのは7000人ほど。残りの人たちは散り散りになった。60年以上の歴史を誇り、数々の画期的な製品を生み出してきた大手電機メーカーの消滅は衝撃的だった。あれから10年、「元三洋」社員たちはどうしているのか?カメラを向けると、そこには、混迷の中でもがきながらも、たくましく生きる姿があった。コロナ禍で多くの企業が苦しみ、破綻する所も出ている今、逆境から立ち上がり闘い続ける人々から見えてくるものとは...。