「静かに暮らしたいなら、勇者が来なくて土地も安い、超辺鄙な場所が良いのではないかと思いまして。」という極端な思考のディアリアに紹介された次なる物件の候補は、一面雪景色の“アルブス氷地”だった。雪を駆使して見事に家を完成させるレティであったが、やはり今回も簡単に事は進まない様子。雪原での生活は人間による驚異が少ないが生きていくこと自体が過酷であるため、一度実際に体験した方が良いという理由から、レティは強制的に3日間のサバイバルをさせられることになる。慣れない土地、そして臆病で小心者の性格から、不本意に行うことになったサバイバルは前途多難を極めた。そんな最中、レティは謎の生物の卵を発見するのであった。
ドラゴンの噂を聞きつけた人間に捕まったレティは牢獄に入れられていた。死を覚悟するが、ピーちゃんと共に必ず脱出することを決意した時、牢獄内で出会ったのは場所に似つかわしくないハイテンションのモンスターたちだった。そこは人間の辺境伯が所有する闘技場の地下で、狩人や勇者に倒される心配がなく、監視も緩ければ食事も美味しいと、まさにモンスターにとって至れり尽くせりの理想の環境。人間との新しい共存の形を目の当たりにして素直に感心するレティであったが、頭をよぎるのは、きっと自分たちを探してくれているであろうディアリアのことだった。果たして、レティたちは牢獄を出ることができるのだろうか? …そもそも、出る必要があるのだろうか!?
ディアリアとレティが出会う前のこと。魔王であるディアリアの元に「家をくれ!」と突然訪ねてきたのは、世界中で勇者の屍の山を築き、時には迷宮の主とも言われていた、暗黒竜のバーニーだった。面倒くさいことに巻き込まれたくないという理由から、初めは自分には関係ないことだと取り合わなかったディアリアであったが、師匠であるヨルムンガンドに諭される形で渋々、家探しを手伝うことになる。話を聞かない、非効率的な行動を取る、自由奔放なバーニーにほとほと呆れ果てていたディアリアであったが、家探しの旅を続ける中で、そんな彼の行動や言動に興味を持ち始めるのであった。これが後に100年続く魔王と黒竜の家探しの始まりだった。
狩人(ハンター)のヒューイはお供のケット・シーであるアルバートを連れて、赤きドラゴンを追っていた。とある筋から手に入れた情報を頼りに辿り着いたのは普通の家。ドラゴンと常に戦える自信があった狩人だったが、あまりにも個人住宅感丸出しのその住処を前に狩人の中の良心が問いかける…「個人宅に押し入るなんてマナー違反じゃないのか?」。そんな狩人の苦悩などつゆ知らず、勇者たちは自分の家のようにズカズカと住処に侵入していく。様子を伺うヒューイとアルバートであったが、そこで聞いたのは赤きドラゴン、すなわち炎竜王が世界を征服しようとしているという衝撃の新事実であった。果たして狩人は無事に炎竜王を討伐することができるのであろうか?