1999年2月。宮崎で暮らす皆川寛子(伊東美咲)たち家族の幸せは、弟の勇太郎(森山未來)が東京の慶聖医科大学に合格したことから始まった。 2001年には、寛子が“ミスポンカン娘”に選ばれ、コンテストを統括していた広告代理店の谷口誠(鈴木一真)と知り合い、交際が始まる。2003年には寛子の父、源太郎(宇津井健)が営む焼酎酒造『みながわ』の焼酎が、芋焼酎鑑評会の大賞を受賞。源太郎は、経営コンサルタントと名乗る瀬古博也(奥田達士)とパートナー契約を結び、事業拡大に踏み出した。そして寛子は、交際中の谷口からプロポーズを受ける。 すべてが順風満帆のはずだった皆川家は、突然、不幸に見舞われる。源太郎とパートナーを組んだ瀬古が、突然消えてしまい皆川酒造は倒産。多額の借金を抱えることに。寛子も東京に戻った谷口と連絡が取れなくなる。そんな折、源太郎が心労から倒れてしまった。皆川家の希望は勇太郎のみ。病床の源太郎は、倒産のことも、自分が死んだとしてもその死さえも、医師国家試験を控えた勇太郎に告げないよう頼む。そして、源太郎は帰らぬ人となってしまった。 源太郎の葬儀中、寛子に谷口から電話が入る。ようやく通じた婚約者の声に安堵する寛子だが、谷口から一方的に婚約破棄を通告されてしまう。もはや、希望のかけらもなくした寛子は断崖絶壁にさまよい出るが、そこで父の言葉を思い出し…。 寛子は単身、飛行機に乗り込む。隣席に乗り合わせた武田育夫(高嶋政伸)は、寛子の美貌にうっとり。そんな時、客室乗務員が医師を探してやってくる。食べ物を喉に詰まらせた乗客がいるらしい
皆川寛子(伊東美咲)は、東京で研修医をする弟、勇太郎(森山未來)のアパートに転がり込んだ。相変わらず勇太郎は寛子を嫌っていた。 ある日、アパート近くを歩いていた寛子に、田中(荒川良々)と市橋(おかやまはじめ)という二人の借金取りが近づく。実家の倒産によって、多額の借金が残っていた。寛子は、それを勇太郎に知られまいとしていたが、そんな事情を知らない勇太郎は、早く宮崎に帰るよう再三言うのだった。 病院に出勤した勇太郎は、武田育夫(高嶋政伸)から岩田陽蔵(坂上二郎)という患者の担当を命じられる。初めて難しい患者を任された勇太郎は大張り切りだったが、岩田は看護師たちも手を焼く女好きで、病棟でも有名な厄介な患者で当然勇太郎の話など聞こうともしない。 一方、寛子は借金返済のために仕事を探していた。しかし、借金をすぐに返済できそうな仕事は中々見つからない。そんな寛子がアパートに戻ると、入り口で矢沢俊也(金井勇太)が待っていた。矢沢は、キャバクラ『ブルーベルベット』で働くよう必死に口説き、寛子は再び『ブルーベルベット』で働くことになる。 夜の『ブルーベルベット』。昼間は看護師の北村さおり(釈由美子)=源氏名・由希は店のナンバーワンとして見事な接客ぶり。その傍らで、寛子=源氏名・みひろは野口小春(濱田マリ)の指導の下、寛子ならではの個性で客を虜にしていた。 次の日病院で、勇太郎は浮かない表情の田村愛(榮倉奈々)を発見し、先日もらったTシャツを着ていることを示して愛を喜ばせようとする。だが、そこに中村拓未(平岡祐太)が現れ、
皆川寛子(伊東美咲)が“みひろ”という源氏名で勤めるキャバクラ『ブルーベルベット』のナンバーワンは源氏名を“由希”と名乗る北村さおり(釈由美子)。さおりは、接客中に見せる優しい笑顔とは裏腹に、普段はめったに笑わない。寛子はそんなさおりを不思議に思っていたが、店のキャバクラ嬢たちは、さおりに対して、いい感情は持っていなかった。そんな“由希”のバースデーが間近に迫っていた。 一方、慶聖医科大学付属病院では、勇太郎(森山未來)が中村拓未(平岡祐太)の態度を気にしていた。実は、拓未はある患者からキャバクラで働くさおりの写真を入手していた。勇太郎は、さおりを気遣って人違いだと言い、写真をわざとシュレッダーにかけてしまう。 マンションに帰った勇太郎は、寛子にさおりのことを聞くが、寛子は“由希”が昼間、勇太郎の病院で看護師として働いていることを知らない。 翌朝、勇太郎は病院でさおりを呼び出し、夜キャバクラで働いているという噂が病院内に広まらないようにすると言うが、さおりは意に介さない様子。その会話を聞いていた田村愛(榮倉奈々)が勇太郎に接近。愛は、さおりが父親の田村伸一(児玉清)に、看護師の仕事だけでは返すことのできない借金があると話しているところを聞いていたのだ。 疑念を抱き続ける拓未は、武田育夫(高嶋政伸)や患者の前でも、さおりへあてつけるような言動をする。しかし、そんな拓未のあてつけもさおりはさらりとかわす。それどころか、拓未はいい加減な仕事ぶりを注意されてしまう。またさおりは、病院でもキャバクラ同様、看護師たち
皆川寛子(伊東美咲)がキャバクラ『ブルーベルベット』で働いていることを知った武田育夫(高嶋政伸)は、店を訪ねる。そして、寛子が店で働く姿、昼間は同じ病院で働く北村さおり(釈由美子)の接客する姿を目の当たりにし、動揺を隠せない。 一方、勇太郎(森山未來)は、田村愛(榮倉奈々)とクラシックコンサートへ。本格的なデートに浮かれる勇太郎だが、愛はどこか浮かぬ顔。コンサート後に、勇太郎は食事へと誘うが、うまく断られてしまった。 翌日、勇太郎は病院で愛の父、田村伸一教授(児玉清)に声をかけられる。デートの件で何か言われるのでは…と思った勇太郎だが、田村教授は近頃の愛が何事にも上の空の様子だと聞かされる。そして、そんな愛を気にしてやって欲しいと言われ、さらに舞い上がるのだった。 その愛は『ピントリッキョ』で寛子に恋愛相談。寛子は、愛が好きなのが研修医と聞いて、確かめもしないうちに勇太郎だと早合点。そして寛子は、愛を連れて職業斡旋所『スターエレファント』へ。寛子は次なるアルバイトとして、選挙演説の手伝いをすることになる。 病院では、勇太郎、武田、そして愛とそろって上の空。その頃、勇太郎と同じ研修医の中村拓未(平岡祐太)は、先日誘いに応じなかったさおりに理由を聞きに行くが、冷淡にあしらわれてしまう。 その夜、アパートに帰った勇太郎は上機嫌。キャバクラから帰った寛子も、いつもと違う様子の勇太郎に気付く。 翌日、拓未が合コンをやろうと勇太郎に持ちかけてきた。愛も出席すると聞いて、勇太郎は飛びつく。愛は、またもや寛子に合コン
皆川寛子(伊東美咲)が、置手紙を残して宮崎に帰ってしまった。ホッとするはずの勇太郎(森山未來)だが、自分が寛子に言い放ってしまった言葉が原因かと少し気にかかっている。勇太郎以上に心配しているのが、武田育夫(高嶋政伸)と田村愛(榮倉奈々)。また寛子をスカウトした『ブルーベルベット』の矢沢俊也(金井勇太)もガッカリ。 そんな店に寛子を必死に探す男たちが来る。借金取りの田中(荒川良々)と市橋(おかやまはじめ)だ。二人は、借金を踏み倒されたら大変と店長の鎌田鉄男(鈴木浩介)に寛子の行方を問いただすが、寛子の行方は誰にも分からなかった。 そんなある日、勇太郎のアパートに武田と愛が来ていた。ついに我慢できなくなった武田は、寛子を探しに宮崎へ行くと立ち上がる。勇太郎が必死に止めていると…いつの間に戻ったのか“2005ミスポンカン娘”のたすきをかけた寛子が玄関にVサインをして立っているではないか。みんなの心配をよそに、寛子は4 年に一度のコンテスト出場のために宮崎に帰っていたとアッサリ。勇太郎があきれ返っていると、寛子の後ろから皆川麻実(美山加恋)と名乗る女の子が出てきた。勇太郎も武田も寛子の娘と思い絶句。実は麻実は寛子たち姉弟の親戚の娘で、小さい頃に別れた父親に会うため、上京したのだった。 可愛い麻実は武田と愛に大好評。しかし、アパートに残った麻実は、勇太郎に命令するわがままぶりを発揮し始める。勇太郎は、父親に会ったらすぐに麻実を宮崎に帰すようにと寛子に約束する。 しかし、麻実のメモを頼りに訪ねた場所に父親はいなかった。武田と
キャバクラ『ブルーベルベット』で働く皆川寛子(伊東美咲)に、テレビ局のプロデューサーだと名乗る男(中川家礼二)が近づいてきた。その男は、テレビ番組で寛子の働いている姿を見せて視聴者に焼酎『みながわ』への関心を高め、復活させようと言い出した。寛子は、その提案に快諾する。 勇太郎(森山未來)は、武田育夫(高嶋政伸)、田村愛(榮倉奈々)と宮崎の郷土料理屋で食事中。そして店でテレビを点けるとそこには、寛子の姿が。借金返済のために一生懸命働く寛子を追いかけていたその番組に、関心を寄せる武田と愛。しかし、番組でアパートの部屋の中まで映された勇太郎は大迷惑。 全国放送されたその番組を見て、望月大地(鶴見辰吾)という男が『みながわ』に関心を示していた。また『ブルーベルベット』が映し出され、一緒に映っていた北村さおり(釈由美子)に関心を示す男も…。 勇太郎がアパートに帰ろうとすると、武田もついて来た。放送で感銘を受けた武田は、今夜こそ寛子に告白すると言うのだ。そこに、寛子が小春(濱田マリ)を伴って『ブルーベルベット』から帰宅。武田は小春に、今日こそ寛子に告白すると語るのだが、小春は告白するには武田にはパッションに欠けているという。勇太郎がテレビ出演のことで寛子を怒ろうとすると、寛子は新聞配達のアルバイトに行くとアパートを飛び出して行ってしまった。 番組を見た人たちの声援を一心に浴びる寛子だが、足元をふらつかせて倒れ、勇太郎の病院に担ぎ込まれてしまう。入院した寛子は、ある病室に入るさおりを見つける。そこには北村太一(小室優太
『ブルーベルベット』で働く皆川寛子(伊東美咲)のもとに、望月大地(鶴見辰吾)という男が現れた。望月は、寛子が抱えている借金の返済を申し出る。そして寛子の夢、焼酎『みながわ』の復活を共同で成し遂げようと持ちかけた。即答を避けた寛子は、望月の車で勇太郎(森山未來)のアパートへ送ってもらう。そんな寛子を、武田育夫(高嶋政伸)が見ていた。 次の日、医局で武田は勇太郎に最近の寛子の様子を尋ねる。武田は、望月と寛子の交際を疑っていたのだ。そして夜、武田が『ブルーベルベット』に行くと、寛子は望月を接客中だった。小春(濱田マリ)にあおられ、最大のライバル登場と焦る武田。だが、望月は『みながわ』復活を寛子に必死に説いているだけであった。寛子は、勇太郎に相談してから答えると約束した。 アパートに戻った寛子は、早速、勇太郎に相談を持ちかける。勇太郎も小春同様、望月の話の上手さに騙されているのではないかと疑問を持つ。その時、寛子がテレビのニュース映像に望月を発見した。話を持ちかけたのが、その人だと名刺まで見せる寛子に勇太郎は呆然。望月は、テレビに出るほどの有名な青年実業家だったのだ。 翌日、寛子と勇太郎は望月のマンションへ。小春から話を聞いた武田は、寛子の一大事と駆けつけ、望月のマンションを監視。望月は、やって来た姉弟を高級料理でもてなし、『みながわ』復活に対する熱意を語る。借金返済と寛子の夢である『みながわ』復活が実現するのであればと、勇太郎は望月の腕に賭けることに決めた。 『みながわ』復活へのプロセスは、順調に進み始める。寛
皆川寛子(伊東美咲)は実家の焼酎『みながわ』復活に向けて、本格的に動き始めた。武田育夫(高嶋政伸)の手伝いで、焼酎のタネイモを植えたり、浴槽を使って製麹の真似事をしたり。そんな姉を横目に、勇太郎(森山未來)も『みながわ』復活を目指し、経営コンサルタントのもとを訪ねていた。 寛子のテレビ出演や『みながわ』の広告により、アパートにまで激励の電話がかかってくるようになった。そんなある日、寛子は母親の容子(萬田久子)に会って欲しいという五十嵐祐一(矢柴俊博)と名乗る男の電話を受けた。死んだと思っていた母親が「生きている」という五十嵐の言葉に寛子は動揺。すると、横から勇太郎が受話器を取り、電話を切ってしまった。 確かに寛子たち姉弟の母親と名乗り出る女性は増え、『ブルーベルベット』に押しかけていた。店長の鎌田鉄男(鈴木浩介)たちは、本当の母親を捜そうと皆川家カルトクイズを実施。しかし、勝ち残ったのは小春(濱田マリ)。みんな偽者だった。 がっかりして家路につく寛子の前に、五十嵐が現れた。五十嵐は、容子が寛子の出演したテレビを見て泣いていたと告げ、かつて家族で撮影した写真を見せる。寛子は、容子が生きていることを信じ、会いたいと申し出ると、五十嵐は日曜日にとある老人ホームに行けば会えると教える。 アパートに帰った寛子は、五十嵐から渡された写真を勇太郎に見せた。だが、勇太郎は容子を母親だとは認めない。生きていたのなら、なぜ今まで名乗り出なかったのかが引っかかっていたのだ。それでも寛子は、容子が生きていたことが嬉しくて仕方がな
皆川寛子(伊東美咲)と勇太郎(森山未來)のアパートにやって来た母の容子(萬田久子)。当初は、自分たちを捨てた容子を受け入れることができなかった勇太郎も徐々に心を開きはじめていた。だが、その矢先、容子がお金を持ってアパートから出て行ってしまう。しかも、そのお金は寛子が容子と勇太郎の3人で温泉旅行をしようと取っておいたお金。だが、寛子はそれを勇太郎に言い出すことができずにいた。 勇太郎は、容子たちとの温泉旅行を楽しみにしている様子で、武田育夫(高嶋政伸)にも、照れくさそうに話していた。その姿を見ると、寛子は容子の失踪を勇太郎になおさら言えなくなっていた。 一方、北村さおり(釈由美子)の息子、太一(小室優太)の病室には根本俊哉(岡田浩暉)がひんぱんに現れるようになっていた。根本の出現はさおりだけではなく、中村拓未(平岡祐太)や病院のスタッフにも波紋を投げかけていた。 『ブルーベルベット』に出勤した寛子は、野口小春(濱田マリ)にだけ容子の失踪を話す。 その頃、勇太郎は田村愛(榮倉奈々)と『ピントリッキョ』でデート。愛は将来の進路で悩んでいた。ふと二人が気づくと、斑目潤(佐藤二朗)にいつもの元気がない。その理由を勇太郎に聞かれた斑目は『ピントリッキョ』の閉店を伝える。 アパートに帰った勇太郎を田中(荒川良々)と市橋(おかやまはじめ)が待っていた。二人は今週中に借金の利子600万円だけでも返済しないと『みながわ』の土地が競売にかけられそうだと報告する。勇太郎は、帰ってきた寛子にそれを話し、300万円ずつ用意しようと言う。勇太
皆川寛子(伊東美咲)は、『みながわ』復興のために貯めていた金を母・容子(萬田久子)のために使ってしまった。そのために、勇太郎(森山未來)との間に、深い溝が出来てしまう。勇太郎は、このままでは医者になることも嫌になってしまうと田村伸一教授(児玉清)に告げ、東京から出て行ってしまった。 寛子は、田村教授を訪ねて勇太郎の行方を聞くのだが、今は温かく見守ってほしいと言われてしまう。勇太郎がいなくなってしまったことですっかり元気をなくした寛子を心配する武田育夫(高嶋政伸)は、何とか元気づけようとするのだが、寛子はアパートに引きこもったまま。そんな寛子に、北村さおり(釈由美子)から電話が入る。元夫から逃れて病院と『ブルーベルベット』を辞めたさおりは、息子の太一(小室優太)のことなどで礼を述べ『みながわ』復活の日を待っていると寛子に告げた。だが、勇太郎や容子の行方が分からない寛子には、さおりの言葉も虚しく響くだけだった。 寛子が無断欠勤し、さおりも辞めてしまった『ブルーベルベット』は、まるで灯が消えたようだった。そして、さおりがいなくなったことで中村拓未(平岡祐太)もすっかり意気消沈していた。 その頃、勇太郎は地方のある病院で働いていた。勇太郎の働く病院を知る田村愛(榮倉奈々)は勇太郎に電話し、アメリカに留学をすることを決めたこと、そして寛子が寂しがっていることを告げるが、勇太郎は関係ないと答える。 『ブルーベルベット』のメンバーや斑目潤(佐藤二朗)、田中(荒川良々)、市橋(おかやまはじめ)はみんなで寛子のアパートへ。