喫茶店ランプ館がうさんくさいそのスジの人たちで満席になった。理由は茉莉香。彼女が海賊船・弁天丸の船長の娘で、船長亡き今、弁天丸を継承する資格を持つのは彼女だけなのだ。 だが当の茉莉香はそんなことには一切気づかず、いつもの通り。ところがついに店内で銃撃戦が勃発する。 転校生のチアキ・クリハラに手をひかれて、茉莉香はかろうじて抜け出す。 状況がわからず戸惑う茉莉香にチアキは説明する。店にいたのは軍の情報部から軍人、マフィアたちなどわけありのメンバーばかり。彼らの目的は、海賊船・弁天丸の新船長候補の茉莉香を見にきていたのだ、と。 そしてその夜、茉莉香は母・梨理香に連れられて出かける。そこで梨理香が語ったことは……。
かつてセレニティの民を運んだ恒星間移民用世代間宇宙船、黄金の幽霊船。 ふたたび亜空間に姿を消した幽霊船だったが、弁天丸はその巨大な船内の中にいた。 茉莉香はグリューエルを促す。「お宝のところへ行きましょう」「わかりました」。 幽霊船の中を進みながらグリューエルは茉莉香に尋ねる。 「この宇宙で真に普遍的な価値を持つ物があるとしたらなんだと思いますか?」。 旧式のディスプレーを備えた宝物庫の扉が開く。 だがそこに残っている宝物はなかった。それは過去の経済危機の折、セレニティ王宮によってすでに持ち出されていた。 だがそれはグリューエルも既に知っていた。 では真の宝物とは何なのか。茉莉香とグリューエルはさらに奥へ進む。
黄金の幽霊船はセレニティに帰還した。 その功績によって、グリューエルから叙勲を受けた茉莉香は、一躍有名人になってしまった。 おかげで白凰女学院の新入生の数まで増える騒動に。 さらに留学を延長したグリューエルに加え、グリュンヒルデも留学してくる。 ランプ館を訪れたグリューエルとゆっくり会話をする。 グリューエルが弁天丸を訪れる前のセレニティは紛争寸前だったという。対立する派閥がグリューエルとグリュンヒルデを担ぎ上げていたのだ。 だが、茉莉香の黄金の幽霊船を持ち帰ろうという発案で、セレニティは救われたと。 グリューエルはその感謝の印に、あるものを茉莉香に手渡す。それは父・ゴンザエモン加藤ゆかりのものだった。
銀河帝国の生物研究所から預かった生体コンテナを星系防衛軍の病院船まで届ける弁天丸。 なんてことはない簡単な仕事がすべての発端だった。 弁天丸から昼の定時連絡がないと気がついた学院の茉莉香。やがて、梨理香のところに連絡が届く。 それは生体コンテナに入っていたネコザルからの感染により、乗組員が全員病院で隔離されてしまったのだ。 茉莉香は、乗組員不在の中、当座の仕事をキャンセルしようと保険会社に連絡を入れる。しかし、保険会社のショウは、隔離は1カ月に及ぶ可能性もあると指摘。その間に海賊業務を行わなければ、私掠船免状が無効になってしまう。 どうにかしてクルーを集めて、海賊業務を行わなくてはならないが……。
ヨット部のメンバーが海賊業務を手伝ってくれることになった。 オデット二世号でステーションを出発し、停泊中の弁天丸に接近して乗り移るという計画だ。 出発後、グリュンヒルデとグリューエルが密航していたことがわかる。 手引きをしたのはチアキだった。 ヨット部のメンバーが弁天丸を使おうとしていることは、さっそく病院のクルーの知るところとなった。 茉莉香はミーサから連絡をもらったが、心配をかけると思い、ヨット部が弁天丸を使うことは明かさなかった。 そして弁天丸クルーは、一筋縄ではいかない弁天丸をヨット部のクルーが無事使いこなせるようにと素人向けのマニュアルを作り始める。 果たして女子高生たちは海賊業務に成功するのか?
弁天丸に仕事を依頼してきたのは、意外にもヨット部部長のリンだった。 中央航路の客船アルティメット・フェアリー。そこから前部長のジェニーを連れ出してほしいと。 ジェニーもそのことは了承しているという。その理由は望まぬ政略結婚。 ジェニーの実家は大手運輸会社のヒュー&ドリトル星間運輸。 家業のために政治家と結婚することを命じられたジェニーをそこから救いだし、 本人が進学を希望する宇宙大学にまで送り届けてほしいという。 ヨット部員の志気はあがるが、チアキはシナリオのないアドリブ仕事なんて危険すぎると主張する。 場合によっては私掠奪船免状もとりあげられる可能性がある。それを理解した上で、茉莉香は仕事を引き受ける。
ジェニーとリンの未来、海賊としての自分自身の運と可能性をかけて、茉莉香はジェニーに協力することを決める。 ジェニーを政略結婚させ、ヒュー&ドリトル星間運輸の経営を我が物にしようとする伯父のロバート・ドリトルは、 戦艦ジャバウォッキーを含む護衛艦隊を動かし弁天丸を狙う。反撃の手段を考える茉莉香たち。 そこで標的に上がったのが、ジェニーの政略結婚の相手、星間運輸長官の長男ジュナイ・クールフ。 彼の弱みを探ることで現状を打開しようというのだ。 一方、病院にいる弁天丸クルーたちは、ヒュー&ドリトルをハッキング。 茉莉香の助けとなる極秘データを入手する。護衛艦隊の攻撃は続き、ジャバウォッキーが弁天丸に迫る……。
ディンギー(ヨット)を使った宇宙レース、ネビュラカップに出場しよう、と盛り上がるヨット部の面々。 ところが実際にディンギーを操ったことがあるのは、アイだけ。後は皆、シミュレーション経験しかない。 そこに入ってきたのは元顧問のケイン。「時間がなく実戦経験もない、ないないづくしのこの状況。俺がやらねば、誰がやる」。妙に熱血なケインの下、ハードなトレーニングを課せられるヨット部員たち。 茉莉香はさすがにその乱暴なやり方に疑問を感じるが、シミュレーターを降りた時に、既にケインの姿はなかった。 それにしても白凰女学院ヨット部は過去に一度もネビュラカップに出場したことがなかったのか。 調べたところ驚きの事実が発覚する。
ネビュラカップの会場、風凪星に到着したヨット部の面々。 チアキも海森星チームの助っ人として大会に参加していた。 独特のピリピリとした雰囲気が漂う会場。その原因は実は白凰女学院にあった。 6年前、ネビュラカップを舞台に起きたある事件。その事件の元凶こそ白凰女学院ヨット部だったのだ。 トラブルメーカーとしてヨット部は関係者からも、他校からもマークされての出場となった。 一方、レースの警備を依頼された弁天丸。 茉莉香は大気圏内に入れない弁天丸を宇宙に置いて、自らディンギーに乗り込んで警備を行おうとする。 グリューエルがスタートの合図を告げ、いよいよレース開始。 波乱含みの予感の中、各校のディンギーは難コースへと挑んでいく。
高等部二年もそろそろ終わりに近づき、学年末試験を控えた茉莉香。 リンたち三年生が卒業すれば、今度は茉莉香がヨット部部長になる。 そんなある日、三日前に海賊船シルバーフォックスが襲われたというニュースが入ってくる。 それは海賊狩りの仕業だ。保険組合のショウから弁天丸に届いた情報によると、 海賊狩りは週に1回のペースで、いずれかの海賊を襲いつつ、たう星系へと近づいているという。 現在海賊船は50~60隻あると考えられる。そのどれが狙われるのか、予測は難しい。 正体不明の海賊狩りに対し、対策を検討する弁天丸クルー。 茉莉香はそこで皆に意外な提案を持ちかける。 果たして茉莉香のアイデアは海賊狩りへの有効な対策なるか。
海賊たちはかつて、独立戦争のために一度だけ共同戦線をはったことがあった。 そして今、新たな危機に対抗するため、海賊たちは再び共同戦線をはろうとしていた。 弁天丸の前に再び姿を見せたグランドクロス。 重力制御が可能なグランドクロスは、慣性に縛られることなく自在に進路を変える。 苦戦を強いられる弁天丸だったが、傷つきながらもかろうじてグランドクロスに一矢報いることに成功する。 そして、弁天丸はケンジョー・クリハラを始め、共同戦線に参加する海賊たちが集まる「海賊の巣」へと向かう。 海賊の巣には続々と各海賊が集まりつつあった。 海賊たちが揃うまでの間、修理が行われる弁天丸。そして茉莉香は、思わぬ人物と遭遇する。