春野藤(池田エライザ)の大学時代の友人、堀川美和(佐藤玲)は、大阪で一人暮らしをしているが、事情により一時的に滋賀の実家に帰ることに。 そこで美和は大阪で飼っている亀の世話を藤にお願いをする。藤自身も仕事の都合上、長期有休消化という流れでこれ幸いと、美和の家で過ごすことになる。 また、SNS で植草千明(田口トモロヲ)が関西の名建築巡りをしていることを知っていた藤は、千明に大阪にいることを伝え一緒に名建築でランチをすることになる。 二人が久しぶりの再会を果たしたのは昭和 7 年に日本綿業俱楽部の建物として開館した「綿業会館」。昭和初期、大阪では紡績業が栄え、人口は東京よりも多く、世界でも第 6 位の巨大都市だった。そ の頃を“大大阪時代”と呼び、当時建設された多くの建築が今もなお残っている。藤は綿業会館の繊細 かつ壮大な造りに感銘を受ける。
植草 (田口トモロヲ)は、昔なじみの喫茶店の女将(安奈淳)に京都の姉に会いに行かないのかと問われるが、名建築巡りを言い訳にし、藤(池田エライザ)をランチに誘う。 最初に向かったのは、大大阪時代に街のランドマークとして親しまれた時計台のある生駒ビルヂング。アール・デコを基調にした乙女建築に心躍り、また戦時中、接収されず残った時計塔の鐘や、焼夷弾の跡が残る床など、激動の時代を生き抜いた建築の歴史にも触れ感動する藤と千明だった。 次に向かったのは、南米マヤ・インカの装飾を纏ったエキゾチックな雰囲気の芝川ビル。 建築巡りを終えた2人はビルの1階にあるお洒落なベトナム料理でランチを楽しむ。 帰宅後、休暇中にもかかわらず仕事の連絡が来た藤。美和(佐藤玲)にそんな上司の愚痴を言うのだが…
千明(田口トモロヲ)は日課の散歩中に起きるある出来事に腑に落ちないものを感じていた。藤(池田エライザ)がカメに餌をやっているとそんな千明からランチの誘いが入る。 最初に向かったのは、日本の近代建築の父と称される建築家・辰野金吾によって設計された日本銀行大阪支店旧館。外観はベルギー国立銀行などをモデルにしたといわれ、古典主義の流れを受け継いだデザインとなっている。 この日、2人がランチに向かったのは大阪ガスの本社として建てられた通称ガスビル。眺めのいいモダニズム建築の食堂で名物のカレーと洋食ランチを堪能する。 藤が家に戻ると、美和(佐藤玲)が実家から帰ってきていた。藤は美和に対して思っているまっすぐな気持ちを話すのだが…。
藤(池田エライザ)と千明(田口トモロヲ)は仕事が忙しく最近連絡を取っていない 。 と、そこへ 久しぶりに千明から横浜 の名建築巡りの誘いの連絡が入る 。 向かったのは、日本を代表する建築家・前川國男が手掛けた神奈川県立図書館と音楽堂。 前川の師匠ル・コルビュジエ譲りの美しい色彩でデザインされた壁や、太陽光の取り込みを綿密に計算した外壁のブロ ックなど、戦後を代表するモダニズム建築を堪能する。 横浜の名建築巡りをしている中、千明が横浜へやって来た本当の目的を察した藤は、千明をホテルニューグランドへ誘う。 そこで千明を待っていたのは、気品のある女性、宇野依子(加藤登紀子)。 渡したいものがあると彼女が差し出したのは 、 建築家であった 父・幸一 による手書きの設計図であった…。