時速100キロを超える世界最速の走りで獲物を捕らえるチーター。だがその常識を覆すチーターの狩りが最近、アフリカ南部のナミビアから報告された。研究者が70回の狩りのスピードを測定したところ、最高時速の平均はたったの30キロほど。だが獲物はちゃんと捕まえている。自慢の俊足を生かさずに、いったいどんな狩りをしているのか? 今回、研究者とともにチーターの首に小型カメラを装着し、その秘密を探ることにした。するとチーターは「ブッシュ」と呼ばれる低木の茂みを巧みに利用していることが分かった。獲物の後方およそ20メートルを追いかけるチーター。視界から獲物が消えて逃げられたかと思った次の瞬間、突然チーターの目の前に再び獲物が現れる。まるでチーターが瞬間移動したかのようだ。 映像を詳しく分析したところ、チーターは獲物の速さや体の傾きなどから相手が急ターンすると予測。真後ろを追うのをやめてブッシュに突っ込み先回りし、一気に距離を縮めて捕らえていたのだ。実は、よく知られているチーターの俊足の狩りが観察されるのは、遮るものが少ない大草原のサバンナ。だがナミビアではブッシュが邪魔をして、チーターはスピードを武器に狩りができない。その代わりにブッシュを巧みに利用することで、まるで「瞬間移動」するかのような狩りの技を編み出していたのだ。さらに今回の取材で、不得意だと考えられていた夜間にも狩りを行っていることも判明。 これまでほとんど紹介されてこなかった、ブッシュの環境に生きるチーターを初追跡。俊足ハンター、チーターの常識を覆す驚きの暮らしに迫る!