平時において多くの人たちは「時」の真価を知らないまま生きている。困難の最中にあってこそ私たちは真の「時」とのつながりを取り戻すべきだというセネカの時間論に迫る。 哲学者セネカによれば、死はしばしば前触れなく訪れその足音が聞こえるようになった時初めて自分の人生が限られたものであることに気づくという。平時において多くの人たちは「時」の真価を知らないまま生きている。困難の最中にあってこそ私たちは、真の「時」とのつながりを取り戻すべきだというのだ。第三回は、セネカの思考を通して、「生」のはかなさを見つめ、決して計量できない質的な時間を取り戻すことの大切さを考える。