美貌の師匠・春琴に仕える佐助は、春琴が何者かに煮え湯を浴びせられてその美貌が台無しにされたことを知ると、自らの目を突いて春琴と同様の盲者になる。その意図とは? 美貌の師匠・春琴に仕える佐助は、春琴が何者かに煮え湯を浴びせられてその美貌が台無しにされたことを知ると、自らの目を突いて春琴と同様の盲者になる。そこには、音や触覚による、めくるめく世界があった。物質的な光を断ち闇の世界に入った佐助の姿には、現実社会に幻滅して、文学の世界の中に理想の美を実現しようとする谷崎の姿が重なる。第3回は、闇によって、全く新しい世界を現出させる、文学の豊かな可能性に迫る。