日本独自の建築や調度品に現れる「陰翳の美」に迫った「陰翳礼讃」。西欧化がもたらした人工光により失われようとしていた究極の美を救い出そうとする谷崎の美意識とは? 日本独自の建築や調度品に現れる「陰翳の美」に迫った「陰翳礼讃」。ぎらぎらした直射日光ではなく、ひさしや障子にろ過された微妙な間接光によって、もうろうとよどむように現れる暗がり。そこにこそ「幽玄の美」があると考えた谷崎は古典芸能にも同様の美が現れているという。それは西欧化がもたらした人工光により失われようとしていた。第4回は、谷崎が追い求めた究極の美ともいうべき「陰翳の美」とは何かに迫っていく。