人間の関係性には、論理以前に必ず好悪の感情がまとわりつく。吉本はこれをエロス的な関係と呼び、そこから生まれる「対幻想」が、国家形成のベースにあることを解明する。 人間には、他者と関係する場合に必ず「性」として関係する根源的な在り方がある。好いたり好かれたり嫉妬したりされたり。それは男女の関係に限らない。あの上司が嫌いだ、この研究者とはそりが合わない等々人間の関係性には、論理以前に必ず好悪の感情がまとわりつく。吉本はこれをエロス的な関係と呼び、そこから生まれる「対幻想」が、国家のような「共同幻想」が形成されるベースにあるという。吉本の対幻想論を解き明かす。