吉本を決定的に変えたのは戦争体験だった。昨日まで信じていたものがすべてひっくり返る混沌の中で、吉本が生みだした概念が「関係の絶対性」。そのねらいとは何か? 吉本を決定的に変えたのは戦争体験だった。昨日まで信じていたものがすべてひっくり返る混沌の中で、吉本が生みだした概念が「関係の絶対性」。一人でどれだけつきつめて考えぬき辿(たど)り着いた「正しさ」も間違う可能性がある。他者との関係性の中からしか「正しさ」は導き出せないのに人はそのことを忘却している。この概念を出発点に吉本は国家を共同幻想ととらえる視座を獲得していく。この概念のねらいを読み解いていく。