第一次大戦以降、産業は挙げて軍需工場や兵たん基地と化し日常の私的な活動は国家によって制約されるようになった。この事態をカイヨワは「全体戦争」と呼び警鐘を鳴らす。 第一次世界大戦以降、産業は挙げて軍需工場や兵たん基地と化し、日常の私的な活動は国家によって制約され、情報管理とイデオロギー統制によって人間の内面すらも体制に組み込まれ、戦線は空間となって社会全体に浸透するようになった。この事態をカイヨワは「全体戦争」と呼んだ。第2回は、カイヨワが提示した「全体戦争」という概念を読み解くことで、なぜ国民生活の全体が戦争に巻き込まれるようになったかを明らかにする。