日本人がよって立つべき原理を「天」という概念に求めた西郷隆盛。価値観が混沌とする中で、大きな決断を下す際の基準点として、西郷を支えたのが「敬天愛人」だった。 維新が成った結果、人々の欲望が解放され、経済的利害のみが人々を動かす行動基準になろうとしていた時代、西郷は、改めて日本人がよって立つべき原理を「天」という概念に求め、旧秩序の崩壊で価値基準が混沌とする中、国家の命運をかけた大きな決断を下す際の基準点をぶれることなく持ち続けた。第2回は、奄美流罪時代の西郷の苦闘の意味も交えながら、西郷を支えた「敬天愛人」の思想の淵源に迫っていく。